第40夜☆握手もキスも、「二度」しなくちゃ意味がない?
第40夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。前回は、「好き」「嫌い」の感情を生み出す「触覚」に関して、現代人はそのセンサーが鈍化しているのではないか…という話をしました。今回は、その触覚を刺激するスキンシップについての、東西の考え方の違いに踏み込んでいきます――。
哲雄 だいたい、わかってきた。
AKI 何がわかったんですか?
哲雄 キミと私の間に欠けているものが何であるか……。
AKI 愛……なんて言わないでしょうね。
哲雄 それ以前の問題です。
AKI まさか……。
哲雄 そう、そのまさか。スキンシップです。
AKI なんだ、スキンシップか……。
哲雄 「なんだ」って……いったい、何を期待してたんだね、AKIクン?
AKI 何でもありません。
哲雄 しかも、「なんだ」と言うわりに、いまだにハグさえさせてくれないし……。
AKI そ、それは……もう少し、哲ジイのことがわかってから……。
哲雄 だから、それは順序が逆だと。この話は、そこから始まったんだよね。
AKI あっ、そうか。そうでした。まず、接触信号が大事なんだ、という話をしてたんでした。
哲雄 でね、どうも、日本人はそれが苦手らしい。
AKI そ、そうなんですか?
哲雄 これは、ロンドンの彼女にも、モントリオールの彼女にも、サンパウロの彼女にも、バルセロナの彼女にも言われたんだけどね……。
AKI そ、そんな世界中に彼女がいたの?
哲雄 次々に現れては消えた。
AKI ハイ…? 意味がわかりません。
哲雄 みんな、旅人だったから。向こうの人たちは、おとなになる前に、外国に出て自分の見聞を広げるってことをよくやる。パック・ツアーなんかじゃないよ。その土地に一定期間滞在して、アルバイトでお金を作りながら旅を続けるんだ。貧乏旅行なんだけど、それがまぁ、一人前のおとなになるための修行みたいなものなんだろうね。
AKI ヘェ、そういう女の子をナンパしまくってたわけだ? まさか、エンコーじゃないでしょうね?
哲雄 どうしたら、そんな貧困な発想が生まれるかなぁ。全部、ジャズ・クラブつながりです。
AKI 何のために、ジャズ・クラブ通いしてたんだか。怪しいもんだわ、このおっさん。
哲雄 いいですか、話を戻しますよ。そういう人たちと意気投合すると、「ナイス・トゥ・ミート・ユー」と握手を交わしたりするわけだ。
AKI ま、握手ぐらい大目にみましょう。
哲雄 別に……キミに大目に見てもらういわれはない。で、彼女たちが言うにはです。ユーは、ミーとフレンドリーになりたくないのか?
AKI ど、どうしてェ?
哲雄 手の握り方に気持ちがこもってない、というわけです。
AKI エッチな気持ちは持ってたくせに?
哲雄 ま、仮に持ってたとしてもです、日本人はそういう気持ちを包み隠そうとする。
AKI 「臭いものにはフタ」とか言いますからねェ。
哲雄 どこが「臭いもの」なんだ! いちいちこの女は……。
AKI でもさぁ、そういう奥ゆかしさは、私たちの美徳でもあるわけでしょ?
哲雄 そのとおり。ところが、彼らには、その奥ゆかしさは通用しない。もし、フレンドだと言いたいのなら、もっと力強く、ギュッと握れ、というわけです。そして、それを二度、振れ――と。
AKI エーッ、二度? どうして?
哲雄 彼らは言うんだ。一度、シェイクしただけだと、それは儀礼としか思われない。ほんとうにフレンドになりたかったら、シェイク、シェイクと二度、振れ。キスもそうだ。右のほっぺにチュッとしたら、今度は左のほっぺにチュッ。グラスを合わせるときも、カチンではなく、カチン、カチンとやれ――ってね。なるほどォ……と思ったね。
AKI 何がなるほどなの?
哲雄 英語に「カップル」という言葉があるよね。
AKI ハイ。私たちは違いますけど……。
哲雄 「カップル」はそんな狭い意味じゃない。彼らは「2つ」と言う代わりに、しばしば「ア・カップル・オブ……」という言い方をする。
AKI なんか、聞いたことがあるような気がする。
哲雄 これは、私の仮説なんだけど、どうも、彼らの文化では、すべての事物は「カップル」になって初めて「真」となるんじゃないか。そんな気がしてきたんだ。
AKI 「一対」ってことですか? でも、なぜそうなんだろう?
哲雄 でね、これも私の仮説なので、なんの根拠もないんだけど、どうもこれは、彼らの文化の根底に「善悪二元論」があることと関係があるんじゃないか――。
AKI エッ!? 善悪二元論? 一神教じゃなかったの?
