第37夜☆「好き」と「嫌い」は、ニオイと触覚で8割決まる!
第37夜
「愛とは何か?」をめぐって、管理人・哲雄がパートナー・AKIを相手に展開する、オヤジ・ギャグ風+ちょっぴりアカデミックおしゃべり。前回は、「心は皮膚が作る」に関して、大脳の「扁桃体」の話が出たところ。今回は、その「扁桃体」が、どんな情報から「好き」や「嫌い」という感情を生み出すのかを、解き明かしていきます。
AKI それで? それで? そのヘントウセンには、どんな情報が入ってきて、「好き」とか「嫌い」という感情が生まれるの?
哲雄 ヘ・ン・ト・ウ・タ・イ!(扁桃体) 「セン」と「タイ」じゃ、大違いなんだから。
AKI 扁桃体、扁桃体。ノドにあるのは扁桃腺、このおじさんはただの変態……。よし、覚えた。
哲雄 あのさ、そういう変な刷り込みをしないでくれるかな。それ、キミの人生に重大な影響を及ぼす恐れがあるんだよ。
AKI いいえ。きわめて有意義な刷り込みだと思います。それで、その情報ですよ、哲ジイ。
哲雄 五感から入ってくる情報すべてです。
AKI というと? 味覚、視覚、聴覚、嗅覚、それと……あ、触覚か。
哲雄 それ、好きな順番に並べた?
AKI そう言えば、そうかもしれない。
哲雄 扁桃体にとって重要な順番に並べると、たぶん、その逆になるね。
AKI ということは、触覚がもっとも重要?
哲雄 もちろん、これらの情報は、脳のどの部分に届くよりも先に、扁桃体に届く仕組みになってる。なぜかっていうと、動物は、身に迫る危険はいち早く察知しなくちゃならないでしょ。過去の記憶と照らし合わせて、これはスルーしてもいい情報かどうかを、まず、扁桃体が判断するわけです。
AKI ウイルス・バスターみたいね。
哲雄 ホーッ!! AKIちゃん、キミはごくまれにいいこと言うね。
AKI なんで、「ごくまれに」だけ太字なんですかッ!? それで? スルーできないって判断したら、どうするんですか、ハカセ?
哲雄 扁桃体レベルで、「これは危険!」とか「キャッ、いやだ!」とか思ったら、とっさに体がそれに応じた行動をとるように、扁桃体から各運動野に指令が送られてしまう。
AKI 反射的に行動してしまうわけですね。
哲雄 ノン! 「反射」はもっと早い。脳に信号が届く前に起こしてしまう行動のことを言うんだ。
AKI 脳に届く前…?
哲雄 たとえば、熱いヤカンに手が触れたら、とっさに手を引っ込めてしまうでしょ? あれが反射なんだけど、こういうときは、脳からの指令を待って……なんていう悠長なことはやってられないから、脊髄で反射して行動を起こす。入力→出力のスピードで言うと、これがいちばん早い。そして、そういう反射を起こさせる刺激は、触覚だけだ。
AKI 扁桃体にとっても、そうなのかなぁ。
哲雄 好き・嫌い・恐怖などの感情を起こさせる情報として、もっとも強烈なのは、やっぱり触覚だろうね。次が嗅覚じゃないか。動物は、だいたいこの2つで、敵と味方を識別したり、危険を察知したりしてるんだと思うよ。
AKI 見た目とかは重要じゃないんだ?
哲雄 ぜんぜん重要じゃない。ぜんぜんッ!
AKI そんなに強調しなくてもいいじゃないですか。別に、私、哲ジイの見た目、扁桃体が拒否するほどひどくはないと思いますよ。
哲雄 そ、それでもホメてるつもりなのか、クーッ……。
AKI 私なりに、せいいっぱい……。
哲雄 だからぁ、結局、私が言いたかったことは……。
AKI 好き・嫌いの感情にとって、いかに「さわる」ことが大事であるか。それを再認識しようではありませんか、みなさん――と、だいたいそんなところですね。
哲雄 あんまり、「だいたい」で片づけてほしくないんだな、これが。問題は、この2つの感覚について、現代人のセンサーがものすごく粗くなってきてるってことなんです。あろうことか、それを滅ぼそうという動きすら見られるのは、まことにどうも……。
AKI オッ、国会答弁風になってきた。で、その滅ぼそうというのは?
