「愛し方」と「生き方」がぶつかり合う不幸について


 不純愛トーク   第316夜  
何を目的に生きるか、何を正しいと信じて生きるかという「生きる思想」と、人をどんなふうに愛するかという「愛の思想」。本来、両者は矛盾なく整合しているはずなのですが、どちらかが「変節」してしまうと、「生き方」と「愛し方」の間に矛盾が生じてしまいます。実は、これも、男女の別れを生み出す大きな要因となります。今回は、「生きる思想」と「愛の思想」が分離して起こる男女の別れについて、考えてみます――。

【今回のキーワード】 愛の思想 変節
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AKI 前回は、「別れ方」の話をしたんですよね。憎しみ合った末の「別れ」からは、何も得るものがない。そんな話でした。

哲雄 だから、「別れ方」は大事だよ――と申し上げました。

AKI ケンカ別れもしなかったんですか、哲ジイは?

哲雄 いや、若い頃はそれなりに……。

AKI なんだ、やってるんじゃない。して、それは? おまえ、浮気しただろう――とか?

哲雄 そんな痴話ゲンカレベルのケンカは、いたしません。

AKI では、どんなレベルのケンカ? 金遣いが荒いとか、将来設計の食い違いをめぐって――とか?

哲雄 だいぶ、近づいてきましたが、違います。

AKI もしかして、価値観をめぐって――とか?

哲雄 ま、いいでしょう。私の場合は、思想・信条をめぐって――というのが多かったような気がします。

AKI 思想・信条ですか? 男と女の間で、そんなことが問題になりますか?

哲雄 なりますねェ。どんな生き方をするかとか、何を正しいと信じて生きるかとか、そこが食い違ってしまうと、一緒のレールを歩くことができなくなってしまうじゃありませんか。愛していればいるほど、その食い違いは、命をかけてでも、修正したい――と、私だったら思います。

AKI それでぶつかり合うんですか? もし、修正できなかったら……?

哲雄 ボクとキミとは、目指すものが違ってしまったんだね。残念だけど――って、別々の道を歩くことを決断するかもしれません。実際、そうやって別れてしまった女性もいました。

AKI 愛をとるか、思想をとるか? 苦渋の選択ですね?

哲雄 いいえ、違いますね。

 」と「思想」は、別の場所にいるんじゃなくて、一心同体です。
 その人をどんなふうに愛するか――は、明らかに「愛の思想」の問題です。
 そしてその「愛の思想」は、世界とどう関わるか――という
 「社会思想」や「世界思想」と矛盾なく整合してないと、
 「愛し方」と「生き方」が分離してしまうことになります。


AKI 「愛し方」と「生き方」とがですか?

哲雄 たとえばね、社会に向かっては声高に「弱者救済」などを訴え、ボランティア活動などにも精を出して、周囲からも尊敬のまなざしを向けられている男がいるとしましょう。ところが、この男、いったん家に帰ると、家事で失敗ばかりしている妻を、「まったく、おまえは役立たずな女だなぁ となじったりしてしまう。

AKI 家では「弱者救済」しないんだ……?

哲雄 そう思うでしょ? 「弱者救済」という思想は、人を「役に立つか、立たないか?」なんていう観点で分類したりはしないぞ――という思想です。ところが、家では、自分の妻を「役立たず」となじる。これって、どういうことでしょう? どっちかの思想にウソがある――ということにはなりませんか?

AKI なりますねェ。たぶん、「弱者救済」を叫んでいる「外向きの思想」のほう?

哲雄 私も、そう思います。頭のいい妻なら、「この人が外の世界に向けて叫んでいる言葉はウソだ! と、直感的に感じるだろうと思いますね。

AKI もし、その女性が、「いつも、弱い者の立場に立ってものを考えよう」なんて言ってる男の言動に惹かれて、「こんな人となら……」と伴侶に選んだのだとしたら、「期待を裏切られた」と感じるかもしれないし、「そうか、この人はそういう男だったのか」と本性に気づいて、愕然となるかもしれませんね。

哲雄 そうです。ね、大きいでしょ、思想の問題?

