クラブやるなら「オル語女」、小料理屋なら「イル語女」
不純愛トーク 第232夜
「居る」を「オル」と言うオル語圏=西南日本と、「イル」と言うイル語圏=東北日本。前回、日本文化の基層には、2つの文化圏があるという話をしました。「オル語族」と「イル語族」の違いがもっともよく表れるのは、人間関係。大集団を得意とする「オル語」vs小集団を得意とする「イル語」。今回は、その違いは男女の関係にも影響する、という話をご紹介します――。
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AKI ひとつお尋ねしたいんですけどね、哲ジイ。青ネギ派の哲ジイとしては、やっぱり、青ネギ派の嫁が欲しいとか思うわけですか?
哲雄 嫁は、いまさら求めておりません。ヨメ、いくばくもありませんので……。
AKI ジョーダン言ってる場合じゃないでしょ。いまさら嫁でもないって、いつぞやは哲ジイ、35歳年下の嫁が欲しいとか言ってませんでしたか?
哲雄 言ってましたっけ? それは失礼。それで? あ、そうそう、嫁は青ネギ派がいいかという話ですか? そんなこと、気にしておりません。白ネギ派でも一向にかまいません。むしろ、青と白が一緒になったほうが、いい味出せたりするかもしれませんしね。
AKI ホントですか? ケンカになったりしませんか?
哲雄 そりゃ、ケンカになる場合もあるかもしれません。ものの考え方の基本が、大きく違っているところがあるんでね。前回も申し上げましたが、白ネギを食する「イル語族=ナラ林文化圏」は、「惣領制」の縛りが強く、血の濃さや序列や順番にこだわる意識が、私たちから見ると、「エッ!?」と思うくらい強い。一方、青ネギを食する「オル語族=照葉樹林文化圏」は、「ご一党さん」感覚なので、血の濃さや序列や順番よりも、利害やものの考え方(主義・主張)でくっつく性質が強い。この違いは、会社などの組織や親戚づきあいなんていう場面になると、けっこう表面化するんだよね。
AKI 哲ジイが、いちばん「エッ!?」と思ったのは、どんなこと?
哲雄 私が九州からこちらに出てきて、ものすごく驚かされたのは、「先輩・後輩」意識だね。酒ひとつ注ぐにしても、「先輩から順に」と求められる。「そんな細かいこと言うなよ」っていうのが、ボクらの感覚だし、むしろ順番があるとしたら、関係の遠い者から先に――っていう意識があるんだけど、そこらへんが、まるっきり違ってた。それにね、「根回し」という言葉。私は、関東に出てきて初めて、この言葉を知りました。
AKI エッ、根回しって?
哲雄 たとえば、私があることを会社に提案しようとしたとします。「オル語族」である西の人間は、思ったらすぐ口にします。「いま、思いついたんですが……」てな調子でね。ところが、「イル語族」である東の人間は、そういうことは、まず、先輩→上司と話を通してからにしろ――と要求する。つまり「根回し」しろ、ということです。
AKI それが根回し? 私も、それ、やんないかも……。
哲雄 ま、キミの場合は、「伝統的イル語族」じゃないからね。どっちかつーと、宇宙人だし……。
AKI 何すか、それ? でもさ、哲ジイ。そういう違いって、家庭生活の上でも問題になりません?
哲雄 なりますね。たとえば、正月をどっちの実家で過ごすかとか、出産の報告とか新築の報告とか盆暮れのあいさつとかを、どの程度の範囲まで、どういう優先順位でやるかとか……そういうことって、結婚生活がスタートすると必ずぶつかる問題なんだけど、そんなときに、順番にこだわる「イル語族」とあんまり気にしない「オル語族」とでは、意見がぶつかったりします。
AKI 青ネギか白ネギか、だけの問題じゃないんですね。
哲雄 そういう食文化の違いなんてのは、むしろ、小さな問題でね。もっと大きく言うと、ある集団を形成するときに働く力のありようが、「イル」と「オル」では、まるで正反対というくらい違っています。
AKI 正反対……? どんなふうに……?
哲雄 「イル語族」は、集団を小さくまとまめて結束を固めようとします。
「オル語族」は反対。
結束よりも、集団を大きく広げようという方向に力が働くんですね。
AKI 内向的か、外向的か、という違いですか?
