荒野のバラと谷間のユリ〈16〉 バガボンドの恋

バラの花束バガボンド小野田は、会社を辞めて
パレスチナへ行くと言う。その胸には……。


「おまえ、なんで由美とやっちまわなかったんだよ?」
やれるときにやっとかないと、後で後悔するゾ――
小野田の言葉を、蘭子ママが冷やかした。
「この人、自分に言ってるのさ」――。



 連載小説/荒野のバラと谷間のユリ ――― 第16章 
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この話は連載16回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
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ここまでのあらすじ 大学を卒業して、できたばかりの出版社「済美社」に入社したボク(松原英雄)は、配属された女性雑誌『レディ友』の編集部で、同じく新卒の2人の女子編集部員、雨宮栞菜、戸村由美と出会う。感性の勝った栞菜と、理性の勝った由美は、何事につけ比較される2人だった。机を並べて仕事する由美は、気軽に昼メシを食べに行ける女だったが、栞菜は声をかけにくい相手だった。その栞菜を連れ回していたのは、年上のデスク・小野田宏だった。栞菜には、いつも行動を共にしている女がいた。右も左もわからずこの世界に飛びこんだ栞菜に、一から仕事を教え込んだ稲田敦子。そのふたりに、あるとき、「ヒマ?」と声をかけられた。ついていくと、そこは新宿の「鈴屋」。「これ、私たちから引っ越し祝い」と渡されたのは、黄色いホーローのケトルとマグカップだった。その黄色は、ボクの部屋に夢の形を作り出す。そんなある夜、小野田に飲みに誘われた栞菜が、「松原クンも行かない?」と声をかけてきた。元ヒッピーだと言うママが経営するスナックで、ボクは小野田が、かつては辺境を漂白するバガボンドだったことを知らされる。その帰り、バガボンド小野田は、「一杯飲ませろ」と、ボクの部屋にやって来た。小野田は、黄色いマグカップでバーボンを飲みながら、自分の過去を語った。漂流時代にアマゾンを探検中、後輩を水難事故で死なせてしまったというのだった。やがて、年末闘争の季節がやって来た。組合の委員長・小野田は、「スト」を主張。書記のボクと副委員長の相川は、それをセーブにかかった。しかし、会社の回答は、ボクたちの予想をはるかに下回った。その回答を拒否することが決まった翌日、栞菜は部長たちと夜の銀座へ出かけ、由美はボクを夜食に誘って、「ストはやらないんでしょ?」とささやいた。女たちは、ほんとは、「スト」なんか望んではいないのだ。そんな中で開かれた第二次団交は、何とか妥結にいたり、栞菜の発案で、彼女と由美、ボクと河合の若者4人組で、祝杯を挙げることになった。その夜、珍しく酔った栞菜の体がボクの肩の上に落ちた。飲み会がお開きになると、稲田敦子と栞菜がボクの部屋を「見たい」とやって来た。「眠くなった」と稲田が奥の部屋に消えたあと、「飼いネコになりなよ」と発したボクの言葉に、栞菜は頭をすりつけ、唇と唇が、磁石のように吸い寄せられた。その翌々週、ボクたちは忘年会シーズンに突入した。珍しく酔った由美を送っていくことになったボクに、由美は、「介抱してくれないの?」とからんできた。一瞬、心が揺らいだが、酔った由美を籠絡する気にはなれなかった。その翌日、編集部に顔を出すと、小野田がひとりで荷物をまとめていた。「もう、この会社は抜けるゾ」と言うのだった――




