満月の夜の神社の「姫子」〈7〉 満月に返す「姫子の心」

ヴァギナph1

口の中で萎えていく純平を、姫子はいとおしむようになめ回し、
純平が放出したものをゴクリと呑み込んだ。その顔を、
純平は「美しい」と思い、しかし、「怖い」と感じた――


 妄想力ドリル〈R18版〉   第31講  満月の夜の神社の「姫子」〈7〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

 リンク・キーワード   恋愛小説 エッチ 官能小説 不倫 おひとり様 エロ


この話は、連載7回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  満月の夜になると、神社の裏の楠の木の陰から女が男を手招きするという。町の男たちが「姫子」と呼ぶその女は、かつてこの町で生まれ、両親に捨てられた女だという。純平は、亀吉に誘われて、その「姫子」を見に行くことにした。純平たちが灌木の陰に身を潜めていると、男がひとりやって来た。漁協の古田さんだった。古田さんが、楠のところまで来ると、木の陰から二本の白い腕が差し出されて、その体を抱き寄せ、古田さんは月夜に浮かぶ尻をその陰に向かってヒョコヒョコと突き出した。古田さんが帰っていくと、「姫子」は純平たちの目の前に座り込んで、何かをほとばしらせた。鬼姫の放尿だった。食い入るように見つめていた純平たちだったが、亀吉が枯れ枝を踏みつけて、「姫子」に気づかれた。「ワッ!」と逃げ出した純平たちが、神社の社まで来ると、石段をまた、だれかが上ってくる気配がした。酒屋「サカエ」のオヤジだった。楠のほうへ歩いて行くオヤジの後を、純平と亀吉が尾けていくと、オヤジは手にしたレジ袋を木の陰に差し出した。「姫子」は、その袋の中から取り出したものを夢中で口に頬張った。それは稲荷ずしのように見えた。その稲荷をむさぼり食った「姫子」は、片足を道標に載せて、スカートの裾をめくり上げた。そのスカートの中に、オヤジの頭が潜り込んでいく。「姫子」は苦悶の表情を浮かべながら、「入れて!」と叫ぶ。立ちあがったオヤジは、ズボンのチャックを下して、アレをめくり上げたスカートの中央に押しつけた。その夜、目にする二度目の男と女の出来事だった。あれは、何だったのだろう? 純平は、次の夜、ひとりで、神社の裏へ上ってみた。楠のところまで来てキョロキョロしていると、「だれか探してるの?」と声をかけられた。「姫子」だった。恐怖で動けない純平の体を、「姫子」は手でまさぐり、変化を起こした純平を探り当てると、それを口に含んだ――。


 そんなものを口の中で受け止めて、気持ちわるくないんだろうか――と、純平は思った。
 早く体を離して、あれを吐き出させないと――と思うのだが、「姫子」の頭はそこから離れない。
 「姫子」の口の端からは、よだれがこぼれていた。そのよだれの中に、白く泡立ったような液体が混じっている。たぶん、自分が放出したものだ。
 ね、それ、汚いよ。早く口から出してよ……。
 しかし、「姫子」はそうはしなかった。
 「姫子」はそれを口にくわえたまま、まるでいとおしむように、小さく萎えていくそれを舌でなめ回し、それから、ゆっくり顔を離した。
 その顔が、ニッコリ微笑んだかと思うと、次の瞬間には、口の中にあふれたものをゴクリ……と呑み込んだ。
 「エッ……」と、純平は、思わず声を挙げた。
 「呑んじゃったの?」
 ウン……とうなずいて、「姫子」は口からこぼれ出たものを手の甲で拭い、目の縁にクスリと笑みを浮かべて、純平を見上げた。
 その目を、純平は「美しい」と感じた。
 「姫子」は美しい人なんだ。しかし、その「美しさ」は、どこか「怖い」と感じる美しさでもあった。
 「おいしかったわ……」
 そう言って、「姫子」はゆっくり立ち上がった。
 立ち上がると、ヒールの分だけ、純平よりも背が高くなる。
 純平がその姿に見とれていると、「姫子」両手を差し出して純平の頭を抱きかかえた。
 純平の頭は、「姫子」の胸に抱き留められた。
 フワリとした弾力の中に、顔が埋まる。その弾力の中から、何とも言えない甘い香りが立ち上って、純平の鼻をくすぐった。

