兄と妹、姉と弟の神話~近親姦の真実〈5〉

人類の歴史の中では、兄と妹、姉と弟の結婚は、
珍しいことではありません。その関係は、いまも……
性とエッチの《雑学》file.100 R15
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。15歳未満の方はご退出ください。
【今回のキーワード】 近親姦 兄と妹 姉と弟

【リンク・キーワード】 エロ エッチ 官能小説 オーガズム 不倫
この「近親姦」の問題を取り上げるようになった最初の記事(⇒File95『セレブは「近親婚」がお好き――の理由』)で、兄と妹、姉と弟の結婚が、かつてはふつうであった――という話をしました。
特に、強大な権力を持った古代の王家などの場合には、権力の拡散を防ぐためにも、近親同士の婚姻が頻繁に繰り返された、という話もしました。
それが顕著だったのが、古代エジプトの王家です。
←左図は、パピルスに描かれた「イシス」の姿。手が支え持っているのは太陽。「太陽」は、エジプトでは最高神とされた「太陽神=ラー」、その太陽を支えている手は、殺されたオシリスの手ではないか――とも考えられます。
女王クレオパトラの夫は、弟のプトレマイオス13世でしたが、その夫を殺害した後、今度は、その下の弟、プトレマイオス14世と結婚しています。
その頃のエジプトでは、皇位は第一皇女(つまり長女)が継承する――と決められていました。これでは、男系皇族は権力を継承できません。そこで、皇女は、兄や弟と婚姻関係を結んで、実質的に男系が権力を継承できるようにしたのではないか――とも言われています。
そんな中で出来上がっていったエジプト神話の中に、有名な兄妹カップルが登場します。
オシリス(兄)とイシス(妹)の神話です。
少し横道に逸れますが、非常に示唆的な話なので、ご紹介しておきましょう。
特に、強大な権力を持った古代の王家などの場合には、権力の拡散を防ぐためにも、近親同士の婚姻が頻繁に繰り返された、という話もしました。
それが顕著だったのが、古代エジプトの王家です。

女王クレオパトラの夫は、弟のプトレマイオス13世でしたが、その夫を殺害した後、今度は、その下の弟、プトレマイオス14世と結婚しています。
その頃のエジプトでは、皇位は第一皇女(つまり長女)が継承する――と決められていました。これでは、男系皇族は権力を継承できません。そこで、皇女は、兄や弟と婚姻関係を結んで、実質的に男系が権力を継承できるようにしたのではないか――とも言われています。
そんな中で出来上がっていったエジプト神話の中に、有名な兄妹カップルが登場します。
オシリス(兄)とイシス(妹)の神話です。
少し横道に逸れますが、非常に示唆的な話なので、ご紹介しておきましょう。

オシリスもイシスも、エジプトでは人々の信仰を集める豊饒神です。
このふたりは、母の胎内にいるときから愛し合っていたとされる関係でしたが、あるとき、末弟のセトが、兄・オシリスをだまし討ちによって殺し、その遺体をナイル川に投げ込んでしまいます。
イシスは、魔術によってその遺体と交わり、息子・ホルスを産みますが、これを知ったセトは、再び遺体を奪ってそれを14の部分に切り裂いて、エジプトの各地にバラ撒きます。
嘆き悲しんだイシスは、バラバラに裂かれた遺体を拾い集めますが、ペニスだけは、ナイル川のカニに食われてしまったため、人工ペニスを作って遺体を復元。以後、オシリスは冥界の王として、イシスは慈母神として、人々の崇拝を集めるようになります。
メソポタミアからヨーロッパに至る後半な地域に共通するのは、「復活」を信じる文化です。
イシスの物語は、この復活の神話の象徴的な物語として、エジプト国内だけでなく、後のローマ帝国内からヨーロッパ全域にいたるまで、広範に広がり、各地に祭祀所が作られて、幼児ホルスを抱いたイシス神の神像が祀られたりしました。
その頃、教勢を拡大しつつあったキリスト教にとって、このイシス信仰は邪魔な存在でもありました。そこで、当時のカトリック教会は、聖母マリアという対抗馬を立て、御子イエスを胸に抱くマリアの像や聖画を信仰の対象として広める手段を講じました。
偶像崇拝を禁ずるキリスト教の本質からすると、とてもおかしなことなのですが、それほどに、当時のイシス信仰が根強かったということです。
以後、兄を愛した女神・イシスへの崇拝は、マリア崇拝へと形を変えて、ヨーロッパ全土に広がっていくことになるわけです。

日本の記紀神話の中にも、兄妹・姉弟の近親愛は、いくつも登場するのですが、ここでは割愛。話を現代に戻します。
社会学者デイビット・フィンケラーが、大学生を対象に行った調査によると、
女性の15%、男性の10%が、
自分の兄弟姉妹とのなんらかの性的な関係を報告しています。

