「愛」よ、おまえはどこからやって来た?

人がサルよりも発達させた「他人を思いやる」能力。
「愛」は、その能力から発見されたのかもしれません。
性とエッチの《雑学》file.142 R15
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。15歳未満の方はご退出ください。
【今回のキーワード】 普遍的な愛 イエス

【リンク・キーワード】 エロ エッチ 官能小説 オーガズム 不倫
それにしても――と、筆者は思うのです。
遺伝子は、この世にコピーを残すために、なぜ、わざわざ「交配」などというしくみを作ったのでありましょうか?
「交配」というしくみが必要なければ、「SEX」も必要ないはずです。単に「増殖」すればすむだけの話です。
現に、細菌などの単細胞生物は、単純な細胞分裂を繰り返すことで、
自らの種を増やしているではないか?
なのに、なぜ?
そこには、2つの理由があると考えられます。
まず、第一に覚えておきたいことは、遺伝子にはエラーが生じるということです。単純な分裂=コピーを繰り返せば、そのたびに、エラーは蓄積されていきます。実際、人間でも、Y染色体上の遺伝子にはそのエラーが蓄積されて、近い将来、といっても600万年後ぐらいにはという話ですが、Y染色体そのものが消失するかもしれない――と言われています。
そこへ、偶然にも、他の個体のDNAと遺伝子情報を交換するというしくみが登場しました。
やってみると、これが、実にすばらしい!
他の個体と遺伝子情報を擦り合わせることによって、自分は持っていない優秀な遺伝子を自己のDNAの中に取り込むことができる。傷んだ自分の遺伝子も、相手の遺伝子と照合することによって、エラーを修復することができる。
こうして、遺伝子を強化した個体は、その優位性ゆえに優秀なコピーをこの世に誕生させ、それが生物の進化へと発展したのではないか――とされています。
「誓約」と「愛」とは別物
さて、ここまでは、前々回の File-140 「SEXに愛は必要か? いまさらながらの疑問への答え」 の補足。
こうして「交配」というしくみにたどりついた遺伝子は、それをさらに「SEX」へと発展させ、オスには「汝の遺伝子をバラ撒け」、メスには「遺伝子を厳選せよ」と命じて、種の保存のシステムをより高度なシステムに作り上げていきました。
しかし、そこに「愛」などというものは、存在しません。
ただ、優秀なコピーのシステムが存在するのみです。
このコピーのシステムに「愛」が登場するのは、人類が「農業」を始めて「蓄財」が可能になってからだ。前回の File-141 「SEXと「愛」をセットにした、《農業の罪》」 で、そんな話をしました。
農業を発展させた中東から欧州にかけての社会では、「財産」と権力の分散を防ぐために、「一夫一妻制」を社会の基本的なシステムとし、夫婦となる男女には 《愛を誓わせる》 という風習を定着させました。
ここでは「愛」という言葉を使いましたが、当初は、「相手を裏切ってはいけない」という「誓約」に近いものだったと思われます。つまり、「浮気するなよ」という戒めで、その内容は、男女で違っていました。戒めていたのは、
妻となった女が、他の男と肉体関係を持つこと。
夫となった男が、他の男の妻に手を出すこと。
です。
もしその禁を侵せば、「姦淫」とされ、厳罰を科す。しかし、夫が未婚の女性に手を出しても「姦淫」とはされませんでした。
ユダヤの律法では、そういうふうに定められ、それに「愛」という言葉を使ったのですが、ここにひとりの男が現れて、
そんなもの、「愛」とは言えない。
と声を挙げました。
それが、イエスという人物です。
遺伝子は、この世にコピーを残すために、なぜ、わざわざ「交配」などというしくみを作ったのでありましょうか?
「交配」というしくみが必要なければ、「SEX」も必要ないはずです。単に「増殖」すればすむだけの話です。
現に、細菌などの単細胞生物は、単純な細胞分裂を繰り返すことで、
自らの種を増やしているではないか?
なのに、なぜ?