AKI そう言われると、確かに。で、哲ジイは、それが理由で、泣く泣く彼女と袂を分かつことになった、そんな悲恋もあった――と。そういうわけですか?

哲雄 別に、悲恋なんてものじゃありませんけど……。

AKI でもさぁ、哲ジイ。そういうのって、つき合う前にわからないかなぁ。この人とは、思想が合うとか合わないとかさぁ。ふつう、そういうこと、いろいろと語り合うでしょ、つき合おうか――ってなる前に。ン、違うの? ただ、いい女ってだけで目がくらんじゃった?

哲雄 ええ、実は――って、そんなわけないでしょ。でもね、AKIクン、ひとつだけ覚えておいてほしいのですが、

 思想や信条てェものには、変節転向がつきもの

 なんでございますよ。

AKI 変節……? 転向……? 何ですか、それ?

哲雄 「変節」というのは、自分が主張していた主義・信条などを、時節などに合わせて自ら変えてしまうことを言います。「転向」というのは、周囲からの圧力、特に権力などに屈して、変えてしまうことを言います。

AKI ヘーッ、それ、つきものなんですか?

哲雄 つきものですねェ。特に、時代が大きく動いたりしているときには、この変節や転向が、人と人との別れの原因になったり、いがみ合いの原因になったり、それがシリアスであれば、自殺者を生んだり、殺し合いに発展したり……ということもあります。

AKI 哲ジイの時代にも、そういうことが多かったんですか?

哲雄 いちばん多かったのは、戦前から戦中にかけての時代じゃないですかね。私は、まだ生まれていませんでしたけど、その時代の日本には、まだ「思想の自由」なんてものはありませんでしたから、権力者から「危険な思想の持ち主」とみなされると、徹底的な弾圧を受けました。

AKI 「危険な思想」っていうと……?

哲雄 主には、共産主義や社会主義ですね。で、その弾圧に耐えきれなくなって、思想を放棄してしまうと、「あいつは転向した」ということになってしまうわけです。そういう人たちの心の葛藤を描いた文学も多くて、「転向文学」というジャンルが成立するほどだったんですよ。

AKI 弾圧って、そんなにひどかったんですか?

哲雄 肉体的拷問も含めて、相当、ひどかったようですよ。拷問の結果、獄中死した人もいました。それをやっていたのが、「特別高等警察(特高)」。現在の「公安」の前身ですね。

AKI まさか、いまもそういうことをやってるってわけじゃないですよね?

哲雄 さすがに拷問はやりません。でもね、社会的な締め付けはやります。たとえば、学生運動で逮捕されたりした人のところへは、いつまでも、「公安」の刑事が張りついたりします。

AKI 張りつく……?

哲雄 監視活動を続けるんですね。たとえば、その学生が就職を決めたりすると、公安の刑事がその就職先の総務部を訪ねて、「こういう学生がおたくに就職を決めたようですが、どうですか、最近はおとなしくしてますか?」みたいなことを尋ねたりします。企業のほうも、「そんな人間を雇ったんじゃ、まずいよなぁ」と内定を取り消したりする。じんわりと締め付けるわけです。

AKI それじゃあ、「思想の自由」が守られてるとは言えませんねェ。

哲雄 言えません。表面はソフトになっても、この社会の中枢に流れる体質は、戦前からあまり変わってないと思います。

AKI ちょっと話が逸れちゃいましたが、いまの時代だと、「転向」は、拷問なんかじゃなくて、そんなふうにじんわり締め付けられて――という形で行われるわけですね?

哲雄 強制されるわけではありませんから、どちらかと言うと、「変節」に近いかもしれません。中には、金と欲に目がくらんで――ということもあるかもしれませんしね。

AKI そうして、片方が「転向」や「変節」によって主義や信条を変えてしまうと、かつては同じ思想で結びついたふたりの間に、拭えない溝ができてしまいますよね?

哲雄 特に、女のほうは変わりやすいですから……。

AKI エッ、エッ……!? それって、聞き捨てならないお言葉ですが……。

哲雄 あ、失言、失言。どうぞ、お忘れください。

AKI いいえ。そうはいきません。次回、厳しく追及させていただきますわ。



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