日本人が「組織」という「神」に利用されてしまう理由


 不純愛トーク   第325夜  
組織に「依存」する――は、日本人のDNAに刷り込まれたメンタリティかもしれません。その根底にあるのは、「共同体的メンタリティ」。しかし、このメンタリティは、しばしば、組織の「悪意」に利用されてしまいます。小は、ブラックな企業。そして「大」は、国家。今回は、組織に弱い日本人の心のありようを、分析してみます――。

【今回のキーワード】 ブラック企業 共同体的メンタリティ
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AKI 「アットホーム」を謳う会社には、「ブラックな企業」が多い――って言いましたよね、哲ジイ。

哲雄 ハイ、申し上げました。「アットホーム」というと、言葉はきれいだけど、実は、ファミリーで経営する同族企業で、血縁以外の社員には昇進のチャンスがなかったりする。それに、企業体質もね。

AKI 何かあるんですか?

哲雄 「社員は家族なんだから」という美名を盾に、社員の精神まで支配しようとする、プライベートにまで介入しようとする、過度なサービスの提供を求める……と、まぁ、いろいろ問題があるわけですよ。

AKI それでも文句を言わないメンタリティが、日本人にはあるんじゃないか。前回は、そんな話をしたんですよね。

哲雄 「社員一丸となって」なんて言葉に弱いでしょ、日本人は?

AKI 「一丸」とか「総出」とか「団結」とか、そういう言葉、けっこう好きかもしれない。それって、組織に弱い――ってことなのかなぁ。

哲雄 メチャ弱いです、日本人は。

 自分があって、組織がある――じゃなくて、
 組織があってこその自分、


 という考え方・感じ方が強いんじゃないかと思います。

AKI それは、組織への帰属意識が強いってことですか?

哲雄 ですね。ある意味、組織に「依存」してるという言い方もできるかと思います。

AKI どうしてそうなっちゃうんでしょう?

哲雄 いろいろ理由があると思います。ひとつには、日本人がもともと、砂漠や草原の民ではなかった――ということと関係してるかもしれません。日本の国土というのは、キミもご存じのように、とても起伏に富んでいます。そういう風土の中で形成される社会は、あまり大きくない。

AKI 里山があって、小さな集落があって……っていう単位で暮らしてたんですよね。

哲雄 里山からは、燃料になる薪や家屋の部材となる木材を切り出したり、きのこや山菜を採取したり……と、その恵みを集落全体で共有するし、川の水も、灌漑や飲料に……と、集落の全員と分け合って暮らす。もし、だれかが、自分の利益のためだけに、勝手に山の木を大量に切り出したり、きのこを根こそぎ刈り取ってしまったりすると、山は死んでしまいます。なので、そこには、集落の全員が守るべき暗黙のルールのようなものが形成されていきました。

AKI それが、日本人の精神のルーツ?

哲雄 日本人のというか、ネパールからヒマラヤ、中国南部、日本の西南部へと連なる照葉樹林帯に住んでいた人たちに共通する、精神のありよう――と言ってもいいかと思います。ざっくり言うと、村落共同体的コミュニティの思想とでも言うんでしょうかね。

AKI 里山の思想……みたいなものですか? 砂漠や草原の民だと、そうはいかないんですね。

哲雄 いかないですねェ。考えてもみてください。自分の周りに見えるのは、見渡す限りの地平線。そこで、ひとり、羊の群れを追ったり、ただっ広い大地に鍬を振り下ろしたりしているわけですよ。共同体なんてものは、目に見えない、肌でも感じられない。そういうところで自分を支えるのは、組織ではなくて、神と自分との一対一の関係でしかない。「個」は、自立するしかないわけです。

AKI 依存しようにも、依存する組織がないわけですね?

哲雄 組織はありましたよ。しかし、それは、共同体のような組織ではなくて、巨大な組織です。「大きな神」を後ろ盾にした「強大な王」と「支配される民」という組織です。組織は「依存」するようなものではなくて、従うしかない「仕組み」として存在していたのだろうと思います。それをはね返そうとしたら、自分たちも力を蓄え、新たな組織を形成して立ち向かうしかありませんでした。

AKI 組織を形成するためには、団結しなくちゃいけませんよね?

