人は「葬式」のために生きてるわけじゃない
不純愛トーク 第224夜
前回は、結婚式に金がかかりすぎる、という話をしました。しかし、これだけは言えます。人は、「結婚式を挙げるため」に愛し合うのでもなければ、「立派な葬式を挙げるため」に生きているわけでもない。「何かのため」に、いちばん貴重な「いま」を犠牲にする生き方に、今回は、ガンコ者・哲ジイが大いに異を唱えます――。
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AKI やっぱり、あれですか? 哲ジイも、お葬式は盛大に挙げてもらいたい――とか思うわけですか? そろそろ、何か具体的にお考えになっていらっしゃるんでしょ?
哲雄 何を具体的に考えるんですって?
AKI ですから、その……お葬式をどうするか……とかですね。
哲雄 そんな遠い未来のことなんか、考えたことはありませんッ!
AKI 「遠い未来」なんかじゃなくて、「近い将来」だと思いますけど……。
哲雄 ウルサイ! セレモニー業者の回し者か、キミは!
AKI あら、怒っちゃった。
哲雄 だからね、私は、「イベント型」の生き方はしません! 前回、その話をしたでしょう。
AKI ああ、あれですね。「結婚式」を挙げるために恋愛をするとか、立派な葬式を挙げるために晩年をガンバるとか……そういう生き方のことですね?
哲雄 オギャーと生まれた瞬間から、「いい学校に入るため」「いい会社に就職するため」「いいポストに就くため」「マイホームを建てるため」と急かされ続けて、最後は「お墓を買うため」「いい葬式を挙げるため」と急きたてられる。いつも、「何かのため」の時間を生きることを求められる。それってさ、ほんとに「人生を生きた」ってことになるのかなぁ……なんてね。
AKI なんか、きょうの哲ジイ、ヘン! ほんとに、死期が近づいてるのかも(ブツブツ……)。
哲雄 何か、おっしゃいましたか?
AKI いえ。それで、哲ジイはいま、「何かのため」じゃない「いま」を生きていらっしゃるんでしょうか?
哲雄 ええ、最近になって、やっと、そういう心境になれました。朝、起きて、窓からお日様が差し込んでいるだけで、「ああ、オレは生きている、生かされている」と感じるし、近くをジャージ姿の中学生の一団が「イチ、ニ、ファイト」なんてかけ声をかけて走っているのを見るだけでも、その生気が自分に乗り移るような気がして元気になる。道端に咲いている名も知らない花にも、「おお、きれいだね」と声をかけたくなってしまうしね。
AKI それで、あれでしょ? 道ですれ違う女の子が、みんな、美人に見えちゃったりするんでしょ?
哲雄 ドキッ! なんでわかるかなぁ……?
AKI ハッキリ申し上げましょう。それは、老化現象です! 哲ジイの「いまを生きる」てのは、ただの老化現象である。ハイ、これが本日の結論。
哲雄 バカを言っちゃあいけません。私は、ただ、「いまを生きる」ということの、ほんの卑近な一例としてそれらの例をお話申し上げただけです。でもね、考えてみてください。道端に咲く名もない花一輪にしても、「いま」という時間が「何かのため」の時間に過ぎない――と思っている人は、そんなものには目もくれない。たとえ、連れが「ワッ、こんなとこにも花が咲いてる」と感嘆の声を挙げ、その花を摘んで帰ろうとしても、「そんなもの摘んで、何になるんだよ」と一喝してしまいます。「何かのため」に道を急ぐ人なら、そもそも、そんな花が咲いていることに気づきさえもしないでしょうね。
AKI 私、気づきますよ。道を歩いてても、「あ、こんなとこに1円玉が落ちてる」って、つい、拾っちゃいますもの。「いま」を生きてるから……。
哲雄 このバチ当たり女が。わが高尚なる人生哲学を、そんなヨタ話にすり替えようとするなんて、ゆ、許せないッ!
AKI ジョ、ジョーダンですよ。要するに、哲ジイは、
「何か」のために「いま」という時間の価値を犠牲にしてしまうな
――と、そうおっしゃりたいわけでしょ? そんな生き方をしていると、人生の大事なものを見落としてしまうぞ……と?
