「処女」が、「神」に捧げられた時代

日本でも、西欧でも、「処女」をいったん聖職者の手に
委ねる風習がありました。その理由とは……。
性とエッチの《雑学》file.11 R15
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。15歳未満の方はご退出ください。
【今回のキーワード】 初夜権 魔女狩り ジャンヌ・ダルク

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前回に続いて、「初夜権」の問題を取り上げてみます。
「初夜権」とは、新婚夫婦が誕生する際に、新郎よりも先に、その土地の領主や、聖職者などが、新婦と交わる権利を指す言葉です。
現代まで残されている痕跡や伝聞によると、「初夜権」を行使したのは、主に、次の3種類の男性たちとされています。
[1]国王、領主、酋長などの政治的権力者。
[2]神父、神主、シャーマンなどの聖職者。
[3]庄屋、土地の長老、親族の代表などの世俗の権力者。
前回は、[1]の「政治的権力者による初夜権の行使」について解説しましたが、今回は、[2]の「聖職者による初夜権」と、[3]の「世俗の権力者による初夜権」について考えてみます。
この問題については、西欧と日本では、やや考え方が違っているようです。

西欧の場合
「処女の血」は、悪魔の好物……?
中世までの西欧などの社会には、処女が流す血を「不吉」として忌み嫌う風習や迷信がありました。特に16~17世紀に盛んに行われた「魔女狩り」の中では、「悪魔が処女の血を好む」とされたため、それを回避するためにも、出血の可能性がある初夜の性交は、「悪魔祓い」の技能を持った聖職者や祈祷師が行った――という説が残されています。
クソーッ、エロ坊主どもめ――と、長住などは思うのですが、当時の人たちは、ほんとうに「悪魔の災厄」を信じていたのかもしれません。

ちなみに「魔女裁判」にかけられたジャンヌ・ダルクも、この迷信の犠牲となりました。
当時、悪魔と交流した娘は、処女を失うとされていたので、ジャンヌが処女であるかどうかを確かめる必要がありました。その頃のカトリック教会は、「糾問法」と呼ばれる方法で、処女検査をしていましたが、その方法というのは、目で見て確かめる「視診」と手で触れて確かめる「触診」でした。
ジャンヌ・ダルクにこの検査を実施したのは、ジャンヌを捕えたイギリスのベッドフォード公爵とその夫人。おいしい役目だったわけです。その結果は、白。ジャンヌは「処女」でした。
しかし、一方で、処女に死刑判決が出た場合には、死刑執行までに第三者が性交をすませておかないと、災厄が降りかかるという迷信もありました。ジャンヌが火あぶりになる前に、だれかによって破瓜されたのかどうかは、残念ながら記録が残っていません。
それにしても、西欧の中世は、暗くて残酷だ――と、筆者は、こういう話を聞くたびに思います。
余談ですが、ジャンヌの火刑は、服に火が燃え移った段階でいったん中断され、その生焼けの裸体を、陰部まで公衆の目にさらした上で、完全に灰になるまで焼き尽くして、セーヌ川に流した、と言われています。
「初夜権」とは、新婚夫婦が誕生する際に、新郎よりも先に、その土地の領主や、聖職者などが、新婦と交わる権利を指す言葉です。
現代まで残されている痕跡や伝聞によると、「初夜権」を行使したのは、主に、次の3種類の男性たちとされています。
[1]国王、領主、酋長などの政治的権力者。
[2]神父、神主、シャーマンなどの聖職者。
[3]庄屋、土地の長老、親族の代表などの世俗の権力者。
前回は、[1]の「政治的権力者による初夜権の行使」について解説しましたが、今回は、[2]の「聖職者による初夜権」と、[3]の「世俗の権力者による初夜権」について考えてみます。
この問題については、西欧と日本では、やや考え方が違っているようです。

西欧の場合
「処女の血」は、悪魔の好物……?
中世までの西欧などの社会には、処女が流す血を「不吉」として忌み嫌う風習や迷信がありました。特に16~17世紀に盛んに行われた「魔女狩り」の中では、「悪魔が処女の血を好む」とされたため、それを回避するためにも、出血の可能性がある初夜の性交は、「悪魔祓い」の技能を持った聖職者や祈祷師が行った――という説が残されています。
クソーッ、エロ坊主どもめ――と、長住などは思うのですが、当時の人たちは、ほんとうに「悪魔の災厄」を信じていたのかもしれません。