哲雄 団結のためには、たがいの間に信頼関係が成立しなくちゃいけません。

 共同体が成立していれば、
 そういう信頼関係は自然発生的に生まれるんだけど、
 そういう共同体がないところでは、
 「オレとキミとはけっしておたがいを裏切らない」というように、
 意識して誓約するなり契約を交わすなどして、
 作り上げるしかない。


AKI それで、西欧の世界では、契約が重視されるわけですね? でも、日本では、何人か集まれば、協力し合うのは当たり前と思ってるから、そんな契約なんて必要ない。そうかぁ……。だから、日本人は、契約関係に弱いんだ。でもさ、哲ジイ、私は、何でもかんでも、きっちり契約にしてしまう関係よりも、あいまいだけど自然に協力し合うような関係のほうが好きだなぁ。

哲雄 私もそう思いますよ。もし、そこに、共同体的な関係が成立していればね。

AKI そうか……。共同体でもないのに、団結ばかりを強いるような組織もある。それが問題だ――というわけですね。

哲雄 そうです。「ブラック企業」と呼ばれるような企業の中には、共同体でもないのに、「会社は家族だ」などと称して、社員に無償の貢献を求めたりするところがある。言うまでもないことですが、企業というのは「利益の追求」を目的とした「目的型組織」です。労力を提供させれば、それに応じた報酬を支払う――という関係によって成立している社会です。そこに、共同体的な「組織論」を持ち込もうとするから、おかしくなるわけです。「共同体型メンタリティ」を持った日本人は、それでも懸命に会社組織のために尽くそうとして、ボロボロになるまで利用されてしまったりする。

AKI 組織への「依存度」が高いと、そうなりますよね?

哲雄 でもね、これって、「ブラック企業」だけの問題じゃない。戦前までの日本は、国家ぐるみでそれをやろうとしました。

AKI 国家までがブラック……?

哲雄 そういう言い方もできるかと思います。明治維新で権力を手にした連中は、そのために、とんでもない仕組みを作り上げました。

AKI どんな仕組みです?

哲雄 まず、天皇を「神」だ――として、国民を洗脳しました。
そして、国民は「天皇の赤子」である――という国家観を作り上げました。
赤子なんだから、親のために命を差し出すのは当たり前というイデオロギーをぶちあげて、
国民を戦争へと狩り出していきました。
「共同体的メンタリティ」を持った日本人は、
これに異を唱えることもなく、戦場に消えていったわけですね。
戦後は、それを、会社という組織がやっている。


AKI 「日本株式会社」とか言われましたものね。そして、ビジネスマンは「企業戦士」なんて呼ばれて、会社のために滅私奉公を求められた……?

哲雄 少なくとも、高度成長期が終わるまでの日本の企業社会は、そうでしたね。そうして、会社に忠誠を捧げた日本のサラリーマンは、退職して会社という組織を失ったとたん、依拠するものを失って、生きがいさえも見いだせなくなってしまったりする。いまは、少し変わりつつあると思いますが……。

AKI それでも、会社でどう評価されるかが、人生の価値とイコールと感じているような人、多いですよ。

哲雄 そういう人たちが「ブラック企業」にからめ取られると、過労死一歩手前まで追い込まれたりします。

AKI 組織への「依存」が生み出す悲劇とも言えるわけですね?

哲雄 そう言ってもいいかと思います。私はね、「個人」が「個人」として自立しないままで「組織」に「依存」しようとする姿勢自体が、好きではないんです。大きくは国家、小さくは会社や団体、さらには「家庭」……。

AKI エッ、「家庭」も?

哲雄 「家族」じゃないですよ、「家庭」です。ま、この話は、深い話になってしまうので……。

AKI ハイ、では次回に。ついでに、哲ジイが結婚しなかった理由とかもお聞きしたいものですわ。

哲雄 単に、モテなかったからじゃないですか、ハハ……。



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