つまり、兄妹・姉弟の間での近親姦は、そんなに珍しいことではない――とも言えるわけです。
実際、筆者・長住も、自分の妹に対して性的な感情を抱いたことがないか――と問われれば、「ある」と答えるしかありません。
たとえば、子どもの頃によくやったプロレスごっこ。お転婆だった妹をプロレスの技で畳の上に組み伏せたりしたとき、なんだか変な気分になって――というようなことがよくありました。私は、やりませんでしたが、妹を引き込んでお医者さんごっこをやった、なんていう友だちもいました。
兄と妹、姉と弟……という関係は、そんな男女の関係がいつ忍び込んでもおかしくない関係であり、それゆえに、微妙で危うい関係でもある――と、筆者は思っています。
父と娘、母と息子の場合には、支配力を持った親が強制力を持って子どもを性的に利用する――という関係が多いのですが、兄妹・姉弟の場合には、そういう強制力が作用することはむしろ稀有。どちらかというと、おたがいの意思で結ばれることが多いようだと言われています。
考えてみれば、兄弟や姉妹というのは、もっとも身近にいる異性です。親密な愛情が生まれるのは、むしろ当然のこと。ただ、なんとなく刷り込まれている禁忌感があるため、性的な接触を避けているだけのことだと思えばいいと思います。
しかし、この禁忌感は、ある条件があれば、取り払われてしまいます。

もっとも兄妹・姉弟間の近親姦が発生しやすい環境とされているのは、「社会的孤立」です。たとえば、周囲の社会と隔絶された僻地などで、家族だけで生活している――という環境。こういう環境下では、外部の性的対象と接触する機会がありませんから、当然のことながら、その欲望の対象は、身近にいる近親者に向けられることになります。
さらに、こうした孤立した環境の中では、兄妹・姉弟間だけでなく、そこに父子・母子の関係も絡み合って、家族内乱交のような状態になることもある、という報告も。そして、そんな事例の中には、本人たちがその状態を「幸せ」と感じているケースも見られるのだそうです。
しかし、こういうケースは非常に稀。昔、スイスの雪に閉ざされた山小屋で、ふたりだけで暮らす兄妹の近親姦を描いた映画がありましたが、そういう特殊な環境を設定しない限り、想像しにくい関係だろうと思います。
もうひとつは、「別離」です。
特に、思春期から青春期にかけての時期を、兄妹・姉弟が、なんらかの理由で離れて過ごした――という場合。典型的なのが、兄や姉が、進学や就職などの理由で家を離れてしまった、というケースです。
筆者にも経験があるのですが、久しぶりに家に帰ってみると、そこには、いつの間にか成熟し、女としての匂いを漂わせ始めた妹がいる。これって、兄としては、いささか動揺する状況です。迎える妹の側にも、特別の感情が湧く可能性があります。久しく不在だった兄が、すっかりおとなの風格を漂わせて帰って来た。これも、心を動かす動機になり得ます。もちろん、同じことが、家を出た姉と弟の間でも起こり得ます。
2時間ドラマなどには、もっと極端な例が登場します。
幼いころ、別れ別れになった兄と妹、姉と弟が、十何年ぶりかに再会して――なんていうシチュエーション。おたがいに惹かれ合い、愛し合ったのに、「あなたたちはきょうだいなのよ」と秘密を知らされて、悲恋の道を歩む。物語として、これ以上スリリングな展開はありません。

そんなわけで、兄と妹、姉と弟という関係は、それが「虐待」という形でない限り、むしろ「美しい」とさえ言えるのではないか――と、筆者は思っています。
ただ、日本では、そんなふたりの「結婚」は許されてはいません。つまり、
ゴールすることが許されない関係。
その危うさと儚さが、この関係をより深化させることもある――と、私は思っているのですが……。


2012年11月リリース
好評! App Storeで上位ランキング中!
iPhone、iPad、アンドロイド端末でダウンロードできます。
★iPhone、iPadでご覧になりたい方は、こちら(iTuneダウンロードページ)から

2012年12月リリース
スマホ用オリジナル書き下ろし! App Storeで好評販売中!
iPhone、iPad、アンドロイド端末でダウンロードできます。
★iPhone、iPadでご覧になりたい方は、こちら(iTuneダウンロードページ)から

管理人は、常に、下記3つの要素を満たすべく、知恵を絞って記事を書いています。
みなさんのポチ反応を見て、喜んだり、反省したり……の日々です。
今後の記事作成の参考としますので、正直な、しかし愛情ある感想ポチを、どうぞよろしくお願いいたします。
→この記事はためになった(FC2 恋愛)
→この記事に共感・感動した(にほんぶろぐ村 恋愛)
→この記事は面白かった(人気ブログランキング 恋愛)
→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 若者に「性」を教えた女たち (2013/04/18)
- 兄と妹、姉と弟の神話~近親姦の真実〈5〉 (2013/04/09)
- 息子を性的に利用する「寂しい母」~近親姦の真実〈4〉 (2013/03/31)