満月の夜の神社の「姫子」〈15〉 哺乳瓶と稲荷ずし

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古田さんにもてあそばれる「姫子」の姿を見ていたくなかった。
だからその場を逃げ出した。翌日、純平はひとりで神社に向かった。
「おなか空いてない?」。姫子が差し出したのは、稲荷ずしだった…


 妄想力ドリル〈R18版〉   第31講  満月の夜の神社の「姫子」〈15〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

 リンク・キーワード   恋愛小説 エッチ 官能小説 不倫 おひとり様 エロ


この話は、連載15回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  満月の夜になると、神社の裏の楠の木の陰から女が男を手招きするという。町の男たちが「姫子」と呼ぶその女は、かつてこの町で生まれ、両親に捨てられた女だという。純平は、亀吉に誘われて、その「姫子」を見に行くことにした。純平たちが灌木の陰に身を潜めていると、男がひとりやって来た。漁協の古田さんだった。古田さんが、楠のところまで来ると、木の陰から二本の白い腕が差し出されて、その体を抱き寄せ、古田さんは月夜に浮かぶ尻をその陰に向かってヒョコヒョコと突き出した。古田さんが帰っていくと、「姫子」は純平たちの目の前に座り込んで、何かをほとばしらせた。鬼姫の放尿だった。食い入るように見つめていた純平たちだったが、亀吉が枯れ枝を踏みつけて、「姫子」に気づかれた。「ワッ!」と逃げ出した純平たちが、神社の社まで来ると、石段をまた、だれかが上ってくる気配がした。酒屋「サカエ」のオヤジだった。楠のほうへ歩いて行くオヤジの後を、純平と亀吉が尾けていくと、オヤジは手にしたレジ袋を木の陰に差し出した。「姫子」は、その袋の中から取り出したものを夢中で口に頬張った。それは稲荷ずしのように見えた。その稲荷をむさぼり食った「姫子」は、片足を道標に載せて、スカートの裾をめくり上げた。そのスカートの中に、オヤジの頭が潜り込んでいく。「姫子」は苦悶の表情を浮かべながら、「入れて!」と叫ぶ。立ちあがったオヤジは、ズボンのチャックを下して、アレをめくり上げたスカートの中央に押しつけた。純平は、次の夜、ひとりで、神社の裏へ上ってみた。楠のところまで来てキョロキョロしていると、「だれか探してるの?」と声をかけられた。「姫子」だった。恐怖で動けない純平の体を、「姫子」は手でまさぐり、変化を起こした純平を探り当てると、それを口に含んだ。「姫子」の舌にくすぐられて、あっという間に、純平はその口の中で果て、姫子は純平が放出したものをゴクリと呑み込んだ。そんな「姫子」を「美しい」と思いながらも、「怖い」と感じる純平。次の日、「サカエ」に買い物に行った純平は、植村のオヤジに「姫子」の話を訊いてみた。オヤジによると、「姫子」は捨て子だった。満月の夜、神社の裏の楠の根元に捨てられていたのを、この町のおとなたちが拾って育てた。「姫子」は満月の夜になると、その恩を返しに、この町にやって来るのだという。しかし、亀吉が母親から聞いた話は、ちょっと違った。「あの女は、おとなをたぶらかす魔性の女だ」と亀吉の母は言った。どっちが本当なのだ? 純平たちが頭をひねっていると、漁協の古田さんが声をかけてきて、次の満月の夜、「姫子」に会わせてやろう、おまえたちを男にしてやる、と言うのだった。その満月の夜がやって来た。古田さんが見守る前で、ふたりは、亀吉⇒純平の順で、「姫子」の体に挑むことになった。亀吉は、2こすりで果てたが、純平はなんとか我慢した。すると、一度果てた純平を「姫子」のそこが締め付けてきて、純平は再び回復した。「やるな、坊主」と、古田さんは、頭をコツンとやり、「姫子」は、「この子、将来は女を泣かせるわ」と目を細めた。そのとき、「姫子」が純平だけにささやいた言葉がある。「今度の満月の最後の夜、ひとりで会いにおいで」。なぜ、あんなことを言ったのか? 気になる純平は、亀吉と一緒にクラスの慰問活動に参加し、「姫子」が育った「養護園」を訪ねた。そこに、「姫子」の少女時代の写真があった。スナップでは、「姫子」はいつも、おとなの男たちに抱きすくめられていた。純平は、その写真に違和感を感じた。次の満月が来ると、純平たちは古田さんに連れられて、神社の裏に行った。「あの子をなぁ、おとなにしてやったのは、オレたちなんだよ」と、自慢そうに言う古田さんは、「姫子」の体を後ろから抱き締めると、手を伸ばす。その手から逃れようともがく「姫子」。純平は、その姿を見ていられなくなった――。


 古田さんに、指であそこをもみしだかれながら、太いサオをねじ込まれ、「たすけて」と身もだえする「姫子」。
 その姿を、純平は「見ていたくない」と思った。
 中2になったばかりの「姫子」を、古田さんたちは、あんなふうにもてあそんで「女」に仕立てていったんだ。そう思うと、怒りとも悲しみともつかない、わけのわからない激しい感情が、胸の内から湧き起こった。
 そんな感情を抱きながら、「姫子」が崩れ落ちていくさまを見ているなんてことは、自分にはとてもできない。
 そう思ったから、あの場を逃げ出した。
 いまごろ、亀吉は、古田さんに手ほどきされながら、「姫子」のあそこにアレを突き立てて、ヒョコヒョコと腰を動かしているだろうか?
 少し悔しい気もするが、古田さんの見ている前で、そういうことをする気には、純平はなれなかった。それをやれば、古田さんに一生、頭の上がらない関係を作られてしまうような気がした。
 そうだ、明日だ――と、純平は思った。
 明日は、満月の最後の夜。
 前の満月の夜、「姫子」は「ひとりでおいで」と純平の耳元にささやいてくれた。
 純平が、亀吉や古田さんに負けない気持ちでいられるのは、その言葉があったからでもあった。

