「肌の色」が「差別」の理由になった時代
不純愛トーク 第296夜
人が人を差別するのには、さまざまな理由があります。前回は、「なぜ、ユダヤ人は差別されたのか?」という話をしましたが、今回は、「肌の色による差別」の話。アメリカ合衆国で、黒人を中心とする「有色人種」が差別されてきた理由と、その歴史について、語り合ってみます――。
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AKI 前回は、なぜ、ユダヤ人が差別されたのか――という話をお聞きしました。その差別の根っこには、ユダヤ人がその宗教とともに頑なに守り続けてきた「選民思想」がある――という話でしたよね。
哲雄 と同時に、国を失ったユダヤ人たちが、「金貸し」をナリワイとするようになり、銀行業を興して世界の金融を牛耳るようになっていった。そのことへの怨嗟もあるのではないか――という話をしました。実際、21世紀のいまでも、IMF(世界通貨基金)を動かしているのは、ユダヤ資本だと言われてますからね。
AKI その「ユダヤ差別」と「黒人差別」とは、質の異なる差別である――という話でしたよね?
哲雄 どちらも「人種差別」であることには変わりないのですが、「ユダヤ差別」のほうが「文化的・宗教的差別」とするなら、「黒人差別」のほうは、「皮膚的差別」と言っていいかと思います。
AKI 皮膚的差別――ですか?
哲雄 ハイ、文字通り、皮膚の色による差別です。差別されていたのは「黒」だけではありませんよ。「黄」も、差別の対象となりました。「黒」ほどではありませんけどね。
AKI 「黄」っていうのは、中国人とか、日本人とか……?
哲雄 要するに、「黄色人種」ですね。日本人などは、「イエロー・モンキー」とか、最近では「イエロー・キャブ」などと言われて、差別されてきました。
AKI 「モンキー」とか「キャブ」ですか?
哲雄 「モンキー」のほうは、「何でもマネしたがる黄色いやつら」みたいな意味だし、「キャブ」のほうは、「だれでも乗せちまう黄色い尻軽女たち」という意味で使われました。
AKI 「白」は、「黒」も「黄」も差別するんですね?
哲雄 「肌の色」ってのは、生理的な問題でもあるからね。ま、「黒いのは苦手」とか、「黄色いのは苦手」という感覚があるのは、仕方のないことだと思います。日本人だって、西洋人は「赤鬼」とか「毛唐」と言って嫌ったわけですから。でもね、ただ「苦手」というのと、「差別する」というのは、根本的に別の問題です。
AKI 何があると、「差別」になっちゃうんでしょう?
哲雄 まず、そこに、「優劣観」が伴う――ということじゃないですか?
AKI 「白」は「優秀」だけど、「黒」は「劣等」であるとかいう「優劣」の意識ですね?
哲雄 ハイ。もともと西欧人の中には、「白人」こそ優秀である、という意識があります。しかも、同じ「白人」の中でも、「ゲルマン」こそ優秀であるとか、「アングロ・サクソン」こそ優秀である、という意識があったりします。
AKI そう言えば、アメリカには「WASP」なんていう言葉がありましたよね?
哲雄 ハイ、白人(White)で、アングロ・サクソン(Anglo-Saxson)で、プロテスタント(Protestant)であることが、社会の上流に位置するための条件である――とする風潮ですよね。オーストラリアにも「白豪主義」というのがありますし、中国にだって、「漢民族」こそ優秀という意識が、いまだに強く残っています。
AKI 単に、「肌の色」だけじゃないんですね。
哲雄 でも、「肌の色」がいちばん大きいでしょうね。でね、そこに「優劣」の判断が加わって、それが、婚姻とか就職とか待遇とかの障害や差となって現れると、「差別が存在する」ということになるわけですね。
AKI アメリカでは、その最大のものが「黒人差別」だったわけですね?
哲雄 人数が多いので、「黒人差別」だけが目立ってますが、アジア人とか先住民であるインディアンとかも差別されてて、こういう「有色人種」には「公民権」が認められていませんでした。
AKI エッ、「公民権」って?
哲雄 その社会の成員として行使できる各種の権利のことです。選挙権とか被選挙権はもちろん、公共施設を利用する権利とか、公職に就く権利とか……。
AKI エッ、公共施設って言うと、たとえば、バスとか電車とか……?
