「階級」は、いかにして「差別」を生み出すのか?
不純愛トーク 第294夜
人は、「自分より下」という階級を作りだがる。前回は、そんな話をしました。実は、その「階級」の存在こそが、「差別」を生み出す元凶。「平等」と言われる現代社会の中にも、さまざまな「階級」が存在します。しかし、階級の存在=差別の存在、とは必ずしもなりません。どんな場合に、「階級」は「差別」を生み出すのか? 今回は、話をまとめてみます――。
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AKI 人間は、階級を作りたがる性質を持っている。それが、差別を生む原因のひとつになっているんではないか。前回は、そんな話をしたんですよね。
哲雄 そんな大それた話、いたしましたっけ?
AKI ハイ、いたしました。でも、哲ジイ、いまはもう、貴族とか武士とか町民とかっていう階級は、なくなってるでしょう?
哲雄 ええ、身分制度としては存在しませんね。でも、社会的な階級分化は、依然として行われているんじゃありませんか。刑事ドラマによく出てくる「キャリア」と「ノンキャリア」とか……。
AKI あ、それ、一度、訊こうと思ってたんですけど、何なんですか、「キャリア」とか「ノンキャリア」って?
哲雄 官庁の場合、通常、「キャリア」というのは、4年生大学を卒業して「国家公務員1種」に合格し、「本省採用」された者――を指す場合が多いようです。「キャリア」組は、黙っていても、「室長」レベルまでは横並びで出世します。その後は、激しい出世争いにさらされるんですけどね。
AKI 「ノンキャリア」はどうなるんですか?
哲雄 ある程度のポストまでは就けたとしても、局長クラスとか、最高ポストである「事務次官」まで昇り詰めるってことは、まずないようですよ。警察組織とか自衛隊では、「キャリア」は、最初から幹部扱いだし……。
AKI 最初っから、差をつけられてるわけですか? それって、法律で決められてるんですか?
哲雄 いや、法制化はされてません。単なる慣行なんですが、この慣行は、ちょっとやそっとでは変わりそうにありません。なにせ、明治以来、延々と続けられている慣行ですからね。
AKI そういうのって、民間企業にもあるのかなぁ……?
哲雄 会社によってはあるみたいですよ。採用の段階で、「総合職」として採用したか、「一般職」として採用したか――が、後々の昇進や昇給にも影響してくるとかね。それよりも大きな問題として、「正規雇用」と「非正規雇用」の差別というのがある。
AKI ああ、そうかぁ。女の子同士の間でも、「あの子、派遣のくせに」とか言っちゃいそうだもんなぁ。
哲雄 バツイチのくせに――とかもおっしゃるでしょう?
AKI それは、また、別の問題だと思います。でも……そう考えると、この社会も、「階級がない社会」とは言えないですねェ。
哲雄 全然、言えません。そもそも、資本主義社会というのは、「資本家」と「労働者」という「二大階級」を区分することによって成り立っているわけですからね。
AKI でもね、哲ジイ。「階級」が存在することと「差別」が行われるってことは、イコールじゃありませんよね。
哲雄 というか、これは言葉の使い方の問題だと思います。「階級」が存在すれば、必ず、なんらかの差別は存在するわけですが、「階級」が、社会的に何らかの役割を果たすためのシステムとして機能していて、みんながその役割を必要と認めている場合には、それは「差別」とは言いません。
AKI たとえば、医師と看護師とか、歯科医と歯科衛生士とか……?
哲雄 いや、それは「職能」が違うわけですから、「階級」とは言い難いですね。「機能としての階級」と言うのであれば、部長と課長とか……のほうが近いかもしれません。でもね、AKIクン、日本の組織ってわかりにくくて、部長とか課長は「ポスト=役職」なんだけど、それとは別に、「職階」というものがありまして……。
AKI エッ、「職階」? 何ですか、それ?
