「心」まで奪おうとした日本帝国主義の「愚」
不純愛トーク 第304夜
何回かに分けてお届けした、日本と韓国の間に横たわる「差別」の問題。今回は、その総集編です。諸悪の根源は、「日本帝国主義」。「帝国主義」そのものが間違いであった――というのが、現代の世界の共通認識となっているのですが、日本の「帝国主義」は、欧米列強のそれがやらなかった「やってはいけないこと」に手をつけてしまいました。それは何か? 今回は、そんな話をしてみたいと思います――。
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AKI 日本と朝鮮半島南部とは、「一衣帯水」の関係にある。もしかしたら、倭国のふるさとは、この朝鮮半島南部にあったのではないか――と、前回は、そんな話をしたんですよね。
哲雄 ハイ。それゆえに、この両地域は、王朝成立以前の神話時代から、何かと干渉し合う関係にあった――と申し上げました。行ってみるとわかるのですが、この朝鮮半島南部には、日本人のDNAにビビッとくるものが、いっぱいあります。
AKI 顔立ちとか……?
哲雄 顔もそうだし、食べ物だって、住居のかたちだって、そして音楽だって。
AKI そう言えば、日本の演歌のメロディって、なんか……韓国のメロディと似ているなぁ――って、感じてました。
哲雄 ま、それは、ひとつには、古賀メロディの影響もあるのかもしれませんけどね。
AKI 古賀メロディ? わかんな~い。
哲雄 日本の「演歌」の始祖と言ってもいい古賀正男さんのメロディです。『影を慕いて』『湯の町エレジー』『悲しい酒』など、数えきれない名曲を世に残した人ですが、この人、少年時代に郷里・福岡を離れて、朝鮮で思春期を過ごすんですね。そのときに、朝鮮のメロディに影響を受けて、それが、後々の演歌のメロディのベースになった、とも言われています。
AKI ヘェ、そうなんだ?
哲雄 しかし、両地域の交流は、そんな最近の話じゃない。昔々の倭国時代の日本と朝鮮半島の新羅や百済とは、人事も盛んに交流してたし、交易もしてたし、皇族同士の婚姻なども、行われていました。ついでに、海賊したり、されたり……とかもね。
AKI 海賊も……? そうか、「倭寇」とかもいたんですよね?
哲雄 倭寇は、盛んに朝鮮半島南端の町や村を襲っては、金品を略奪してましたし、逆に、新羅の海賊が、対馬や北部九州の沿岸を襲って略奪行為を働いてもいました。こういう小競り合いは、どの地域にもあることです。それらは、両地域がきわめて近しい関係にあったことを物語っている――とも考えられるわけです。しかしね、明治以降になると、話が違ってきます。
AKI やっぱり、問題は明治……。
哲雄 ハイ。問題は、明治から昭和初期にかけての「大日本帝国」です。この時代は、日本にとって、もっとも西洋思想に毒されていた時代――と言っていいと思うのです。
AKI それは、どんな思想?
哲雄 「帝国主義」という思想です。
AKI 帝国主義というのは?
哲雄 ひと言で言うと、他国を侵略して、そこを「植民地化」し、政治的・経済的に支配してしまおうとする思想です。当時の列強、イギリスも、フランスも、ロシアも、アメリカも、みんな、この「帝国主義」に突っ走っていて、自国の領土拡大に血眼になっていました。後から、この競争に参加したのが、ドイツや日本なんですが、「よし、やろう」と思ったときには、すでに、世界の主要な低開発地域は、列強によって分割されてしまっていました。
AKI あせったんですね、ドイツや日本は?
哲雄 かなりあせって、ムリをしました。日本の場合は、西欧列強に肩を並べようとして、ムチャクチャと言ってもいいイデオロギーを作り出しました。その典型が、「天皇制」の「一神教化」。
AKI エッ、天皇を「一神教」の神様にしようとしたんですか?
哲雄 そのとおり。「天皇」を「万世一系」の「現人神」であるとして、「大日本帝国」は、その「現人神」が統治する「神国」である――という、まるで新興宗教みたいなチャラい思想を、国民に植え付けていきました。
AKI それが、「国家神道」?
哲雄 ホォ、よくご存じで。で、その神様を他国にも押し付けようとしたんですね。まず、手をつけたのが、琉球(現・沖縄県)と台湾。琉球は、その頃、清国(中国)と日本、両方に朝貢する(属国として貢物をする)関係を続けていましたが、明治政府は、琉球に清国への朝貢を止めるように要求しました。
AKI 琉球を日本領にしようとしたわけですね?
哲雄 琉球よ、あっちの旦那は止めて、オレの女になれ――と迫ったわけです。当然、清国は、そうはさせてたまるかと反発します。そんなとき、宮古島島民の漁船が、台湾に漂着する事件が起こりました。ところが、台湾の先住民たちは、この漂流民を捕縛して、逃げようとした島民を殺してしまいます。
AKI エッ!? 台湾の先住民?
