現代でも通用…? 夫が通ってくる「妻問婚」
不純愛トーク 第337夜
かつて、日本の男たちは、ホレた女の住処に通って「ヨバヒ」し、「通いの夫」として婚姻関係を結んでいました。少なくとも、奈良時代直前までは、この《妻問婚》が、婚姻スタイルの主流。この「通い婚」という形、現代でも通用するのではないか、という話をしてみます――。
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AKI 本日は、何か名案をお聞かせいただけるんですよね?
哲雄 名案……? わたくし、何か、申し上げましたか?
AKI 男は欲しい。でも、束縛されたり、重くなったりするのはイヤ。そういう話をしたら、哲ジイ、言ったじゃありませんか? それだったら――って。
哲雄 ああ、あれかな……。「ヨバヒ」のことかな……?
AKI エッ、夜這い? 私に夜這いしろ――と?
哲雄 いや、いや。そんなことはさせられません。
AKI じゃ、夜這いさせろ――?
哲雄 オーッ、それ、いいね。そうなったら、及ばずながら、この私もぜひ……と申し上げたいところですが、残念ながら、それも違う。「夜、這う」の「夜這い」じゃなくて、「ヨバヒ」。語源は、たぶん、「呼ばう」から来ているのではないか――と言われています。
AKI エッ!? 呼ぶんですか? 何を?
哲雄 わが恋ふるAKI姫よ、われを汝の寝屋に入れてたも――とか、何とかじゃないですか。中には、そこで、歌を詠んだりすることもあったんだろうと思います。
AKI 要するに、「求愛」してるわけですね。ま、いまだと、メールとかになるんでしょうけどね。
哲雄 残念ながら違うんですね。「ヨバヒ」は、「求愛」じゃなくて、「求婚」なんです。
AKI エッ、いきなり? 最初は、「お茶でも飲みましょう」から始まって――とか、そういうプロセスなしに、いきなり「結婚して」になるわけ?
哲雄 女が、この「ヨバヒ」に応えて、男を自分の部屋に招き入れれば、それで即、「セックスOK」となり、その段階で「婚姻成立」となったわけです。こういう婚姻のスタイルを、《妻問婚》 と言いました。
AKI 結婚する……ってことは、つまり、どこかに新居を構えて――となるわけですか?
哲雄 何をおっしゃる、子猫ちゃん。結婚したら、新居を構えて夫婦ふたりで暮らす――なんてのは、ごく最近、始まった奇妙な風習でね。本来の日本人のDNAには、そんな結婚の概念は、書き込まれていませんでした。
AKI DNAに……ですか?
哲雄 ま、DNAっていうのは、比喩的に申し上げただけで、つまり、そんな文化は、日本の風土には存在しなかった、ということです。
AKI じゃ、夫婦は、どこで暮らしたんです?
哲雄 暮らしません。
AKI エッ、暮らさないの? 一緒に生活するわけじゃないんだ。じゃ、夫婦の営みとかは、どこで?
哲雄 さすが、AKIクン、そこが気になりますか?
基本、「妻問婚」というのは、「通い婚」なんですよね。
女は、自分の氏族と一緒に暮らしていて、男はそこに通ってくるだけ。

で、男が通って来なくなると、「床去り」とか「夜離れ」と言って、それで離婚が成立してしまいます。女のほうが、通って来た男を追い返してしまっても、離婚になったようですよ。
AKI ウワッ、チョー簡単!
哲雄 婚姻の成立も、解消も、チョー簡単でした。別に結婚したからと言って、何か届出が必要になるわけでもないし、離婚したからと言って、慰謝料だの財産分与だのが問題になるわけでもない。自由と言えば、自由だったんですね。
AKI でもさ、哲ジイ。セックスすれば、子どもだってできるでしょ? 子どもはどうしたんです?
哲雄 女が産んだ子どもは、女側の氏族が育てました。男側の氏族は、その子どもを引き取ることも、子育てに介入することもできませんでした。

AKI 夫側には「親権」がなかったってことですね?
哲雄 そもそも、子どもの父親がだれであるかは、妻側の氏族が認定することであって、夫側には、その権利を申し立てる権利がありませんでした。
AKI 夫には、「この子、オレの子」と主張する権利がなかったわけですね。それ、男としては辛くないですか?
哲雄 さぁ、どうでしょうね。でも、後の時代になると、成長した子どもを男側の氏族が「この子をうちの子としてもらい受けたい」と申し出るようにもなりました。しかし、その段階で、女側の氏族は男側の氏族とその子に対して、大きな発言力を持つようになります。たとえば、男側の氏族が天皇家であったとしましょうか。女側の氏族は、天皇家に対して、大きな影響力を持つようになります。平安期に藤原一族がのし上がっていったのも、そういう経緯があったからだと言われているんですね。
AKI そんな時代まで、日本の婚姻は「妻問婚」だったんですか?
哲雄 いや、「妻問婚」は、奈良時代の直前、古墳時代までが全盛で、その後は、徐々に 《婿取り婚》 に移行していったと言われています。
AKI 《婿取り婚》っていうのは?
哲雄 「妻問婚」は、「通い」でしたが、「婿取り婚」になると、「住み込み」になります。
AKI 住み込み……? どこに?
哲雄 妻側の実家に……です。でも、「通い」の「妻問婚」のスタイルも、まだ、社会には根強く残っていたと思われます。たとえば、AKIクンもご存じの『枕草子』にも、こんな記述が見られます。
家ゆすりて取りたる婿のこずなりぬる。

AKI 「取りたる婿」ってことは、「婿取り婚」なんですよね? でも、「こずなりぬる」ってことは、「通いの夫」だったとも考えられる……。
哲雄 そうですね。「妻問い」か「婿取り」かなんてのは、ある日、突然、「本日より、婚姻は《婿取り》とすべし」なんて決めたわけじゃありませんから、両方の要素が混じり合っていた――と考えるのが自然でしょうね。ところで、AKIクン、思いませんか?
AKI 何をですか?
哲雄 「妻問婚」って、なんだか、いまになってみると、新しいという感じがしませんか?
AKI そう言えば、ちょっと新鮮な感じがしました。「妻問婚」の「妻」を「シングルマザー」って考えると、これって、現代でもありじゃないか――なんてね。
哲雄 そうなんですよ、AKIクン。私が、きょう、「妻問婚」の話をしたのは、シングルマザー激増中の日本の社会であれば、こういう婚姻のスタイルも、検討に値するのではないか――と思ったからなんです。
AKI それを、私にすすめようと思ったわけですか?
哲雄 選択肢のひとつとして――ですけどね。
AKI 考えてみます。でも、その前に、ちょっと気になることがありまして……。
哲雄 ホォ、それはどんな……?
AKI それ、言い出すと長くなるので、次回、じっくり、お尋ねしたいと思います。
哲雄 ファーイ。では、きょうだけ「ヨバヒ」ということで……。
AKI シッ、シッ! 間に合ってます。
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