第35夜☆心は皮膚が作る説をめぐって
哲雄 彼女いながら、SEXするのがメンドくさい。だから、デリバリーでエステしてもらう。そんなクラゲ男が増殖中……と、前回は、そんなお話でしたね、委員長。
AKI まだ、委員長やらせる気ですか?
哲雄 なにしろ、適任者がいないもんで……。でもさ、そうでもない男もいるでしょう? たとえば、彼女がなかなかオープン・ゲートしてくれないとか、遠く離れててなかなか会えないとか……。
AKI いますよ。ま、そういう方たちのガス抜きをしてあげるのも、私たちエステ・レンジャーの大事な使命と心得ているのでございますよ。
哲雄 エ、エステ・レンジャー。あの、テキサス・レンジャーとか、ローン・レンジャーとかのレンジャー?
AKI ふ、古すぎますッ! だれも知らないですよ、そんなの。でもね、哲ジイ、出張エステって、ガス抜きのためだけに利用するには、ちょっと高いでしょ? だから、若い人たちは、もっと手っ取り早いところへ行くと思うの。
AKI まだ、委員長やらせる気ですか?
哲雄 なにしろ、適任者がいないもんで……。でもさ、そうでもない男もいるでしょう? たとえば、彼女がなかなかオープン・ゲートしてくれないとか、遠く離れててなかなか会えないとか……。
AKI いますよ。ま、そういう方たちのガス抜きをしてあげるのも、私たちエステ・レンジャーの大事な使命と心得ているのでございますよ。
哲雄 エ、エステ・レンジャー。あの、テキサス・レンジャーとか、ローン・レンジャーとかのレンジャー?
AKI ふ、古すぎますッ! だれも知らないですよ、そんなの。でもね、哲ジイ、出張エステって、ガス抜きのためだけに利用するには、ちょっと高いでしょ? だから、若い人たちは、もっと手っ取り早いところへ行くと思うの。
哲雄 デリヘルとか…?
AKI じゃなくて。だって、デリヘルであろうが、エステであろうが、出張型は高くつくもの。だから、若い人は、固定店舗型の店に行くと思うの。回春マッサージだって、固定型の店だったら、60分1万円ぐらい、安いところだと7000~8000円ぐらいですんじゃうもの。
哲雄 交通費も取られないしねェ。それでアキハバラ…なんだ。
AKI ウン。昔はね、歌舞伎町とかがそういう店のメッカだったりしたんだけど、ホラ、なんとかいう知事さんが、歌舞伎町浄化作戦とかやっちゃったでしょ?
哲雄 けしからんよなぁ、あの男。そもそも「浄化」という言葉が気に食わない。そのうち、ゼッタイ言い出すよ、「民族浄化」とかさ。そういう体質なんだ、あいつは。
AKI ホラぁ、また、脱線しちゃう。
哲雄 エーッと、つまり、キミたちのサービスを利用する独身男の中には、あまり若いのはいない――と、こういう話ですね。
AKI そうそう、そういう話。どうしても、ある程度、経済的にゆとりのある人たちで独身となったら、年齢的にも30代半ば以上。もっともっと、ず~っと(チラッ…)上の人たちもいますけどね。
哲雄 とか言いながら、ひとの顔見るんじゃありません!
AKI でね、そういう人たちが多い地域ってなると、どうしても西のほうになっちゃうんですよ。
哲雄 そ、そうなの?
AKI 統計的にもそうらしいのよね、残念ながら。東京の場合だと、隅田川を境に東と西に分けてみるでしょ。そうすると、年収とかがずいぶん違うらしいの。
哲雄 バカにしてるのか、キミは、東に住む人間を?
AKI あ、哲ジイも東のほうだっけ? だからぁ……それは、統計上そうなってるんだって。なわけだから、どうしても出張エステとかの店は、新宿、五反田、品川あたりが多くなるの。それに、そっちのほうがホテルとかも多いでしょ?
哲雄 ホテルが関係あるの?
AKI 大ありですよ。だって、うちの店だと、お客さんの2~3割は出張族だもの。
哲雄 東京出張の思い出に、出張エステいかがですかぁ? 回春エステいかがですかぁ?
