未婚の娘に「性」を仕込んだ男たち

未通のまま嫁に出すのはよくない――と、かつては
娘に「性」を仕込むシステムが存在していました。
性とエッチの《雑学》file.102 R15
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。15歳未満の方はご退出ください。
【今回のキーワード】 夜這い 初夜権

【リンク・キーワード】 エロ エッチ 官能小説 オーガズム 不倫
前回、少年には、年配女性が性を手ほどきしてくれる「おこもり」などの「社会的システム」があった――という話をしました。
まだお読みでない方は、こちらの記事をご参照ください。
⇒『若者に「性」を教えるおとな』
では、娘に関してはどうだったのでしょう?
残念ながら、男子の場合のような、「公的な」性の手ほどきの場は、用意されてなかったようです。
しかし、若い娘が何も知らないまま婚姻に臨むのは、あまりよろしくない――とする考え方も、各地に存在していました。そういう娘たちに、「性」の手ほどきをするのは、親戚中の年長者であったり、土地の有力者であったり、場合によっては、神職者や世俗の権力者(領主など)であったりしました。
これらの風習は、このシリーズでも取り上げた「初夜権」の風習との区別があいまいなので、はたしてそれが、単に「初夜権の行使」として行われたのか、それとも娘への「性教育」の意味で行われたのかは、いまとなっては確かめようがありません。
「初夜権」については、下記の記事で詳しく解説しています。よろしければ、ご参照ください。
⇒『「初夜権」って、ほんとにあったの?』
⇒『「処女」が「神」に捧げられた時代』
そんな中には、これはどうも、教育的要素が強いのではないか――と思われるものもあります。いくつかご紹介しておきましょう。

⇒『若者に「性」を教えるおとな』
では、娘に関してはどうだったのでしょう?
残念ながら、男子の場合のような、「公的な」性の手ほどきの場は、用意されてなかったようです。
しかし、若い娘が何も知らないまま婚姻に臨むのは、あまりよろしくない――とする考え方も、各地に存在していました。そういう娘たちに、「性」の手ほどきをするのは、親戚中の年長者であったり、土地の有力者であったり、場合によっては、神職者や世俗の権力者(領主など)であったりしました。
これらの風習は、このシリーズでも取り上げた「初夜権」の風習との区別があいまいなので、はたしてそれが、単に「初夜権の行使」として行われたのか、それとも娘への「性教育」の意味で行われたのかは、いまとなっては確かめようがありません。

⇒『「初夜権」って、ほんとにあったの?』
⇒『「処女」が「神」に捧げられた時代』
そんな中には、これはどうも、教育的要素が強いのではないか――と思われるものもあります。いくつかご紹介しておきましょう。

和歌山県の勝浦港には、娘が年頃になると、長老にその身柄を託して、「破瓜(はか=処女膜を破ってもらうこと)」してもらい、そのお礼として米や酒などを渡すという風習があった――と、和歌山県出身の博物学者・南方熊楠が、その著書の中で書き残しています。
エッ!? お礼までもらってたわけ?

そんな長老なら、及ばずながら、この長住もなってみたいものだ――と思うのですが、もちろん、こういうことが行われていたのは、せいぜい、明治の初期頃までではなかったか、と思われます。
この「教育係」は、親族の男の中から選ばれることもあったようです。


こうした風習が記録として残っていない地域でも、幅広く行われていたのが、「夜這い」の風習です。

「夜這い」というのは、未婚の娘の寝所などに村の若い男が忍んで行って、その娘と性交するという風習で、農村部を中心に、全国で幅広く行われていました。
年頃の娘を持つ親は、若い男が忍び込みやすいように、わざと戸締りを緩くするなどの協力態勢をとり、そうして忍んできた若者の中から、娘の婿となる者が現れることを期待していた、とも言われています。
「娘の性」を村の男たちに解放するのは、農村部などでは、娘を持つ親の義務でもあったようで、万一、それを拒んだりすると、共同体から仲間はずれにされることもあった――と伝えられています。
「夜這い」は、村の若者にとっては、過酷な農作業の合間の娯楽であったとも考えられますが、同時にそれは、「嫁選び」のための行動でもありました。
夜這いしてまぐわい、「この女、いい」となったら、嫁にする。
娘の側からすれば、夜這いされることで男を知り、その中から「この人の嫁になりたい」と願うこともできる。
しかし、願うことはできても、女性の側には選ぶ権利はなかったようです。
こういう風習を「みだらだ」「性道徳が乱れている」などと感じる人も、いるかもしれません。
しかし、それは、「個人主義」が浸透し、個人の「利益」や「財産権」が優先されるようになった現代人の感じ方ではないか――と、管理人は思っています。
少なくとも、明治初期、ところによっては、戦前までの農村部や漁村部などでは、「未婚の娘」や「後家」は、「村の共有」――という考え方が、根強く残っていました。
「夜這い」は、そういう「共有観念」の中で育ったシステムでもあった、と考えられるわけです。
しかし、この風習は、時代とともに廃れていきます。
理由のひとつは、村の若者たちが、端から「都市の労働力」として奪われていったから。
もうひとつは、近代個人主義が浸透するとともに、「ひとりの女はひとりの男のもの」とする《一夫一妻》的な価値観が、社会の主流となったから。
そしてもうひとつは、大きな税収源でもあった「性風俗産業」へと若者の性的エネルギーを吸収するために、共同体の風習として維持されてきた開放的な性風習に制限が加えられるようになったから。
こうした社会のシステムの変化とともに、何とか戦前までは残っていた「夜這い」の風習も、戦後は、ほとんど姿を消してしまいました。

こういう性にかかわる風習は、見ようによってはおおらかとも言えます。
しかし、一方では、女性に「性の決定権」が与えられてないではないか――という非難もあろうかと思います。
女性の側に選択権があったかどうかは、地域によっても差があったように見えます。
「夜這い」を受けても、たいていの地域では、「この人、いやだ」と拒む権利が、女性側にも認められていましたが、ところによっては、半ば強引にでも受け入れさせられたりもしたようです。
仮に「夜這い」の結果、だれの子かわからない子どもができてしまったとしても、かつての共同体は、それを「共同体の一員なのだから」と、あまり気にすることもなく受け入れて育てた、と言われています。
というわけなので、筆者・長住は、これを「野蛮な時代のあしき性風習」などと片づけてしまうことには、抵抗を感じます。
そもそも、日本での婚姻形態は、伝統的には、夫が妻のもとに通う「通い婚」が主流でした。「夜這い」は、その名残とも言えなくはないわけです。
「通い」であれば、通ってくる男が複数いても、不思議ではありません。
ほんとうは、《一夫一妻制》が、日本の風土にはなじまない――と、長住は思っているのですが、いまさらそれを言っても仕方がないので、ここでは言わないでおくことにしましょう。


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