「天孫降臨」したのは、韓国人…?
不純愛トーク 第302夜
海峡を挟んで「一衣帯水」の関係にある日本と韓国の間には、実は、「日本」という国の成立以前から、浅からぬ因縁がありました。古代までひも解いてみると、もしかしたら、日本人のルーツは韓国なのではないか――という説も浮上してきます。今回は、日本人と韓国人の差別感情の奥に潜む、両地域の因縁を探ってみます――。
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AKI 日本と韓国・朝鮮の間には、古代にまでさかのぼる歴史的因縁があるのではないか? 前回は、そういう話をしようとして、時間切れとなったんですよね?
哲雄 ハァ、そうでしたかね。
AKI 忘れてるし……。
哲雄 確か、前回は、1910年の日本による韓国併合以降に流入してきた朝鮮半島からの労働者が、蔑視や差別の対象となった――という話をしたと思うのですが、実は、日本列島には、それ以前から、多くの人たちが、大陸や半島から流入していました。というより、いまわれわれが「日本人」と思っているもののルーツは、そもそも、「渡来人」だったわけで……。
AKI エッ、そうなんですか?
哲雄 そうですよ。前に、「旧モンゴロイド」と「新モンゴロイド」の話をしましたよね。
AKI あ、覚えてます。元々、日本列島に先にたどり着いて住み着いたのは、「旧モンゴロイド」だけど、そこへ、後から北方系の「新モンゴロイド」が侵入してきて、列島を支配するようになったんですよね?

哲雄 つまり、この国は、「渡来人」によって作られた国である――と言っていいわけです。ていうか、たいていの国は、多かれ少なかれ、後からやって来た民族によって打ち建てられるケースが多いんですけどね。
AKI あの……ひとつ、訊いていいですか?
哲雄 ハイ、何でしょう?
AKI その「渡来人」というのは……?
哲雄 国外……というか、ある権力が支配的である地域に、その域外から渡って来た人たちのことを言います。「帰化人」という言い方もあるのですが、「帰化」と言う場合には、相手の権力に服従し、順化して同化する――という意味で使われます。いまで言うと、「私は日本国憲法を尊重し、その定めに従ってこの国の住人となります」といったところですかね。
AKI じゃ、「渡来」のほうは?
哲雄 単に、「きょうからこっちに住む」とか「住んでもいいよ」ぐらいの意味だと思うんですが、受け入れる側のスタンスから言うと、「来てもらう」に近いか――とも言えます。
AKI てことは、「ウエルカム」な人たち……?
哲雄 ある程度の「敬意」を持って受け入れられた人たち、とは言えるでしょうね。金属の精錬技術とか、鉄器の製造技術とか、陶芸の技術とか、そういう先進の文化や技術を持っている人たちだから、敬意を持って迎え入れられた。そういう中から、日本……というか、当時の大和政権の中枢を担うような「氏族」も誕生していった。「大友氏」とか「秦氏」とか言うのは、渡来系氏族の代表と言われてます。
AKI そういう人たちは、日本人の一部なんですか? それとも大部分?
哲雄 どの時代を基準とするかによるのですが、伊藤俊幸さんが膨大な研究成果を発表している『日本人の起源』というサイトには、こんなデータが紹介されていました。それがこちら。

