日本に永住する「異邦人」=「在日」
不純愛トーク 第300夜
5回にわたってお届けしてきた「人種差別」の問題。ここまで、ヨーロッパでの「ユダヤ人差別」、アメリカでの「有色人種差別」を見てきましたが、今回は、日本での人種差別問題。特に、近年、「排斥運動」が起こるなどして問題になっている、「在日韓国・朝鮮人」差別を取り上げて、その原因、拝啓などを分析してみます――。
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AKI ねェ、哲ジイ、このトークも、もう 300回 になっちゃいましたよ。
哲雄 フーッ。思えば遠くへ来たもんだ。AKIクンも、すっかりおとなになって……。
AKI おとなに……? つまり、オバサンになった、と言いたいわけですね。
哲雄 いや、滅相もない。ますます円熟みを増されて、いまが食べごろという感じでありますなぁ。さて、本日のトークですが……AKIクン、なぜ、私がこのトークを「不純愛トーク」としたのか、覚えていますか?
AKI 確か、すべての愛は不純である――と。それを広く、国民のみなさまに訴えたいとか、見抜かれたいとか、そんなご主旨であったかと思いますが……。
哲雄 見抜かれたい……? ええ、ええ、ハラの中は真っ黒でございますからねェ。しかし、「すべての愛は不純である」というのは、少し説明が必要かと思います。正確には、自分で「純である」と主張する愛ほど、「不純」である。「純」を唱える人たちの心の中では、実は、「不純な動機」が渦巻いている。そのことを指摘して、「純粋な愛」とはどういうものであるかを訴えたい――というのが、本講座開設の目的だったわけでございまして……。
AKI あ、そうそう、そうでしたわ。
哲雄 自ら「純」を唱える人たちは、「偽善者」と言っていいと思うのですが、ここ何回かお届けしている「人種差別」に加担する人たちというのは、その最たるもの――と、私は確信しています。中でもおぞましいのが、「純血」を唱える人たちです。
AKI 確か、セルビアに、そういう人たちがいましたよね。
哲雄 いました――というか、いまもいます。ボスニア・ヘルツェコビナでの戦闘の中でも、そういう「純血主義者」たちが暴虐を尽くしたとして、世界的な非難の対象となりましたし、セルビア国内でも民族対立が激化して、NATOが介入する事態になりました。でもね、AKIクン、日本にも、そういう勢力が確実に存在するんですよ。
AKI ハイ、知ってます。いまでも、在日韓国・朝鮮人に対して、排斥運動みたいなものを仕掛けている人たちがいますよね。でもね、哲ジイ、私、昔から不思議でしょうがないんですけど……。
哲雄 ハイ、何でしょう?
AKI 韓国・朝鮮人って、人種的には、日本人にいちばん近い存在ですよね? なのに、どうして、そんな差別感情が生まれてしまうんですかね?
哲雄 だよね。白人による黒人差別とか黄色人種差別なんていうのは、完全に「肌の色」が違うわけだから、そういう感情が生まれてしまうのには、どこか生理的理由もあるんだろう――と想像できるわけだけど、日本人と韓国人・朝鮮人の間には、そんな生理的理由は存在し得ない。黙っていれば、日本人も、韓国・朝鮮人も、それに中国人だって、区別がつかないくらい、似ているわけだからね。
AKI あ、それなんですけど、日本人も、韓国・朝鮮人も、中国人も、同じ東アジア人ですよね。なのに、日本人と中国人の間では、そんな深刻な差別問題は起こりませんよね?
哲雄 ま、なくはないけど、表面上は目立った問題にはなってませんねェ。でもね、その一方で、日本には、韓流ブームなんてものが起こったりする。これは、どういうことか? 私は思うんですよ、AKIクン。
韓国・朝鮮人差別が特に問題になるのは、
韓国に住む韓国人に対してではなくて、
日本に住んでいる、いわゆる「在日」に対してではないか?
AKI 「在日」っていうのは……?
哲雄 広義には、「在日韓国・朝鮮人」のことを言うんだけど、これには、韓国・朝鮮籍の「中長期在留者」と「特別永住者」があって、狭義で「在日」という場合には、後者の「特別永住者」を指すことが多いと思います。現在のところ、両者を合わせた在留者の総数は、約53万人。そのうち、「特別永住者」は約38万人とされています。
AKI その「特別永住者」というのは? あ、その前に、なぜ、「在日韓国・朝鮮人」って言うの? どっちも同じ朝鮮民族でしょう?
哲雄 そうなんだけど、ご存じのように、朝鮮半島は現在、南の「大韓民国」と北の「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」に分断されています。それまでは「在日朝鮮人」とひとまとめに呼んでいたのですが、1965年の「日韓基本条約」締結後は、大韓民国自身が、「朝鮮」という呼称を排除する運動を展開したこともあって、「韓国人」「朝鮮人」と分けて呼ぶことが一般的になりました。それで、「特別永住者」の話なんですが、AKIクンは、第二次世界大戦が終結するまで、朝鮮や台湾を日本(当時の大日本帝国)が自国の領土として併合していたことはご存じですよね?
