「好きやねん」から始まる大阪の恋、隠す東京の恋
不純愛トーク 第239夜
前回は、「ケチ」の県民性と「ガメツイ」の県民性について、お話しました。その「ガメツイ」の本場・大阪は、実は、「せっかち」の本場でもあります。せっかちな大阪人の恋は、「好きやねん」とホンネをぶつけるところから始まりますが、対する東京の恋は、見栄を張るので、なかなか「好き」が出てきません。東京と大阪、ふたつの都市の恋のかたちを比較してみました――。
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AKI 哲ジイ、前回、「ケチ」と「ガメツイ」は違う、とおっしゃいましたよね。
哲雄 ハイ、申しました。「ケチ」というのは、「締まり屋」ということで、その根底には「質素倹約」の精神があります。そして、この「ケチ」の気風は、石川・富山→福井→滋賀→岐阜→三重→愛知……というふうに、一本のラインでつながっています。
AKI 日本海から太平洋までつながってますね。
哲雄 これを「ケチ」のシルクロードと呼んでるんですけどね。
AKI ヘーッ、そんなシルクロードがあったんだ!
哲雄 いま作りました。でね、前回も話しましたが、この「ケチ」の気風を生んだ背景には、一向宗が育んだ「質素倹約」「勤勉」などの精神的土壌がありました。しかし、「ガメツイ」というのは、それとはちょっと違います。
AKI 大阪人は、「ケチ」などではなくて、「ガメツイ」んだとおっしゃいましたよね。
哲雄 ハイ。「ケチ」というのは、一生懸命働いて「貯め込む」性質のことを言いますが、「ガメツイ」というのは、「得すること」に貪欲である性質のことを言います。もちろん、その中には、「ケチるべき部分はケチる」という要素も含まれていますから、周りからは「ケチ」と見られることもあるでしょうが、しかし、この「ケチ」は、もっと積極的な「ケチ」です。ある意味で「合理的」とも言えます。
AKI 「合理的」というのは、「計算高い」とも言えますよね。
哲雄 おっしゃるとおり。大阪の人と仕事の話をしていると、その合理性というか、計算高さが、端的に現れてきます。この企画は、ウンヌンカンヌン……などと能書きを並べ立てていると、大阪人は言うんですね、「早い話、なんぼやねん?」と。
AKI 話が早いっちゃ早い。エッ!? もしかして、恋愛も……?
哲雄 じゃないですか。「早い話、どっちやねん? やらせるんか、やらせへんのか?」なんてね。やらせもしない女に、ムダな時間も労力も使いたくないちゅーことやおまへんか。
AKI せっかちですねェ。
哲雄 せっかちらしいですよ。大阪人の言葉で言うと「いらち」。電車だって、いまでこそ列を作って並ぶようになってますけど、ひと頃までは、電車が入ってきたとたんに、ワレ先にドアに殺到するというありさまでした。道路でも、おとなしく青信号を待ってなんかいられなくて、クルマが走って来なければ、赤でも平気で渡ってしまう。だから、大阪の横断歩道には、「青信号まで○秒」の表示がある。まごまごしてるクルマがあると、すぐクラクションを鳴らすし、あ、そうそう、エスカレーターで、急ぐ人のために片側を空けるようにしたのも、大阪が始まりらしいですよ。
AKI エッ!? 大阪のほうが先なんですか? そう言えば、大阪では、左側を空けるそうですね?
哲雄 ハイ。東京は右を開け、大阪は左を空けます。これには、諸説あって、大阪で左を空けるようになったのは、国際標準にのっとっただけ。一方、東京は武家社会だったので、刀を指す左側を追い越そうとすると、鞘に当たってトラブルになることがあるから――などと言われていますが、さだかではありません。
AKI でも、あれですね。そんなにせっかちだと、恋に落ちるのも早い、手を出すのも早い……ってことになりませんか?
哲雄 全般に、大阪の男は、すぐホレるらしいですよ。
ホレると、まず「好きやねん」と口にして、それから交際が始まる。
一途になるけど、見込みがないとわかると、すぐに手を引く。
「あかん、あかん。あんな女、止めとけ」になってしまう。