そこには、2つの理由があると考えられます。
まず、第一に覚えておきたいことは、遺伝子にはエラーが生じるということです。単純な分裂=コピーを繰り返せば、そのたびに、エラーは蓄積されていきます。実際、人間でも、Y染色体上の遺伝子にはそのエラーが蓄積されて、近い将来、といっても600万年後ぐらいにはという話ですが、Y染色体そのものが消失するかもしれない――と言われています。
そこへ、偶然にも、他の個体のDNAと遺伝子情報を交換するというしくみが登場しました。
やってみると、これが、実にすばらしい!
他の個体と遺伝子情報を擦り合わせることによって、自分は持っていない優秀な遺伝子を自己のDNAの中に取り込むことができる。傷んだ自分の遺伝子も、相手の遺伝子と照合することによって、エラーを修復することができる。
こうして、遺伝子を強化した個体は、その優位性ゆえに優秀なコピーをこの世に誕生させ、それが生物の進化へと発展したのではないか――とされています。

さて、ここまでは、前々回の File-140 「SEXに愛は必要か? いまさらながらの疑問への答え」 の補足。
こうして「交配」というしくみにたどりついた遺伝子は、それをさらに「SEX」へと発展させ、オスには「汝の遺伝子をバラ撒け」、メスには「遺伝子を厳選せよ」と命じて、種の保存のシステムをより高度なシステムに作り上げていきました。
しかし、そこに「愛」などというものは、存在しません。
ただ、優秀なコピーのシステムが存在するのみです。
このコピーのシステムに「愛」が登場するのは、人類が「農業」を始めて「蓄財」が可能になってからだ。前回の File-141 「SEXと「愛」をセットにした、《農業の罪》」 で、そんな話をしました。
農業を発展させた中東から欧州にかけての社会では、「財産」と権力の分散を防ぐために、「一夫一妻制」を社会の基本的なシステムとし、夫婦となる男女には 《愛を誓わせる》 という風習を定着させました。
ここでは「愛」という言葉を使いましたが、当初は、「相手を裏切ってはいけない」という「誓約」に近いものだったと思われます。つまり、「浮気するなよ」という戒めで、その内容は、男女で違っていました。戒めていたのは、

夫となった男が、他の男の妻に手を出すこと。
です。
もしその禁を侵せば、「姦淫」とされ、厳罰を科す。しかし、夫が未婚の女性に手を出しても「姦淫」とはされませんでした。
ユダヤの律法では、そういうふうに定められ、それに「愛」という言葉を使ったのですが、ここにひとりの男が現れて、
そんなもの、「愛」とは言えない。

と声を挙げました。
それが、イエスという人物です。

イエスは言うのです。
自分を愛する者を愛したからとて、なんの報いがあろうか。
そのようなことは取税人でもするではないか。 (マタイによる福音書第5章46節)
「取税人」というのは、税を取り立てる役人のことで、当時のユダヤ社会では、もっとも忌み嫌われていた職業のひとつでした。
では、イエスは「愛」について、何と言ったのか?

「隣り人を愛し、敵を憎め」と言われていた(注・ユダヤの律法で)ことは、
あなたがたの聞いているところである。
しかし、わたしはあなたがたに言う。
敵を愛し、迫害する者のために祈れ。
ここでイエスが主張している「愛」は、「エゴ」を超えた「愛」です。
「自分を愛してくれる者を愛する」愛を「エゴな(利己的な)愛」とするなら、ここでイエスが口にした「愛」は、「非エゴ」な「普遍的愛」です。
この時代には、すでに「普遍的な愛」という概念が、人々が理解できる程度には成立していた――と、考えていいと思われます。
では、その「普遍的な愛」という概念は、いったい、どこからやって来たのか?
それが、今回のテーマです。

イエスによれば、その「普遍的な愛」を人類に示したのは「神」である――ということになります。
しかし、『旧約聖書』に描かれる「神の愛」は、いくら読んでも、「敵を愛せ」とまでは言ってない。それどころか、「神への忠誠」を示すために、「息子を殺せ」とまで求める愛です。
筆者は思うのです。
人類は、「愛」という概念に、どこかでたどりついたのに違いない。つまり、こういうことです。
人類は、「愛」という概念を発見したのだ!

