シンデレラの靴は、なぜ、脱げたのか?
不純愛トーク 第291夜
前回、「シンデレラ」は、ほんとうは残酷な物語だ、という話をしました。しかし、その原型となった物語を深く深くたどっていくと、単に残酷なのではなく、実は、もっとおどろおどろしい話なのだということがわかってきます。この物語の謎を解くカギは、「シンデレラの靴」。なぜ、靴が重要な役割を果たすのか? なぜ、その靴が脱げてしまうのか? そこには深い秘密が隠されていたのです――。
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哲雄 前回、AKIクンは、思いもかけず、鋭い指摘をしてくださいました。
AKI エッ、何のことでしょう?
哲雄 キミは、何でシンデレラの話には、どの話にも、履物が出てくるのか――と、実に意義深い指摘をしてくれました。
AKI でも、哲ジイは、それは、女の持ち物がその女の「性の象徴」であるから――とおっしゃったような……。
哲雄 ハイ。第一義的にはそう考えられます。しかし、それだったら、何も履物でなくてもいい。指輪とか、髪飾りとかでもいいわけでしょう?
AKI でも、髪飾りでは、生体認証ができませんよね。
哲雄 オーッ、さすが。ムダにマッサージはやってませんね。
AKI それ、関係ないと思いますけど……。
哲雄 実はね、AKIクン。世界には、「シンデレラ物語」の原型と思われる民話が、記録に残されているだけでも、450ぐらいあるんですよ。その分布域も、アジアからアメリカのインディオの世界まで、ほとんど世界中に広がっています。
AKI エーッ、そんなにあるんですか?
哲雄 そんなにあるんです。その分布の状況を考えると、そもそも、この話の原型は、現生人類が中近東あたりで二手に分かれて、モンゴロイドとコーカソイドに分かれていくそのときには、すでに存在してたんじゃないか――とも思われるわけです。
AKI それって、何時代の話……?
哲雄 江戸時代とかじゃないのは確かです。
AKI それぐらいわかりますよ。
哲雄 たぶん、旧石器時代から新石器時代に移り変わるあたりか……と思われます。それでね、各地に散在する「シンデレラ原型ストーリー」を点検していくと、その中には、実に多く、不思議な話が登場する。
AKI 実は、シンデレラは幽霊であった――とか?
哲雄 オッ、近い! 実はね、シンデレラが招かれる宮殿が、水中であるっていう話。そして、シンデレラをその宮中に招くのが、魚であったりする。このパターンの話が、実に多いんです。
AKI エッ、水中? まるで、浦島太郎みたいじゃないですか。
哲雄 浦島太郎の話にも、シンデレラ・ストーリーの要素はいっぱい散りばめられてます。でね、この「水中の宮殿」というアイテムが何を意味するか――なんだけど……。
AKI もしかして、死後の世界……とか?
哲雄 正解! 本日のAKIクンは冴えまくってます。
実は、シンデレラの物語は、その原型の原型まで遡ると、
生者と死者の交流というテーマを含んでいるような気がします。
その象徴が、「靴」なのではないか。

文化人類学者の間では、そんなふうにも言われているんですよね。
AKI 靴が……? そう言えば、幽霊には足がないし……。
哲雄 オッ、天才フーゾク軍団、またも、核心に触れる!
AKI だからぁ、フーゾクではない――と、再三、申し上げて……。
哲雄 まぁ、まぁ。で、その靴の話なんですが、こう考えてみましょうか。人間が、「生の世界」に生きているということは、大地を踏みしめている――ということです。その大地の中には、「死」がぎっしり詰まっています。
その「死の世界」と「生の世界」を隔てるツールが、靴である。

そんなふうに考えると、シンデレラが靴を片方失くす、というモチーフが意味するところも見えてきます。
AKI 半分、「死の世界」に足を突っ込んだ……?
哲雄 突っ込んだ……というか、その世界と交流してしまった――と考えたほうがいいと思います。比較的、ペロー版に近い時代の原話でも、シンデレラに服や靴を与える役目が、魔法使いではなく、死んだ母親の霊であったり……というバージョンが、けっこう存在します。
AKI では、靴が脱げる――という行為は?
哲雄 「生の世界」のヒロインを演じていたけれど、実は、自分は「死の世界」とも交流している――ということが、明かされてしまう。そういうことを物語っているのではないか、とも考えられるわけですね。靴が片方脱げると、AKIクンだとどうなっちゃいます?
AKI 跛(びっこ)を引くでしょうね。
哲雄 ですね。ところでね、世界の神話や民話に登場する偉大な預言者とかシャーマンとかは、「跛を引く者」として描かれるケースが多いんです。これは、何を意味するか? 「死」と「生」を隔てる「靴=履物」というツールを失う=「死」の領域と「生」の領域を行き来する、ということではないか。
AKI 深~い!
哲雄 でしょ。「シンデレラ・ストーリー」は、ディズニーが描いて見せたような「夢はきっとかなう」式の「サクセス・ストーリー」なんかじゃ、全然ないんですね。
AKI なぁんだ、感動して損しちゃった。
哲雄 エッ、そういう感想……?
AKI いけませんか?
哲雄 つか、そんな感想しかもらせない人に、真相をお話して損しちゃった、おじさん。
AKI エッ、そっちこそ、そんな感想……? でもさ、哲ジイ、そんなおどろおどろしい話を、おとぎ話みたいな「めでたしめでたしストーリー」に作り変えてしまった、シャルル・ペローって人、逆に、すごくないですか?
哲雄 逆にね。このペローおじさんのすごいところは、そういう物語を編纂せよ――と命じた国王ルイ14世の「ほんとのネライ」にも、見事に応えてみせた。そこがまた、すごいっちゃすごいんだよね。
AKI ルイ14世の「ほんとのネライ」? それって、国民に美しい物語を信じ込ませようとした――っていうだけじゃないの?
哲雄 基本的にはそうなんだけど、その「美しい物語」には、ある特定の「政治的意図」が隠されているんだよね。
AKI 政治的意図……? それって……?
哲雄 それは、シンデレラ物語に登場する人物たちの社会的ステータスに着目するとわかるんですが、これ、また長くなっちゃうので……。
AKI では、次回ということに。みなさん、いよいよ、次回、「シンデレラ物語」に隠された政治的陰謀が暴露されますよぉ~!
哲雄 では、おやすみを。一度も靴を脱がない「灰かぶり姫」さん。
AKI ハ……? 何、それ?


2012年11月リリース
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