AKI エッ!? これ、意味がわからない。
哲雄 日本列島の人口は、弥生時代後期から飛鳥時代末期にかけて、約53万人から約539万人へと、爆発的に増えているんだけど、この増加は、農耕文化下での自然増だけでは、到底ムリ。当時の人口自然増加率は、0.1~0.3%程度と推測されているんですが、自然増加率をどのレベルに推定しても、かなり大量の「渡来人」が流入したと考えないと、説明がつかないんですね。この表は、推定される自然増加率ごとに、どの程度の「渡来人」が流入したかをシミュレートしたものです。
AKI エーッと、表によると、自然増加率を0.1%と想定すると300万人ほどが、0.3%程度と想定しても、100万人程度が「渡来」してきたことになるわけですね?
哲雄 そういうことになりますね。そしてね、AKIクン、さまざまな考古学的資料などから、こうした流入は、コンスタントに行われたのではなく、いくつか、どっとまとめて流入してきた時期がある――と言われてるんですね。
AKI それ、流入とかって言うより、民族移動に近いようなものですか?
哲雄 とも言えるでしょうし、見方によっては、「征服」と言ったほうがいいようなものもあります。そんな中で、学会的にも論争の的になったのが、「騎馬民族による日本征服」があったのかどうか――という問題です。AKIクンは、「天孫降臨」という神話は、知ってますか?
AKI 知ってますけど、あれって「神話」なんですか?
哲雄 神話ですねェ。
AKI でも、『日本書紀』に書かれてるんですよね?
哲雄 ええ。『日本書紀』は、神話ですから。
AKI なんだ、私、歴史書かと思ってた。
哲雄 ある時期から後は、歴史書として評価できる部分もあるんだけど、日本で文字による記録が残されるようになったのは、5世紀になってからだからね。それ以前のことについては、口伝などを元に編纂したわけですよ。その編纂を命じたのは、時の権力者である天皇だから、当然、そこには、大和政権にとって都合のいいことが記されることになります。いかに自分たちが「正当な王権」であるか――を主張するために編纂された史書、それが『日本書紀』だと思っていいと思います。なにしろ、完成したのは、奈良時代の720年。そこに、記録も残ってない300~400年も前の話が書いてあったとしても、それを「史実」として受け止めるわけにはいかないわけですよ。
AKI そこに「天孫降臨」の話が出てくるわけですね。
哲雄 ハイ。「天孫降臨」というのは、天界(高天原)を支配する「天照大御神」が、「葦原の中つ国(=ヤマトの国)」を治めるために、孫である「邇邇藝命(ににぎのみこと)」を筑紫の日向(ひむか)の高千穂に天降(あまくだ)らせた――という話なんですがね、これが、何を意味するかについては、さまざまな説が飛び交っています。
AKI 何を意味するか――ですか? でも、神話なんでしょう?
哲雄 ええ、神話ですよ。でもね、神話というものは、何もないところにゼロから創り出されるわけじゃない。その奥には、その神話が比ゆ的に示そうとする何らかの事実、または意図が隠されている――と考えるんだよね、考古学とか文化人類学の世界では。
AKI それで、それで? 「天孫降臨」の話は、何を隠してるんですか、博士?
哲雄 いやいや、私は博士なんぞではないし、考古学者でも、文化人類学者でもありませんから、人が言ってることを紹介するしかないんですが、江上波夫らの学者グループは、これは、
「騎馬民族」による「日本征服」を象徴しているに違いない
――と言ってるんですね。
AKI 騎馬民族……って、昔の中国の北のほうにいたんですよね?
哲雄 満蒙・北シナ方面をテリトリーにしていた「胡族」と呼ばれる民族です。で、この騎馬民族が、朝鮮半島を南下して、任那(みまな)、百済、新羅などの南朝鮮一帯を支配するようになったんだけど、その一部が、海を渡って北部九州にまで侵出し、たちまち、一帯を支配するようになった。これが、4世紀の話。
AKI なるほど。「天孫降臨」と言ってるのは、このことを指しているのではないか――というわけですね。
哲雄 「騎馬民族征服説」をとっている人たちは、そう主張しています。実際、その頃から、古墳などの埋葬品に、それまでの日本列島にはなかった馬具などが頻繁に発見されるようになります。そうして、北部九州一帯を制圧した騎馬民族は、ものすごい勢いで畿内へ、さらに東日本へ――と、侵出していきます。「神武天皇の東征神話」は、どうも、そのことを表しているらしい、と言われているわけです。
AKI でもね、哲ジイ、「任那」っていうのは、日本が朝鮮半島に作った植民地みたいなものなんじゃないの? 教科書には、確か、そう書いてあったような気がしますけど……。
哲雄 昔の教科書にはそう書いてありましたよね。「任那」には「日本府」があって、百済と連盟を結んでた。しかし、唐=新羅連合軍によって攻められ、白村江の戦いで敗北して撤退。以後、半島における拠点を失った――と。でもね、AKIクン、「騎馬民族征服説」をとると、この話は、どうも逆になる。
AKI エッ!? 逆……?
哲雄 風雲急を告げる、対馬海峡、波高し! しかし、残念ながらちょうど時間となりました。この話は次回にね、お嬢ちゃん。
AKI なんか……紙芝居のおじさんみたい……。
哲雄 なりたかったなぁ……。
AKI エッ!!!
哲雄 だから、紙芝居のおじさんに……。


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