好きな相手の「幸せ」を願う気持ちは、どこから生まれる?
不純愛トーク 第314夜
ひとりの人を「想い続ける」ということと「追い回し続ける」ということは、似ているようで、天と地ほど違います。その違いは生み出すのは、「自我」の状態。ただ、わがままな欲望が渦巻いているだけの「原我=エス」と、「自我」を現実と調和させようとして登場する「超自我=スーパー・エゴ」。両者の関係から、「想い続ける」と「つきまとう」の差が生まれる、という話をご紹介します――。
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AKI ひとりの人を想い続ける「一途」な気持ちと、ひとりをしつこく追い回し続ける「ストーキング」。その差は紙一重だけど、その「紙一重」の差が大きいのだ。前回は、そんな話をしたんですよね?
哲雄 ハイ、言いました。その違いを生み出すのは、相手の「ニーズ」に気づけるかどうかだ――という話をしました。
AKI 「ニーズ」っていうのは、その相手も「自分を必要としているか?」という、その「ニーズ」ですね?
哲雄 相手が自分を必要としていないのに、
「オレにはおまえが必要だ」。
だから、「おまえもオレを必要としろ!」
と迫り続ければ、それは、単なる「ストーキング」でしかありません。
しかし、いるんですね、そういう種類の人間が。
AKI 「そういう種類の人間」っていうのは、自分の「必要」にしか目が向かない人間――ということですね?
哲雄 そうです。「自我」が、とても幼稚な段階でとどまっている人たちのことです。
AKI 「自我」が幼稚……? それって、どういう状態のことです?
哲雄 たとえば、赤ちゃんのことを想像してみてください。赤ちゃんというのは、「ミルクが欲しい」と思えば、泣きわめきますよね。泣きわめけば、母親が乳を与えてくれる。他にもミルクを欲しがっている赤ちゃんがいるんじゃないだろうか――なんてことは考えもしないし、自分だけが乳を飲んでいいんだろうか――なんて疑問を抱くことも、もちろんありません。
AKI そりゃ、そうでしょうね。赤ちゃんがそんなことまで考えたら、逆に怖い!
哲雄 この状態が、「自我」のもっとも原始的な状態。これを、精神分析の世界では、「原我=エス」と言います。「エス」の中では、ただ、欲望が渦巻いているだけです。そして、
「エス」状態にある自我は、
その欲望を、ただ、「欲しい」「よこせ」とわめき続けることしかできません。
AKI でも、そのうち学習するんでしょう? ただ、「くれ、くれ!」とわめいてるだけじゃダメだってことを?
哲雄 学習しますね。最初にそれを学習させるのは、「親」だと思います。「おなかがすいた? でも、もうすぐごはんだから、ガマンしなさい」と欲望を制限したり、「ゲーム? 宿題はすませたの? ちゃんと宿題をすませたら、やってもいいわよ」と欲望に条件をつけたりして、欲望が無制限に受け入れられるものではないことを悟らせます。
AKI そこで、何でも求められるままに与えてしまう親だったりすると――?
哲雄 自分が求めるものは何でも手に入る――と思い込んだままの「モンスター」が育ってしまいます。
AKI 親の役目、重大ですね?
哲雄 重大です。しかし、仮に親が甘やかしても、次には、学校の先生などが、その役目を担います。「気に食わないからと、人に手を上げたりしてはいけません」「そんなことを言うと友だちがどんな気持ちになるか、よく考えなさい」――などと、「原我」状態の自我を周りの現実と調和させることを教え込みます。
AKI 先生も、たいへんだぁ……。
哲雄 さらに大きくなると、何かのチームやサークルが、あるいはその先輩たちが、さらには、読んだ本や観た映画が、もっと大きくなると、就職した職場の上司や先輩が、
「自我」をいかに「社会」に適応させていくか
を教え込んでいきます。
AKI 「自我」は、次々に現れる他者たちによって、飼いならされていくんですね?
