「磨いた自分」は、どこへ消える?

よく、「自分磨き」という言葉を口にする人がいます。
そんな言葉を耳にするたびに思うのは、
この人、何のために自分を磨くんだろう――ということ。
そして、「磨いた自分」はどこに行くんだろう、ということです。
今回は、そんな問題を考えてみます。
そんな言葉を耳にするたびに思うのは、
この人、何のために自分を磨くんだろう――ということ。
そして、「磨いた自分」はどこに行くんだろう、ということです。
今回は、そんな問題を考えてみます。
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みなさんは、「火葬場」に行ったことがありますか?
自分の身近な人が焼却炉に入れられて、骨と灰になって出てくるのを見たことがありますか?
ついさっきまで、安らかに眠っている――と思えた人が、ほんの1時間ほどで、白い灰と骨だけの姿になって目の前に現れるのです。ほとんどの人は、その瞬間に「ハッ」と息を呑みます。
そして、こう思います。
「あんなに美しい人(頑強な人)だったのに、
こんな姿になっちゃって。人の一生って、なんて儚いんでしょう」
浄土真宗本願寺の八世・蓮如上人が撰述した「御文」と呼ばれる文書の中に「白骨の御文章」と呼ばれる、有名な一節があります。参考までに、ご紹介しておきましょう。
それ、人間の浮生(ふしょう)なる相をつらつら觀ずるに、おおよそ儚きものは、この世の始中終(しちゅうじゅう)、まぼろしのごとくなる一期(いちご)なり。 されば、いまだ萬歳(まんざい)の人身(にんじん)をうけたりという事を聞かず。一生すぎやすし。今に至りて誰か百年の形体(ぎょうたい)を保つべきや。我や先、人や先、今日とも知らず、明日とも知らず、遅れ先立つ人は、元のしずく、末の露(つゆ)より繁しと言えり。
されば、朝(あした)には紅顔(こうがん)ありて夕(ゆうべ)には白骨(はっこつ)となれる身なり……(中略)……あわれといふも、なかなか疎かなり。されば、人間の儚き事は、老少不定(ろうしょうふじょう)のさかいなれば、誰の人も早く後生の一大事を心にかけて、阿弥陀仏を深く頼み参らせて、念仏申すべきものなり。 あなかしこ、あなかしこ。
現代文に直すと、大意はこうです
およそ儚いものは、人間の生まれてから死ぬまでの間のこと。いまだ1万年の寿命を授かった人がいたなんてことは、聞いたことがありません。「人の死」とは、私が先なのか、人が先なのか、今日かもしれないし、明日かもしれない、人より後であろうが先であろうが、そんなことは大した問題ではありません。
朝には血色の良い顔をしていても、夕には白骨となる身。哀れと言っただけでは言い切れません。人生の終わりは、年齢に関わりなくやってくるのですから、どのような人も「後生の一大事」を心に留めおき、心から阿弥陀仏に頼み申し上げて、念仏申すべきであります。
さて、こんな話をご紹介したのは、実は、最近、よく耳にするこんな言葉に、ちょっと疑問を感じるからなのです。
その言葉とは――?
自分の身近な人が焼却炉に入れられて、骨と灰になって出てくるのを見たことがありますか?
ついさっきまで、安らかに眠っている――と思えた人が、ほんの1時間ほどで、白い灰と骨だけの姿になって目の前に現れるのです。ほとんどの人は、その瞬間に「ハッ」と息を呑みます。
そして、こう思います。

こんな姿になっちゃって。人の一生って、なんて儚いんでしょう」
浄土真宗本願寺の八世・蓮如上人が撰述した「御文」と呼ばれる文書の中に「白骨の御文章」と呼ばれる、有名な一節があります。参考までに、ご紹介しておきましょう。

されば、朝(あした)には紅顔(こうがん)ありて夕(ゆうべ)には白骨(はっこつ)となれる身なり……(中略)……あわれといふも、なかなか疎かなり。されば、人間の儚き事は、老少不定(ろうしょうふじょう)のさかいなれば、誰の人も早く後生の一大事を心にかけて、阿弥陀仏を深く頼み参らせて、念仏申すべきものなり。 あなかしこ、あなかしこ。

およそ儚いものは、人間の生まれてから死ぬまでの間のこと。いまだ1万年の寿命を授かった人がいたなんてことは、聞いたことがありません。「人の死」とは、私が先なのか、人が先なのか、今日かもしれないし、明日かもしれない、人より後であろうが先であろうが、そんなことは大した問題ではありません。
朝には血色の良い顔をしていても、夕には白骨となる身。哀れと言っただけでは言い切れません。人生の終わりは、年齢に関わりなくやってくるのですから、どのような人も「後生の一大事」を心に留めおき、心から阿弥陀仏に頼み申し上げて、念仏申すべきであります。
さて、こんな話をご紹介したのは、実は、最近、よく耳にするこんな言葉に、ちょっと疑問を感じるからなのです。
その言葉とは――?

