ガンバってる人に「ガンバって」と言ってはいけない

悲しんだり、苦しんだりしている人を見ると、私たちは、つい、
「ガンバって」と声をかけそうになります。しかし、その言葉、
ガンバってる人には、辛いと感じられることもあるのです。
愛の会話力レッスン レッスン81
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『すぐ感情的になる人から傷つけられない本』
発行・こう書房 定価・1400円+税


あなたの周りに、何か悲嘆にくれている人がいたとします。
あるいは、何かに悩み、苦しんでいる人がいたとします。
その人があなたに向かって、自分が抱える「悲しみ」や「苦しさ」をぶつけてきた。そんなとき、あなただったらどうするでしょうか?
そこで、私たちがつい、口にしてしまいそうな言葉に「ガンバって!」というのがあります。
しかし、実はこの言葉、状況によっては、言われた人にストレスを与え、苦しめてしまう場合もある――ということを、私たちは覚えておく必要があります。
2011年の大震災のときにも、全国から寄せられる「ガンバれ!」のメッセージに、被災地の人たちの中からこんな悲鳴が挙がったことがありました。

この言葉を聞いたとき、私は、ハッとなりました。
何気なく使っている「ガンバって」という言葉が、人によっては辛く聞こえることもあるんだ――ということに、思い至ったからです。

考えてみれば、この「ガンバって」という言葉は、「序列上位」の人間から「下位」の人間に向けて発せられることが多い言葉です。
社長が社員に向かって「ガンバって」と言うことはあっても、その逆に、ヒラの社員が社長に向かって「ガンバって」とは言いません。
監督が選手に「ガンバれ!」とゲキを飛ばすことはあっても、選手が監督に「あんたもガンバれ!」とは言いません。
言うとしたら、社長や監督が引退して、序列関係が解消するときぐらいでしょう。
「ガンバって!」という言葉には、こんなふうに、上位にいるものから下位にいるものに向かっての、「おまえもガンバって、ここまで上って来い」という叱咤激励が含まれていることが多いのですが、そんな「上から目線」を感じると、その言葉を素直に受け取れなくなってしまう人もいます。
このことを、まず、覚えておきましょう。
「ガンバって!」が敬遠される理由として、もうひとつ大きいのは、そのシチュエーションです。
「ガンバって」と言われても、ガンバりようがない場面。そんなところで発せられる「ガンバって」は、相手にストレスを与えてしまいます。
たとえば、葬儀や通夜という悲しみの席。親しい身内を失くして悲嘆にくれている人に、いくら励ますためとは言え、「ガンバって」という言葉は使いません。
キャパシティを超えるほどの仕事を抱えて限界ギリギリまでガンバっている人にも、恋人と別れて、自殺するんじゃないかというほど落ち込んでいる人にも、やはり、「ガンバって」とは言えないだろうと思います。
「ガンバって」は、ガンバる余地がある場合にのみ有効な言葉。とてもガンバる気になどなれない大きな悲しみに打ちひしがれている人にも、すでに十分にガンバって苦しんでいるという人にも、ストレスを与えることにしかならない場合もある。
これも、ぜひ、頭の中に入れておいていただきたいと思います。
その上で、ではそんなとき、どういう態度で接すればいいかという問題です。

「悲しい」「辛い」「苦しい」などの感情をあなたに見せてくる人は、あなたに何を求めているのでしょうか?
それは、自分の気持ちに「同調」して、「あなたの気持ちはわかるよ」と「共感」してくれることではないか――と、このシリーズの 《Lesson80 「解決策」は要らない。わかってくれるだけでいい》 で申し上げました。
そこでは、「解決策」を示すことも必要ではないし、「ガンバって!」も適当ではない場合がある、という話をしました。
では、どう向き合えばいいのか?
「それは辛いねェ」「悲しいよね」と、「同調」「共感」する姿勢を見せる。
基本は、これです。それだけで十分とも思うのですが、その言い方は、ケースによって微妙に異なります。
よくあるケースごとに、「悲しみ」「苦しみ」と向き合う言葉のかけ方をまとめておきましょう。
〈1〉悲しみの縁にある人に
たとえば、親しいだれかを失くしたという人にかける言葉を考えてみましょうか。
こういうときには、私たち日本人は、ふつう、「ご愁傷さまです」という言い方をします。「ご愁傷さま」は、ていねいに言うと、「お辛いでしょうね。お気持ちお察しします」という意味です。私は、それだけで十分、それ以上のことは言わないほうがいい――と思っています。
悲しみのどん底にいる人に、「気を落とさないで」はないだろうし、まして「元気出して」も「ガンバって」もないだろうと思います。
もし、何かつけ加えるとしても、「何とおなぐさめしていいのか……」とか、「あまりごムリをなさいませんように」ぐらいでしょうか。
何をどう言ったら――と迷うときには、「この度はどうも……」と言って、後の言葉は、口の中でモゴモゴとごまかしてしまいます。
最後までハッキリ言わないほうがいい場合もある。これも、日本人が育ててきた美徳のひとつです。
〈2〉限界までガンバっている人に
この人はガンバっている――と思える人が、「辛い」「苦しい」という感情を見せてきたときには、私は、「ガンバって」という言葉は、口にしないようにしています。
すでに限界近くまでガンバっている人に「ガンバって」と声をかけたら、その人はストレスでつぶされてしまうかもしれないからです。
こういうときには、「ガンバって」ではなくて、むしろ、「ガンバったね」とか「ガンバってるね」と、ガンバリを評価してあげるようにしています。もしそこに何かひと言、プラスするとしたら、「あんまりムリしないでね」ぐらいでしょうか。
〈3〉恋の痛手に苦しんでいる人には
「フラれた」「別れた」などと、苦しい恋の胸の内を打ち明けてきた人には、私は、「大変だねェ」「そりゃ辛いねェ」などと「同調」を示した上で、あとはひたすら、聞き役に徹するようにしています。
というのも、こういう心情を訴えてくる人たちの心情吐露の動機は、おそらく、「話を聞いてもらいたい」が第一。胸の内に溜まった澱のようなものを吐き出せば、それで満足という場合が大半だろうと思うからです。
余計なアドバイスもしないし、「なぜ、フラれてしまったのか?」を得々と分析してみせたりもしません。
もし、あえてひと言を付け加えるとするなら、「ダイジョーブ、キミならまた、きっとステキな人が現れるよ」と、無責任きわまりないひと言でおなぐさめするくらいでしょうか。こういう場合のなぐさめのひと言は、無責任でけっこう、と私は確信しています。
他にもいろんなケースが考えられますが、あとは、みなさんで工夫を。
「同調」「共感」の姿勢を見せて、「あなたはひとりじゃないよ」と言ってあげるだけで、ひとり悶々と「悲しみ」や「苦しみ」の感情を抱え込んでいる人たちの心の闇は、少しは晴れる。そう信じて、向き合ってあげてください。
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『チャボのラブレター』
2014年10月リリース
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