妻を殴る夫の「依存症」、殴られる妻の「依存症」
不純愛トーク 第323夜
前回は、男女の間に存在する「依存症」の話をしました。その「依存症」がもっとも極端に表れるのが、「ドメスティック・バイオレンス(DV)」。多くの場合、暴力を振るう側にも、それに耐える側にも、相手への「依存」が見られると言われています。その「共依存」の背後にひそむのは――。
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AKI おたがいに相手に「依存」し合ってしまう関係を「共依存」と言う。それも、「小児病」の一種である。前回は、そんな話をしたんですよね。そして、「ドメスティック・バイオレンス(DV)」の背後にも、「共依存」があるのではないか? 確か、哲ジイは、そうおっしゃったように記憶しておりますが……。
哲雄 ハイ、申し上げました。
AKI でもね、DVって、たいていは、夫が妻を暴力で支配する――っていう関係でしょ? そこに「依存関係」なんてあるんですか?
哲雄 あるんですねェ。まず、暴力を振るう側に、あります。
AKI エッ、暴力を受ける側じゃなくて、振るう側に……?
哲雄 そうです。振るう側に――です。いま、キミは、言いましたよね? DVとは、夫が妻を、まれにその逆もあるかもしれませんが、とにかく「暴力」で相手を「支配」しようとして起こるものだと?
AKI ハイ、確かにそう言いましたけど……。
哲雄 つまり、こういうことなんだよね。DVで暴力を振るう側というのは、「支配欲」が強い人間である――という場合が多い。その「支配欲」を満たすために、暴力を振るってでも、相手に言うことを聞かせようとする。
AKI 「おまえは。オレの言うとおりにしてればいいんだ」と主張して、「○○しろ」とか「××するな」と命令しては、それが「守れない」と言って、手を挙げる。そういう人が多いんですよね?
哲雄 そうですね。さて、ここで質問です。「支配欲」の強い人間にとって欠かせないものは、何でしょう?
AKI 腕力――なんていうんじゃないですよね。何だろ?
哲雄 簡単ですよ。「支配される人間」です。
AKI 何だ、つまんない。当たり前じゃないですか。「支配される人間」がいないと、「支配」のしようがないじゃありませんか。あ、そうか……!
哲雄 わかりました? そうなんですよ。「支配したい人間」にとっては、「支配される人間」が必要不可欠。つまり、「支配する人間」は、「支配される人間」に「依存」しているわけです。妻に暴力を振るう男は、その暴力に脅えて、「ごめんなさい。もうしませんから」と従属の姿勢を示す妻に「依存」しているんですね。
AKI なんだか、複雑。つまり、DVでは、加害者の「弱い心」が、暴力を振るわせることになる――ってことなんですね?
哲雄 うまいこと言いますね、AKIクン。そうなんです、
DV加害者というのは、
自分の暴力に脅えてくれる被害者を必要とする「弱い人間」なんです。
「弱い」から、その暴力は、「自分より強い人間」には向かっていかない。「自分より弱い人間」を見つけては、そういう人間を自分の「支配下」に置こうとして、暴力を振るうわけです。
AKI 情けないやつですねェ。
哲雄 ハイ、情けないやつです。なので、暴力に耐えきれなくなった妻が、「もう、あなたとはやっていけない。別れる!」と別れを切り出したり、家を出てしまったりすると、DV夫は、とたんに、態度を変えます。
AKI それ、聞いたことあります。「オレがわるかった。もう二度と手を挙げたりしない。オレにはおまえが必要なんだ」とかって、それはもう、泣き出さんばかりに反省してみせるんでしょ?
哲雄 みせる――っていうか、本人的には、心底、そう思ってるのかもしれません。「おまえが必要」は、本心なんですから。だけど、その「必要」は、「言いなりになる僕(しもべ)として必要」ということですから、妻が「今度こそ、改心してくれたんだわ」と関係を復活させると、再び、暴力による支配が始まる。
AKI キリがない――っていうか、これを永遠に繰り返すことになるわけですね?
