「恋愛免疫」が作られる仕組み
不純愛トーク 第269夜
人はなぜ、何度、恋をしても、似たようなタイプを好きになってまうのか? 前回は、征服欲説、DNA説が考えられる、という話をしました。今回は、もうひとつの説、「免疫説」について話をします。つまり、「恋愛免疫」のようなものが働いているのではないか、というわけです。その「恋愛免疫」は、いったい、どうやって作られるのでしょうか?――
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AKI なぜ人は、何度、恋をしても、同じようなタイプの異性に惹かれてしまうのか?それには、征服欲説、DNA説があるという話を、前回はしました。でも、哲ジイとしては、それだけでは説明しきれないものがある。どうも、もうひとつの《免疫説》、これが重要ではないか――とおっしゃったんですよね?
哲雄 ハイ、申しました。
AKI つまり、哲ジイは、
恋愛の世界では、「恋愛免疫系」とでも言うべきものが作動している
――と、そう言いたいわけですね?
哲雄 「免疫」の仕組みって、わかりますよね、AKIクン?
AKI あれですよね、人が同じ病気とかにかからないようにするために、一度、体の中に入ってきたわるいばい菌とかを免疫細胞が記憶していて、次に侵入してきたときには、それをやっつけちゃうってシステムでしょ?
哲雄 ま、そういう機能も含まれている、ということですね。正確に言うと、「免疫系」というのは、「自己」と「非自己」を区別するシステム――と言っていいかと思います。「これは自己である」と認識したものは受け容れるけど、「これは自己ではない」と判断したものは、排除しようとして免疫系が攻撃する。でもね、この認証システムは、ATMの生体認証みたいに正確、というわけじゃない。
AKI そうなんですか? じゃ、間違えることもあるわけ?
哲雄 あります。自分の体の組織を「非自己」と判断して、攻撃したりすることもあるんですね。医学的には、自己免疫疾患と呼ばれるんだけど、代表的なのが、リウマチに代表される膠原病。実はね、私も、関節リウマチを患っておるのですよ。
AKI ヘーッ。哲ジイの免疫系って、もしかして、自分で自分が嫌いだったりして……。あ、ジョーダンですよ、ジョーダン! でもさ、哲ジイ、免疫系はどういう方法で、「自己」と「非自己」を見分けているんです?
哲雄 それ、すごく専門的な説明になるんだけど、ま、いいか。この際だから、ついでに説明しておきますか。免疫系で重要な役目を果たすのは、「胸腺」と呼ばれる器官です。この「胸腺」の中では、「リンパ球」と呼ばれる細胞が大量に作られています。そのリンパ球の中に、「T細胞」と呼ばれる種類がありまして……。
AKI あ、知ってる、それ! 「キラーT細胞」とか言われてる、バットマンみたいなやつでしょ?
哲雄 よくご存じで。確かに「キラーT細胞」はバットマンみたいだね。「非自己」と判断した細胞をやっつけちゃうわけだから。でも、T細胞は「キラーT細胞」だけじゃない。その前に、もっと大事な仕事をしてるやつがいる。それが、「ヘルパーT細胞」。で、このヘルパーさんは何をしているかというと、「自己」と「非自己」を見分ける仕事をしてる。正確に言うと、「非自己」を見つけてるんじゃなくて、「自己」だけを見つけてる。
AKI エッ、どういうこと……? だって、攻撃しなくちゃならないのは、「非自己」のほうなんでしょう?
哲雄 でもさ、考えてみて。「自己」は1種類しかいないけど、「非自己」なんて、そりゃ星の数ほどいるわけでしょ。そんなのを全部覚えて探し回るなんて、いくら、T細胞だってできません。なので、「ヘルパーT細胞」が認識するのは、「自己」だけなんです。
AKI どうやって認識するの? これは「自己」である――っていうのを?
哲雄 オーッ、ますます専門的な話になるなぁ。でも、やっちゃいますか? あのね、人間の体を構成しているのは細胞でしょ? その細胞は、表面の細胞膜上に、「私は自己ですよ」というサインを表示しています。これを「HLA抗原」っていうんだけど、この抗原を構成するたんぱく質の組成は、人間ならみな共通ってわけじゃなくて、人によって違う。指紋ほど個体差はないけど、ピッタリ一致する個体を見つけるのは至難のわざっていうくらい、違ってる。でね、T細胞ってのは、その抗原の形にピッタリはまる「レセプター」を細胞表面に提示して、体じゅうを巡回しているおまわりさんみたいなもんだ――と思ってください。
AKI 抗原とレセプター……ですか? もしかして、それ、鍵穴と鍵みたいな関係ですか?
哲雄 うまいこと言いますねェ。そうです、まさにその通り。でね、このT細胞が探しているのは、正確に言うと、「非自己」ではなくて「自己」なんです。ところが、「非自己」である細菌やウイルスなどの侵入を受けた細胞は、そういう細菌ウイルスが分泌するタンパク質を、「自己」のサインである「HLA抗原」にくっつけたまま、それを細胞表面に表示します。T細胞は、これに反応するんですね。
「自己」であるはずなのに、こいつ、変なものくっつけてるゾ