哲雄 性格に置き直すと、そういう言い方もできるけど、ちょっと違う。あくまで、集団の力学のことを言ってます。たとえばね、「オル語族」の女と「イル語族」の女が、水商売をやるとしましょうか?
AKI どっちがうまいんです?
哲雄 クラブなんかをやらせると、圧倒的に「オル語族」のほうがうまい。実際、銀座のクラブのママなんて、ほとんど「オル語族」だと思いますよ。でもね、常連客中心の気の置けない小料理屋とか隠れ家的なバーなんてのは、どっちかと言うと「イル語族」のほうがうまい。
AKI わかった。「オル語族」は不特定多数を相手にするのが得意で、「イル語族」は相手の気分がわかる程度の少人数を相手にするのが得意――と、そういうことですね。ね、その少人数の規模って、どれくらいなんです?
哲雄 私の経験によれば、48人。
AKI エッ!? 48人……って、なんで、そんなハンパな数字が出てくるんです?
哲雄 AKBの「48」です。あれが、「イル語族」がコントロールできる集団の適正規模ではないか、と私は思っています。なので、AKBは、「イル語圏」でのほうがウケがいい。
AKI 「オル語圏」では、ウケないんですか?
哲雄 あんまり……というか、そもそも、ああいう集団を結成しようという発想がない。もっと、個人プレーを好むんじゃないでしょうかね。48人で1万人を感動させるんだったら、オレひとりで1万人をうならせて見せる――と考える人間のほうが、多いと思いますよ。
AKI でもさ、哲ジイ。もし「イル語族」のほうが少人数をコントロールするのが得意だとすると、家庭を守るっていう点についちゃ、「イル語」の女のほうがすぐれているってことになりませんか?
哲雄 家庭を「守るもの」と考えれば、そうでしょうね。
AKI 「オル語族」の女は、「守らない」……?
哲雄 「守る」というより、「マネジメントする」という感覚に近いと思います。そして、家庭そのものが周囲に対して開けっぴろげである傾向が強いような気がします。
AKI マネジメント……ですか?
哲雄 たとえばね、私の郷里である九州は、「男尊女卑」の傾向が強いと言われていて、ま、実際、男が威張っている地域もあるんだけど、実態はちょっと違う。男を威張らせて、いい気にさせて、どんどん働かせて……っていうふうにやるんだけど、ほんとは、その裏でカミさんがしっかり実権を握ってるっていうパターンが多い。亭主がグウタラしてると、「しゃきんとしんしゃい」とか言って、背中をどやしつけるタイプの女、多いですよ、あちらでは。だから、銀座のママになると、うまくいくんですよ。
AKI 哲ジイも、そういうタイプの嫁をもらいたいわけですね?
哲雄 それについては、現在、考慮中です。
AKI ハ……? 考慮してる時間なんて、あんまりないんですけど……。
哲雄 でもさ、AKIクン、別に統計をとったわけではありませんが、私がこれまで見てきた感じで言わせてもらうなら、「イル語圏」では、「イル語族」同士でくっつこうとする傾向が強いようですが、「オル語圏」では、あんまり「オル語同士」にこだわったりしないようですよ。
AKI そう言えば、「東男に京女」とか言いますよね。
哲雄 あれは、「きっぷのいい江戸っ子と、優雅な京女」の相性を言ってるだけの話だけど、実際、「オル語」の男なんぞは、控えめで内向的な「イル語族」の、それも北方系の女に惹かれたりもするんですよ。
AKI ないものねだりのようなもんですね。
哲雄 ただね、カップルの地域別マッチングを考えるときには、単に「イル」か「オル」かじゃ、すまないような気もします。もっと、細かい分類が必要でしょうね。たとえば、同じ九州でも、福岡県人と熊本県人じゃ、水と油ほど違っているし、関東だって、群馬県人と千葉県人じゃ、まるっきり違う。これを言い出したら、キリがありません。
AKI でも、知りた~い!
哲雄 ま、それについては、いずれ、まとめてみるとして、その前に、「イル」vs「オル」のマッチングについて、次回、もう少し具体的に、検討してみたいと思います。
AKI ファーイ。では、「オル語」のダンナ、あちきは、今晩はこれにて失礼いたします。

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