「この人、ダメ」を作り出す「抗原抗体反応」の話
不純愛トーク 第270夜
何度、失敗しても、同じタイプを「好き」になってしまうと同様に、どんなに時や場所が変わっても、「この人、ダメ」というタイプが存在します。その「ダメ」ができてしまうのはなぜなのか? それは、そのタイプに対する「抗体」が作られてしまったからではないか――というのが、今回のテーマ。恋愛免疫論、いよいよ核心に迫ります――。
【今回のキーワード】 抗体 アナフィラキシー・ショック
【SEOリンク・キーワード】 エロ 恋愛 恋愛小説 オーガズム コミュニケーション 不倫
哲雄 きょうは、恋愛における抗原抗体反応のことをお話するんでしたね。
AKI ハイ。哲ジイが、なぜ、大きな指輪をはめた女を見ると、口から泡を吹いてしまうのか――とか、そういうお話を聞かせていただけると思ってるんですが、それでよろしかったでしょうか?
哲雄 ドキッ! 何で知ってるかなぁ、その話。
AKI だって、この前、セールスに来た生命保険のおばさんにまで言ってたじゃないですかぁ。ボクは、大きな指輪をはめた女性の話は、信用しないんだ――なんて。別に、セールスの人にまで、そんなこと言わなくてもいいんじゃないかって、思いましたけどね、私は。
哲雄 あれはね、AKIクン、ちょっと違うんだよ。そもそも、セールスに来るのに、あんなコテコテの、これみよがしの大きな指輪をはめてくるっていう時点で、ビジネス・マナーに違反してるから、ちょっとご注意申し上げただけで……。
AKI ほんとに、それだけ?
哲雄 いや、ま……もともと、ダメなんだけどね。大きな指輪アレルギーみたいなのが、どこかでできちまったんじゃないか――と思うんだ。
AKI それは、どうやってできたのかしら?
哲雄 たぶん、その昔、すっごく大きな指輪をはめたどこかの欲深いおばさんに、ひどい目に遭った――とか、そういうことがあって、「大きな指輪に気をつけろ」っていう免疫ができ上がったんだろうと思うんだ。キミだって、あれじゃないですか。指に毛の生えた男が、ダメなんでしょ?
AKI あら、よくご存じで。
哲雄 昔、毛の生えた指の男に、その指でよからぬことをされた――とか?
AKI ちょっと、お嬢ちゃん、おじさんと遊ぼうか、と暗がりに連れ込まれて……って、なんで、そんなことまで話さなくちゃいけないんですかッ!
哲雄 ヘーッ、あったんだ、そんなことが? でもさ、そのとき、キミの中には、指に毛の生えた男に対する「抗体」が作られちまったんだねェ。
AKI だから、その「抗体」の話が聞きたいんです。そもそも、何なんです? その「抗原抗体反応」っていうのは?
哲雄 前回、T細胞の話をしましたよね?
AKI エーッ……と、人が細胞表面に表示する表札のようなもの、エッと……何て言いましたっけ?
哲雄 「HLA抗原」ですね。
AKI そうそう、「HLA抗原」! 「HLA抗原」は鍵穴のようなもので、T細胞は、「レセプター」とかいうカギのようなものを持っている。その鍵穴に自分が持っているカギを当てて見て、「これは自己」「こいつは非自己」と見分けてるんでしたよね?
哲雄 オーッ、それだけ覚えていれば十分です。でね、「こいつは危険だ」という「非自己」を発見すると、ヘルパーT細胞がその情報を伝達して「キラーT細胞」にその「非自己」を攻撃して殺させる。と同時に、他のリンパ球に命じて、「抗体」というたんぱく質を作らせるんですね。「キラーT細胞」は、悪党どもをやっつけると撤退してしまいますが、この「抗体」のほうは、そのまま体の中に残ります。
AKI 残るのは、何のため?
哲雄 次にまた同じ「非自己」が侵入してきたときに、即座に反応できるようにするためです。これを「抗原抗体反応」というのですが、この反応は強烈です。「アナフィラキシー・ショック」っていう言葉、聞いたことがありませんか?
AKI あ、あれですよね。ハチに刺されたときに、起こったりする……。
哲雄 そうそう。一度でもハチに刺されたことがある人の体内には、抗体がつくられている場合があり、そういう人がもう一度、同じ種類のハチに刺されると、猛烈なアレルギー反応を起こすことがあります。アナフィラキシー・ショックっていうのは、そういうアレルギー反応の一種なんだけど、これはかなり強烈で、場合によっては、死に至る場合もある。
AKI アレルギー反応って、抗原抗体反応なんですね。
哲雄 そうです。私もね、女王蜂の毒素には、抗体ができちゃってるもんで……。
AKI あの……それは、人間のメスの女王蜂のことですよね。あ、そうか。だから、大きな指輪の女を見ると、哲ジイは拒否反応を起こしてしまうんだ?
哲雄 私のことは放っておいていただきたい。ただね、このことだけは覚えておいていただきたいと思うのです。