AKI ネ、哲ジイ。なんか……バカにしてるっぽいんですけど。
哲雄 してませんって。この私だって、出張先の寂しい夜とかには、だれかに会いたくなっちゃうし、だれかにさわってもらいたくなるでしょうから、たぶん。
AKI 別に、わざわざ出張しなくても、哲ジイの場合は年中、寂しい夜じゃないですか?
哲雄 言ってはいけないことを口にしましたね。キ、キミは、私の地雷を踏みましたね!
AKI 踏んでませんッ! それは地雷じゃなくて、ありふれた現実です!
哲雄 そ、そんなにありふれてるのかね。
AKI もう一度、きちんと整理しておきますね。お店として統計をとってるわけじゃないから、これは、あくまで私の個人的観察によると…なんだけど、私たちを呼ぶお客さんの20~25%ぐらいは、出張族。これは、未・既婚を問いません。残り75%のうち、半分弱、全体の30~35%ぐらいが既婚者、あとの40~45%が独身なんだけど、その半分は、彼女がいる人たち。つまり、哲ジイのような、奥さんもいなければ、彼女もいないっていうかわいそうな人たちが、全体の20~23%ぐらいはいるってことなの。
哲雄 「かわいそう」だけ余計です。
AKI そうよね、謳歌してるんだもんね、ひとり暮らしを。ひとり寂しくAV見たりしながら……。
哲雄 なんか、いちいち引っかかりを感じるなぁ。だいいち見ないし、AVなんて。
AKI でも、寂しいんでしょ?
哲雄 寂しいのは、皮膚なんです。心じゃありませんッ!
AKI エッ!? 心じゃないの?
哲雄 もし心が…と言うなら、それは皮膚が作る心です。
AKI これまたわからない。皮膚が心を作るんですか?
哲雄 常識ですよ、そんなの。だって、動物を見てごらんなさい。
AKI サルとか、犬とか、ネコとか……?
哲雄 犬もさわれば、ネコもさわる。
AKI どっかで聞いた言葉だなぁ。
哲雄 とにかく、さわるんです。カレらの人間関係……あ、人間じゃないか、動物関係は、まず、相手に触れることから始まります。触れることによって、あるいは触れさせることによって、大脳の辺縁系にセットされたセキュリティ・システムが解除される。これ、人間に限らず、動物の中に「相手を受け入れる」という感情を芽生えさせるためには、とても重要なプロセスなんです。
AKI それ、もしかしてグルーミングのことを言ってるわけですね。
哲雄 さすが、わが相棒。まず「さわる」があって、それから愛情です。
AKI まずチカンして、それからナンパする……と、こういう順番ですか、ハカセ?
哲雄 どうしてもキミは、そっちのほうへ持っていくねェ。しかし……言われてみれば、それも一分の理ありだなぁ。
AKI でしょ、でしょ? それに、私たちのマッサージも……と、それを言いたかったわけね、哲ジイは?
哲雄 おっしゃるとおり。すべてのマッサージはグルーミングである。そして、人は、グルーミングなしには生きていけない。
AKI ン? てことは……?
哲雄 続きは、次回に。
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AKI じゃなくて。だって、デリヘルであろうが、エステであろうが、出張型は高くつくもの。だから、若い人は、固定店舗型の店に行くと思うの。回春マッサージだって、固定型の店だったら、60分1万円ぐらい、安いところだと7000~8000円ぐらいですんじゃうもの。
哲雄 交通費も取られないしねェ。それでアキハバラ…なんだ。
AKI ウン。昔はね、歌舞伎町とかがそういう店のメッカだったりしたんだけど、ホラ、なんとかいう知事さんが、歌舞伎町浄化作戦とかやっちゃったでしょ?
哲雄 けしからんよなぁ、あの男。そもそも「浄化」という言葉が気に食わない。そのうち、ゼッタイ言い出すよ、「民族浄化」とかさ。そういう体質なんだ、あいつは。
AKI ホラぁ、また、脱線しちゃう。
哲雄 エーッと、つまり、キミたちのサービスを利用する独身男の中には、あまり若いのはいない――と、こういう話ですね。
AKI そうそう、そういう話。どうしても、ある程度、経済的にゆとりのある人たちで独身となったら、年齢的にも30代半ば以上。もっともっと、ず~っと(チラッ…)上の人たちもいますけどね。
哲雄 とか言いながら、ひとの顔見るんじゃありません!