哲雄 学校とか、図書館とか、レストランとかも――ですね。特に、こうした差別の激しかった南部諸州では、レストランなんかも、黒人席と白人席は隔てられてたし、出入口も「白人用」と「黒人用(有色人種用)」が分けられたりしてました。
AKI でもさ、哲ジイ。アメリカでは、南北戦争で「奴隷制度」は廃止されたんですよね?
哲雄 表向きはね。そのときに、合衆国憲法に修正が加えられて、黒人男性への参政権を認めるなど、公民権を認める修正が実現しました。これが、1865年。でもね、アメリカ合衆国には、各州に「州法」というものがある。市民生活に関する細かい規定は、この「州法」で定められてるんだよね。憲法が、「黒人に公民権を与えよ」と謳い上げても、州法が「鉄道の車両は、黒人と白人で分離せよ」と定めてしまえば、現実には、その州法のほうが現実生活を規定してしまうことになる。
AKI ウソーッ! アメリカって、そういう国なの?
哲雄 そういう国ですよ。なにしろ、「合衆国」ですから。私たちは、ひとくくりに「アメリカ」って言ってるけど、ひとつの国としてまとまっているのは、外交と軍事と財政だけだと思っていい。民法とかの、より細かい国民生活に関しては、各州バラバラ。1964年に、「公民権法」が制定されるまでは、黒人と白人の結婚を禁止していた州もありました。
AKI そう言えば、ゲイ同士の結婚についても、認めている州とそうでない州とがありますものね。
哲雄 そういうことになると詳しいね、AKIクンは。
AKI テヘヘ……それほどでもありませんが……。
哲雄 参考までに、2011年時点での、合衆国の人種構成を見てみると、こうなってます。

白人……78.1%
非ヒスパニック系白人……63.4%
ヒスパニック系白人……14.7%
黒人……13.1%
その他……8.8%
AKI これで見ると、やっぱり、「ヒスパニック系」でない白人が、マジョリティを占めてるんですね。あの……いまさらなんですが……。
哲雄 ハイ、何でしょう?
AKI この「ヒスパニック」っていうのは……?
哲雄 そうですよね。誤解してる人も多いかと思うんだけど、「ヒスパニック」っていうのは、もともとは、「スペインの」とか「スペイン系の」という意味なんだよね。でも、アメリカでのこの言葉の使われ方は、どうも、そうじゃない。スペイン本国からやって来た白人を「ヒスパニック」と呼ぶかと言うと、NOなんだよね。アメリカで「ヒスパニック」というときは、メキシコとかキューバとかプエルトリコ……といった、かつてスペインの植民地であった「ラテン・アメリカ」出身のアメリカ人を指す言葉として使われているようです。
AKI なんか、これも差別っぽい言い方ですね。
哲雄 そうですね。分類としては、「有色人種」のほうに入る場合が多いかもしれません。というのも、ラテン・アメリカでは、人種間の混血がかなり進んでますから、白人とインディオの混血、白人と黒人の混血も、かなりな数を占めると思われます。でね、さっきAKIクンは、「非ヒスパニック系白人」が社会のマジョリティなんですね――と言ったけど、それは、あくまで全米では……って話なんだよね。
AKI わかった。都市部では違うんだ!
哲雄 そのとおり。ロサンゼルスなどでは、「ヒスパニック系」が人種別に見るといちばん多くなってるし、ニューヨークでも、「ヒスパニック系」と「非ヒスパニック系」は、ほぼ拮抗してる。
AKI そこにも、人種差別問題は存在するんですね?
哲雄 ハイ、存在します。
AKI 根が深いんですね、アメリカの人種問題って。
哲雄 だから、公民権運動があれだけ盛り上がった。
AKI マルチン・ルーサー・キングとかが、活躍した運動ですよね。その話、もっと聞きたいです。哲ジイも、その時代の人なんでしょ?
哲雄 「その時代の人」……って、立派に現代人なんですけど……。
AKI だから、その時代の現代人。
哲雄 よくわかんないけど、そういうことにしておきましょうか。では、その話は、次回に。


2012年11月リリース
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