 「殺すゾ!」と蘭子ママの冷やかしを一喝した小野田は、照れたように頭を掻いて、グラスに酒を注ぎ足した。
 「正直言うとよ、飽きたんだよな」
 「会社にですか? それとも、この仕事に?」
 「どっちもだ」
 「ついでに、日本にも……でしょ?」
 また、蘭子ママが口を出した。今度は、小野田は否定しなかった。
 「それで、どうするんです、辞めた後は?」
 「ちょっと、海外へ出て、映像の仕事を手伝おうと思ってる」
 「もう、話が決まってるんですか?」
 「一応……な」
 「どっち方面へ行くんですか?」
 「パレスチナ」
 小野田がやろうとしていることが、何となく想像できた。バガボンドは、その本性に立ち返るということだ。ボクにはとてもマネのできないことだった。
 「おまえもよ」と、バガボンドに立ち返った小野田は、ボクの顔を半分、憐れむように見ながら言った。
 「こんな会社にいつまでもしがみついてる気は、ねェんだろう?」
 「会社にしがみつく気はありませんけど、この世界から足を洗うことはできないでしょうね。他に、才能ないですから」
 「才能の問題じゃないんだけどな。しかし、ま、いいか……」
 「ま、いいか」と言われた瞬間に、ボクは、小野田の世界観の部外者になったのだ――と感じた。

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好きでも濡れない、嫌いでも濡れる――ことがある

手と手 

「好き」でも濡れない、逆に「嫌い」でも濡れる。
女性の体で起こるこの現象を、性科学的に解説。


 性とエッチの《雑学》file.15《改訂版》   R15 
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。15歳未満の方はご退出ください。

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 前々回の File-13『外は濡れても中はまだ…。女性の体は時間差で濡れる』 では、ヴァギナが濡れるメカニズムを解説しましたが、その逆はどうでしょうか?
 つまり、「濡れない膣」という問題です。
 膣が濡れない、または濡れ方が十分でないと、ペニスの挿入はむずかしくなります。ムリに挿入すれば、軟らかい皮膚同士がこすれ合うことになり、女性側も男性側も、「痛い」としか感じなくなります。
 いわゆる「性交痛」ですが、一度、そういう痛さを味わうと、「また痛いのではないか」という不安が先立って、ますます濡れにくくなってしまいます。

 では、なぜ濡れないのか?

 この問題は、とても複雑なので、何回かに分けて解説しますが、濡れない原因の6~7割は、男が作っていると言っていいでしょう。そして、そのうちもっとも大きいのが、「この男が嫌い」です。
 そう、「嫌いな男」には、濡れないものなのです、女は。ところが、「あんな男、嫌い」と言いながら、その相手に濡れてしまうことも、まったくないわけではありません。
 これはいったいどういうことなのでしょう?

脳には「好き」と「嫌い」を判断する番人が2人いる

 実は、脳の中には、「好き」「嫌い」を判断する場所が、2カ所あります。
大脳図 ひとつは、大脳の奥深くにあって、主に人間の本能的な活動をつかさどっている「大脳辺縁系」と呼ばれる場所。ここに「扁桃体」という小さなモジュールがあるのですが、ここは「好き」「嫌い」などの感情を生み出す部位として知られています(左図参照)。
 「扁桃体」は元々は、生存の危機を招くような体験や、そのときの恐怖心などを記憶する場所。そうした記憶を元に、「こいつは敵か味方か」を瞬間的に嗅ぎ分けたり、さらには生理的な好き・嫌いを判断したりする機能を持っています。
 メスとして「このオスが好き」「このオスは嫌い」といった感情は、この「扁桃体」から生まれます。

 もうひとつは、大脳皮質の「前頭葉」。ここは、人間が物事を総合的に判断したり、創造的な活動を行ったり、思いやりや愛情といった感情を生み出したりする場所です。
 ここでも「好き」や「嫌い」は生まれるのですが、「扁桃体」がもっぱら動物的な「好き」「嫌い」を生み出すのに対して、「前頭葉」は、知的活動の結果としての「好き」「嫌い」を生み出します。

 たとえば、「あの胸毛は生理的にダメ」というのは、「扁桃体」の判断ですが、「あんな亭主関白とはつき合えない」というのは、「前頭葉」の判断です。「好き」についても同様の違いがあります。「扁桃体」の好き・嫌いと、「前頭葉」の好き・嫌いは、しばしば食い違うわけです。

