似て非なるもの、「洋キス」と「和キス」。
不純愛トーク 第248夜
前回、ご紹介した管理人・哲雄のロンドン娘との恋バナ。今回は、その続きをお届けしようと思います。その恋の中で感じた、イギリス娘と日本の男の恋の感覚の違い。それを、「キスの仕方の違い」という観点から、論じてみようと思うのです。単なるノロケではありませんが、聞き苦しかったらご容赦ください――。
【今回のキーワード】 キスの仕方 カップル
【SEOリンク・キーワード】 おひとり様 エロ 恋愛小説 官能小説 結婚 不倫
AKI 「キミは、ナイチンゲールの鳴き声を聞いたことがあるか?」という日本のエロ・ジジイの問いかけに、「ないわ。あなたがブルー・バードを見たことがないように」とお答えになった美しきロンドン娘。そんなふたりの恋は、桜満開の、東京は千鳥が渕で花開いた……というか、やっちゃったんですよね、哲ジイ?
哲雄 それが、彼女が日本に来た目的のひとつでしたからね。
AKI エッ!? 日本のエロ・ジジイとやることがですか?
哲雄 違うでしょ! 日本の桜を見ることが……ですッ! さすが、ガーデンの国のお嬢さん。なので、私は申し上げました。「東京でいちばん美しい桜をキミにプレゼントしよう」ってね。
AKI それが、千鳥が渕……?
哲雄 ハイ。古いキャッスルの石垣と緑の水をたたえたお堀、そこに枝をしたたらせるようにして、これでもかと咲き誇る桜。まるで、古典派の絵画のようなその光景は、きっと、このブリティッシュ娘の心に、何らかの……そう、すごくロマンティックな気分とかを芽生えさせるに違いない、と思いました。
AKI 芽生えたんですか、そのような気分が……?
哲雄 と思いますねェ。私は申し上げたんですよ。きっと、キミは、これからも旅を続けるのであろう。そして、旅に出たキミは、日本の東京で出会ったものすごく覚えにくい名前のこんな男のことなど、あっという間に忘れてしまうことだろう。しかし、どうか忘れないでほしい。東京で見た、この美しい桜のことだけは……ってね。
AKI で……? 何とお答えになったんです、そのブリティッシュ・ガールは?
哲雄 「忘れないわ。その桜を私に見せてくれたあなたのこともね」って。ブヒヒ……。
AKI その「ブヒヒ……」は要らないですから。それからどうなりました。
哲雄 「あなたのことも……」と言った彼女は、ブラウンの瞳の奥に光をたたえて私の目を見つめています。私のつぶらな瞳も、彼女の目を見つめます。見つめ合ったまま、動かないふたりの目。やがて、ふたりの顔は、どちらからともなく近づいて……。
AKI カーット!
哲雄 なんで、止めるかな、いいところなのに……。
AKI なんか、ポッ……ってなっちゃって。ね、哲ジイ、後学のために聞いておきたいんですけど、その……キスの仕方ってさ、どこか違うの、日本式とその……ブリティッシュ式とでは?
哲雄 そんなもん、日本式も英国式もおまへんがな。万国共通でしょうよ――と言いたいところですが……。
AKI あるんですね、何か?
哲雄 私も、それほど国際経験(?)が豊かなわけではありません。しかし、少なくとも欧米系の女性たちとアジア系の女性たちのキスの仕方には、ちょっとだけ「アレ…?」と思うような違いが、有意に感じられました。
AKI どんなことでしょう?
哲雄 「アイ・ニード・ユー」感の有無、というか……その強度の差ですね。
AKI エッ、エッ!? 「アイ・ニード・ユー」感? よくわかんな~い。
哲雄 アジア人、特に日本の女性は、「キス」と言うと、唇と唇を接触させようとします。
AKI ハァ……私も、たぶん、そうすると思いますが……あちらの方は、違うんですか?
哲雄 粘膜と粘膜を触れ合わせようとなさいます。つまり、その……唇の外側の、外気に触れている皮膚ではなくて、その内側の粘膜を交わし合おうとなさるんですね。私に言わせていただくなら、
「キスを食べる」
という感覚に近いです。
AKI エッ!? キスを「食べる」ですか? つまり、獰猛(どうもう)ってことですか?