哲雄 問題は、暴力を振るう側にある「支配欲」なわけですから、いくら説得して、「もう手を挙げちゃダメですよ」と言い聞かせても、たぶん、同じことを繰り返します。ほんとうに解決しようと思ったら、その人間の「支配欲」そのものを取り払わなくちゃならないんだけど、それって、簡単じゃない。
AKI ていうか、ムリでしょう?
哲雄 その人の生い立ちまで遡って、メンタルを組み立て直さないといけませんから、ほとんどムリ……と言っていいかもしれませんね。
AKI ね、哲ジイ。私、不思議に思うんですけど、DVに遭ってる女性の中には、それでもガマンして、そういう男にくっついてる人がいるでしょ? 「あの人、すぐ、手を挙げるから」と嘆いているのに、それでも、別れようとしない。中には、「あの人には、私がついてないとダメなの」なんて、悲壮な覚悟を見せる「耐える女」もいるのよね。どうしてだと思います?
哲雄 ひとつは、自信があるんだと思います。
AKI 自信……?
哲雄 自分だったら、「この男を立ち直らせることができる」という自信です。それがあるから、「もう、私の手には負えない」と、投げ出すことができない。「投げ出す」ことは、このタイプにとっては「敗北」ですから、負けず嫌いで自信があるほど、「DV男」の面倒を看よう――と思ってしまうんですね。母性愛に富んだ女性がこの手の自信家だと、関係は、いつまでも続くことになってしまいます。
AKI なんか、わかるような気もします。でも、どう見ても、自信があるようには見えない女性もいますよ。
哲雄 ええ、いますね。というか、「自信家」とはまったく逆で、「自己評価」がとても低い人。実は、こっちのほうが問題なんです。
AKI 「自己評価」が低いと、なぜ、問題なんですか?
哲雄 「自己評価」が低い人というのは、相手に「評価」してもらおうと、懸命になります。「おまえ、何度言ったらわかるんだ!」と殴られたりすると、「殴られるのは、私がダメだから」というふうに、自分を責めてしまうんですね。
AKI ああ、辛い! それ、聞いているだけで辛いです。
哲雄 だよね。実はね、これも一種の「依存」なんです。相手の「評価」に依存してしまっているわけです。よく言われることなんだけど、暴力を振るう夫というのは、ま、妻でも同じですが、手を挙げたあとで、突然、やさしくなったりします。
AKI それ、聞いたことあります。「痛かったか? ごめんね」と猫撫で声で慰めながら、「オレが手を挙げるのは、おまえがかわいいからなんだよ」とか言っちゃうわけでしょ?
哲雄 それを「ハネムーン期」と言うんですが、暴力を振るう男というのは、
暴力を振るう「バイオレンス期」⇒やさしさを見せる「ハネムーン期」
を繰り返すんですね。相手の評価がほしい「依存度」の高い女たちは、この「ハネムーン期」の甘い言葉が欲しいがゆえに、「バイオレンス期」の暴力にも耐えてしまいます。
AKI そうかぁ……。DVは、暴力を振るわれる側にも、そういう「依存」があるんだ。
哲雄 暴力を振るう側は、「支配される存在が見せる従順さ」に「依存」し、振るわれる側は、「相手が見せる評価」に「依存」する。そういう「共依存」な関係が、両者の間に成立していることが、DVの関係の中では、きわめて多いと言われています。
AKI そうなると、解決はなかなか……なわけですね?
哲雄 そう思います。ま、これは、何も夫婦関係に限った話ではありませんがね。
AKI エッ、そうなんですか?
哲雄 恋人同士の間でも、職場の上司と部下の間でも、大きくは、国家と個人の間でも、同様の問題は起こります。
AKI よくないのは、「共依存」ということなんですね?
哲雄 ハイ、諸悪の根源は、「共依存」にあり!
AKI よかったですね、哲ジイ。「共依存」する相手がいなくて……。
哲雄 ほっとけ。口の減らない女め……。
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