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荒野のバラと谷間のユリ〈15〉 さらば、無頼

バラの花束


フラつく由美をタクシーに乗せて、江古田まで
送った翌日、編集部では、小野田が段ボール箱に
荷物を詰めていた。会社を辞めるのだと言う。
去りゆく無頼漢は、その理由を語らなかった…。



 連載小説/荒野のバラと谷間のユリ ――― 第15章 
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 フラつく戸村由美に腕にしがみつかれたまま、ボクは、赤坂から乃木坂への道を歩いた。
 通りには、いくつか、カップル用と思わせるホテルが、秘密めいた灯りをともしていた。大久保や歌舞伎町のようなハデなネオンではない。人目を忍ぶカップルを吸いこむワナのように、怪しげな口を通りに向けて開けている。
 由美は、吸いこまれるように、おぼつかない足をその入り口に向けようとする。
 「そっちじゃない」
 脇道へ逸れようとする犬を引き戻すように、ボクは、絡んだ由美の腕を引っ張ぱる。由美は、足を突っ張るようにして抵抗の姿勢を見せるが、最後は、引っ張られる力に負けてしまう。
 そのまま、彼女の足が向かおうとする力に任せたらどうなるだろう――と、思わないでもなかった。
 けっして肉感的とは言えない。そのぶんだけ、清楚と思われている戸村由美の体。その服を脱がせ、ベッドに組み伏せて、可憐な乳房のふくらみをもみしだく。そんな光景を想像してみたりもした。
 その一線を越えてしまったら、ボクと由美は、ものすごく気の合うカップルになるかもしれない。しかし、それはできない。
 つい2週間前に初めて交し合った栞菜の唇の、濃密で甘い感触。その記憶が、揺らぎそうになる心にブレーキをかけた。
 通りを走ってくるタクシーの赤い「空車」のランプに向けて、ボクは手を挙げた。
 由美は、ボクの顔を見て首を振ったが、ボクは構わずクルマを止め、開けられたタクシーのドアの中に、彼女の体を押し込んだ。
 「江古田までお願いします」
 運転手に行先を告げると、由美は、観念したように、走り出したタクシーの窓に頭をつけた。
 「どうして……?」
 だれに向けてというふうにでもなく、由美の口からつぶやきがもれた。
 「ごめん……」
 ボクも、だれに言うというのでもなく、つぶやいた。
 「何が……?」
 今度は、ボクに向かって問いかけているのだとわかる訊き方だった。
 「あのさ……」
 慎重に言葉を探した。
 「酔った女性に手を出すようなこと、したくないんだよね。そんなことして、貴重な友だちを失くすの、イヤだし……」
 「貴重……?」とボクの言葉を繰り返して、由美は、また窓に向かってつぶやいた。
 「ウソつき……」
 窓に額をつけてつぶやく由美の横顔を、ボクは、ユリの花のようだ――と思った。

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あなたを救うのは、戒める神? 赦す神? 得する神?

抱き枕 心の抱き枕 〈41〉 

私たちの心を最終的に救ってくれる存在として、
「神」や「仏」がいます。どんな神仏をどう信じるかは、
心のありようを決める上でも、とてもたいせつです。
その信じ方には、大別すると、3つの流儀があるのですが…。


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 みなさんは、「」とか「」を信じていますか?
 「信じる」という言い方は、おかしいかもしれませんね。
 「信じる」と言うと、「神」や「仏」が、人間の「信じる」という行為によって発見される、ということになってしまいます。「神」や「仏」にとっては、たいへん失礼な話だろう――と、私は思います。
 人間が信じようが、信じまいが、お参りしようが、しまいが、時・場所かまわず、ずっとそこに存在する。
 それでこそ、「神」であり、「仏」である――と、わたくし・長住は確信しています。
 もし、あなたの周りに、「おまえは信心が足りないから、そういう目に遭うんだ」などと口にする人間がいたら、間違いありません。そういう人間は、詐欺師の一味であり、そういう人間があなたに薦める「神」や「仏」は、あなたを騙そうとして造り上げられた「まがい物」に違いありません。