AKI でね、そういう人たちが多い地域ってなると、どうしても西のほうになっちゃうんですよ。
哲雄 そ、そうなの?
AKI 統計的にもそうらしいのよね、残念ながら。東京の場合だと、隅田川を境に東と西に分けてみるでしょ。そうすると、年収とかがずいぶん違うらしいの。
哲雄 バカにしてるのか、キミは、東に住む人間を?
AKI あ、哲ジイも東のほうだっけ? だからぁ……それは、統計上そうなってるんだって。なわけだから、どうしても出張エステとかの店は、新宿、五反田、品川あたりが多くなるの。それに、そっちのほうがホテルとかも多いでしょ?
哲雄 ホテルが関係あるの?
AKI 大ありですよ。だって、うちの店だと、お客さんの2~3割は出張族だもの。
哲雄 東京出張の思い出に、出張エステいかがですかぁ? 回春エステいかがですかぁ?
AKI ネ、哲ジイ。なんか……バカにしてるっぽいんですけど。
哲雄 してませんって。この私だって、出張先の寂しい夜とかには、だれかに会いたくなっちゃうし、だれかにさわってもらいたくなるでしょうから、たぶん。
AKI 別に、わざわざ出張しなくても、哲ジイの場合は年中、寂しい夜じゃないですか?
哲雄 言ってはいけないことを口にしましたね。キ、キミは、私の地雷を踏みましたね!
AKI 踏んでませんッ! それは地雷じゃなくて、ありふれた現実です!
哲雄 そ、そんなにありふれてるのかね。
AKI もう一度、きちんと整理しておきますね。お店として統計をとってるわけじゃないから、これは、あくまで私の個人的観察によると…なんだけど、私たちを呼ぶお客さんの20~25%ぐらいは、出張族。これは、未・既婚を問いません。残り75%のうち、半分弱、全体の30~35%ぐらいが既婚者、あとの40~45%が独身なんだけど、その半分は、彼女がいる人たち。つまり、哲ジイのような、奥さんもいなければ、彼女もいないっていうかわいそうな人たちが、全体の20~23%ぐらいはいるってことなの。
哲雄 「かわいそう」だけ余計です。
AKI そうよね、謳歌してるんだもんね、ひとり暮らしを。ひとり寂しくAV見たりしながら……。
哲雄 なんか、いちいち引っかかりを感じるなぁ。だいいち見ないし、AVなんて。
AKI でも、寂しいんでしょ?
哲雄 寂しいのは、皮膚なんです。心じゃありませんッ!
AKI エッ!? 心じゃないの?
哲雄 もし心が…と言うなら、それは皮膚が作る心です。
AKI これまたわからない。皮膚が心を作るんですか?
哲雄 常識ですよ、そんなの。だって、動物を見てごらんなさい。
AKI サルとか、犬とか、ネコとか……?
哲雄 犬もさわれば、ネコもさわる。
AKI どっかで聞いた言葉だなぁ。
哲雄 とにかく、さわるんです。カレらの人間関係……あ、人間じゃないか、動物関係は、まず、相手に触れることから始まります。触れることによって、あるいは触れさせることによって、大脳の辺縁系にセットされたセキュリティ・システムが解除される。これ、人間に限らず、動物の中に「相手を受け入れる」という感情を芽生えさせるためには、とても重要なプロセスなんです。
AKI それ、もしかしてグルーミングのことを言ってるわけですね。
哲雄 さすが、わが相棒。まず「さわる」があって、それから愛情です。
AKI まずチカンして、それからナンパする……と、こういう順番ですか、ハカセ?
哲雄 どうしてもキミは、そっちのほうへ持っていくねェ。しかし……言われてみれば、それも一分の理ありだなぁ。
AKI でしょ、でしょ? それに、私たちのマッサージも……と、それを言いたかったわけね、哲ジイは?
哲雄 おっしゃるとおり。すべてのマッサージはグルーミングである。そして、人は、グルーミングなしには生きていけない。
AKI ン? てことは……?
哲雄 続きは、次回に。
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