哲雄 一神教ってことは、つまり善悪二元論なんです。神がいれば悪魔がいる。天国があれば地獄がある。
AKI だから「カップル」が重要になるってこと?
哲雄 裏も表も見せて、初めて「真」になるとか……なんだか、そういう意味が込められてるような気がするんだよね。
AKI てことは、永遠にシングルの哲ジイは?
哲雄 いつまでたっても「真」になれない……って? ほっとけ。
【おことわり】ほんとうは、スキンシップ及び身体記号に関する東西の感覚の違いに言及する予定でしたが、ムダ話が過ぎました。続きは次回に――哲雄
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AKI そ、そんな世界中に彼女がいたの?
哲雄 次々に現れては消えた。
AKI ハイ…? 意味がわかりません。
哲雄 みんな、旅人だったから。向こうの人たちは、おとなになる前に、外国に出て自分の見聞を広げるってことをよくやる。パック・ツアーなんかじゃないよ。その土地に一定期間滞在して、アルバイトでお金を作りながら旅を続けるんだ。貧乏旅行なんだけど、それがまぁ、一人前のおとなになるための修行みたいなものなんだろうね。
AKI ヘェ、そういう女の子をナンパしまくってたわけだ? まさか、エンコーじゃないでしょうね?
哲雄 どうしたら、そんな貧困な発想が生まれるかなぁ。全部、ジャズ・クラブつながりです。
AKI 何のために、ジャズ・クラブ通いしてたんだか。怪しいもんだわ、このおっさん。
哲雄 いいですか、話を戻しますよ。そういう人たちと意気投合すると、「ナイス・トゥ・ミート・ユー」と握手を交わしたりするわけだ。
AKI ま、握手ぐらい大目にみましょう。
哲雄 別に……キミに大目に見てもらういわれはない。で、彼女たちが言うにはです。ユーは、ミーとフレンドリーになりたくないのか?
AKI ど、どうしてェ?
哲雄 手の握り方に気持ちがこもってない、というわけです。
AKI エッチな気持ちは持ってたくせに?
哲雄 ま、仮に持ってたとしてもです、日本人はそういう気持ちを包み隠そうとする。
AKI 「臭いものにはフタ」とか言いますからねェ。
哲雄 どこが「臭いもの」なんだ! いちいちこの女は……。
AKI でもさぁ、そういう奥ゆかしさは、私たちの美徳でもあるわけでしょ?
哲雄 そのとおり。ところが、彼らには、その奥ゆかしさは通用しない。もし、フレンドだと言いたいのなら、もっと力強く、ギュッと握れ、というわけです。そして、それを二度、振れ――と。
AKI エーッ、二度? どうして?
哲雄 彼らは言うんだ。一度、シェイクしただけだと、それは儀礼としか思われない。ほんとうにフレンドになりたかったら、シェイク、シェイクと二度、振れ。キスもそうだ。右のほっぺにチュッとしたら、今度は左のほっぺにチュッ。グラスを合わせるときも、カチンではなく、カチン、カチンとやれ――ってね。なるほどォ……と思ったね。
AKI 何がなるほどなの?
哲雄 英語に「カップル」という言葉があるよね。
AKI ハイ。私たちは違いますけど……。
哲雄 「カップル」はそんな狭い意味じゃない。彼らは「2つ」と言う代わりに、しばしば「ア・カップル・オブ……」という言い方をする。
AKI なんか、聞いたことがあるような気がする。
哲雄 これは、私の仮説なんだけど、どうも、彼らの文化では、すべての事物は「カップル」になって初めて「真」となるんじゃないか。そんな気がしてきたんだ。
AKI 「一対」ってことですか? でも、なぜそうなんだろう?
哲雄 でね、これも私の仮説なので、なんの根拠もないんだけど、どうもこれは、彼らの文化の根底に「善悪二元論」があることと関係があるんじゃないか――。
AKI エッ!? 善悪二元論? 一神教じゃなかったの?
哲雄 一神教ってことは、つまり善悪二元論なんです。神がいれば悪魔がいる。天国があれば地獄がある。
AKI だから「カップル」が重要になるってこと?
哲雄 裏も表も見せて、初めて「真」になるとか……なんだか、そういう意味が込められてるような気がするんだよね。
AKI てことは、永遠にシングルの哲ジイは?
哲雄 いつまでたっても「真」になれない……って? ほっとけ。
【おことわり】ほんとうは、スキンシップ及び身体記号に関する東西の感覚の違いに言及する予定でしたが、ムダ話が過ぎました。続きは次回に――哲雄
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