AKI ええ、これでも『Qさま』に出てくる程度の歴史知識は持ってますのよ。
哲雄 それは失礼。では、お尋ねしますが、それらの地域に住んでいた人たちの国籍は?
AKI エッ、国籍……? あ、そうか、「日本人」だったんだ!
哲雄 そのとおり。で、それらの領土は、戦後、GHQの施政権下に置かれました。ところが、1952年に「サンフランシスコ講和条約」が発効して、日本が主権を回復すると同時に、朝鮮と台湾が独立することになります。そうすると、国籍はどうなります?
AKI そりゃ、当然、「韓国籍」とか「台湾籍」に戻るんじゃないですか?
哲雄 ふつうに考えると、そうですね。しかし、ここで問題が発生しました。というのも、戦前の朝鮮や台湾は、「日本国内」という扱いだったわけですから、日本にやって来て労働者として働いたり、会社に就職したり、商売を営んだり、あるいは軍人として活躍していた朝鮮人や台湾人は、かなりな数に上りました。中には、労働力確保のために強制的に連れて来られた人たちもいました(

AKI となると、その人たちの国籍はどうなるか――ですよね?
哲雄 もちろん、それぞれの母国の国籍に戻ることになります。正確な数字は、把握されてないのですが、第二次世界大戦終了間際の在日朝鮮人の総数は、200万を超えていた――とも言われています。その多く、約140万人ほどは、終戦後、GHQなどによって進められた「帰還政策」によって、母国に帰還しました。戦災で荒れ果てた日本では、食料調達さえままならない状態でしたから、無傷な母国へ帰還しようとする人たちの数は、そのままの状態であれば、もっと増えただろうと思うのですが……。
AKI ですが……? 何かあったのですか?
哲雄 今度は、朝鮮半島が戦場になりました。1950年に始まった「朝鮮戦争」で国内は荒廃し、当時の韓国政府は、それ以上帰還者を受け入れることは困難――として、送還を拒否するようになります。それに、もっと古く(1939年の朝鮮半島からの「民間雇用」の自由化以前)から日本に定住して、二代、三代にわたり、商売を営むなどしていた人たちの中には、帰還を拒んで日本で生活することを希望した人たちもいました。こうして、60万人あまりが、日本に残留することになるわけですが、そういう人たちもすべて、講和条約とともに、日本国籍を失うことになったんですね。
AKI 母国には帰れない、日本国籍もなくなる。
そういう人たちが60万人も誕生することになったんですか?
それ、なんか、ひどい話ですね。
哲雄 政治的無策のきわみだと思います。そこで苦肉の策として登場したのが、「協定永住者」。日本国籍は付与できないが、永住資格を認める――という、なんとも中途半端な制度が誕生したわけです。1991年には、「入管特例法」で、これが朝鮮籍、台湾籍の人たちにも適用されることになり、「特定永住許可」として一本化されました。この許可を与えられた人たちのことを、「特別永住者」と言うわけです。
AKI フゥ……。やっと「特別永住者」の意味がわかりました。で、哲ジイは、韓国・朝鮮人に対する差別としては、この「特別永住者」に対する差別が問題だ――とおっしゃるわけですね。
哲雄 ハイ。いまだに、この人たちには、選挙権も認められていませんしね。
AKI エーッ、そうなんですか? それって、ひどくないですか?
哲雄 ひどいですよね。世界的にも恥ずかしい制度だ――と、私は思っています。ただ、念のために申し上げておきますが、「韓国・朝鮮系日本人」は、この限りではありませんからね。
AKI エッ、エッ……!? 「特別永住者」とは別に、「韓国・朝鮮系日本人」という区分があるんですか?
哲雄 ハイ。こちらは、「帰化」などによって日本国籍を取得した韓国・朝鮮人のことを言います。英語で言うと、「コリアン・ジャパニーズ」。帰化してしまえば、日本人となんら変わるところがありませんから、通常は、自ら表明しない限り、その出自を問われることもないだろうと思います。
AKI やっぱり、問題は、「特別永住者」に対する差別――ということになるわけですね。
哲雄 そうです。そして、その差別の背景には、単に社会的・政治的権利ばかりではない、文化的・感情的差別も横たわっています。なぜ、そうなのか? それについては、少し面倒な話になりますので……。
AKI では、次回ということにしましょうか。やれやれ……。
哲雄 な、何ですか?
AKI この老いぼれと、この先、どこまでおつき合いすることになるのやら――と思いまして。
哲雄 ですから、それは、1001回を達成するまでは――ですよ。
AKI 生きててくださいね、それまで。


2012年11月リリース
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