「婿取り」は、なぜ、「嫁取り」に変わったのか?


 不純愛トーク   第339夜  
かつては「婿取り」が主流であった日本の婚姻スタイルは、封建制の時代になると、「婿取り」式へと変わっていきます。変化のいちばんの理由は、「領地」「所領」の存在。土地の継承が一族の課題となったとき、「家長」制度が生まれ、「家長の系譜」を守るために、「婿取り」は「嫁取り」へと変化していきました。その結果――。

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AKI 基本、「通い」であった「言問婚」の時代から、「婿取り」の時代へ、さらには「嫁取り」の時代へと変化していった日本の婚姻のスタイル。現代は「寄合婚」の時代なんですよね?

哲雄 明治以降は、形の上では「寄合婚」になったはずなのですが、それでもいまだに「嫁を取る」という言い方をする人たちが、少なからずいる――と申し上げました。

AKI ね、哲ジイ。どうして「婿を取る」から「嫁を取る」に変わったの? 私、どっちかつーと、「婿を取る」のほうがいいんですけど……。

哲雄 だからね、AKIクン、いまは、「嫁を取る」も「婿を取る」もない。「嫁に入る」も「婿に入る」もないんです。そういう法律用語は存在しないし、戸籍に記載することもできないんですよ。単に、「婚姻する」しかないんです!

AKI でも、「戸籍筆頭者」というのはあるでしょう?

哲雄 かつては、「戸籍筆頭者」=「家長」とされたわけですが、いまは、その「家長」という概念そのものが存在しませんから、「戸籍筆頭者」は、単に、その戸籍に「最初に登録した人」というだけの意味しか持ちません。

AKI それ、「世帯主」っていうのと同じ?

哲雄 いや、「世帯主」っていうのは、住民登録に記載するときの用語で、その世帯で「主たる生計を得ている人」のことを言います。

AKI ややこしい~。

哲雄 そう思うでしょ? 実際、「戸籍」というのは、現在ではほとんど使う機会がないし、社会的な役割はすでに終わっている――と、私は思うんですよね。まして、これからは「マイナンバー制度」を導入しようとしてるわけですから、この際、戸籍制度というのは廃止したらよろしい。そもそも、こんな制度、世界中探しても、日本と中国にしかない。その中国でも、すでに形骸化してしまっています。

AKI ヘェ~! アメリカとかイギリスとかには、戸籍ってないの?

哲雄 そもそも、戸籍っていうのは、国民を「戸」で管理しようという制度ですから、「個人」単位で管理しようとする英米系の人たちには、なじみのない考え方なんでしょうね。

AKI ね、哲ジイ。「」っていうのは、「」ってこと?

哲雄 いや、「戸」っていうのは、居所を一にする「家族単位」のことです。「各戸」とか「戸別」とか「戸主」とかっていう言い方をするでしょう。「家」のほうは、もう少し大きな単位です。そこには、使用人や遠縁のものも含めます。

AKI ヘェ! 「戸」より「家」のほうが大きいんだ?

哲雄 大きいです。大きな「家」と小さな「家」の間には、主従関係が結ばれたりもしますから、ときには、「家」が「一国」を表したりもするんですよ。たとえば、柴田勝家という武将は、「柴田家」の当主であるわけですが、同時に、主君筋にあたる「織田家」の家臣でもある。したがって、対外的に身分を名乗るときには、「織田家家臣、柴田勝家と申す」と名乗ったりするわけですね。

AKI 家、でけェ!

哲雄 なんか、AKIクン、最近、ますます「鈴木奈々化」してますねェ。

AKI ハ……? それは「おバカ度」が増しているということでございましょうか?

哲雄 いや、お気になさらず。それで……ですね、そのように「家」というものを中心に社会が作られていくのは、封建制の特徴なんですが、では、なぜ「家」が中心になるかと言うと、「領地」というものがあるからなんです。

AKI つまり、土地ですね?

