そもそも、「わいせつ」って何でしょう?

「わいせつ」って何? いくら刑法の条文を読んでも、
その境界線は「あいまい」としています。なぜ?
性とエッチの《雑学》file.138 R15
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。15歳未満の方はご退出ください。
【今回のキーワード】 公然わいせつ罪 わいせつ物頒布罪

【リンク・キーワード】 エロ エッチ 官能小説 オーガズム 不倫
前回、そもそも、人はなぜ、性器を隠そうとするのか?――という問題について、検討を加え、3つの理由があるのではないか、と指摘しました。
〈理由1〉 他の個体(特にオス)による「性器への攻撃」から身を守るため。
〈理由2〉 婚姻制度への他者の侵入を防ぎ、財産とその継承を守るため。
〈理由3〉 衣服によって隠すことにより、「見たい」⇒「SEXしたい」という欲望を誘引するため。
しかし、実はここに、「社会的規範」というものが加わります。
たとえ、本人が「見せてもいいよ」と思っても、「ダメ! それ以上見せてはあかん!」という規制が、社会のほうから発せられるわけです。
その根拠として使われるのが、「公然わいせつ罪」という刑法の条文。前回もご紹介しましたが、もう一度、挙げておきましょう。
「公然わいせつ罪」の条文~刑法
刑法第174条 公然とわいせつな行為をした者は、6ヶ月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法第175条 わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。
このうち、175条は、「わいせつ物頒布罪」とされるものですが、「わいせつ」に関しては、この他、176条に定められた「強制わいせつ罪」というのもあります。
174条の「公然わいせつ罪」も、175条の「わいせつ物頒布罪」も、「社会に対する罪」とされるのに対して、176条の「強制わいせつ罪」は、個人の性的自由を侵害する罪。性質が、異なります。
たとえば、キス。
もしもあなたが、エレベーターの中で、よく知らないだれか、あるいは合意を得てないだれかに、いきなりキスしようとすれば、それは、「強制わいせつ罪」適用の対象となります。
では、たとえば電車の中などの公衆の面前で、彼女と濃厚なキスを交わしたら?
確かに、マナーとしてはいかがなもの――と、周囲からヒンシュクを買うかもしれませんが、それだけで法に触れるということはありません。
しかし、もしそれが「キス」ではなく、肌を露出させての「セックス」だったら?
これは、「公然わいせつ罪」の適用対象となります。しかし、スカートなどで隠して、わからないようにやっていれば、対象外。
ウーム……と、筆者は考え込んでしまいます。
〈理由1〉 他の個体(特にオス)による「性器への攻撃」から身を守るため。
〈理由2〉 婚姻制度への他者の侵入を防ぎ、財産とその継承を守るため。
〈理由3〉 衣服によって隠すことにより、「見たい」⇒「SEXしたい」という欲望を誘引するため。
しかし、実はここに、「社会的規範」というものが加わります。
たとえ、本人が「見せてもいいよ」と思っても、「ダメ! それ以上見せてはあかん!」という規制が、社会のほうから発せられるわけです。
その根拠として使われるのが、「公然わいせつ罪」という刑法の条文。前回もご紹介しましたが、もう一度、挙げておきましょう。

刑法第174条 公然とわいせつな行為をした者は、6ヶ月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法第175条 わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。
このうち、175条は、「わいせつ物頒布罪」とされるものですが、「わいせつ」に関しては、この他、176条に定められた「強制わいせつ罪」というのもあります。
174条の「公然わいせつ罪」も、175条の「わいせつ物頒布罪」も、「社会に対する罪」とされるのに対して、176条の「強制わいせつ罪」は、個人の性的自由を侵害する罪。性質が、異なります。
たとえば、キス。
もしもあなたが、エレベーターの中で、よく知らないだれか、あるいは合意を得てないだれかに、いきなりキスしようとすれば、それは、「強制わいせつ罪」適用の対象となります。
では、たとえば電車の中などの公衆の面前で、彼女と濃厚なキスを交わしたら?
確かに、マナーとしてはいかがなもの――と、周囲からヒンシュクを買うかもしれませんが、それだけで法に触れるということはありません。
しかし、もしそれが「キス」ではなく、肌を露出させての「セックス」だったら?
これは、「公然わいせつ罪」の適用対象となります。しかし、スカートなどで隠して、わからないようにやっていれば、対象外。
ウーム……と、筆者は考え込んでしまいます。