       

 「姫子」の胸は、純平にとって、居心地のいい場所だった。
 できれば、そのまま、その場所にとどまっていたいと思った。
 しかし、「姫子」がこの町に姿を現すのは、満月の夜だけだ――と、おとなたちが話しているのを聞いたことがある。満月が欠け始めると、「姫子」はどこかに行ってしまうのだろうか? それを知りたいと思った。
 「あの……姫子さんは……」と、純平は口を開いた。
 「満月が終わったら、どこかへ行っちゃうの?」
 「そうねェ……」
 顔を埋めた胸の中から、息の混じった声が返ってきた。
 「わたしには、戻らなくちゃいけない場所があるから……」
 そう言うと、「姫子」はそっと、純平の顔を胸から引き起こした。
 「戻らなくてはいけない場所って?」
 純平は訊いたが、答えは返ってこなかった。
 答えがないまま、「姫子」は、白いスカートに付いた砂や落ち葉を払った。それは、「もう、行きなさい」という合図のようにも見えた。
 海から這い上がってきた霧が、丘の上を覆い始めていた。その霧が、月明かりをヴェールの向こうに包み隠そうとしていた。
 「月が隠れるわ……」
 その言葉が、少し寂しく響いた。
 「あの……」と純平は声をかけた。
 「姫子さん、また……来るの?」
 「また、会いたい……?」
 純平がうなずくと、「姫子」は、隠れかかった月を見上げながら言った。
 「じゃ、また、満月の夜が来たら」
 「どうして……満月の夜なの?」
 「心を返しに来るのよ。この空の満月に」
 返事はそれだけだった。
 「さ、もう行きなさい」
 「姫子」にやさしく背中を押されて、純平は、上って来た道を戻った。
 振り返ると、月も、楠も、すっかり、霧の彼方に消えていた。

       

 ひとりで「姫子」に会いに行ったことは、亀吉には言わないでおいた。
 言うと、亀吉を裏切ったことになってしまう。そんな気がしたからだった。
 しかし、亀吉のほうが、先に口を滑らせた。
 「あの女、今朝、見たゾ」
 「エッ、今朝って……?」
 「まだ夜明け前」
 「ど、どこで?」
 「駅のホーム」
 「エーッ、そんな早い時間に、おまえ、ホームにいたの?」
 「あのよ……」と、亀吉は声をひそめた。
 「ゆうべ、オレ、眠れなくてさ。そう言えば、あの女、まだ、神社にいるかなぁ――って思って……」
 「エッ、おまえ、あの神社に行ったの?」
 「いや、行こうと思って漁協の裏まで行ったら、あの女が石段を下りてくるのが見えたんだ。大きなスーツケース持ってさ。あれ……? どこか行くのか――と思って、そっと後を尾けたら、駅の中に入って行った」
 「で……電車に乗ったの?」
 「ああ、上りの猿が島行きにな」
 「猿が島」というのは、この町を走る支線が本線に接続する、ちょっと大きな町の駅だ。きっと、「姫子」は、そこから本線に乗り換えて、どこかの都会に帰って行ったに違いない。
 しかし、その行先がどこかは、だれも知らない。
 ただわかっているのは、次の満月の夜が来たら、また、この町にやって来るということだけだった。
 「姫子」が言うには、「心を返す」ために――。
 「返す心」が何なのかは、純平にはわからなかった。それを亀吉に尋ねるわけにもいかなかった。
 それを訊けば、純平がひとりで「姫子」に会いにいったことがバレてしまうからだった。
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