体罰教師や鬼コーチが横行する、日本社会のDV体質
不純愛トーク 第324夜
男と女のDV(ドメスティックバイオレンス)の中には、おたがいに相手に依存する「共依存」な関係が隠されている場合が多い。前回は、そんな話をしました。しかし、この「共依存」は、男と女の間にだけ見られる関係ではありません。生徒と教師、個人と団体、個人と会社、個人と国家の間にも見られます。今回は、学校や会社という組織の間に現れる「共依存」な関係について、考えてみます――。
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AKI 暴力で相手を支配しようとする男と、支配されてしまう女。そういうDV関係の中には、「共依存」が隠されている場合がある。前回は、そんな話をしたんですよね。
哲雄 ハイ、AKIクンからは、「おまえには、依存しようにもその相手がいないだろう」的なご指摘もちょうだいしました。
AKI だって、事実ですもの。それでね、哲ジイ、そのとき哲ジイはおっしゃいましたよね、この「共依存」な関係は、男と女の間だけではなく、個人と会社、個人と国家の間でも成立し得る――って?
哲雄 成立し得る――というか、してるでしょ。特に、この日本の社会ではね。
AKI そ、そうなんですか?
哲雄 たとえば、部員を鉄拳で従わせるような鬼コーチのいる運動部とその部員の関係とか……。
AKI あ、そうか。確かに、そういう関係、ありますねェ。不思議なことに、そういうコーチが妙に慕われたりもしますよね。
哲雄 何を隠そう、私の少年時代にも、そういう教師の影が色濃くつきまとっておりまして……。
AKI 色濃く――ですか? 暴力教師だったんですか、その先生は?
哲雄 何かと言っては、生徒にビンタをくらわす教師でした。生徒全員を一列に並ばせて、整列ビンタ――なんてのもありましたね。そのビンタの理由が、給食のミルクを残したとか、自習中に勝手に教室を離れたとか、ズルをして掃除をサボった……とか。
AKI ささいな……と言えば、ささいな理由ですね。
哲雄 些細ですね。些細だけど、そこにズルさとか、卑怯さとか、陰日向のある……などという要素を感じると、容赦なくビンタが飛んでくるわけです。
AKI いまの時代だと、とんでもない体罰教師ってことになりますよね。生徒たち、泣いたでしょ?
哲雄 それがね、だれひとり泣かないんです。泣かないどころか、そういう鉄拳教師だったにもかかわらず、けっこう、生徒たちが先生になついてた。休み時間になると、女子なんて、先生の首っ玉に抱きついたりしてたし、卒業した後々までも、学校に先生を訪ねていく生徒がけっこういたしね。
AKI やっぱり、そこにも「依存関係」があった?
哲雄 あったんでしょうね。そうやってビンタで生徒を従わせる先生に、何とか認めてもらいたい、先生がたまに口にする「おまえ、よくやったじゃないか」というホメ言葉が欲しくて、ガンバる。そういうモチベーションが働いていたんじゃないか――と思います。そうして、全員の目が教師の一挙手一投足に向けられていますから、生徒同士の間のいじめなんていう問題も、教室の中では起こらなかった。
AKI 一種の「GTO」ですね。
哲雄 なんじゃ、それ?
AKI 漫画の主人公です。「Great Teacher Onizuka」の頭文字をとって「GTO」。暴走族上がりの熱血教師が、すさんだ学園を破天荒とも思える「力ワザ」で改善していく――っていうストーリーなんですが、TVドラマにもなって、一時期、人気になったんですよ。
哲雄 その先生も、特攻(特攻隊)崩れでしたからね。似たところもあるかもしれない。
AKI 手を挙げるかどうかは別として、中学・高校時代の部活の、特に、チームスポーツのコーチと部員の関係なんかにも、似たようなところがありますね。私の場合は、バレーボールだったけど、いつも、怒鳴り声ばかり挙げているような鬼コーチでした。「コラ! ヘボ、このヤロー。そんなボールも取れないのか!」「ヘタクソ! もう止めちまえ!」なんて罵声を浴びながら、みんな、泣きながらボールを追っかけてましたもの。
哲雄 でも、やさしい声もかけるんでしょ?