哲雄 職場における「身分」のようなもの――と考えたらいいでしょうか。一般の会社だと、「参与」とか「参事」とか「主幹」といった「職階」があるんですね。「参与」は、取締役とか部長レベル、「参事」は課長レベル……というふうに、「職階」と「ポスト」の間には、一定の相関関係があるんだけど、じゃ、「参事」であれば、必ず「課長」かと言うと、そうとも言えない。身分は高いけど、ポストに恵まれない人っていうのもいるんだよね。
AKI フェーッ、ややこしい。でも、何でそんなややこしいものがあるのかしら?
哲雄 たぶんなんだけど、これは、役所の位階制度の名残ではないかと思います。で、その位階を決めるのは、「昇給試験」だったりしたんですね。刑事ドラマ好きのAKIクンだったら、聞いたことあるんじゃないですか? 警察組織の中には、巡査⇒巡査部長⇒警部補⇒警部⇒警視⇒警視正――というふうに階層が作られています。
AKI ああ、あれですよね。杉下右京は「警部」だけど、亀山薫は「巡査部長」とかっていう……?
哲雄 そうです。もちろん、「警部」は「巡査部長」より位としては上だから、相手が「警部」とわかったら、「巡査部長」は「警部殿」とか言って、敬礼しちゃったりします。でもね、位が高いからと言って、必ずしも、いいポストに就けるわけじゃない。
AKI 杉下右京は「特命係」でしたものね。
哲雄 「捜査一課長」とかになるためには、「警部以上」であることが必須だけど、警部だったらだれでも「課長」になれる――というわけではない。「職階」と「ポスト」っていうのは、そういう関係にあるわけです。
AKI するってェと、ご隠居。課長よりもヒラのほうが身分が上――ってことも、可能性としては、あるわけですね?
哲雄 あるでしょうねェ、可能性としてですけど。で、差別の話ですが……。
AKI あ、そうそう。その話をしてたんですよね。
哲雄 ややこしくなるので、この際、「職階」の話は置いておきましょう。部長や課長とヒラ社員の関係、これも差別か――という話ですが、それだけでは「差別」とは言えないでしょう、というところまでお話したんですよね。
AKI ハイ。職務上の上下関係が存在する――というだけでは、「差別」とは言えないだろう、という話でした。
哲雄 仮に、その部長なり課長なりが、「キミ、私は○○と指示しただろう。どうして、その指示を守らなかった?」と部下を叱責したとしても、それは「差別した」ということにはならない。でもね、その部長なり課長なりが、「おまえ、ヒラのくせに、オレよりいいもの食ってんじゃねェか」などと言ったら……?
AKI あ、それは、差別っぽい。「いいもの食う」は、職務には関係ありませんものね。
哲雄 もちろん、気心の知れた間柄であれば、そういう言葉をジョークとして口にすることはありますよ。でも、そうじゃない関係でこんな言い方すると、言われたほうは、「人格を攻撃された」と感じるかもしれません。つまりね、「差別」というのは、そこに「人間としての価値」を貶めるような言葉が含まれているかどうか――が、問題なんだと思うんですよ。
AKI 「いつまでこんな簡単なミスを繰り返すんだ?」はセーフだけど、「おまえ、ほんと、使えないやつだな」とか「おまえ、クズだな」とか言うのはアウト――なんですね?
哲雄 そうですね。
AKI 「高卒のくせに」とかも……?
哲雄 「くせに」と言えば、そこには、相手の「人格」を貶める意図が感じられますから、「差別」になりますねェ。でも、「高卒なのに」とか「高卒とはいえ」だと、その後には、相手を評価する言葉が続くことが推測できますから、それだけでは、「差別」とは言えない。私だったら、そう判断すると思います。
AKI あと、「おまえ、帰国子女かよ」なんていうのもあるし……。
哲雄 そう考えると、「差別」を生み出すのは、社会的ステータスだけではない――ってことになりますねェ。
AKI そう言えば、生まれ・育ちに関するものもありますね?
哲雄 ハイ。この話を始めると長くなるので、そこらへんについては、次回ということにしましょうか。
AKI ファーイ、では、それまで、お元気で。ゾンビ哲雄さま。
哲雄 あ、それ、差別!


2012年11月リリース
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