       

 「純平、なんで逃げちまったんだよ」
 翌日、亀吉が純平に声をかけてきた。
 「オレ、ちゃんとやったぞ。姫子をヒィヒィ言わせてやった。姫子のやつな……」
 純平の耳に口をつけるようにして、亀吉は前夜の様子を吹き込もうとしてくる。純平には、それがちょっとうっとおしく感じられた。
 「いいよ、カメ。オレ、その話、あんまり聞きたくない」
 「どうしたんだよ、純平? な、純平……」
 歩き出そうとする純平の後を、亀吉が追ってくる。
 「なんだよ、純平、妬いてんのか?」
 「そういうんじゃないって」
 「じゃ、なんだよ?」
 「姫子さぁ、中学生のときに、古田さんたちにオモチャにされちまったんだろ? おまえ、かわいそうだと思わないか?」
 「しかし、オレの母ちゃん、言ってたぞ。あの子は、魔性の女なんだって。おとなをたぶらかすような女になったって」
 「だけど、古田さん、言ってたじゃないか。あの子の魔性は、オレたちが開発してやったんだ――って」
 「オゥ、そう言えば言ってたよなぁ……」
 「オレ……なんか、見てらんなくてよ」
 「おまえ、姫子に同情してんのか?」
 「バカ。そんなんじゃねェよ」
 そんなんじゃない――と言いながら、純平は、自分の胸の中に、それまで経験したこともない感情が芽生え始めていることに気づいた。

       

 その夜、純平は、ひとりで神社の石段を上った。
 「ひとりで」というのは、「姫子」との約束だった。しかし、その約束がなくても、亀吉を誘う気にはなれなかった。
 楠の周りには、人影はなかった。
 空に輝く満月は、右の端が少し欠け始めているようにも見えた。
 少し風の強い夜だった。時折、陸側から海へ向かって、サワーッと風がわたっていく。その風が楠の枝を揺らし、ザワザワと音を立てた。
 風に枝を揺らしながらも、楠の幹は微動もせずに、月明かりの中にその雄大な姿を見せてそびえ立っている。しかし、その陰には、「姫子」の姿はなかった。
 もう、帰ってしまったんだろうか――と、純平は思った。
 きのう、古田さんと亀吉にヒィヒィ言わされて、傷ついて帰っていったんだろうか……?
 そんなことを考えながら幹の周りをウロウロしていると、少し離れた藪の中から、ガサッ……という音がした。
 ハッとして目を凝らすと、背の低い灌木の間から、白い手が突き出されていた。その手が「おいでおいで」というふうに揺れている。
 恐る恐る近づいてみると、「姫子」だった。
 「姫子」は、灌木の間に少しだけ開けた草地の上にビニールのシートを敷いて、腰を下していた。その脇には、「姫子」が持ってきたのだろう、小さなバッグと紙袋が置いてあった。
 こんなところで何してるんだろ?
 そう思って純平が見ていると、「姫子」は自分の座る位置を少しずらして、空いたシートの上を手のひらでポンポンと叩く。「ここへ座れ」という合図に見えた。
 「おなか空いてない?」
 純平が腰を下すと、いきなりそう言って、純平の顔をのぞき込んでくる。
 「少し……」と言うと、「姫子」は紙袋に手を突っ込み、何かを取り出して、それを純平のほうに差し出した。見ると、稲荷ずしだった。
 「エッ、稲荷……?」
 「好きじゃなかった?」
 「いや……好きです」
 「じゃ、お食べ。あ、お茶もあるわよ」
 再び紙袋の中に手を突っ込んで、今度はジャーを取り出し、まだ湯気の立つ液体を紙コップに注いで渡してくれた。

       

 それは、古田さんたちと楠の陰で睦み合う「姫子」からは想像できない姿だった。
 「姫子さん、稲荷ずしが好きなんですね?」
 「サカエ」の植村のオヤジが差し出す稲荷ずしをむさぼり食う「姫子」の姿を思い出して、純平が尋ねると、「姫子」の首が「ウン……」というふうに動いた。
 「稲荷ずしと一緒に捨てられてたんだって……」
 「エッ……?」
 「わたしが『捨て子』だった――って話、聞いてるでしょ? 捨てられてたのは、あの樹の根っこ」
 「姫子」は、楠の根元を指差して見せた。
 「そばにズタ袋が置いてあって、その中には、わたしの産着とおむつと哺乳瓶と粉ミルク、それに、なぜか稲荷ずしが入ってたって。でも、それは、わたしのためのものじゃない。そんな赤ん坊が稲荷ずしなんか食べられるわけないものね」
 「もしかしたら、お母さんが食べようと思って入れてた――とか?」
 「かもしれないわね。それか、拾ってくれた人へのお礼のつもり……とか?」
 「姫子さんのお母さん、稲荷ずしが好きだったんじゃないの?」
 「そうなのかな……。だから、わたしも稲荷が好きになったのかもね……」
 言いながら、「姫子」は遠くを見る目になった。
 その目は、空に輝く満月を見つめていた。
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