どうやって?
それには、大脳の発達が関係しているに違いない、と筆者は思っています。
その発達は、主に前頭葉で起こりました。
「前頭葉」というのは、脳の知的活動をつかさどる領域で、高等な人間の「前頭葉」では、物事の善悪を判断したり、意欲を起こさせたり、逆に抑制させたり……という活動を行っています。
その「前頭葉」が行う重要な作業のひとつに、物事の類似点と相違点の把握という作業があります。
「愛の発見」には、このプロセスが、ものすごくたいせつになります。
類似点と相違点を見きわめることができれば、物事を「比喩的」に見るということが可能になります。
つまり、こういうふうに物事を見ることが、可能になるのです。
AがBのためにする「C」という行動は、
DがEのためにする「F」という行動に似ていて、
その両者の間に共通するのは、「G」という要素だ。
この「G」を発見する能力は、人間だけが発達させた能力だと言っていいと思います。
そして、この「G」の発見には、「神の発見」も「愛の発見」も含まれるに違いない――と、筆者は思っています。

「群れ」を作って行動する人間には、サルであった時代から、「他人を思いやる」能力が備わっていたのではないか、と言われています。
先日、インドの駅で、電線に触れて感電して失神したサルを、仲間のサルが助けるという行動を見せたことが報じられ、「ドクター・モンキー」として世界中の賞賛を浴びましたが、実は、サルのこういう行動は、以前から知られていました。
群れの中に、肉体的ハンデを抱えて、うまく餌がとれない個体がいたりすると、優位にいるサルが自分の餌を分け与えたりすることが、霊長類学者たちによって観察されてもいました。
サルにも、「利他的行動」をとる能力が備わっているのではないか――とも言われています。
こうした行動は、「群れ」を維持するための本能的行動ともとれますが、人類の次に前頭葉を発達させたサルには、ある程度の「思いやり能力」が備わっているのではないか――とも考えられるわけです。
サルがこうした行動をとるのは、自分が優位に立ち、エサなどが十分に確保できる場合に限られていますが、サルよりもはるかに前頭葉を発達させた人間だと、「思いやり行動」の対象やレベルは、サルをはるかに凌ぎます。
こうした行動を見て、人間の前頭葉は、こう判断するわけです。
親が子どもに食事を与える行動と、
路で行き倒れた旅人を助け起こして食事を与える行動は、
どこか似ているなぁ。
何か共通するものがあるゾ。

こうして、人間は、「G」を発見します。
この「G」に、「愛」と名前を付けてみようか。
こうして、人類は、「愛」の発見にいたったのではないか――と、筆者は思うのです。
「愛」という「G」を発見した人間は、自分がされてうれしいことは、相手もうれしいはずだ――ということを知ります。
イエスが説いた「愛の思想」を、人々が受け入れることができたのも、すでに、人々が「愛を発見」していたからであろう、と思われるわけです。
さて、SEXです。
「自分が心地いいことは、相手も心地いいだろう」と、「比喩的思考」をめぐらせることのできる人間は、ただ、「優秀なコピーを残すため」だけではなく、「この人を気持ちよくしてあげよう」「幸せな気分にしてあげよう」という気持ちで、相手の体に触れることができます。
もし、「SEXに愛が必要か?」と問われれば、「必要」の理由は、ただそれだけではないか――と筆者は思うのですが、いかがでしょう?
管理人の本、Kindle で販売を開始しました。よろしければ、ぜひ!

シリーズ「マリアたちへ」Vol.1
『チャボのラブレター』
2014年10月リリース
Kidle専用端末の他、アプリをダウンロードすれば、スマホでもPCでも、ご覧いただけます。
作品のダウンロードは、左の写真をクリックするか、下記から。
チャボのラブレター (マリアたちへ)
『チャボのラブレター』
2014年10月リリース
Kidle専用端末の他、アプリをダウンロードすれば、スマホでもPCでも、ご覧いただけます。

チャボのラブレター (マリアたちへ)

管理人は、常に、下記3つの要素を満たすべく、知恵を絞って記事を書いています。
みなさんのポチ反応を見て、喜んだり、反省したり……の日々です。
今後の記事作成の参考としますので、正直な、しかし愛情ある感想ポチを、どうぞよろしくお願いいたします。
→この記事は役に立った(FC2 恋愛)
→この記事に共感・感動した(にほんぶろぐ村 恋愛)
→この記事は面白かった(人気ブログランキング 恋愛)
→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 彼女の「してもいいよ」サインを見逃すな! (2015/01/15)
- 「愛」よ、おまえはどこからやって来た? (2014/12/29)
- 「SEX」と「愛」をセットにした 《農業の罪》 (2014/12/14)