「わいせつ」とは何か?
これについては、これまでも数えきれないほどの議論が繰り返されてきました。
そもそも、何を「わいせつ」とするか」は、時代の精神や文化のありようによって、さまざまに変化していくものです。ハイレグカットの水着で海岸を歩いたりすれば、昔だったら「わいせつ」と言われたに違いありませんが、いまでは、それが常識だったりします。
「これはわいせつである」「いや、この程度は目の保養」などということは、人によっても意見が分かれます。
「公然わいせつ罪」では、その意見が分かれるところを、「これはわいせつ!」と判断して、裁きを下すわけです。
いったい、だれがその判断を下すかと言うと、裁判官が――です。
大正7年に下された大法廷の判例によれば、その定義はこうなっています。

善良な性的道義に反するもの。
いまだに、この判例が「わいせつ性」の定義についてのベースとなっています。
しかし、どう見ても、この定義は時代遅れ。「徒に性欲を興奮または刺激せしめ」が「×」だ――なんてことを言ったら、バストを強調する補整下着も、ミニスカートも「わいせつ」ということになってしまいます。「キスしたくなる口紅」なんて「とんでもない」ということになります。
それに、ここで謳われている「普通人の正常な性的羞恥心」とか「善良な性的道義」という言葉自体も、ものすごくあいまいです。何を「正常」とするかも、「善良」と考えるかも、その時代やその時代をリードする思想によって、変わってしまうからです。

戦後、最高裁の判例は、「性一般に関する社会通念が時と所とによって同一でなく、同一の社会においても変遷がある」ということを認めた上で、こんな判断を示しました。

超ゆべからざる限界としていずれの社会においても認められまた一般的に守られている規範が
存在することも否定できない。
みなさん、これを読んで、何が「わいせつ」とされるか、わかりましたか?
筆者には、さっぱりわかりません。
どうしてこう、法律に関する文章というのは、わかりにくいのか?
筆者には、「どうにでも解釈できるような文章」をわざと書いている――としか思えません。
「超ゆべからざる限界」……?
だから、それって何よ――と、筆者は、つい、イラッとしてしまいます。
「超えてはいけない限界」があると言うのなら、ハッキリ、そう書けよ――と思うのです。

とか、

とか、

というふうに、具体的かつリアルに規定していただかないと、庶民には理解がつかないだろう――と、思うのであります。

「わいせつ」の定義をあいまいなままにしておくのは、それが時代とともに変化していくから、ヘタに具体的に定義すると、後で不都合が生じる――という理由も考えられます。
しかし、うがった見方をすると(だいたい、私は常にうがってしまうのですが)、このあいまいさは、この条文を恣意的に運用できるようにするためではないか――とも思えるのです。つまり、「こいつは気に食わないから」とか「こっちにはいい顔しとくか」という、取り締まる側の「恣意」によって、取り締まったり取り締まらなかったり……と、手綱を調節できる。そのために、「あいまいなまま」にしているのではないか、というわけです。
特に、この恣意性が問題となるのは、第175条「わいせつ物頒布罪」の運用に関してでしょう。
筆者も出版に携わる人間として、この問題には関わってきました。
この問題は根が深く、複雑なので、次回、くわしくご紹介したいと思います。
PR 人前で公然と使うと、「わいせつ」な商品。宅急便でそっとお届けします!





⇒左から、「マリンビーンズ」、「マリンワラビー」、「Wローター攻め」、「フェアリー・ミニ」、「はじめてセット」。
他にもいろいろ。探したい人は
⇒こちらから どうぞ。





⇒左から、「マリンビーンズ」、「マリンワラビー」、「Wローター攻め」、「フェアリー・ミニ」、「はじめてセット」。

管理人の本、Kindle で販売を開始しました。よろしければ、ぜひ!

シリーズ「マリアたちへ」Vol.1
『チャボのラブレター』
2014年10月リリース
Kidle専用端末の他、アプリをダウンロードすれば、スマホでもPCでも、ご覧いただけます。
作品のダウンロードは、左の写真をクリックするか、下記から。
チャボのラブレター (マリアたちへ)
『チャボのラブレター』
2014年10月リリース
Kidle専用端末の他、アプリをダウンロードすれば、スマホでもPCでも、ご覧いただけます。

チャボのラブレター (マリアたちへ)

管理人は、常に、下記3つの要素を満たすべく、知恵を絞って記事を書いています。
みなさんのポチ反応を見て、喜んだり、反省したり……の日々です。
今後の記事作成の参考としますので、正直な、しかし愛情ある感想ポチを、どうぞよろしくお願いいたします。
→この記事は役に立った(FC2 恋愛)
→この記事に共感・感動した(にほんぶろぐ村 恋愛)
→この記事は面白かった(人気ブログランキング 恋愛)
→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 日本人から「色欲」を取り上げた刑法175条 (2014/11/16)
- そもそも、「わいせつ」って何でしょう? (2014/10/30)
- そもそも、人はなぜ、性器を隠そうとするのか? (2014/10/11)