よく、「自分磨き」と口にする人がいます。
自分で自分を磨く、ということですよね?
そういう言葉を使う人を見ると、私は、こう訊きたくなってしまいます。
自分を磨くの? 何のために?
そうなのです。問題は「何のために」です。
「自分磨き」を口にする人の多くは、「評価」を期待しているように私には見えます。
だれの「評価」か?――は、いろいろです。
「社会」の評価を得ようとする人もいるかもしれません。その社会が、「会社」や「学校」である人もいるでしょう。
もっと小さな評価、周りにいる友人や異性や家族から、「きれいになったね」「よく勉強したね」「この頃、なんか変わったね」……などの評価を期待する人もいるかもしれません。
もしかしたら、期待するのが「自分自身の評価」という場合もあるかもしれません。「よくガンバったわ。私ってエラい!」と、自分で自分に与える評価を得るため――というケースです。
しかし――と、私は思うのです。
評価を下すのが周囲であれ、自分自身であれ、
「評価」というのはすべて「消えもの」です。
いつまでも評価し続けてはくれませんし、期待したような「評価」が得られない場合もあるかもしれません。
だいいち、死んだら、すべて「灰」になってしまうだけのものです。
あなたが「自分磨き」を生きがいとしているとしましょうか。
あなたの「自分磨き」が、なんらかの「評価の獲得」と表裏一体の関係にあると、その「評価」が「消失」したり、得られなかったりした場合、あなたのせっかくの「自分磨き」は「無」に帰する――ということになります。「無」にはならないにしても、「徒労感」に襲われ、「ああ、あんなにガンバったのに……」と、ため息をつくことになります。
極端な場合には、「生きがい」まで失ってしまうことになりかねません。
誤解しないでくださいね。
「自分を磨くな」と言っているのではありません。
「評価」に依存する「自分磨き」には、
「評価の消失=生きがいの喪失」という危険が伴う、
という話をしているわけです。

私が、不自然で、危うい――と感じるのは、「よし、自分を磨くゾ!」と意識して行う「自分磨き」です。
意識して行う「自分磨き」には、前にも申し上げた「評価の期待」が込められている。それが危うい、と感じられるわけです。
私は、確信を持ってこう言えます。
「自分」は「磨く」ものではなく、「磨かれる」ものだ。
周囲の人間と真摯に向き合い、自分が生きている社会や自然や、それらを含めた世界を曇りのない目で関心を持って見つめていれば、「自分磨き」などと意識しなくても、人は、自然に磨かれていきます。
こういう「自分磨き」は、「磨き」などではなく「学び」だ――と、私は思っています。
家族や愛する人に、「少しでもおいしいものを食べさせてあげたい」と思ったら、自然に料理本や料理番組に目が向くようになり、黙っていても料理の腕は上がっていきます。
目の前の患者を救いたいと願う医師なら、少しでもその患者に有効な治療法はないか――と最新の医学情報を読み漁り、自然に医学知識が深まっていくはずです。
好きな花を少しでも美しく眺めたいと思ったら、どうアレンジしようかと知恵を絞り、場合によっては、フラワー・アレンジの勉強を始めるかもしれません。
走るのが好きな少年なら、自然に、少しでも速く走ろうと鍛錬を重ねることでしょう。
これらの「学習」や「鍛錬」は、ごく自然に、その人の内的欲求からあふれてくるもので、そこには、「自分磨き」などという意識は介在しません。
とはいえ、仕事上のスキルなどは、こうはいきません。
かなり意識して「スキルを磨こう」と思わないと、そういうスキルは身に着きません。
仕事上のスキルに関してだけは、「自分磨き(英語で言うと「ブラッシュ・アップ」)」も必要――と申し上げておきましょう。
ただし、「仕事上のスキル」が「人生を豊かにする自分」の形成につながるか、というと、それは「NO」と言わざるを得ません。
「仕事」も、「仕事上のスキル」も、長い人生の中では、もっとも早く消える「消えもの」だからです。
「自分磨き」などと意気込むと、ストレスだけを溜め込むことになるかもしれない。
「評価を期待する自分磨き」より、「内的欲求に衝き動かされた学び」を。
今回は、そんな話をさせていただきました。


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