哲雄 俗に「首狩り族」とか言われてたバイワン族です。そこで、日本は、1874年、台湾に出兵して、この先住民たちを制圧します。この後、日本と清国の間で条約が結ばれます。問題になったのは、台湾ではなく、琉球の帰属です。
日本は、沖縄本島の領有を求める代わりに、
宮古島と八重山群島を清国が領有するように――と提案するのですが、
清国側は「八重山? 要らない」と、これを蹴ってしまいます。
八重山が要らないんじゃ、尖閣も要らないだろうと思うのですが、このときは、尖閣諸島の帰属など、どちらも、歯牙にもかけなかったわけですね。後に、日清戦争に勝利すると、台湾は、正式に日本統治下に置かれることになります。これが、1895年の話。
AKI じゃ、その後、台湾はずっと日本領?
哲雄 第二次世界大戦が終わるまではね。日本が統治していた間、日本政府は台湾総督府を置いて、台湾人に日本語を学ばせ、天皇への崇拝を求める――というふうに、「日本化」政策を推し進めようとします。
AKI ねェ、そういうのって、反発を招かなかったんですか?
哲雄 招きましたよ。根強い抗日運動も起こって、その度に、軍隊が制圧に乗り出したりもしました。
AKI 朝鮮半島でも、同じことが起こったんですか?
哲雄 日本が韓国を併合したのは、日露戦争後の1910年のことなんですが、この併合に関しては、日本国内でも、当時の李氏朝鮮国内でも、賛否両論が巻き起こりました。
AKI エッ、日本でも、反対論があったんですか?
哲雄 ええ、ありました。というのもね、当時の韓国国内というのは、インフラも整備されてなく、国民の教育程度も低く、身分制度が敷かれていて、庶民は苗字さえ名乗れず、官吏には腐敗が蔓延し……という状態でした。そんな国を併合してしまったら、「わが国の劣化を招く」という論調が、日本国内にもありました。韓国国内にも、両論がありました。李氏朝鮮の腐敗を嘆き、庶民の貧困を何とかしたいと考える人たちの中からは、むしろ、併合によって韓国の近代化が図れる、とする声もありましたが、一方、併合によって既得権を失う守旧派勢力などは、こぞって反対の声を挙げていたようです。
AKI でも、結局は、併合しちゃったんですよね。
哲雄 しちゃいました。こちらも、第二次世界大戦が終わるまで、日本の統治下に置かれることになりました。ただね、私は思うんですよ。その統治の仕方は正しかったのか?
AKI 何か、問題があったんですね?
哲雄 台湾の場合も、朝鮮の場合も、日本の統治によって、両地域の近代化が図られ、後の発展の基礎が作られた――ということは、否めない事実だと思います。しかしね、統治時代の日本は、絶対にやってはいけないことをやった。それは、文化の押し付けです。たとえば、「創氏改名」。
AKI エッ、ソウシカイメイ……? 何ですか、それ?
哲雄 これは、韓国でやったんだけど、朝鮮風の名前を「日本風の名前」に変えなさい――という指導。これ、ちょっとひどいよね。もし、AKIクンが、「AKI」なんていう和風な名前じゃなくて、「メアリー」とか「マリリン」とかの西洋風の名前に変えなさい、なんて言われたら、どう思うか?
AKI わたし、そっちのほうがいい。
哲雄 そういう問題じゃなくて、民族的アイデンティティの問題です。それと、統治時代の日本は、靖国神社を韓国や台湾にも造って、天皇への参拝を現地の人たちにも求めた。名前を変えろ、オレたちの神を拝め! こんなことを求められたら、私でもキレてしまいます。
AKI お怒りは、ごもっともだと思います。
哲雄 明治から第二次大戦終了までの「帝国時代」の日本の指導者たちは、日本国民に強制した「皇国イデオロギー」を、台湾や韓国の人たちにも押し付けようとした。私は、これこそ、憎悪を生んだ最大の原因だと思っているんですよ。
AKI ウン、なんだか怒る気持ちもわかります。
哲雄 もちろん、憎むべきは、「帝国主義思想」そのものなんですよ。しかし、欧米列強の帝国主義と日本帝国主義は、そこのところが根本的に違う。欧米の帝国主義は、植民地の富を徹底的に収奪します。その代わり、現地の文化や伝統には敬意を払う。日本は、逆なんですね。
AKI 逆……?
哲雄 富に関しては、むしろ、現地人の経済力を高めて、日本の協力者に仕立てようとしました。しかし、現地に根づく文化や価値観は破壊して、精神的に支配しようとしたわけです。
欧米の帝国主義は、資源や金品を奪うけど、精神の自由は尊重する。
日本の帝国主義は、金は残すけど、精神の自由を奪ってしまう。
どっちが、後を引くと思います?
AKI 体を奪うか、心を奪うか――ですね? そりゃ……やっぱり、心のほうでしょう。
哲雄 だよね。日韓や日中の問題が、いまにいたるまでしこりを残しているのも、そこらへんに原因があるのでないか――と、私は思うのであります。だからね、AKIクン。
AKI 何でしょう?
哲雄 金は貢がせてもいいけど、心を奪っちゃダメですよ。
AKI 何の話やら……。


2012年11月リリース
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