AKI カッコつけたりしないんですね。その点、東京の男は、カッコつけますよね。
哲雄 男も、女も、カッコつけますね。スタイリッシュに恋をしようとします。デートの場所だって「オシャレな場所」ってことになるし、着ていく服、相手が着てくる服にもこだわる。
AKI お金、かかりますね。
哲雄 かかります。カードローン使ってでも、見栄を張ろうとします。もともと、東京人というか江戸っ子には、「宵越しの金は持たない」なんていう気風がありますしね。ま、それには他の理由もあって、それについてはあとでお話しますが、とにかく、パーッと使ってしまいます。東京のジゴロは、金がかかってしょうがないわけですね。
AKI そのくせ、「好き」とかはなかなか言ってくれないし……。
哲雄 大阪人は「好きやねん」と口にしてから口説きにかかりますが、東京人は、交際が始まっても、なかなか「好き」とは口にしません。

AKI カッコつけてるから?
哲雄 カッコもつけてるし、そんなことは「察しろよ」という文化なんだね。ホンネを口にしたりするのは、不恰好なことだと思っていたりもします。
AKI 大阪人は、すぐ、ホンネを口にする?
哲雄 せっかちだからね。回りくどい言い方はしないわけです。「早い話、なんぼやねん?」を、恋愛の世界でもやってしまうわけです。女性も気が強くて、わりとホンネを口にしたりするので、ケンカもド派手になります。
AKI 「アホ」とか「ボケ」とか「カス」とか、すぐ言いますよね?
哲雄 言いますね。心の中に思ったことを正直にぶつけるので、ケンカになると、ほんとに別れてしまうことも少なくない。それに、どうも、大阪の男のほうが、気が多いらしい。でもね、「アホ」だの「ボケ」だの言うわりには、人情に厚いところがあって、けっこう長続きしたりもする。浪花節的なんだね。
AKI そういうところ、東京の下町にも似てませんか?
哲雄 似てるかもしれません。東京の下町のおっちゃんやおばちゃんたちも、「このクソババアが」とか「うちのモウロクジジイが」なんてことをすぐ言いますからね。そんなこと言うわりには、仲がよかったりもする。でもね、ちょっとだけ、違うところがある。
AKI エッ、どこ、どこ?
哲雄 大阪人は、わりとホンネで「アホ」とか「ボケ」とやりますが、東京人が口にする「クソババア」だの「クソジジイ」は、「強がり」だったりすることが多い。口では「バカ」とか「ブス」とか言いながら、ホンネではホレてたりする。「強がり」は「見栄」の一種だよね。
大阪人は、ホンネで「アホ」と言うけど、
東京人は、見栄を張って「あのブスが」と言ったりする。
ここが、東京と大阪の大きな違い。
AKI つまり、あれですか? 東京人のほうが二枚舌ってことですか?
哲雄 二枚舌っていうか、ホンネと建前が違う。なぜ違うかと言うと、東京人のほうが見栄や世間体を重んじるからなんだよね。
AKI どうして、そうなっちゃったんでしょう?
哲雄 実はね、これには、江戸という町がかつてどういう役割を演じていたか、大阪がどうだったか、ということが、大いに関係しています。
AKI オッ、歴史問題! そういうの、好きです。
哲雄 ズバリ、申し上げましょう。お江戸の恋と浪花の恋。その違いを生み出した根底に横たわるもの。それは……。
AKI あ、そうか。「イル語」と「オル語」の違い。ね、ね、そうですよね、哲雄のダンナ?
哲雄 それともないとは申せぬが、もっと大きいのは、江戸と大阪が、歴史的に権力の中枢とどういう関係にあったか? このことが大きいと思うのじゃ。しかしの、AKI殿、この話、いささか長うなるによって、続きは、次回ということにいたそうぞ(「暴れん坊将軍」を見ながら、原稿を書いております)。それにしてもそのほう、よきオナゴよのう。余の夜伽をいたさぬか?
AKI 何をおたわむれを。あれぇ~、お止めくださりませェ~。

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