「カカア天下」は、実は「男の天下」
不純愛トーク 第243夜
男女平等についての考え方・感じ方は、地域によってもかなり違います。前回は、「男尊女卑」の気風は、九州と関東地域に特徴的である、という話をしました。では、その反対は? 今回は、「カカア天下」と呼ばれる地域について、その中身を検討してみます――。
【今回のキーワード】 男尊女卑 カカア天下
【SEOリンク・キーワード】 おひとり様 エロ 恋愛小説 官能小説 結婚 不倫
AKI 「男尊女卑」は、実は、女が男をこき使うためのシステムなのではないか? 前回は、哲ジイ、大胆な説をご披露なさいましたよね。
哲雄 大胆な……というか、常識的な……というか。日本の賢い女性たちは、「男は、いい気にさせて威張らせておいたほうが、稼いでくれる」ってことを、経験的に知っているんだと思いますよ。特にそれが、九州あたりでは強いってことだと思います。
AKI 哲ジイも、お母様とかにそんなふうに言われて育ったんですか?
哲雄 うちの母親は、あんまり言いませんでしたねェ。「ふつうに生きんしゃい」が口癖のような人でしたから。
AKI ハァ。それで、ごく「フツーの男」になっちゃったんだ?
哲雄 ハァ、おかげさまで、フツーのおっさんになっちまいました。でもね、クラスの女子とかは、やっぱり言いましたよ。「男やろ? シャキッとせんね」とか……ですね。
AKI つまり、あれですか? 九州方面では、「男尊女卑」な男は、むしろ、女が育てている側面もある――ってことですかね?
哲雄 育てているかどうかはともかく、「男尊女卑」と呼ばれる地域の女は、実は強い! というのが、私の実感ですね。なので、そういう地域の女たちは、水商売をやらせると、実にうまい。
AKI 男をうまく立てて、ときにはお尻を引っぱたいたりもして、立身出世をうながし、稼いだ金を店で使わせる――と、そういう算段なんですね。
哲雄 おっしゃるとおり。
AKI じゃ、その逆は?
哲雄 逆……?
AKI 「カカア天下」な土地ってのもあるでしょ?
哲雄 「カカア天下」と言えば、上州。つまり群馬県ですけど、もう一度、前回のランキングを見てみましょうか。

――東北大学研究グループ。2010年6月発表
1位 埼玉 ………1750
2位 北海道 ……1917
3位 鹿児島 ……2000
4位 宮崎 ………2083
4位 神奈川 ……2083
4位 青森 ………2083
7位 和歌山 ……2167
7位 千葉 ………2167
7位 栃木 ………2167
7位 茨城 ………2167
7位 秋田 ………2167
12位 大分………2250
12位 福岡………2250
12位 三重………2250
15位 長崎………2333
15位 佐賀………2333
15位 新潟………2333
15位 群馬………2333
AKI あ、そうか。「カカア天下」で有名な群馬県も、「男女平等度指数」では、ワーストのほうに入ってるんですね。不思議……。
哲雄 不思議でも何でもない。群馬の男たちは、遊び好きで博打好きで知られてるんだよね。彼らは、特産の生糸や絹織物を東京や横浜まで売りに出ては、稼いだ金を博打に注ぎ込んだりしてた。そんな男たちを、蚕を飼ったり、機織りしたりして、一生懸命支えていたのが、上州の女だったわけです。
AKI 働き者だったんですね。
哲雄 「女工哀史」の世界だものね。男たちも、そんな働き者の奥さんを、「うちのカカアは天下一だぁ」などと自慢した。この「カカアは天下一」が短縮されて、「カカア天下」になった、と言われてます。
AKI なんだ。じゃ、女が威張ってるとかいうのでは、全然、ないわけですね?
哲雄 全然、ないです。むしろ、遊び好きの男を陰で支えるしっかり者、というところでしょうね。これも、一種の「男尊女卑」。
AKI そうか。やっぱり、「男尊女卑」の陰には、しっかり者の女あり……ってことなんですね。
哲雄 「男女平等」なんて言われて、男が社会でガンバる気力を減退させ、精子数まで減少させてしまう……なんていうシステムよりは、よほど優れたシステムだったかもしれませんねェ。問題は、その「男尊女卑」の陰に隠された、もうひとつの問題。
AKI 前回のトークで、最後に指摘した「問題あり」というその「問題」ですね。それは、ズバリ、何?
