「嫉妬」が「危険なエネルギー」に変わる2つの形
不純愛トーク 第313夜
「嫉妬」というエネルギーは、強大です。そのエネルギーをより高次元の対象に向ければ、スポーツや芸術や仕事の世界で、花開かせることも可能だが、フタをしてしまえば、生きるエネルギーを低下させてしまう。前回は、そんな話をしました。しかし、このエネルギーは、ときに、人を傷つける「危険なエネルギー」となってしまう場合もあります。今回は、そのメカニズムを解説します――。
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AKI 「嫉妬」のエネルギーは、「犯罪」に向かうこともある。確か、前回、哲ジイはそんなことをおっしゃいましたよね。
哲雄 言いました。「嫉妬」というのは、確かに苦しい心の状態です。しかも、そのエネルギーは、かなり大きい。そのエネルギーを、芸術とかスポーツとか学問とか政治……といった高次元のものへと向かうエネルギーに振り替える、「昇華」という心理的メカニズムに委ねれば、それは、人を成長させるエネルギーとして活用できる。しかし、その苦しさから逃れようとして、幼児の状態に逆戻りする「退行」というメカニズムを使ったり、「嫉妬」を生み出す素となった「欲望」そのもを否定する「抑圧」というメカニズムを作動させたりすれば、人は、生きるためのエネルギーそのものを低下させてしまうことになってしまう。
AKI でも、そのエネルギーを「危険なエネルギー」に替えてしまうケースもある。そういう話でしたよね? それは、ときに、「犯罪」につながったりもする――と?
哲雄 ひとつは、「置換」という心理的メカニズムが作動した場合。これが、実は、とても危険なんですね。
AKI 「チカン」って、あの「痴漢」じゃないですよね?
哲雄 じゃなくて、「置き換える」というほうの「置換」です。
本来なら、「嫉妬」の原因となった対象に向かうべきエネルギーを、
別の対象に向けてしまう――という心理的行動のことを言うのですが、
問題は、このとき、エネルギーを振り向ける「別の対象」というのが、
「振り向けやすい対象」である場合が多い

――ということなのです。
AKI 振り向けやすい対象……? たとえば、「力の弱い相手」とかですか?
哲雄 そのとおり。特に、対象として選ばれやすいのが、子どもとか、動物とか……。
AKI ワッ、それ、危険じゃないですか!
哲雄 ハイ、危険です。よくありますよね、ネコや小鳥を虐殺する事件とか、子どもを性的に虐待する犯罪とか……。
AKI それも「嫉妬」が生み出した犯罪……?
哲雄 原因はいろいろだと思いますが、「嫉妬」が引き金になったケースも多いんではないか――と思います。たとえば、あるおとなの女性に恋慕したけれども、彼女には、あるいはカレには、すでに愛する男や女がいて、相手にしてもらえない。「嫉妬」の炎を燃やしてはみたけれど、その炎のエネルギーには、行き着く先がない。そこで「置換」という心理メカニズムを作動させてしまうんですね。
AKI 抵抗する力のない動物や子どもにだったら、自分の炎をぶつけられる――と考えるわけですね?
哲雄 そうです。ここでは、「嫉妬」のエネルギーを「置換」する話として取り上げていますが、「嫉妬」は「社会への憤り」という場合もあるでしょうし、「上司や会社への怒り」という場合もあるでしょうね。たとえば、会社で「辛い目」に耐えている男が、家庭に帰ったとたん、「暴君」と化して、妻や子どもに暴力を振るう――なんていう話は、そこらじゅうに転がっています。
AKI 「家庭内暴力」も、「置換」の結果である場合が多いんですね?
哲雄 そう言えるのではないか――と、私は思っています。
AKI エネルギーは持続するけれど、そのエネルギーは、「危険なエネルギー」へと変質してしまっているわけですね。「ストーカー」とかは、どうなんですか?
哲雄 「ストーキング」というのは、「嫉妬」する対象につきまとう行為のことを言いますよね? これは、「置換」とは別の種類の心理メカニズムによる行動です。
AKI それは、どんなメカニズムなんですか?
哲雄 「固着」というメカニズムです。精神分析の世界で説明されているところによると、
ある欲望が「出口」を探してその欲望の対象へと向かおうとするとき、
その対象から「拒否」されてしまうと、
その欲望は出口を失って、その対象の上にいつまでも留まってしまう