哲雄 単なる土地ではありません。「領地」というのは、そこに領民を住まわせ、農業などの生産活動を営ませ、代わりに「年貢」を徴収することのできる経済的・政治的支配権の範囲のことを言いました。領主は、臣下に領地を貸与して経済活動を営ませる代わりに、自分に対する「忠誠」を誓わせたわけです。そうして、領地というものを媒介に、支配・被支配の関係を築いていったのが、「封建制」というしくみです。

AKI それ、江戸時代とかの話ですか?

哲雄 江戸時代は完全に「封建制」の時代です。しかし、それがどこから始まったかについては、学者の間でも意見が分かれています。鎌倉幕府成立以降だと主張する学者もいれば、秀吉の「太閤検地」以降だとする学者もいます。しかし、そんなことはどうでもいい。問題は、この「封建制」の成立が、婚姻のスタイルにどんな影響を与えたか――ということです。

AKI そこ、そこ。そこですよォ、哲ジイ。少なくとも、平安期までは「婿取り」が主流だったんですよね?

哲雄 ハイ。しかし、「封建制」の時代に入ると、「嫁取り」が主流になっていきます。なぜか? それは、

 「領地」「所領」というものが介在して、
 個人の社会的地位が確保されるようなシステムが出来上がったからです。


 地位を守ろうとすれば、自分に与えられた「領地」や「所領」は、死守するしかない。勝手に分割したり、処分したりということができません。

AKI てことは、勝手にどこかに婿に行く――というわけにもいかないわけですね?

哲雄 次男坊や三男坊なら、それもありでしょうね。しかし、家督を継ぐ立場の長子がそれをやるわけにはいかない。いまの時代と違って、相続は、家督も、財産も、通常は「嫡子」である長男が総取りするというのが、封建時代のルールでしたから。

AKI てことは、あれですね、ご隠居。

 封建時代になって、「家」を守るっていう必要が生じたから、
 「婿を取る」から「嫁を取る」に変わっていった


――と、そう申し上げていいんでしょうか?

哲雄 ハイ。完全にそう言って差し支えないと思います。しかしね、AKIクン、なにしろ、この封建時代っていうのは、太閤検地から数えても300年、鎌倉幕府成立からだとすると700年も続いたわけですからね。そこで染みついた「嫁取り婚」の感覚っていうか、考え方っていうのは、そう簡単には抜けません。

AKI そうですよね。いまだに、結納だとか媒酌人を立てるだとか、面倒くさい風習が残ってますしね。

哲雄 私の妹なんぞは、「同性婚」まで認められようか――というこの時代に、「結婚は、家と家がするものだから」なんぞと、いまだにアホなことをぬかしております。

AKI しかし、あれですよ。結婚式場でも、「○○家、××家披露宴会場」なんて掲示したりしてますからねェ。式場側の頭も古いんじゃないですか?

哲雄 というか、式場もショーバイですからね。「結婚は、家と家が結ばれる儀式だから」とか何とか言って、盛大にぶちかましていただいたほうがもうかるわけですよ。

AKI そうかぁ。「地味婚」じゃあ、式場はもうかりませんものねェ。

哲雄 オーッ、地味婚! ワタシ、それ、大好きデ~ス!

AKI な、何ですか、それ?

哲雄 以前から思っているんですよ。

 どんな結婚式を挙げるかは、
 その人がどんな「結婚思想」を持っているか――と、大いに関わってくる。
 結婚式を見れば、その人の「愛と結婚の思想」が見えてくる


――と言ってもいい。

AKI で、「地味婚の思想」とは?

哲雄 愛があれば何も要らない――です。

AKI しかし、人は、愛だけでは生きられませんよ。

哲雄 フム……。この問題については、もう少し、掘り下げてみる必要がありそうですなぁ。

AKI ついでに、哲ジイが結婚しなかった理由についても掘り下げたいです。

哲雄 ほっとけ!



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