自ら「性差別」を生む、「寿退社」を望む女たち
不純愛トーク 第283夜
何回かにわたってお届けしている「フェミニズム」の話。前回は、「性差」と「性差別」は違う、という話をしました。今回は、その「性差別」を生み出すのはだれか? という話をしようかと思います。実は、この差別、ある意味では、「気軽に働きたい」という女性自らが作り出している場合がある、という話をご紹介します――。
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AKI 「性差」と「性差別」は違う。前回は、そんな話をしたんですよね? 「性差」は生まれつき持っている「男としての性質」「女としての性質」の違いを言うのであって、それまで失くせ――と主張する一部のフェミニズムの主張は、おかしい。一方、「性差別」は、社会的・文化的に創り出されるものであって、哲ジイはこの差別は失くすべきだと考えている。そういうお話でしたよね?
哲雄 よくできました、ローラちゃん。
AKI だから、ローラじゃないってば。でも、哲ジイ。前回、気になることをおっしゃいましたよね。その差別を生み出しているのは、女性自身かもしれないって。
哲雄 正確に言うと、ちょっと違う。女性自身が差別を生み出すのじゃなくて、女性を差別する方向に働く社会の仕組みを、女性自らが側面からサポートするような行動をとった――ということでしょうね。
AKI 具体的には、どんなことをやったんです?
哲雄 そうだね。いろいろあるんだけど、ひとつは、「女は家庭を守るべき」という運動を、女自身が起こした。主に、アメリカの「キリスト教系保守」と呼ばれる層に属する女性たちは、社会に進出して男性と対等に働くことを求める女性たちを攻撃の対象としました。彼女たちは、「人工中絶」「同性愛」を嫌悪し、「男女共同参画」に異を唱え、それらが「少子化」を招く元凶である――と非難しました。
AKI 日本にもいますよね、そういう人たち。
哲雄 いますねェ。恐ろしくヒステリックなおばさんたちばかりですが……。しかし、私は、こういう人たちは、すでに生物的使命を終えてる――と思ってますから、大して気にしてません。昔は、こんな女たちもいたんですよ――と、博物館にでも飾っておけばよろしい。
AKI ワッ、手厳しい!
哲雄 それよりも問題なのは、男女雇用機会均等法の波に乗って仕事の世界に乗り出しながら、「お気楽」「お手軽」を貫こうとする女性たちのほうだ、と思ってます。
AKI エッ!? 「お手軽」「お気軽」に? それ、どういうことですか?
哲雄 仕事はしたい。しかし、過重な責任を負わされたりするのはイヤだ。できれば、働きたいときだけ働けるような雇用スタイルのほうがいいんだけど……とか。
AKI そういう人たちは、派遣社員とかになるんじゃないですか?
哲雄 そこなんですよ、AKIクン。私は、この派遣労働というシステムを認可してしまった日本の労働行政と、そこにつけ込んで「働き方いろいろ」なんていうおいしいコピーを振りまいては、日本の女性労働力を「スポット化」していった「派遣会社」、そして、深く考えもせずにそのシステムに乗っかってしまったおバカな女たち。この3者が、「女性差別」を助長した「三悪」だと思っているんです。
AKI 「三悪」とまで言いますか?
哲雄 言います。前回もデータをお見せしましたよね。「管理的職業に占める女性の割合」が、日本は、世界最低レベルに近い――という話。
AKI ハイ、日本は韓国、フランスと並んで、群を抜いて低かったのを覚えてます。
哲雄 そういう結果を生み出している原因のひとつに、女性自身の意識の低さを挙げてもいいんじゃないかと思ってます。
AKI 「お気楽」「お手軽」に働きたい――っていう意識の低さですか? もしかして、「寿退社」を望む人たちも、哲ジイに言わせると、意識が低いってことになるんでしょうね?
