私の骨は、「人骨コンクリート」にしておくれ!
不純愛トーク 第225夜
人は、結婚式や葬式のために生きているわけじゃない。前回は、「イベント」に金をかけすぎる日本人の生き方に疑問を投げかけました。今回は、「死後」の話。「霊魂」には名前なんてない! そんなものに金をかけるなんてバカげている、という話です。ちなみに、管理人・長住の骨は、コンクリートに混ぜて「資源」として活用していただきたい、というのが希望なのですが――。
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AKI 哲ジイの人生観から言うと、結婚式も披露宴も必要ない。お葬式だって要らない――と、そういうことになるんでしょうか?
哲雄 何も、そんなことは申しておりませんよ。ただ、セレモニー業者がなんとか金をむしり取ろうとして企画するような「儀式」としての結婚式や葬式はいらない、と申し上げているだけです。
AKI じゃ、どうするんですか、哲ジイは?
哲雄 どうする……とは、何を?
AKI ですから、その……もしお亡くなりになった場合の、その……。
哲雄 葬式のことをおっしゃってるんでしょうか? ですから、そういうものは必要ない――と。
AKI あ、そうか。孤独死するんですものね。
哲雄 人は、みんな、最後はひとりになって死ぬんです。
AKI だれにも看取られずに――ですか?
哲雄 カンベンしてよ。死ぬときまで看取られたりしたら、面倒くさくてかなわないでしょ。
逝くときくらい、静かに逝かせてほしい。
それが私の願いです。
AKI 枕元で手を取って、「長住さ~ん」とか「哲雄~」とか、呼びかけてほしくないんですか?
哲雄 それってさ、眠ろうとしてるのに、「まだ寝ちゃダメ。ねェ~ン」なんて言われてるようなもんでしょ。じゃまくさい……じゃない。もし、そんな私の死を嘆き悲しんでくれる人たちがいるのなら、そういう人たちだけで、「まったく、あの野郎もバカな死に方しやがって」と、酒の肴にしてくださればそれで十分。ま、遠い将来の話ですがね。
AKI ハイ、ハイ。遠い将来ね。お骨はどうするんです?
哲雄 なんか、リアルな質問しますねェ。そんなもの、そこらにブチまければよろしい。
AKI そんなこと、できないんです。法律で決められてるんです。たとえ散骨するにしても、許可が必要なんだから。
哲雄 難儀な話ですねェ。前から思ってるんだけどさ、これって「資源」にならないのかなぁ?
AKI お骨が……ですか?
哲雄 骨に限らず、すべて。でも、もう、年齢的にドナー登録は受け付けてもらえないし、献血もあと何年かでできなくなる。残るは骨だけ。骨ってカルシウムだし、酸化すると石灰なわけだから、たとえば、砕いてコンクリートに混ぜて使う……とか。
AKI 不謹慎な……。
哲雄 何が不謹慎なものか。そんなことでもお役に立てるのなら、この老骨、喜んで差し出すんですけどね。ええ、こちらのマンション、「人骨コンクリート」製でございます。長住の骨が混じっておりますので、かなり硬く、頑丈になっております――なんてね。あら、どうしました?
AKI なんか……悲しくなっちゃった……。
哲雄 なんで悲しむかなぁ。無から生まれたこの体が、立派に資源として役立つなら、それは喜ばしいことではありませんか? セメントの材料になる石灰石なんて、みんな、生物の死骸なんだよ。そうやって、この地上のすべての生きものは、自然の大きなサイクルの中に放り込まれる。それが、生物であるということの宿命。その宿命を粛々と受け入れる。それが、生物としてこの地上に誕生した自分の定めだ――と、長住は思っておりますから。
AKI でも、そんなことしたら、魂が……。
哲雄 魂? そんなものは、私が肉体的な死を迎えた段階で、固有名詞を失っておりますよ。「○○某の霊」なんていう魂は、この世にも、あの世にも存在しないわけで、そんなものが、ホラ、そこにあるとか、何かに宿ってる――なんて言ってるのは、インチキな新興宗教だけです。
AKI でも、仏教だと「戒名」とかつけちゃったりするじゃないですか? あれって、魂にも固有名詞が付いてるってことなんじゃありませんか?
哲雄 全然、違います。そもそも「戒名」っていうのはね、戒律が存在する宗派が用いるのであって、「戒律」を否定している浄土真宗や日蓮宗では、「戒名」という言葉そのものを使いません。
AKI エッ、そうなんですか?