ちなみに「魔女裁判」にかけられたジャンヌ・ダルクも、この迷信の犠牲となりました。
当時、悪魔と交流した娘は、処女を失うとされていたので、ジャンヌが処女であるかどうかを確かめる必要がありました。その頃のカトリック教会は、「糾問法」と呼ばれる方法で、処女検査をしていましたが、その方法というのは、目で見て確かめる「視診」と手で触れて確かめる「触診」でした。
ジャンヌ・ダルクにこの検査を実施したのは、ジャンヌを捕えたイギリスのベッドフォード公爵とその夫人。おいしい役目だったわけです。その結果は、白。ジャンヌは「処女」でした。
しかし、一方で、処女に死刑判決が出た場合には、死刑執行までに第三者が性交をすませておかないと、災厄が降りかかるという迷信もありました。ジャンヌが火あぶりになる前に、だれかによって破瓜されたのかどうかは、残念ながら記録が残っていません。
それにしても、西欧の中世は、暗くて残酷だ――と、筆者は、こういう話を聞くたびに思います。
余談ですが、ジャンヌの火刑は、服に火が燃え移った段階でいったん中断され、その生焼けの裸体を、陰部まで公衆の目にさらした上で、完全に灰になるまで焼き尽くして、セーヌ川に流した、と言われています。

日本では
「未婚の女性は、「神のもの」とされていた
日本古代の神道の考え方では、童貞の男性や処女の女性は、神や共同体の所有物とされていました。
未成年が成人として共同体の成員となるためには、さまざまな通過儀礼が施されます。この「通過儀礼」そのものは、世界各地にさまざまな形で存在しますが、日本の場合、彼らを成人の世界に導けるのは、神と交流できる神主や巫女のみとされていました。
その通過儀礼のひとつとして、処女の体をいったん巫女として預かり、神主などが性交することによって、神の怒りや厄災を避けたのではないか――という説があります。
民俗学者の折口信夫は、奈良時代以前の神主は、「初夜権」と思われる権利を持っており、当時、「現人神」とみなされた豪族も、「村のすべての娘の処女を見ることのできた風」が近代まで残っていた――と語っています。
処女や新婦は、「いったん、神の嫁として神に仕えた後、人の妻となることが許される」とする考え方は、古代以降、近世・近代にいたるまで受け継がれているところもあり、それが「長老や君主による初夜権」へと変化したのではないか、とも言われています。
日本各地には、結婚初夜またはその後の数日間、新婚夫婦の性交を禁じる《初夜の忌》と呼ばれる風習がありましたが、これも、こうした神道的な考えの表れと考えられます。

実用的な「初夜権」
メディカル・チェックのために……?
村の長老や身内の年長者などの人格者が、新郎に先んじて新婦の体を験す――という風習も、各地に残されていました。
こちらは、「権力の行使」でもなければ、「呪術的な儀式」でもなく、むしろ、「実用的な儀式」。言ってみれば、「メディカル・チェック」のようなものと考えられます。
その目的は、主に、次の3つ。
[1]新婦が確かに「処女」であった、という証明のため
[2]過去の「性体験」を隠すため(処女膜喪失の言い訳を作るため)
[3]新婦の生殖能力を確認するため
これらのチェックの結果、「不適格」と判断された新婦との結婚は、「考え直す」ように新郎側を説得する場合もあった、とされています。
チェックに当たるのは、村の長老や媒酌人、身内の年長者などの「信頼できる人物」ですが、「チェック」の目的を持たず、ただの儀礼として、村の未婚の青年などがその役に当たる地域もあった――と報告されています。
各地に風聞として残されている風習を、いくつか挙げておきましょう。






まだまだありますが、ここらへんで。
もちろん、これらの風習は、あくまで伝聞ですから、実際に行われていたという史料は残されていません。
ただ、一部には、その名残と思われる要素が祭祀や儀式の中に見られるものもある――とだけ申し上げておきましょう。
女性のみなさん、そういう時代に生まれなくてよかったですね。


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