――ということが起こる場合があります。これを「固着」と言うんですね。
AKI つまり、しつこい……?
哲雄 ハイ、しつこく留まってしまうんですね、この欲望は。ふつうは、A子がダメなら、B子にしよう――というふうに、欲望は迂回路を探って出口を確保しようとするんですけど、「固着」のメカニズムが作動すると、そうはならない。
AKI ヘタすると、ずっと、A子を追い回すことになってしまう……?
哲雄 「追い回す」と言うと、「イヤねェ」と思うかもしれませんが、「一途」と言うと、人によっては「美しい」と感じるかもしれませんよね。
AKI そうか……。「しつこい」と「一途」は、似てるんだぁ……。
哲雄 「紙一重」とも言えます。もしかしたら、感じ方、受け取り方の問題かもしれません。しかしね、この「紙一重」は、「一重」ではあるけれど、きわめて大きい――と言わざるを得ない。
AKI その「一重」の違いのために、相手を殺害しちゃったり……という場合もあるわけですよね?
哲雄 ありますねェ、悲しいことに。では、その「一重」の違いは、どこから生まれるか?
AKI それ、とても知りたいです。
哲雄 もしかして、AKIクンも、ストーカーされてるとか……?
AKI いや、そういうわけじゃありませんけど、今後の参考のために。
哲雄 ひと言で言ってしまえば、相手の「ニーズ」を思いやれるかどうか――だと思います。
AKI 「ニーズ」ですかぁ……。
哲雄 たとえば、私が、だれかを「好き」になったとしましょうか? 「好き」になること自体は、「私の勝手」ですから、いくらでも「好き」になればいいと思うのですが、問題は、そこから先です。その「好き」を相手に「受け取ってよ」と要求するかどうかは、私が勝手に決めていい問題ではない。
AKI そりゃ、そうですよね。そこで、哲ジイは考えるわけですね。
哲雄 その人も、私に「好き」と思われることを「歓迎」しているかどうか
――それを、全神経を駆使し、想像力の限りを尽くして考えるわけです。
AKI もしかしたら、「エッ!? 好き? ワッ、きも!」としか思ってないかもしれませんからね。
哲雄 ま、そんな感じ方をする人は、そもそも「好き」にはならないだろうと思いますけど、仮に、そんなことがわかったら、即刻、迂回路を探します。
AKI つまり、その人はあきらめる――ってことですね?
哲雄 「ひょっとしたら、メイワクと思っているかもしれない」と感じただけでも、迂回路を探します。
AKI つまり、あきらめる……?
哲雄 だから、「あきらめやすい性質だ」と申し上げているじゃありませんか。
AKI でも、そうはならない人たちもいるんですね?
哲雄 います。相手の「ニーズ」などおかまいなしに、自分の「好き」の量にしか思慮が及ばない人たちがね。
AKI オレはこんなに「好き」なんだから――と、その一方的な思い込みだけを行動原理として動くんですね?
哲雄 「固着」が、そういう行動原理としてしか機能しない場合、しばしば、その行動は「ストーカー行為」として現れてしまいます。言っておきますが、「固着」が起こること自体は、決して、わるいことじゃないんですよ。一生、ひとりの女性を想い続ける――なんていう恋も、あり……だと、私は思っていますから。
AKI その「固着」を、相手に恩着せしたり、「受け入れろ」と迫り続けること。それが「いけないこと」だと思うんですね、哲ジイは? それで……? いま、哲ジイは、だれに固着してるんですか?
哲雄 だからぁ……。
AKI あ、そうか。あきらめやすいんでしたね。こりゃまた、失礼!


2012年11月リリース
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