 ということを、まず頭に入れた上で、今回は、その「神」「仏」の話をしてみようと思うわけです。
 そんなもの興味がないという人もいるかもしれません。そういう人は、どうぞ、エロいゲームでもやって、一発、屁をこいて、白川夜船しちゃってください。
 でも、そうではない人には、まず申し上げておきたいことがあります。
 「神」にも、「仏」にも、いろんなタイプがいる――ということをです。
 厳密に言うと、「いろんなタイプがいる」のではなく、

 「神」や「仏」を語る語り方に、いろんな流儀がある、

 ということです。
 大きく分けると、その流儀には、3つのタイプがあります。

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そんなとき、そんな場所で会うはずのない人に…

クリスマスプレゼント 雑感 
 小さな愛の「いい話」〈12〉 


本日はクリスマス・イヴ。世界中の愛し合う人たちが、
その愛の本質について、深く思いを馳せる日です。
私にとって、この季節は、いつも何か、
奇跡のようなことが起こる季節でもあります。
みなさんのクリスマスにも素敵な奇跡が起こりますように
と願って、ちょっと素敵だった思い出を語ってみます――。


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 12月というのは、私にとっては、実に不思議な季節です。
 そんなとき、そんな場所で会うはずがない――という人に会ってしまう。
 そういう奇跡が起こるシーズンなんですね、私にとってこの季節は。
 ま、12月は、私の誕生月でもあるし、クリスマスシーズンでもあるし……ということも、多少は関係しているのかもしれません。
 私は、何度か、そういう経験をしているのですが、それがすべて、12月のできごと。そして、「会うはずのない人」というのは、全員が、女性。しかも、過去、ちょっとワケありな関係にあったけれども、理由があって会わなくなってしまった――という女性たちでありました。
 宝くじには当たったことがないくせに、こういう偶然には当たってしまう。
 きっと、これは、だれかが会わせてくれているんだ――と、思いたくなってしまうではありませんか。

回転ドアを押し合ったそのひとは、かつての……

 まずは、K・沙織さん。
 20代後半、3年ほどおつき合いさせていただいた同業者でした。私は編集者、彼女はライターという関係。恋愛についてもとてもリベラルな考え方をする女性だったので、私もフランクにおつき合いをさせていただいていたのですが、残念ながら彼女には、同棲中のカレ氏がいて、それ以上の関係には進みませんでした。
 そうこうするうちに、私は会社を辞めることになり、いったん、郷里の福岡へと帰ってしまったので、それっきり、彼女と会う機会はなくなってしまいました。
 その後、私は、再び東京へ戻って自分の会社を設立し、忙しい日々を過ごすことになりました。そのまま10年、15年……と月日が経ち、かつての青年もややメタボな中年のオヤジとなったある日のことです。
 仕事が一段落したので、当時つき合っていた彼女へのプレゼントでも買おうか――と、青山のベルコモンズへ出かけ、入り口の回転ドアを押そうとしたそのときです。中から外へ出ようと、回転ドアを逆に押す女性がいて、私とその女性は、内と外からドアを押し合う形になってしまいました。
 「あ、失礼!」と、会釈を交し合った私は、相手の女性を見て、「あれ……?」と思いました。
 相手の女性も、私の顔を不思議そうに見て、首を傾げています。
 「も、もしかして……Kさん?」
 「エッ! うそォ! な、ながずみさん?」
 なんと、20年ぶりぐらいの偶然の再会でした。
 「どうしてるの? まだ、独身……?」
 「そうだよ。キミは?」
 「籍は……入れちゃった」
 「前のカレと?」
 「ウン……」
 話したことはそれくらいです。
 「今度、食事でもしようか?」
 「そうだね」
 そう言って、その場は別れたのですが、その「今度、食事でも」が実現されることは、ついにありませんでした。
 それでも、師走の風が吹きすさぶ中、この再会は、私の記憶に残る財産として、胸の中にしまわれています。