哲雄 ま、まぁ、そんなとこでしょうか。「いま」が「何かのため」に急ぐ時間でしかない。そんな考え方でいると、過ぎていく時間に対する「認識」のレベルが、すごく粗くなってしまう。私は、それがとてももったいないことだと思うんです。
AKI 認識のレベル……ですか?
哲雄 「気づき」のレベルと言ってもいいかと思います。せっかく、自分のパートナーが目の前で「いいこと」をしていても、「またくだらないことを」とか「そんなことして何になる?」としか思えなくなってしまいます。
AKI つまり、あれですね。常に「ゴール」ばかりを目指している人の人生は、途中の時間の価値をムダにしてしまってる――と?
哲雄 途中ばかりじゃありません。ゴールした後の人生もムダにしてしまいます。話を結婚に戻すとね、「結婚」を「ゴール」と考える人は、ゴールしたあとの虚脱感ゆえに、それから始まる「結婚生活」という時間の価値そのものを減少させてしまうんじゃないか。それがもったいない――と、私は思うわけですよ。
AKI ね、哲ジイにこういうことをお尋ねしても、猫に小判の価値を尋ねるようなものかもしれないけれど、もしも……ですよ、哲ジイが結婚するとしたら、哲ジイにとって結婚することの意味は?
哲雄 毎日、ただでエッチできる。
AKI だから、マジメに!
哲雄 マジメですよ。「エッチ」はともかくとして、手を伸ばせば触れることのできる距離に、常に他者がいる。これ、類的な存在である人間にとって、もっとも重要な要素だと思います。「何のため?」とか考えなくていいんです。ただ、そこに「触れたい」と思う存在がいる。私だったら、それだけで、「ああ、私は生きている」と実感できると思いますよ。
AKI まるで、歌の文句みたい。
哲雄 ハイ。
そばにいてくれるだけでいい。
黙っていてもいいんだよ~♪
なんちゃって……。
AKI 何でしたっけ、その曲?
哲雄 フランク永井の『おまえに』です。ところが、常に「何のために?」を問う人は、「それじゃ、私、何のためにあなたと結婚したのかわからない」なんて言い出します。
AKI そう言えばいますね。「私、あなたから何ももらわなかった」とか「いいことがひとつもなかった」なんて捨てゼリフを残して、男と別れた女、いましたもの、私の周りにも。
哲雄 ま、女だけじゃない。男にもいると思うけどね、そういうタイプ。なので、私は嫌いなのです、「イベント型」の人生観が。
AKI 哲ジイにとっては、結婚式も「イベント」なんですよね?
哲雄 ハイ。私は、「結婚式」というイベントも、「結婚」という形式さえも、必要ないと思っています。「一緒にいたい」と思う女性が現れたら、ただ一緒に暮らす「同棲」でもいいじゃないか。そう思ってます。ただね、子どもが生まれたら親権という問題だって発生するし、税金とか年金とか健康保険とか、そういうことを考えると、法律的には「結婚」という形式を整えざるを得ないかと思いますけど……。
AKI そうか……。女の子にウエディング・ドレスを着せてやろうか――という気もないんだ、このオヤジは。女の子のそんなささやかな夢にさえ、協力する気がないってわけね。
哲雄 費用670万円が「ささやかな夢」とは思いませんけどね、私は。
AKI 確かに、結婚披露宴までやるとなると、「ささやか」とは言えなくなるけど……。
哲雄 でしょ? そんな金があったら、もっと、世のため、人のために使いたい――というのが、私のホンネ。使うべき場所は、いっぱいあると思いますよ、いまの日本には。
AKI それを言われると、グウの音もありませんが……。
哲雄 日本の社会ってさ、イベントに金をかけすぎるんですよ。いわゆる、冠婚葬祭ってやつだけど、生まれても金がかかる、入学しても卒業しても金がかかる、成人になっただけでも金がかかる、結婚してもかかる、歳をとっても金がかかる、やっと死んだと思ったら、死んでも金がかかる。これじゃ、何のために生まれてきて死ぬんだか……。
AKI そう言えばそうですね。じゃ、哲ジイのお葬式は、ごく簡単に、身内だけですませるってことにしますか。
哲雄 だから、そういう遠い未来の話には……。
AKI イッツ・カミング・スーン!

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