哲雄 飼いならす――というと、なんだか「都合のいい存在」に仕立てられていくような気がしますが、実際には、
荒くれた「原我=エス」を「現実の世界」に適応できるものへと調整させ、
そんな中で、「自分は○○な人間として生きていく」という人格を作り上げていく、
そのプロセスだと思えばいいと思います。このとき、他者たちの影響などを受けて、「いまのままの自分じゃダメだ」と思い、より高い次元の「自分」を築こうとして芽生える自我の状態を「超自我=スーパーエゴ」と言います。
AKI スーパーエゴ……? なんか、高級車みたい。
哲雄 高級車ですか? 高級車みたいなもんかもしれませんねェ。「スーパーエゴ」は「理想の自分」と言い換えてもいいかもしれません。「自我」は、原始的な欲望の渦巻く「原我=エス」と「理想の自分」である「超自我=スーパーエゴ」の間で揺れ動きます。「エス」のエネルギーが強いほど、そして、それを抑えようとする「スーパーエゴ」の掲げる理想が高いほど、両者の落差は大きくなり、揺れ動く幅も大きくなります。
AKI 揺れ幅が大きくなると、どうなるんですか?
哲雄 その揺れに耐えられなくなって、突然、「エス」な自分が顔を出したりします。
AKI 原始的な欲望を、突然、むき出しにするとか……?
哲雄 たとえば、「立派な教育者」という顔をしていた先生が、突然、女子トイレをのぞいたり……とか、いつも社員を叱責してばかりいる厳格な上司が、夜になると女装に走ったり……とか。周囲が、「どうしてあんなリッパな人が」と理解に苦しむような変貌を見せたりします。中には、そのまま、壊れてしまう人もいます。
AKI あんまりリッパすぎる「スーパーエゴ」も考えものなんですね?
哲雄 そうですね。で、最初の「ストーキング」の問題に戻りますけど、「相手が自分を必要としているかどうか?」におかまいなく、「オレのものになれ」と相手につきまとい、自分の「必要」だけを主張し続けるタイプの人間は、この「スーパーエゴ」が、まったく形成されてないのかもしれません。
AKI つまり、自分の欲望を現実と調和させて制限する――ということが、まったくできない人々であるってこと?
哲雄 そうなんですよ、困りましたねェ。ほんとうなら、自分がその人を必要としているように、他のだれかもその人を必要としているかもしれない。人は、みなそれぞれ、だれかがだれかを必要としていて、その「だれか」は、自分ではないかもしれないのだから、相手の意思を尊重してあげることも大事なんだよ――と、自分の欲望に説いて聞かせる「スーパーエゴ」が必要なのですが、その形成が不十分だと、暴走する欲望にブレーキをかけるものがいなくなってしまいます。
AKI それ、困ります。何か方法はないのかしら?
哲雄 神を信じなさ~い。
AKI エッ、神様……?
哲雄 すでにおとなになってしまった人に、いまさら、「親の教え」⇒「教師の教え」からやり直すというのはムリですから、もっと強烈な「スーパーエゴ」をぶつけるしかないでしょうね。
AKI それが、「神」ということですか?
哲雄 「神」でもいいし、「仏」でもいいし、「毛沢東」でも「チェ・ゲバラ」でも「ビル・ゲイツ」でもいいんじゃないかと思います。
AKI 要するに、強烈な影響力を持った何か――ということですね?
哲雄 単に「影響力が強い」というだけではなくて、「普遍的な価値」を示すことのできる何か――ということです。
AKI でも……それを見つけるのって、そう簡単な話じゃありませんよね?
哲雄 簡単じゃないですね。ひょっとしたら、一生、見つからないかもしれません。少なくとも、スマホのRPGなんぞでは、その存在にすら気づかせることができないでしょうね。
AKI どうしたらいい?
哲雄 本を読みなさい。いい映画を観なさい。人の話を聞きなさい。
AKI 私、どれもやってない。
哲雄 ダメじゃん、それじゃ……。


2012年11月リリース
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