「通い」の夫なら、複数いてもいい…?
不純愛トーク 第338夜
かつて万葉の時代まで、日本の婚姻スタイルの主流であった「言問婚」は、「シングルマザー」増加中の現代にも適用できるのではないか、と主張する管理人に、今回は、パートナー・AKI嬢から疑問が投げかけます。夫が「通い」でいいとなれば、通ってくる男は、ひとりとは限らなくなるのではないか、という疑問です。その疑問に対する哲ジイの回答は――。
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AKI 哲ジイは、「シングルマザー」応援団なんですよね?
哲雄 別に、応援団ってわけじゃありませんよ。ただ、こうは思っているんですよ。
子どもを産み、育てるのに、「結婚」という制度がどうしても必要なのか?
女性に「外に出て働け」と勧めるのであれば、
必ずしも、子どもを育てる場所が「家庭」である必要はないんじゃないか?

「シングルマザー」を「特別のもの」として扱うのではなく、むしろ、それが自然である――として、サポートする態勢を整えるほうが先決ではないか――とね。
AKI やっぱり、応援してるし。それで、哲ジイは思ってるわけですね。「シングルマザー」でもいい、という覚悟があるんだったら、夫は「通い」にすればいいじゃないか――って?
哲雄 いや、「すればいい」とは言ってませんよ。未婚のまま、子どもを産み、育てるという選択も、それはそれで尊重されるべきである、と思います。しかし、もし、男性とのステディな関係もあったほうがいい、というのであれば、「通いの夫」という形も考えられるんじゃありませんか――と、申し上げたわけです。
AKI それで、万葉の時代の「言問婚」に思いを馳せてるわけですね。
哲雄 別に馳せちゃいません。ただね、思いませんか、AKIクン? 日本の男たちのまだ半数以上は、「結婚したら、妻に身の回りの面倒を看てもらいたい」と願っている「パラサイト族」です。専業主婦ならそれでもいいかもしれませんが、働きながら家事をこなし、育児をこなし、その上、亭主の世話まで――ってなったら、「もう、やってらんないわ」って思いませんか?
AKI それなら、亭主なんていらない――って? 思うかもしれませんね、私だったら。
哲雄 でしょ? だったら、
亭主は「住み込み」じゃなくていい、「通い」で十分、

