満月の夜の神社の「姫子」〈8〉 「捨て子」の「恩返し」…?

ヴァギナph1

「姫子」は、神社の裏の楠の根元に捨てられていた。その子を
拾い育てたのは、町のおとなたちだった。満月になると、「姫子」は
その恩を返しに来るのではないか――と、オヤジは言った。 


 妄想力ドリル〈R18版〉   第31講  満月の夜の神社の「姫子」〈8〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

 リンク・キーワード   恋愛小説 エッチ 官能小説 不倫 おひとり様 エロ


この話は、連載8回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  満月の夜になると、神社の裏の楠の木の陰から女が男を手招きするという。町の男たちが「姫子」と呼ぶその女は、かつてこの町で生まれ、両親に捨てられた女だという。純平は、亀吉に誘われて、その「姫子」を見に行くことにした。純平たちが灌木の陰に身を潜めていると、男がひとりやって来た。漁協の古田さんだった。古田さんが、楠のところまで来ると、木の陰から二本の白い腕が差し出されて、その体を抱き寄せ、古田さんは月夜に浮かぶ尻をその陰に向かってヒョコヒョコと突き出した。古田さんが帰っていくと、「姫子」は純平たちの目の前に座り込んで、何かをほとばしらせた。鬼姫の放尿だった。食い入るように見つめていた純平たちだったが、亀吉が枯れ枝を踏みつけて、「姫子」に気づかれた。「ワッ!」と逃げ出した純平たちが、神社の社まで来ると、石段をまた、だれかが上ってくる気配がした。酒屋「サカエ」のオヤジだった。楠のほうへ歩いて行くオヤジの後を、純平と亀吉が尾けていくと、オヤジは手にしたレジ袋を木の陰に差し出した。「姫子」は、その袋の中から取り出したものを夢中で口に頬張った。それは稲荷ずしのように見えた。その稲荷をむさぼり食った「姫子」は、片足を道標に載せて、スカートの裾をめくり上げた。そのスカートの中に、オヤジの頭が潜り込んでいく。「姫子」は苦悶の表情を浮かべながら、「入れて!」と叫ぶ。立ちあがったオヤジは、ズボンのチャックを下して、アレをめくり上げたスカートの中央に押しつけた。その夜、目にする二度目の男と女の出来事だった。あれは、何だったのだろう? 純平は、次の夜、ひとりで、神社の裏へ上ってみた。楠のところまで来てキョロキョロしていると、「だれか探してるの?」と声をかけられた。「姫子」だった。恐怖で動けない純平の体を、「姫子」は手でまさぐり、変化を起こした純平を探り当てると、それを口に含んだ。「姫子」の舌にくすぐられて、あっという間に、純平はその口の中で果て、姫子は純平が放出したものをゴクリと呑み込んだ。そんな「姫子」を「美しい」と思いながらも、「怖い」と感じる純平。「姫子」は、次の満月のときに「またおいで」と言う。翌朝いちばんの電車でどこかの街へ帰っていく「姫子」の姿を、亀吉は目にしたと言う――。


 おふくろに「しょうゆとみりんを買ってきて」と言われて、「サカエ」に行った。
 店では、植村のオヤジがひとりで店番をしていた。
 神社の裏の楠の陰で、「姫子」のスカートの中に頭を突っ込んでいたツルツルの頭が、目に浮かんだ。スカートの中で何をしていたのか、ほんとは訊きたかったけれど、訊けなかった。しかし、このオヤジなら、「姫子」について、何か知っているかもしれない。
 頼まれたしょうゆとみりんをレジ袋に入れて、金を払うと、純平は、「あの……おじさん」と、声をかけた。
 オヤジは、老眼鏡のフレームの上からギョロ目をのぞかせて、「オウ、どうした?」というふうに純平の顔をのぞき込んだ。
 「神社に『姫子』が出るって……ほんと?」
 「おお、その話か」
 オヤジは、ツルツルの頭を撫でながらレジを閉めると、のっそりと帳場の外に出てきた。
 「そんな話、どこで聞いたんだ?」
 言いながら、純平の肩に手を回してくる。その声の調子が、補導係のおまわりみたいで、「おまえ、何か見たのか?」と尋ねられているような気がした。
 純平は、「姫子」の話をしたことを、ちょっとだけ後悔した。
 「あ……あの……みんな、そんなウワサしてるから、ちょっと……気になって……」
 「行ったのか?」
 「エッ……!?」
 「神社に行ったのか、純平?」
 純平は、あわてて首を振った。
 「純平はいくつになった?」
 「16です」
 「16かぁ……」とつぶやいて、オヤジはかけていた老眼鏡を外した。