哲雄 差別意識です。
AKI 差別……?
哲雄 ただ、男が「オレは男だ」と威張るだけならいいのですが、その根底に「男は優れた生きもの、女は劣った生きもの」という差別意識があると、問題はややこしくなります。この「差別意識」というのは、こと「男女の問題」だけにはとどまらないからです。
AKI というと、たとえば「人種差別」とか……ですか?
哲雄 それもあるし、「身分差別」もあります。
AKI エッ、身分……?
哲雄 昔だと、士農工商ですよね。鹿児島あたりは、特にこういう意識が強く、同じ士族でも、「上士」「下士」の区別がかなり厳しかったと言われています。明治になって、士農工商の日本風カースト制度は廃止されるのですが、「官尊民卑」の気風は、現代にいたるまで、根強く、日本の支配機構の中に残ることになります。
AKI それは、あれですか? 明治維新を主導したのが薩摩と長州だったってことも関係してるんですか?
哲雄 大いにあるでしょうねェ。明治維新後、薩摩や長州の士族たちは、大挙して上京し、たいていは、警官や官吏や軍人になりました。そして、彼らの価値観では、「官は尊く、民は卑しい」だったのですね。彼らが「民間人は……」などと口にするときの「民間人」には、「民間人のくせに」という蔑視が含まれていました。
AKI それが、いまだに残ってるんですか?
哲雄 いまでも、警官の中には、一般市民を「オイ、コラ」などと呼び捨てる人たちがいますが、実は、この「オイ、コラ」は、鹿児島弁なんですよね。日本の警察の体質の中には、この薩摩的なものが色濃く残っている、と言っていいかと思います。ついでに言っておくと、「自分は○○であります」などと言うときの「であります」は、長州弁。かつての日本陸軍は、長州の影響を強く受けて、軍隊用語にも、ずいぶん、その名残があるようです。
AKI フーン、薩摩と長州かぁ。ね、哲ジイ。長州も、鹿児島と同じように「男尊女卑」で、「差別意識」が強かったの?
哲雄 「男尊女卑」かというと、ちょっと違う気もしますが、しかし、「亭主関白」ではあるみたいですよ。長州の男は、理屈っぽくて、強情で、冗談も通じない……というタイプが多い。世渡りが上手いか下手かというと、下手なほうです。しかし、女性のほうはそうじゃない。けっこう社交的で、細かい気配りもできるので、そういう男をもり立てるように、内助の功を発揮します。こちらも「アゲマン」なんですね。
AKI 薩摩おごじょも長州夫人も「アゲマン」かぁ。薩長の成功の陰には、「女の力」があったってわけですか? ところで、「差別意識」のほうは? 山口の男も、やはり、差別意識が強く、官尊民卑なんでしょうか?
哲雄 長州人の場合は、「差別」というより「エリート意識」と言うべきかと思います。出身校の格とか、卒業年次とかで階層が作られ、そういう階層を保って派閥を形成する――というのが、長州人は好きだし、得意だと思います。
AKI 派閥ですか? そう言えば、山口って、けっこう政治家が多いですよね。
哲雄 ハイ。政治家も軍人も多い。そのわりに、財界人は少ない。理屈が多くて、何かと言うと「理想論」を振り回す山口県人は、商売にはあまり向かないのかもしれませんね。
AKI でも、そんな長州と薩摩が、近代日本を作ったわけでしょ?
哲雄 よくもわるくも、作っちゃいましたね。
AKI 「よく」も「わるく」も……ですか?
哲雄 どこがよくて、どこがわるくなのか? どうせ、キミは、そういうことを聞きたいんでしょうね。
AKI ハイ。とっても。
哲雄 では、次回、そこらへんをまとめて、この県民性の話のまとめといたしましょうか?

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 「官尊民卑」を生み出した薩摩と長州の「エリート意識」 (2012/07/29)
- 「カカア天下」は、実は「男の天下」 (2012/07/22)
- 「男尊女卑」は、ある種の「男操縦術」である (2012/07/16)