哲雄 そう申し上げてもいいかと思います。少なくとも「愛してる」を確認し合った同士のキスは、そうですね。ものすごく「アイ・ニード・ユー(あなたが欲しい)」なキス。そういう意思が伝わってくるようなキスなんですよね。
AKI さすが、肉食系。私のような草食系女子には、想像もつかない世界でございますわ。
哲雄 でもね、いきなり、そうなるわけじゃない。あちらの方たちのキスには、おおむね3段階があるように、思えるんですよね。私もレパートリーとしているジャズの曲の中に『イッツ・ビーン・ア・ロング・ロング・タイム』という曲があるんですけど、その冒頭にこんな歌詞があります。
《私に1回、キスして。Kiss me once,
それから2回、キスして。And kiss me twice,
そして、もう1回、キスして Then kiss me once again》
それから2回、キスして。And kiss me twice,
そして、もう1回、キスして Then kiss me once again》
これね、長い間、戦争に行っていた恋人の帰国を迎える女性の心境を歌ってるんだけど、この中に、3種類のキスが出てきます。
AKI そうなんですか? 私には、みんな同じキスに見えちゃいますけど……。
哲雄 まず、最初の「1回、キスして」。これは、《儀礼のキス》です。軽く「チュッ」とやるキスで、ま、あいさつ代わりみたいなもの。男同士、女同士でも、おたがいの頬に「チュッ」とやるような、その程度の、性的な意味などはまったくないキスです。次に、「2回、キスして」ときます。これは《親密・友愛のキス》です。「チュッ、チュッ」と、2回やるところがみそなんですね。
AKI 「2回」に何か意味があるんですか?
哲雄 ハイ、大あり! です。西欧の文化の中では、「カップル(=2回、2組)」になって初めて「真である」とする考え方があるんですよね。「1回だけ」だと、「ただの儀礼」としか思われない。なので、乾杯でも、親しみを込めてやる場合は、必ず、「カチン、カチン」と、グラスを2回合わせますし、握手でも、ギュッと握った手を「ギュッ、ギュッ」と2回、大きく振ります。そうしないと、「あなたの握手には心が込もってない」と思われてしまうんですね。
AKI じゃ、最後の「もう1回」てのは?
哲雄 舌を入れます。
AKI ハイ……?
哲雄 この「もう1回」は、完全に性的なキス。「チュッ」ではなく「ブチューッ」とくるわけですが、この「ブチューッ」が、あちらの方は、激しいわけです。
AKI で、それだったんですか? 桜の樹の下で、哲ジイとそのイギリス娘が交わしたキスは?
哲雄 ま、そのような感じでしたねェ。やがて、彼女は言いました。「向こうにキラキラと明かりが灯っているあの建物は何?」と。
AKI 何とお答えになったんです?
哲雄 あれはね、クレア。スモール・ホテルだよ。行ってみるかい?
AKI 彼女は、何と……?
哲雄 ステキね。イースターの夜を、桜に囲まれたスモール・ホテルであなたと過ごすなんて、わるくないアイデアだと思うわ――と、まぁ、おおむね、そのようなことをおっしゃいました。
AKI 日本のちょいワルオヤジは、まんまと、ロンドン娘を桜のホテルに連れ込んだわけだ。
哲雄 失敬な! 私はね、そのクレア嬢を愛しておりました。おそらく、彼女ほど機知に富んで、かわいくて、ものの考え方も感じ方も合う女性とは、二度とお目にかかれないだろう――と思っておりました。
AKI 結婚しちゃえばよかったじゃないですか?
哲雄 おお、友よ、その話はしないでおくれ。それを言われると、私のこの老いたる胸は、引き裂かれてしまいそうになるのじゃ。
AKI なんか、ワケがあったんですね。
哲雄 いずれ、AKIクンにも、話せるときがくるじゃろうて。
AKI たぶん、来週ぐらいにはね。では、続きは、次回に。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 飛べない青い鳥。国際恋愛を妨げる障害について (2012/09/10)
- 似て非なるもの、「洋キス」と「和キス」。 (2012/08/31)
- 恋の鳥。「ナイチンゲール」と「ブルーバード」 (2012/08/21)