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荒野のバラと谷間のユリ〈14〉 ユリの花、摘むべからず

バラの花束気高く咲くユリの花にも、
乱れることがある。しかし、それを摘んではいけない。


栞菜に「飼い主」宣言をした翌々週、ボクたちは、
忘年会のシーズンに突入した。その忘年会で、
由美が悪酔いした。送っていくことになったボクに、
由美は「介抱してくれないの?」とからんできて…。



 連載小説/荒野のバラと谷間のユリ ――― 第14章 
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ここまでのあらすじ 大学を卒業して、できたばかりの出版社「済美社」に入社したボク(松原英雄)は、配属された女性雑誌『レディ友』の編集部で、同じく新卒の2人の女子編集部員、雨宮栞菜、戸村由美と出会う。感性の勝った栞菜と、理性の勝った由美は、何事につけ比較される2人だった。机を並べて仕事する由美は、気軽に昼メシを食べに行ける女だったが、栞菜は声をかけにくい相手だった。その栞菜を連れ回していたのは、年上のデスク・小野田宏だった。栞菜には、いつも行動を共にしている女がいた。右も左もわからずこの世界に飛びこんだ栞菜に、一から仕事を教え込んだ稲田敦子。そのふたりに、あるとき、「ヒマ?」と声をかけられた。ついていくと、そこは新宿の「鈴屋」。「これ、私たちから引っ越し祝い」と渡されたのは、黄色いホーローのケトルとマグカップだった。その黄色は、ボクの部屋に夢の形を作り出す。そんなある夜、小野田に飲みに誘われた栞菜が、「松原クンも行かない?」と声をかけてきた。元ヒッピーだと言うママが経営するスナックで、ボクは小野田が、かつては辺境を漂白するバガボンドだったことを知らされる。その帰り、バガボンド小野田は、「一杯飲ませろ」と、ボクの部屋にやって来た。小野田は、黄色いマグカップでバーボンを飲みながら、自分の過去を語った。漂流時代にアマゾンを探検中、後輩を水難事故で死なせてしまったというのだった。やがて、年末闘争の季節がやって来た。組合の委員長・小野田は、「スト」を主張。書記のボクと副委員長の相川は、それをセーブにかかった。しかし、会社の回答は、ボクたちの予想をはるかに下回った。その回答を拒否することが決まった翌日、栞菜は部長たちと夜の銀座へ出かけ、由美はボクを夜食に誘って、「ストはやらないんでしょ?」とささやいた。女たちは、ほんとは、「スト」なんか望んではいないのだ。そんな中で開かれた第二次団交は、何とか妥結にいたり、栞菜の発案で、彼女と由美、ボクと河合の若者4人組で、祝杯を挙げることになった。その夜、珍しく酔った栞菜の体がボクの肩の上に落ちた。飲み会がお開きになると、稲田敦子と栞菜がボクの部屋を「見たい」とやって来た。「眠くなった」と稲田が奥の部屋に消えると、ボクと栞菜は指を絡め合った。「飼いネコになりなよ」。ボクの言葉に栞菜は頭をすりつけてきた。唇と唇が、磁石のように吸い寄せられた――




 街には、クリスマスの電飾があふれ、店々から「ジングルベル」や「ホワイトクリスマス」のメロディが聞こえてくる季節になった。
 ボクたちの『レディ友』の仕事は、とっくにその季節を越えて、年末・年始の合併号の制作にかかっていた。
 その締切を終えると、冬休みに入る。11月から12月にかけて、1号ごとに締切を早めていって、年末から正月にかけて、1週間の休みをとる余裕を作り出す。世間が華やいでいくその季節は、1年でもっともハードな季節だった。
 ボクも、栞菜も、ゆっくり会う時間がとれないまま、年末の忙しさに振り回されていた。
 最後の追い込みにかかると、ボクは、3日間、会社に泊まりっぱなしになった。