哲雄 嗅覚について言うならば、たとえば「無臭化」。生活の臭いや動物としての人間の臭いまで消そうと、躍起になっている人たちがいる。何ですか、あの許しがたいコマーシャルは?
AKI エッ、エッ!? そんなの、ありましたっけ?
哲雄 外から帰ってきた亭主をいきなりファブリーズする、なんてのがあったじゃないですか? あれほど人間の尊厳を傷つけるコマーシャルは、少なくとも長住、この世に生を受けて以来、見たことがありません。
AKI また、始まった。長住候補、今回は、地域を回って、みなさまに「反消臭」の訴えを行っております。
哲雄 孫に「おじいちゃんの口、くさ~い」などと言わせるコマーシャルもありました。
AKI 長住候補、この怒りの声を国政の場に、と訴えております。
哲雄 人のワキの臭いをチェックして回るなどというキャラクターを、臆面もなく登場させたコマーシャルもありました。あれなど、人種差別にもつながりかねない問題表現ですゾ!
AKI 長住候補の怒り、ついに地球規模となっております。
哲雄 スケさん、カクさん、もういいでしょう。
AKI 鎮まれ、鎮まれ~って、それ、自分に言うことでしょ。
哲雄 ま、そんなふうにだね、本来、自然の中で生きるための敏感なセンサーであったはずの嗅覚を、現代人は、自分に都合のいい香りだけを感じ取る器官へと、矮小化しようとしている。触覚については、もっとひどい。このままだと、われわれの生命にも危険が及びかねない深刻な事態が、ひそかに進行しているんですねェ。
AKI な、なんですか、それ?
哲雄 ひとつは、触覚の認知レベルが粗くなっている、ということです。
AKI ン? どういうこと?
哲雄 たとえば、私がキミの肌に触れたとするよね。密度の濃い、きめ細かなセンサーを持っていれば、この人は私をなぐさめようとして触れているのか、征服しようとして触れているのか、甘えたくて触れているのか――その違いを感知することができる。しかし、センサーの密度が粗いと、どのタッチも、みんな同じタッチにしか感じられない。みんないっしょくたにして、「チカン」のひと言で片づけてしまったりする。
AKI それ、臨床的に確かめよう、なんて言わないでくださいね。
哲雄 ダメ?
AKI ダメですッ! でもさ、哲ジイ、なんでそうなっちゃったんだろ?
哲雄 だよね。この話、実はものすごく奥が深いので、次回、じっくり話しましょう。
→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
← 管理人はこれを励みに生きております。ポチッとしていただけると、
モチベーションがすこぶるUPします。
←管理人の脳が元気になるサプリです。ひと押ししていただくと、
アイデアが泉のように湧いてきます。
哲雄 もちろん、これらの情報は、脳のどの部分に届くよりも先に、扁桃体に届く仕組みになってる。なぜかっていうと、動物は、身に迫る危険はいち早く察知しなくちゃならないでしょ。過去の記憶と照らし合わせて、これはスルーしてもいい情報かどうかを、まず、扁桃体が判断するわけです。
AKI ウイルス・バスターみたいね。
哲雄 ホーッ!! AKIちゃん、キミはごくまれにいいこと言うね。
AKI なんで、「ごくまれに」だけ太字なんですかッ!? それで? スルーできないって判断したら、どうするんですか、ハカセ?
哲雄 扁桃体レベルで、「これは危険!」とか「キャッ、いやだ!」とか思ったら、とっさに体がそれに応じた行動をとるように、扁桃体から各運動野に指令が送られてしまう。
AKI 反射的に行動してしまうわけですね。
哲雄 ノン! 「反射」はもっと早い。脳に信号が届く前に起こしてしまう行動のことを言うんだ。
AKI 脳に届く前…?