その抗体が引き起こすアレルギー反応は、
最初にその抗原が体に入ってきたときの反応よりも激越になる場合がある。
AKI あつものに懲りたら、なますまで吹いてしまうようになる――ってことですね?
哲雄 ご理解いただいたようで、光栄です。たとえば、かつて男の暴力にひどい目に遭ったことのある女性は、男が手を振り上げただけでも、脅えて体が震え出してしまったりすることがある。これも、アナフィラキシー・ショックのようなものですね。
AKI ね、哲ジイ。一度、できてしまった抗体って、もう除去できないんですか?
哲雄 あのね、ここまで話した「恋愛免疫」の話って、人間の体の「免疫」の仕組みになぞらえて、恋愛にもそういう免疫システムのようなものがあるんじゃないか――って話をしただけで、実際に、生理的に「抗体」が作られたりするわけじゃないんですよ。ただ、肉体の免疫反応に近いことが、「恋愛脳」の中でも起こっているに違いない――と、想像してお話しているだけですからね。
AKI わかってますとも。でも、恋愛についても、「抗体」のようなものが作られるんじゃないか――って、哲ジイは思っているわけでしょ?
哲雄 そうですね。じゃ、ご説明しましょう。体のアレルギー症状の場合は、「減感作療法」てのをやるんですけどね。
AKI 減感作……? 何ですか、それ?
哲雄 アレルギー反応を引き起こす「抗原」=「アレルゲン」が特定できた場合に、その抗原を少しずつ体内に投与して、体をその刺激に慣らしていく療法のことなんですけど、これ、恋愛でも、応用できるっちゃできます。
AKI 哲ジイの場合だと、まず、小さな指輪に慣れさせて、少しずつ指輪を大きくしていく――とか?
哲雄 別に、慣れる必要がないし……。
AKI じゃ、男の暴力に抗体ができちゃってる女性には、まず、チョンと突くから始めて、次にトン、次にピシャ……っていうふうに慣らしていくとか?
哲雄 だから、慣らす必要、ないでしょ、つ―の! そもそも、抗原抗体反応ってのは、人間を危険な「非自己」の害から守るためのシステムなわけだから、それはそれで必要なシステムであるわけですよ。
AKI そりゃそうでしょうけど、あまりに過剰な反応も困るつーか……。
哲雄 まぁね。一度、ひどい男に当たったからって、「男なんてコリゴリ」っていう抗体ができちゃっても、困りますからねェ。
AKI 言っときますけど、私には、そんな抗体、ありませんことよ。
哲雄 それは、よく存じております。あなたは、どっちかというと、懲りない人みたいですから。
AKI エッ、それ、どういうこと?


2012年11月リリース
好評! App Storeで上位ランキング中!
iPhone、iPad、アンドロイド端末でダウンロードできます。
★iPhone、iPadでご覧になりたい方は、こちら(iTuneダウンロードページ)から

2012年12月リリース
スマホ用オリジナル書き下ろし! App Storeで好評販売中!
iPhone、iPad、アンドロイド端末でダウンロードできます。
★iPhone、iPadでご覧になりたい方は、こちら(iTuneダウンロードページ)から

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 「新モンゴロイド」は、毛深いのが苦手…? (2013/04/29)
- 「この人、ダメ」を作り出す「抗原抗体反応」の話 (2013/04/14)
- 「恋愛免疫」が作られる仕組み (2013/04/06)