 合併号の入稿が終わったグループから、順に忘年会を開き、正月明け1号の取材手配などをすませて冬休みに入る。
 もっとも締切の早い雨宮たちのグラフ班が、まず、忘年会を開いた。
 次が、小野田がデスクを務める企画班、最後に、ニュース班が忘年会を開いて、後は、大掃除→編集部納会となって、一年が終わる。
 企画班の忘年会は、ボクと戸村由美、それに新野信弘と中途採用で入って来た長野という男が加わり、小野田を含めて総勢5人で開かれる。
 「やっぱ、あれっすよね。鍋っすかね?」
 言い出したのは、新野だった。体育会出身の新野は、「オレは宴会ホープ」と自分で名乗るほどの宴会好きだった。小野田は、その肩をポンと叩いて言った。
 「まかせた。あと、よろしく!」
 「いいんすか?」
 「面倒くさいのは苦手なんだ。すべて任せた」
 それだけ言うと、小野田は、さっさと編集部を後にした。小野田とはそういう男だった。
 新野は、「これだよ」と両手を広げて見せたが、「まかせた」と言われたことがうれしいようでもあった。

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「神」を殺し、「仏」を殺した、明治の薩長人

キング牧師の演説 若者たちへ。24の手紙    
「いま」を生きる若者たちへ、愛と連帯を込めて。

「日本の伝統」を声高に主張する人たちがいます。
現自民党政権はもちろん、最近は、若い人たちにも。
しかし、彼らが主張する「伝統」は、明治になって作られた伝統。
そのために破壊された日本人古来の伝統は、どこへ……?


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 若い人たちの間で、最近、「日本の伝統」とか「和の伝統」という言葉が、よく使われます。
 民族の由来・由縁を知ろう、尊重しようという態度は、けっしてわるいことではない――と、筆者も思います。
 しかし、間違えてはいけません。
 だから、「世界から尊敬される道義国家の建設を」とか、だから、「靖国神社に参拝するのだ」などと言い出す人間がいるとしたら、そういう人たちは、伝統を尊敬しているのではなく、破壊しているのです。
 彼らが口にする「伝統」は、明治という時代を作った薩摩や長州の人間たちが、西欧のマネをしてでっち上げた「伝統」にすぎないからです。

  「明治」という時代に、日本本来の伝統は、どうやって破壊されたのか?

 私たちは、まず、そのことを知っておくべきだろう――と、私は思います。

八百万の神々の国=日本

 森総理は、日本を「神の国」と発言して物議を醸しましたが、おそらく、大部分の日本人は、ご存じないだろうと思います。
 その「神」を殺しまくったのは、明治の薩長政府であった――ということをです。

 元々、日本という国には、さまざまな神々が棲んでいました。
 山や海や川、そこに育つ樹木などという自然物を、「神」として崇める信仰=アニミズムもありました。
 村々では、それぞれの氏族の祖霊である「氏神」が祭られてその氏族を鎮守し、やがてはそれが統合された「産土神」が祭られるようになりました。
 もちろん、歴代の天皇を祭る神社もありましたが、「出雲大社」のように、その天皇一族に滅ぼされた豪族を祭る神社もあり、また、各地にある「天満宮」のように、政敵によって都から追われた人物を祭る神社もありました。
 いたるところにさまざまな「神」が棲む、「八百万の神々」の国。それが、壊される前の日本という国でした。
 そんな日本を明治の政府は、ぶっ壊していきました。
 ただひとつの神が支配する国へ――と、作り変えようとしたのです。
 「ただひとつの神」とは、「天皇」ということです。
 どうやって?