哲雄 たとえば、熱いヤカンに手が触れたら、とっさに手を引っ込めてしまうでしょ? あれが反射なんだけど、こういうときは、脳からの指令を待って……なんていう悠長なことはやってられないから、脊髄で反射して行動を起こす。入力→出力のスピードで言うと、これがいちばん早い。そして、そういう反射を起こさせる刺激は、触覚だけだ。
AKI 扁桃体にとっても、そうなのかなぁ。
哲雄 好き・嫌い・恐怖などの感情を起こさせる情報として、もっとも強烈なのは、やっぱり触覚だろうね。次が嗅覚じゃないか。動物は、だいたいこの2つで、敵と味方を識別したり、危険を察知したりしてるんだと思うよ。
AKI 見た目とかは重要じゃないんだ?
哲雄 ぜんぜん重要じゃない。ぜんぜんッ!
AKI そんなに強調しなくてもいいじゃないですか。別に、私、哲ジイの見た目、扁桃体が拒否するほどひどくはないと思いますよ。
哲雄 そ、それでもホメてるつもりなのか、クーッ……。
AKI 私なりに、せいいっぱい……。
哲雄 だからぁ、結局、私が言いたかったことは……。
AKI 好き・嫌いの感情にとって、いかに「さわる」ことが大事であるか。それを再認識しようではありませんか、みなさん――と、だいたいそんなところですね。
哲雄 あんまり、「だいたい」で片づけてほしくないんだな、これが。問題は、この2つの感覚について、現代人のセンサーがものすごく粗くなってきてるってことなんです。あろうことか、それを滅ぼそうという動きすら見られるのは、まことにどうも……。
AKI オッ、国会答弁風になってきた。で、その滅ぼそうというのは?
哲雄 嗅覚について言うならば、たとえば「無臭化」。生活の臭いや動物としての人間の臭いまで消そうと、躍起になっている人たちがいる。何ですか、あの許しがたいコマーシャルは?
AKI エッ、エッ!? そんなの、ありましたっけ?
哲雄 外から帰ってきた亭主をいきなりファブリーズする、なんてのがあったじゃないですか? あれほど人間の尊厳を傷つけるコマーシャルは、少なくとも長住、この世に生を受けて以来、見たことがありません。
AKI また、始まった。長住候補、今回は、地域を回って、みなさまに「反消臭」の訴えを行っております。
哲雄 孫に「おじいちゃんの口、くさ~い」などと言わせるコマーシャルもありました。
AKI 長住候補、この怒りの声を国政の場に、と訴えております。
哲雄 人のワキの臭いをチェックして回るなどというキャラクターを、臆面もなく登場させたコマーシャルもありました。あれなど、人種差別にもつながりかねない問題表現ですゾ!
AKI 長住候補の怒り、ついに地球規模となっております。
哲雄 スケさん、カクさん、もういいでしょう。
AKI 鎮まれ、鎮まれ~って、それ、自分に言うことでしょ。
哲雄 ま、そんなふうにだね、本来、自然の中で生きるための敏感なセンサーであったはずの嗅覚を、現代人は、自分に都合のいい香りだけを感じ取る器官へと、矮小化しようとしている。触覚については、もっとひどい。このままだと、われわれの生命にも危険が及びかねない深刻な事態が、ひそかに進行しているんですねェ。
AKI な、なんですか、それ?
哲雄 ひとつは、触覚の認知レベルが粗くなっている、ということです。
AKI ン? どういうこと?
哲雄 たとえば、私がキミの肌に触れたとするよね。密度の濃い、きめ細かなセンサーを持っていれば、この人は私をなぐさめようとして触れているのか、征服しようとして触れているのか、甘えたくて触れているのか――その違いを感知することができる。しかし、センサーの密度が粗いと、どのタッチも、みんな同じタッチにしか感じられない。みんないっしょくたにして、「チカン」のひと言で片づけてしまったりする。
AKI それ、臨床的に確かめよう、なんて言わないでくださいね。
哲雄 ダメ?
AKI ダメですッ! でもさ、哲ジイ、なんでそうなっちゃったんだろ?
哲雄 だよね。この話、実はものすごく奥が深いので、次回、じっくり話しましょう。
→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る

モチベーションがすこぶるUPします。

アイデアが泉のように湧いてきます。
- 関連記事
-
- 第38夜☆「チッ!」と言わせる脳、「まァまァ…」となだめる脳 (2009/05/26)
- 第37夜☆「好き」と「嫌い」は、ニオイと触覚で8割決まる! (2009/05/23)
- 第36夜☆「さわる」が最後じゃ、順番が逆? (2009/05/21)