哲雄 そもそも「寿」っていうのが、なんじゃ、それ――という感じではありますがね。ただ、結婚から出産へ、その後の育児期間てことも考えると、いったん退職してってことも、選択肢としてはありかもしれない。しかしね、そうしていったん社会から退いた人が、もう一度、社会に出て……と考えたときに、用意されている働き方としては、「パート」ぐらいしかない。
AKI そうかぁ。あんまり軽く「寿ィ~!」とか言ってられないんだ。
哲雄 それこそ、会社の思うツボ。
AKI 思うツボ? 会社って、そんなこと考えてるの?
哲雄 そりゃ考えるでしょ。企業というものは、どんな企業であれ、常にコストは削減したいと思ってますからね。高度な専門職とか技術職だと、従業員が勤続を重ねてスキルを磨いてくれることは、企業の利益にもつながるんだけど、そうではない、いわゆる「一般職」の女性労働者の場合、勤続年数が増えて人件費コストが上がるよりも、どんどん入れ替わってくれたほうが、会社としては助かる。「寿退社、大いにけっこう」と思うはずなんだよね。
AKI まんまと、会社の思惑にはまってしまうわけですね?
哲雄 私が政権をとった暁には……。
AKI エッ、そんなこと考えてるの、哲ジイ? 「性権」じゃなくて……?
哲雄 ええ、「性権」は、もう飽きちゃったもんで……。
AKI ウソつき! それで? 政権をとった暁には、何をするんです?
哲雄 「寿退社禁止法案」の成立を目指します。
AKI ウソーッ! そんなことしたら……。
哲雄 結婚する人がいなくなる?
AKI つか、就職する人がいなくなるかも……。
哲雄 オイ、そっちかい? これだからなぁ、近頃の若い女は。ま、いいでしょ。ともかくね、「性差別」という問題を考えるときには、その「差別」を生み出す構造の根本がどこにあるか――ってことを考えないと、問題の本質を見失う、ということを、私は申し上げたかったわけですよ。対立軸を見失うな、ってことですね。
AKI 対立軸……? それ、「男vs女」じゃないわけですね?
哲雄 そのとおり。「女性差別」の問題の根っこは、「男という集団」と「女という集団」の間にあるのではなくて、「人を安く、便利に使い捨てたい」と思う集団と「使われる人間の地位・待遇を保証せよ」と要求する集団の対立にあるんですね。そこを見ないと、問題の本質を見失ってしまいます。
AKI 問題をすり替えるな――ということですね?
哲雄 オーッ、いいことを言う。まさに、その「すり替え」が、こと男女差別の問題に関しては、しばしば行われてしまうんですね。それは、男と女の問題じゃないだろう、と思うことを、「男と女の問題」にしてしまう。すると、だれが得するのか?
AKI そりゃ、経営者でしょ?
哲雄 そうなんだよね。たとえば、会社の管理職が、部下である女性を取引先の男性の接待に同行させて、本来の業務を超えた接待をするように求めたとします。これを「セクハラです」と言ったのでは、問題は、「男女の問題」に矮小化されてしまいます。しかし、問題の本質はそこにはない。
AKI そうかぁ。過剰な接待を強要する会社の管理体制そのものが問題だ――と、哲ジイはそう言いたいわけですね?
哲雄 です。男女差別の根っこには、使用者側と被使用者側の権利に関わる問題がある。そこを突かないと、問題は本質的には解決しない。では、どうすればいいか?
AKI どうすればいいんです?
哲雄 まず、安倍政権を倒す。
AKI い……いきなり、そこに行っちゃいますか?
哲雄 最終的には、市場原理主義、強欲資本主義体制を倒すしかないんですが、ま、そんなこと言っても、ちょっと遠い話になっちゃいますからね。とりあえずは、就業する女性の側の意識を変えていくところからじゃないですか?
AKI どこをどう、変えろ――とおっしゃるんでしょうか?
哲雄 ようがす。次回、その話をしましょう。


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