「タテの社会」を「ヨコ」にする、という考え方
不純愛トーク 第327夜
この世界には、支配⇔従属関係で維持される「タテ型社会」と、協力や連帯が主なパワーとなる「ヨコ型社会」、2タイプの「社会」が存在します。軍隊や会社は、「タテ型」の力学が働く社会。サークルや協同組合、家族などは、「ヨコ型」の力学が働く社会です。しかし、日本では、本来、「ヨコ型」であるべき社会でまで、「タテ型」の力学が優勢となっているケースが少なくありません。今回は、その「タテ」を「ヨコ」に寝かせてみては?――という話をしてみます。
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AKI あけましておめでとうございます。
哲雄 おめでとうございます。
AKI 哲ジイは、今年も、ひとり寂しくお正月を過ごしたんですか?
哲雄 あのね、その「ひとり寂しく」っての、そろそろ止めていただけませんかね。やせても枯れても、この長住、「ひとり」を「寂しい」とか「みじめェ~」なんぞと感じたことは、ありませんので。
AKI ああ、孤独に強いんでしたっけね。
哲雄 別に、「孤独に強い」ってわけじゃありません。ああ、こんなとき、だれか側にいてくれたらなぁ――と思う程度に「連帯」を求める心は、私にだってあるんですから。でもね、それは「人恋しい」のであって、「あるべきものがなくて辛い」というのではない。
AKI あるべきものがない……?
哲雄 「どうして、自分だけひとりなんだ?」とか「なぜ、だれもかまってくれないんだ?」と、不満や不安を感じるような、そんな「あるべきもの」です。
AKI 組織にも、家にも、依存しないんですものね。ところで、哲ジイは、前回、気になることをおっしゃいましたよね。「新しいコミュニティ」がどうのこうの……と。
哲雄 言いました。それはね、帰属する「拠り所」としてのコミュニティではなくて、自立した人間同士が協力し合う「共同体」としてのコミュニティを――という意味で申し上げたんです。
AKI 「協力し合う共同体」ですか?
哲雄 序列に準じて、従えたり、従わされたりする「タテ型の組織」ではなくて、「上下関係」なしに力を合わせよう、助け合おうとする「ヨコ型の組織」です。
AKI 「軍隊」は、「タテ型組織」ですよね?
哲雄 ハイ。その典型です。「会社」もそういう組織の代表です。
AKI 「御意!」とか言ったりする社会も、「タテ型社会」なわけですね?
哲雄 ああ、例のドラマに出てくる「病院」ですね。あれはドラマですから、そこらへんを面白おかしく描いているわけですが、「医学界」は、階級がモノを言う「タテ型社会」の代表格と言っていいでしょうね。そういう封建的体質を変えようとして、「東大の医学部紛争」が起こったりしたんですが、いまだに医学界には、その体質が色濃く残っています。霞が関を支配する「官僚社会」も似たようなものです。
AKI 高校や大学の体育会系サークルも、「タテ型」じゃありません?
哲雄 困ったことに、そういう組織も多いようです。上級生と下級生の間に、まるで「天皇⇒奴隷」のような関係が成立している運動部が、いまだにあるようですね。しかしね、サークルというのは、本来は、「同好の人たち」が集まって作る「ヨコ型」の社会なはずなのです。そこで、「1年違えば、天皇と奴隷」のような関係が成立してしまう。これこそ、日本社会の問題だ――と、私は思っているんです。
AKI そう言えばね、哲ジイ、そういう感覚って、いろんなところに残ってますよ。会社でもそうだけど、たとえば、習い事なんかの世界でも、「あなた、何年目? あら、1年? 私なんて、もう5年もやってるのよ」なんて言い出す人が、必ずいますもの。
哲雄 階級を作り出したがるんでしょうね。
群れを作る動物であるサルや人間の中には、
そういう遺伝子が組み込まれているのかもしれません。
そういう遺伝子に導かれて階級を形成し、上下関係を軸とした集団を作り上げてしまう。
そうして作り上げられていくのが、「タテ型社会」だと言ってもいいと思います。
AKI では、「ヨコ型社会」は? そこにも、遺伝子が絡んでいると思います?
哲雄 なくはないだろうと思います。たとえば、サルの群れの中には、群れの中のある個体が危機にさらされると、それを他の個体が助けようとする行動をとることがある――ということが、霊長類学者などの観察によって、確認されています。
AKI そう言えば、先日も、電車の架線に触れて感電したサルを、他のサルが助けようとした――なんていうニュースが流されましたよね?
哲雄 ああ、「ドクター・モンキー」の話ですね。日本の高崎山なんかでも、体にハンデを抱えたサルに、他のサルがエサを分け与える姿が目撃されたりしています。
AKI ヘェ、いいとこあるじゃん。
哲雄 ただし、それは、自分たちに余裕があるときだけの話かもしれません。そういう本能が備わっていたとしても、そこから「ヨコ型社会」が形成されるかというと、それはあり得ない。むしろ、「ヨコ型社会」は、文化的に形作られていった――と考えるほうが自然でしょうね。
AKI たとえば、「同窓会」とか「町内会」とか「ボランティア・サークル」とかは、「ヨコ型社会」ですよね?
哲雄 そうですね。「労働組合」とか「協同組合」とかも、「ヨコ型社会」と言っていいと思います。もっと歴史を遡ると、「講」と呼ばれるヨコ型組織が、主に西日本を中心に発達していました。
AKI 講? それ、どんな組織なんですか?
哲雄 「頼母子講」とか「無尽講」とか「念仏講」なんていう言葉を、AKIクンは聞いたことありませんか?
AKI 「無尽」って、みんなでお金を出し合って……っていう助け合い組織みたいなもんでしょ? それ、ニュースかなんかで、聞いたことがある。
哲雄 「頼母子講」も「無尽講」も、互助会みたいなもんだね。「講」の組合員たちから掛け金を集めて、それを順番に組合員に融通してあげるっていう仕組みだったらしいよ。「念仏講」は、浄土真宗の信徒たちが集まって念仏を唱えるという、宗教色の濃い集まりだったんだけど、そのうち、地域の親睦会みたいな色彩が強くなっていった。
AKI そういう組織では、上下関係みたいなものは作られなかったのかしら?
哲雄 まとめ役とか世話役みたいなものはあっただろうと思うけど、《支配⇔従属》 関係が発生するような「タテの関係」は作られなかっただろうと思います。
AKI じゃ、家族はどうなんだろう?
哲雄 そこなんだよね、AKIクン。本来、「家族」っていうのは、何事かを成すために作られた組織じゃないし、《支配⇔従属》関係が支配する社会じゃない。そういう意味では、「ヨコ型社会」であるべきだと思うんだけど、どうも日本にはいまだに、「タテ型」の家族観が色濃く残っていたりします。
AKI タテ型の家族……?
哲雄 たとえば、「親の言うことが聞けないのか!」などと声を荒げる父親に、がんじがらめに縛られる家族とか、妻に「尽くす」ことを求める夫と妻の関係とか、「家」の格式のために家族を縛ろうとする家族とか、そういうのは、どちらかと言うと、「タテ型の家族」だと思うんです。
AKI 「タテ」ではなくて「ヨコ」にしろ――と、哲ジイは言いたいわけですね?
哲雄 そのとおり。「タテ」が必要な組織もあるけれど、人間関係としては「ヨコ」が大事。私が言う「新しいコミュニティ」というのは、「ヨコ型」の意識が主となるコミュニティということです。
AKI 具体的なプランをお聞かせ願いたいものですわ。
哲雄 ハイ。では、次回までに考えておきます。
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