哲雄 意外と知らない人が多いので覚えておいてくださいね。浄土真宗では、「法名(ほうみょう)」と言い、日蓮宗では「法号(ほうごう)」と言います。そしてね、これが肝心なところ。「戒名」にしても「法名」「法号」にしても、これらは、キミが言うように、死者の霊につけた「名前」なんかじゃないのです。
AKI エッ、じゃ……何?
哲雄 宗派によって微妙に言い方は違いますが、これらはすべて、本人が仏法の教えを受け入れ、仏弟子となったことの証として授けられる名前なんです。特に「戒名」は厳しくて、いくつもの項目にわたる「授戒」を受け、その「戒」を受け入れた者に対して与えられるんですね。ほんとうなら、生きているうちに「授戒会(じゅかいえ)」という儀式を受けなくてはならないのですが、現代人には、なかなかそんな時間がない。というか、あっても、そこまで熱心に信心する者がいない。そこで、死んだ後になって、枕経を上げて「授戒会」を施し、「戒名」をつけた上で「引導」を渡して浄土へ送り出す、ということをやります。
AKI フーン、知らなかった。ということは、あの世では、「長住哲雄の霊」とか「AKIの霊」とかいう霊が、ウヨウヨしているわけではないんですか?
哲雄 ないです。仏教の場合だと、「成仏」という言葉を使うのですが、「成仏」すれば、魂はすべて「仏(ほとけ)」になります。この「仏」というのは、宇宙にあまねく存在する普遍性と同義ですから、「何の某」なんていう名前はついておりません。
「仏になる」ということは、この普遍性と一体になる、
ということなんだよね。
AKI ヘーッ、仏様になっちゃうんだ。じゃ、「霊」っていうのは?
哲雄 仏教の場合、「霊」というのは「仏」になる途中の魂を呼ぶ言い方で、四十九日がすんだ後では、みんな「仏(ほとけ)」になってしまいます。
AKI じゃ、「ご霊前」という書き方もしないわけですね?
哲雄 四十九日を過ぎたら「ご仏前」です。
AKI ね、哲ジイ。なんで四十九日なんですか?
哲雄 これは仏教というより、仏教の元になった「バラモン教(後にヒンドゥー教となる)」の教えなんだけど、そのバラモンの教えによると、人は、死んでもまた新しい肉体を得て、この世に生まれ変わり……ということを永遠に繰り返す――とされていました。これを「輪廻転生(りんねてんしょう)」と言います。
AKI 「前世」がどうの……とかいう、あれですね。
哲雄 ハイ。で、何に生まれ変わるかは、現世での行いによって判断されるのですが、その判断が下されるまでの期間を「中陰(ちゅういん)」と呼んで、その期間が「49日間」とされていたんですね。
AKI その最後の判断を下すのは、だれなんですか?
哲雄 みなさんご存じの「閻魔(えんま)大王」です。
AKI 「おまえは、地獄へ行け」とか命令されちゃうわけですね?
哲雄 ハイ。この最後の判決は、「地獄か天国か?」なんて単純なものじゃない。全部で6つのコースが用意してございまして……。
AKI あの……私、いちばん安いのでいいんですが……。
哲雄 それでしたら、こちらの「地獄道」なんていかがでしょう? 血の池とか針の山とか、なかなかグルメな罰ゲームコースになっておりますが……。
AKI あの……針の山とかはちょっと……。じゃ、もうひとつ上のコースにしますわ。
哲雄 それですと、こちらの「餓鬼道」になりますね。その上が「畜生道」。さらに、「修羅道」「人道」「天道」……と、全部で6つのコースをご用意してるんでございますよ。なので、私どもではこれを「六道(りくどう)」と呼んでおります。「輪廻転生」のサイクルの中に入ると、人は、何度も生まれ変わっては、死んで審判を受け、この六道のどこかのコースに生まれ変わって……ということを繰り返すわけです。これ、シンドイでしょ?
AKI ハイ、苦しいです。なんか、そこから脱け出す方法はないんですか?
哲雄 あります。この「輪廻転生」から脱け出すことを「解脱(げだつ)」と言うんですが、この話をやり出すと、長くなってしまうので、次回に回しましょうか?
AKI ああ、私も解脱した~い!
哲雄 キミは「解脱」の前に「脱毛」しなさい!
AKI キャッ……!

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