――と気づくわけです。こいつは、もはや「自己」ではない! そう判断すると、「ヘルパーT細胞」は、その情報を全リンパ球に知らせて、抗体を作らせると同時に、その「非自己」化した細胞を殺してしまいます。
AKI それが、バットマンの仕事? そうすると、「キラーT細胞」がやっつけるのは、「自己」じゃなくなった自分の細胞ってことになるんですか?
哲雄 そうですね。免疫系には、このリンパ球による細胞系の攻撃以外に、抗体による液性の攻撃もあるんですけど、ま、その話は、割愛して、「恋愛免疫」の話に戻りましょう。
AKI そうそう。それが本題でしたよね。で、哲ジイに言わせると、恋愛免疫にも、この「キラーT細胞」みたいのがいるんじゃないか――ということを言いたかったわけですか?
哲雄 じゃなくて、恋愛免疫に関して重要なのは、さっき言った「レセプター」が、どんなふうに形成されるか――のほうなんですね。
AKI 「自己」を認識するための鍵みたいなものでしたよね?
哲雄 そう、そう。その鍵。人はね、大きな恋愛をして、それで心の高揚を経験したりすると、その恋愛の形状を記憶します。そしてその形状に合わせて、心の中に「レセプター」を形成してしまうんですね。
AKI エーッと、「レセプター」っていうのは、「これは自己」と判断するための標識でしたよね? そうか……。そういうレセプターができてしまうと、前の恋と似たような標識を掲げた対象が現れるたびに、「あ、この人こそ、私が恋すべき相手」と判断してしまうわけですね?
哲雄 そういうことですなぁ。
AKI 哲ジイの場合だと、「ガテン系の親父の娘こそ、タイプ!」というレセプターができ上がってしまってるから、「うちのお父さん、大工なの」なんて言われただけで、愚かにも「タイプ~!」とか思ってしまうわけだ。
哲雄 黙れ! 三高マニア!
AKI エッ、別に……私……三高とか気にしてませんけど?
哲雄 フン! 「背が高い」が必要条件だったくせに。
AKI 確かに、「背が高い」は、欠かせない条件ではありますが、あとの2つは、まったく気にしてませんよ。気にしたこともないし……。それより、哲ジイ、「恋愛免疫」ってことに関して言うと、私、もうひとつ、気になることがあるんですけど……。
哲雄 ハイ、何でしょう、ノッポ・マニアさん?
AKI いちいち引っかかりますねェ。私の「背の高い男がいい」発言が、よほどお気に召さなかったんでごさいますねェ。おお、泣くでない、よしよし。
哲雄 いいから、用件を述べよ! 字数も残り少ないんだから!
AKI ハイ、ハイ。では、お訊きしますが、恋愛免疫の作用の中には、逆の働きはないんですか?
哲雄 逆……?
AKI ここまでは、同じタイプばかり好きになるように仕向けるのが、恋愛免疫のせいだ――という話でしたが、その逆。つまり、特定の相手を拒絶するっていう働きもあるんじゃないですか、免疫系には?
哲雄 ああ、抗原抗体反応……つまり、アレルギーのことをおっしゃってるんですね?
AKI そうそう、それです。いるでしょ?
「私、このタイプは絶対、ダメ! 近づいてきただけで鳥肌が立つ」

みたいな相手が?
哲雄 ハイ、います。免疫系が「抗体」を形成してしまうと、「この人、絶対、ダメ」というタイプを作ってしまいます。ようがす。その話は、次回、じっくりお話することにいたしやしょう。
AKI あらあら、ガテン系、入っちゃってるし……。では、みなさま、次回をお楽しみに。


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