という選択もありかな――とね。ただ、そう申し上げたかったわけですよ。
AKI なるほど。それもいいわね……つか、そこで、疑問がひとつ――と、前回、申し上げたわけです。
哲雄 何か気になることでも、お客さま?
AKI 気になるのは、むしろ、男のほうだと思うのですよ。つまりですね、男というか夫が「通い」で女のもとへやって来る――となった場合、当然、「他にも通ってくる男がいるんじゃないか」という疑念は生じますよね。「男は自分ひとりである」ってことは、いかようにして担保されるのであろうか――と。
哲雄 担保は……されませんねェ、残念ながら。たぶん、万葉の時代から、そんな担保はなかったと思いますよ。
AKI てことは……エッ!? 「妻問婚」って、複婚?
哲雄 そういうケースも、少なくなかっただろうと思いますよ。だから、男たちは懸命に歌を詠んだりして、女の気持ちをつなぎ留めようとした。「妻問婚」という制度がなかったら、詩歌をめでるという日本人の文学的感性は、あるいは、芽生えなかったかもしれないとさえ、私は思うんですよ。
AKI いまで言うと、女の気を惹くために、自作の楽曲を演奏してみせるとか……ですかね? それ、けっこうキモかったりするんですけど……。
哲雄 ま、「ヨバヒ」(女を「呼ばう」行為。当時のプロポーズのスタイル――前回・第337夜参照)のスタイルは、時代とともに変わっていきますからね。でもね、AKIクン、ライバルがいるかもしれないなぁ――と感じつつ、女のもとに男が通ってくるなんて、ちょっとロマンチックじゃありませんか?
AKI そう言われれば、そういう気もしますが、いまの世の中でそれやると、どうなるんでしょう? ストーカーとストーカーが鉢合わせして、現場は血の海……てなことにならなきゃいいんですが……。
哲雄 女がひとり暮らしとかだと、そういう可能性も考えられますなぁ。なので、もしこの婚姻スタイルを現代に応用しようとすると、女は、親や兄弟と一緒に暮らしていることが望ましい――ということになります。そして、できた子どもは、女の親や一族が協力して育てる。そうすれば、保育所不足の問題も、老親だけが取り残されて家が放置家屋と化していく問題も、一挙に解決。めでたし、めでたし!
AKI とは、なりませんね、たぶん。いまの時代だと、親もまた、共働きで外に出たりしてるでしょ。それに、男には、転勤って問題もあるし……。
哲雄 ですよねェ。実は、この転勤っていう制度こそ、日本社会のガンだと、私は前から思ってるんですよ。日本人の生涯未婚率が上がっているのも、少子化に歯止めがかからないのも、放置家屋が増えてしまうのも、さらには、東京一極集中化が進むのも、地方がどこもミニ東京みたいになってしまうのも、すべて、この「転勤」という制度があるからだ――と言っても過言ではありますまい。
AKI エッ、そこまで?
哲雄 ハイ、そこまで言います。転勤で人を動かすっていうのは、中央から言うと、「労働力の流動化を図る」ってことになるんでしょうが、その結果、何が起こるかと言うと……ま、いいや。きょうは、その話は止めておきましょう。で、あれですね。AKIクンとしては、いつ転勤があるかわからない現代の男たちに、「通いの夫」が続けられるか――と。そこを気にしているわけですね?
AKI あ、ま……ハイ。
哲雄 それは、あれですね。通ってくる男がひとりだけだと、気になるでしょうなぁ。
AKI それって、何人か通わせろ――ってこと?
哲雄 いや、そんなことは申しません。ただ、私だったら、自分以外にも、彼女のもとへ通ってくる男がいる――というシチュエーションは、決して嫌いじゃない、というか、場合によっては燃えるかもしれない、と申し上げたわけです。
AKI なるほど、その手があったか。
哲雄 そもそも、男なんてものは、消耗品でありますからして。

AKI エッ、そうなの?
哲雄 ハイ。たとえて言うなら、女性は港かエアポート。男は、そこに入出港する船舶か、離着陸する飛行機。船や飛行機は、使用期限の限られた消耗品にすぎません。
AKI 港やエアポートに、いくつもの船や飛行機が出入りしても、文句は言えない――ですか?
哲雄 精子の運び人にすぎない男は、甘んじてその宿命を受け入れるしかない。私は、そう思っています。
AKI ま、ものわかりがいい……つーか、なんだか無常観さえ感じさせるお言葉。
哲雄 そりゃ、そうでしょう。何たって、あーた、男は子どもが産めんとですばい。
AKI あら、博多弁! でもね、哲ジイ、そう考えると、「言問婚」って、複数の男が妻をシェアする形――とも言えるわけですよね?
哲雄 おっしゃるとおりです。
AKI でも、それが、どうして「嫁取り」スタイルに変わってしまったのかしら?
哲雄 いきなり変わったわけではありませんよ。前回もお話したように、「言問婚」は、奈良~平安期にかけて、夫が妻の実家に住み込む「婿取り婚」へと変化し、武家社会では「嫁取り婚」へと変化していきました。ちなみに、明治以降の婚姻は、男女が寄り合って所帯を構える「寄合婚」が主流となっています。
AKI いまでも「嫁を取る」という言い方しますけど……。
哲雄 そういう言い方をする人、いますねェ。そういう人の頭の中は、いまだ江戸時代以前――ってことになるわけです。
AKI でもさ、哲ジイ。どうして、「婿取り」が「嫁取り」に変わっていったんでしょうね? 私、そこに、現代まで引きずっている男女問題の根幹がひそんでいるような気がするんですけど……。
哲雄 オッ、大きく出ましたねェ。ようがす。その点については、次回、じっくりお話したいと思います。
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