女を「安売り」してはいけない《社会的理由》
不純愛トーク 第284夜
自分の都合で働きたい――と主張する女性たちは、この20年ほどの間に、どんどん自分を「安売り」する術を身に着けていきました。その結果、起こったことは、労働力全体のコストダウン。自分を「安売り」すると、それは、働く人間全体を「安売り」することにつながります。その元凶が「寿退社」と「派遣社員」。このままじゃ、日本のワーキング・ウーマンは「ワーキング・プア」になる。今回は、そんな真面目な話をお届けします――。
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AKI 前回は、女性自身の中に「女性差別」を助長するような部分があるのではないか――と、そういうお話でございましたわね。やや、耳に痛いようなところもありましたが……。
哲雄 大いに痛んでくれたまえ。
AKI 哲ジイは、就業する側の女性の意識を変えなくちゃ、問題は解決しない――とおっしゃいましたが……。
哲雄 ハイ、まず「寿退社」を「いいわねェ」などと思う気持ちを捨てよ、と申し上げました。
AKI つまり、「腰かけ意識」で働くんじゃねェ――ってことすね?
哲雄 私、そんな汚い言葉を使った覚えはありませんけど……。
AKI でも、そうなんでしょ? 要するに、「自分の売りは若さで~す!」みたいな意識ですよね。
哲雄 これだけは、覚えておいてほしいんですよ。「若い」ということは、「労働コスト」としては「安上がり」ってことです。高度な専門知識や熟練を必要とする仕事なら、別ですよ。でも、ちょっと研修すればだれでもできるような仕事であれば、会社としては、そりゃ、安い給料でこき使える人間のほうがいいに決まってる。
AKI 3~4年、働いて、さっさと寿退社してくれる――なんてのは、理想的ってわけですね?
哲雄 そのとおり。なのに、女性の中には、「いいのよ。私は3~4年働いて、いい人見つけて、とっとと専業主婦になるから」なんてつもりで、就職しようとする人が、少なからずいらっしゃいます。
AKI つまり、それは……。
哲雄 ハイ。まんまと、ワナにはまっているのですね。「若くて安い労働力を使い捨てにしたい」という、雇用者側の。
AKI でもね、哲ジイ。いったん、結婚・出産のために退職した人たちを再雇用するって会社も、あるみたいですよ。
哲雄 パートとして……でしょ?
AKI エッ、パートなんですか?
哲雄 ほとんどがそうだと思います。再雇用はするけど、それまでのキャリアとかは考慮されず、現役時代よりも劣悪な条件で働くならいいよ――と言われる。これが、日本の現状ですかね。
AKI だから、寿退社なんてするんじゃない――ってことなんですね。
哲雄 少なくとも、そんなことを「女の花道」なんて考えるような価値観で、就職先を選んでほしくない、と思うわけです。それともうひとつ。
AKI わかった。どんなにおいしい言葉で誘われても、「派遣」はダメだ――でしょ?
哲雄 ハイ。「派遣」というシステムは、どんなにきれいごとを並べようとも、所詮は、「労働力」の「量り売り」です。働く立場から言えば、「働きたいときだけ働ける」というシステムとも言えるけど、それは、経済が右肩上がりで、人材が引く手あまたである――という状況でだけ言えることで、雇用する立場から言えば、「派遣でいいです」なんて言う人材は、「いつでもカットできる使い捨て人材」でしかない。このことを、どうか頭に入れておいていただきたい、ということなんですね。
AKI ま、私の仕事も、派遣ちゃあ、派遣ですが……。
哲雄 キミの場合は、派遣店舗と雇用契約を結んでるわけじゃないでしょ? どっちかと言うと、個人事業主ということになりますねェ。
AKI オーッ、事業主!
哲雄 そんなことで喜んでどうします? さて、以上は、前回もチラとお話したことではありました。今回、私が申し上げたかったことは、人にとって「働く」ということは、そして、その労働条件を選ぶということは、ひとり、あなただけの問題ではありませんよ、ということなんです。
AKI エッ、私だけの問題じゃない? いったい、だれの問題だっていうんです?
哲雄 働く人、全体の問題です。
AKI 全体……ですか?
哲雄 たとえば、AKIクンが、「あ、私は、夜の仕事がありますから、給料? いくらでもいいですよ」と、通常、時給1000円の仕事を、800円でもOK――と、受けちまったとしましょうか。
AKI 私、そんな時給じゃ、働きませんけど……。
哲雄 だから、たとえば――ですって。もし、キミが「そんな条件でもいいですよ、どうせヒマですから」と、その仕事を受けてしまったら、キミはそのことで、「時給1000円でなければ暮らせない」という人の仕事を奪ってしまうことになります。
AKI なるほど。
哲雄 つまりね、AKIクン、だれかが自分をバーゲンするということは、働きたいと思っている女性全体をバーゲンすることになってしまうんだよ。
AKI でもさ、哲ジイ。それはしょうがないんじゃないですか? 競争の社会なんだから。
哲雄 ホウ、そうですか? じゃさ、仮にキミの本業でもいいや。これからは、外国人のマッサージもOKにしましょう――てな話になったら、どうでしょう? 実際、TPPに加盟しちまうと、そういう話になると思うんだけど、そうなると、フィリピンやインドネシアから、キミよりはスタイルも顔もいい、歳も若いエステティシャンが、ドバーッと日本市場に流れ込んできて、キミたちの半額の料金で宅配サービスを始めたりするかもしれない。それでも、キミは、競争社会なんだから、それも仕方ないと言ってられますか?
AKI んもォ―ッ、いじわるッ!
哲雄 エッ、エーッ!? 何なの、そのリアクションは?
AKI だから、それは……困るっていうか、ダメでしょ、そういうのは……。
哲雄 でも、キミの言うように、競争社会だからしょうがない――なんて言ってたら、そういうことになっちゃいますよ。
AKI ウーン、どうすればいいのかしら? ねェ、哲ジイ。わたし、どうやって生きていけば……?
哲雄 あらら、シリアス・モードになっちゃった。だからね、意識を変えなくちゃダメだ――と、申し上げてるんです。しかし、意識だけじゃダメなので、私は、規制が必要だ、と考えてます。
AKI でも、いま、世の中は、「規制緩和」に向けて、動いてますよね?
哲雄 ええ。それが問題だ――と、私は申し上げてます。「規制」の中には、大手企業の既得権を守るための規制もありますが、立場の弱い人間を守るための規制もあります。
AKI たとえば……?
哲雄 最低賃金を守りなさい――とか、正規雇用に対する非正規雇用の比率をこれくらいに抑えなさい――とか、ま、いろいろ。ところが、「規制緩和」を主張する人たちは、そういう規制も取っ払って、市場の原理に任せなさい――と、主張してるんですね。
AKI それ、絶対、反対!
哲雄 オッ、AKI、目覚める! ほんとはね、AKIクン、私は、日本も、ユニオン・ショップ制にすべき――と思っているんです。
AKI ユニオン・ショップ? そんな店、できたんですか?
哲雄 いや、お店じゃなくてね、これ、労働組合と企業のありようを指す言葉なんです。要するに、労働者たちが職種別の労働組合を作って、企業は、このユニオンに加入している労働者しか雇用してはいけない――とする仕組みなんですよね。
AKI それ、日本にはないんですか?
哲雄 ないんですね。AKIクン、作ってみませんか?
AKI エッ、私が……? 全国出張エステティシャン・ユニオンとか……?
哲雄 いいね、それ。よし、決めた。キミを初代委員長に任命する。
AKI ちょ……ちょっと待ってくださいよォ。


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