       

 「姫子はなぁ、この町で生まれたんだよ」
 「この町? 親は?」
 「知らん……」
 「エッ、知らないの?」
 「あの子はなぁ、捨てられてたんだよ、あの神社に。神社の裏に、大きな楠があるだろ? あの根元に、産着にくるまれて捨てられてた」
 「じゃ……だれの子かとか、わからないの?」
 「いや、母親の名前はわかってる。その産着の中に書き置きが残してあったから」
 「何て書いてあったの?」
 「姫子。ごめんね。母さんは、あなたをどうしても育てることができなくなりました。この町の親切な人たちに、育ててもらってください――って書いてあった。最後に、久子って書いてあったから、ああ、あの女だ――ってわかったんだけど、その女は、男と一緒にこの町を離れて、どっかいっちまいやがった」
 「でも……」と、純平は思った。
 どうせ捨てていくんなら、どうして、もっと人の目につく場所に捨てていかなかったんだろう? あんな森の中じゃ、だれにも見つからないで死んでしまうかもしれないじゃないか。
 それを口にすると、オヤジは言った。
 「あの楠はなぁ、ご神木なんだよ。海に出る男たちの安全とか、子どもたちが無事に育ちますようにとかさ、昔からこの町のおとなたちは、何かあると、あの楠にお詣りしてた。それに、あの夜は、満月だったしなぁ……」
 「満月が、何か関係あるの?」
 「満月だったら、だれか来るだろう。きっと見つけてくれるだろう――ってな、そう思ったんじゃないのかねェ」
 その捨て子を最初に発見したのは、漁協にいる古田さんだ――と言う。
 困った古田さんは植村のオヤジに連絡し、植村のオヤジが町の駐在や町長にも連絡をとって、その子は「町の子」として育てよう――ということになった。
 と言っても、町には養護施設なんてものはない。町に一軒だけある保育園の園長が、私費で運営している施設があるだけだった。おとなたちが相談して、みんなで少しずつ養育費を出し合うことにして、姫子は中学生になるまで、その施設で育ったのだという。

       

 「あの子はなぁ……」とオヤジが言う。
 「いつの頃からか、満月になると、あの神社を訪ねて来るようになったんだわ。それも、自分が捨てられていたあの楠の根元にさ」
 そこには、何か残されているんだろうか――と、純平は思った。
 「ここに心を返しに来る」と、姫子は言った。「探しに」じゃなくて、「返しに」。その意味がわからなかったが、それをオヤジに言うわけにはいかなかった。
 「何をしに?」
 純平が尋ねても、オヤジは、はげた頭を撫で回すばかりで、なんだか歯切れがわるい。
 きっと、それは、あんなことをしてたからだろう――と思った。
 それを訊くわけにもいかない。
 もちろん、自分と亀吉がそれを見ていたということも、言うわけにはいかない。
 「おじさんは見たことあるの? 神社に戻って来た姫子を?」
 純平の質問に、オヤジはちょっとだけ、あわてたように見えた。
 「あ、いや。オレは……」
 とんでもない――というふうに、目の前で手を振りながら、オヤジは「しかし……」と声を潜めた。
 「町には、会ったというやつもいる。だれとは言えんけどな、そいつの話によると、姫子は、この町に恩を返しに来てるんじゃないか――ってことだったなぁ」
 「恩……? 何の恩……?」
 「育ててもらった恩とでも言うんじゃないの。あの子を15になるまで育てたのは、この町のおとなたちだからなぁ」
 そうか……と、純平は思った。
 「姫子」が「心を返す」と言ったのは、「恩を返す」ということだったのかもしれない。
 エッ!?
 じゃ、古田さんや植村のオヤジとあんなことをしたのも、恩を返すため?
 でも、それだったら――と、純平の頭には、また、疑問が湧いて出た。
 自分にまであんなことをしてくれたのはなぜ?
 自分は、「姫子」さんに何の恩も与えてないはずなのに――。
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