AKI 試合に負けた後とかは、特に。「オレはおまえたちを勝たせてやりたいと思って、心を鬼にして、1年間、おまえたちに厳しい声を浴びせてきた。残念ながら、きょうのゲームは負けてしまったけれど、おまえたちはよく闘った。ガンバったおまえたちを、オレは誇りに思う」――なんてね。
哲雄 それで、ウルッ……と来てしまうんでしょ、キミたちは。
AKI 泣いてしまう子もいましたね。
哲雄 脅してはなだめる、けなしてはホメる。これってさ、殴ってはやさしく抱きしめる――というDV夫と、大して変わらないよね。こういう上げ下げに乗っかってしまうと、上げたり下げたりされるほうは、その上げ下げの舵を握っている人間への「依存性」を高めてしまいます。もし、こういうことを会社などの組織がやったら、どうなるか?
AKI 会社に依存する人間ができてしまう? でも、哲ジイ、会社でそんなことやったら、問題になるんじゃありませんか?
哲雄 暴力を振るったりすれば、それこそ問題になります。しかし、そこまでいかなくても、社員に「バカ」「能無し」「役立たず」などと罵声を浴びせる、社訓を唱和させる、社員を人里離れた研修施設などに収容してセミナーと称する洗脳教育を施す、ミスを犯した人間に反省文を書かせて、それを掲示板に張り出す……などの「パワハラ行為」を、当たり前のようにやる企業が、最近、増えているんですよね。
AKI 増えてる? 減ってる……ではなくて?
哲雄 増えてるんです。特に、飲食業界、販売業界、流通業界、広告業界……などの、それも新規参入業者には、その手の企業が増えています。募集広告などで、「残業0」などと謳っている会社とか、「アットホームな雰囲気で働けます」などと謳っている会社は、特に危ない。
AKI エッ!! 「残業0」なんていいじゃないですか?
哲雄 「残業0」は、「残業代をつけない」という意味です。つまり、全部「サービス残業」にしてしまうから、「残業0」だったりするわけです。
AKI じゃ、「アットホーム」は……?
哲雄 同族経営で、経営陣が全部、身内で固められてたりするから「アットホーム」なわけで、従業員には、最初から昇進のチャンスなんてなかったりします。
AKI エーッ、そうなんだ! それって、ひどくないですか?
哲雄 ひどいですよ。いわゆる「ブラック企業」ですね。そういうブラック企業が、このところ、増えているんですよ。昨年12月に、厚労省が違法が疑われた5111社を調査した結果、その82%にあたる4189社で、違法行為が横行していることが発覚しました。その多くは、過剰な残業時間だったりするわけですが、その中からは、過労で従業員が命を落とすケースもあって、問題視されていました。
AKI どうして、そんな状態になっちゃったのかなぁ……?
哲雄 ひとつには、労働組合が弱体化したこともあるでしょうね。もうひとつは、規制緩和によって新規参入してきた企業などが、従業員に無茶な労働環境を押し付けて業績を伸ばそうとしたことも、原因のひとつと考えられています。「ブラック企業」の実態については、ネット上などでも、さまざまな告発がされていますから、興味があれば、のぞいてみてください。
【参考サイト】
「ブラック企業大賞」
AKI もし、自分が就職した会社が「ブラック」だったりしたら、どうすればいいんでしょう?
哲雄 ひどい場合は、弁護士を立てて、企業を告発するという方法もあります。そこまでは……というのであれば、厚労省などには、そういう苦情や相談を受け付ける窓口がありますから、そういうところに実情を話して相談するという手もあります。でも、日本人は、なかなかそこまではできないですよね。
AKI ていうか、辛くても泣き寝入りするケースが多いような気がします。
哲雄 実はね、そこにも、日本人特有のメンタリティが働いているんじゃないか――と、私は思ってるんですよ。
AKI そのメンタリティとは……?
哲雄 組織への「依存症」です。でも、この問題、話し始めると長くなるので、次回にしましょうか?
AKI ハイ。ついでに、哲ジイが、なぜ、組織に属さないかについても、お聞きしたいものですわ。
哲雄 ハハ……それは、ただの変わり者だから……。
AKI ま、それは存じておりますが……。
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