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荒野のバラと谷間のユリ〈13〉 野良ネコのララバイ

バラの花束「野良ネコ」と敦子に評された女は、
その瞬間、飼い主の唇を受け入れた。


隣室で稲田敦子が眠る中、ボクと栞菜は、
たがいの指を絡め合った。「飼いネコになりなよ」
と言うと、栞菜は頭をボクの手にすりつけてきた。
唇と唇が、まるで磁石のように吸い寄せられて……。



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 寝転がったネコがそうするように、栞菜はまっすぐに伸ばした手でボクの手の甲を捕えると、それを招き寄せるようなしぐさを見せた。
 「ねェ、ねェ」と言いながら、折り曲げた手の指がボクの皮膚をつまむ。
 「私のこと、何か話した、稲田さん?」
 「野良猫だって」
 「私が……?」
 「ウン。困ったもんだっていう調子でね、そう言ってた」
 「それだけ?」
 もうひとつ、ある。
 稲田敦子は、栞菜には「ホレてる男がいる」という話をした。しかし、それは隠しておくことにした。そこは飛ばして、敦子がボクに訊いたことだけを伝えた。
 「飼う気があるか――って訊かれた」
 ほんとは、「待てるか?」と訊かれたのだったが、それを言うと、「何を?」と問い返されるので、ちょっとだけリライトした。
 「フーン……それで? 何て答えたの?」
 「答えは、スルーした」
 「スル―した? 回答を拒否したの?」
 「それを答えるのは、稲田さんにじゃない――と思ったから。嫌いなんだよね」
 「エッ、稲田さんが?」
 「違うよ。だれかに対する自分の気持ちを、他の人間にしゃべっちまうというのがさ。そんなことしたら、どう脚色されて伝わるかわからないでしょ。だいいち、みっともないし……」
 「じゃ……聞かない」
 言いながら、栞菜は、ボクの手に重ねた手を引っ込めた。引っ込められた手は、再び、マグカップに添えられた。
 その手は、二度と伸ばされることがないかもしれない。
 不意に、そんな思いに捕らわれた。頭の奥で、カランカラン……と鐘の鳴る音がした。よく練り上げてもない言葉が、突然、ボクの口を突いて出た。
 「飼いネコになりなよ」
 栞菜の目が、「エッ!?」というふうに見開かれた。
 マグカップを包み込んでいた手が、緩やかに開かれ、人差し指がピンと伸ばされた。
 ボクは、その指に向かって、今度は、自分の手を伸ばした。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

男は、なぜ、終わるとすぐにTVを点けたがるのか?

手と手 

優秀なオスほど、陶酔状態から覚めるのが早い!
すぐにTVを点けるのは、カレが優秀である証明…?


 性とエッチの《雑学》file.14改訂版   R15 
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。15歳未満の方はご退出ください。

【今回のキーワード】 オーガズム ドーパミン  345
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 射精を終えたばかりのベッドの中。
 身も世もないというふうに乱れまくった彼女は、うっとりとベッドに横たわり、快感の余韻に頬を染め、目を潤ませている。
 あなたは、ティッシュで体に残った精液のぬめりを拭き取ると、まとわりつく彼女の体をベッドに残して立ち上がり、タバコに火を点け(喫煙者の場合)、深々と煙を吸い込んで、TVのリモコンに手を伸ばす。その背中に、彼女の声――。

  お願い。TVつけないで。

 男性とのSEXで、女性が「これだけはやらないで」と挙げるポイントのひとつに、「終わったあと、すぐにTVをつける」というのがあることを、男性のみなさんはご存じでしょうか?
 そういうことをする男性に、女性はこんな感想を抱くのだそうです。

  あ、そう。やってしまったら、もう用はないってことなのね。私を愛してなんかいないんだわ。

 さて、これはどっちもどっちの問題です。
 女性は男性の生理を理解してないし、男性は女性の心理を配慮しないがためのスレ違いなんですね。
 File-10『男はなぜ、彼女に「イッた?」と尋ねるのか?』 でも説明しましたが、ここでもう一度、男女のオーガズムの構造的違いについて考えてみることにしましょう。

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荒野のバラと谷間のユリ〈12〉 閉じられた襖が開く前に…

バラの花束襖一枚隔てて、彼女の魔女は眠りに就いた。
その襖が開かないことを、ボクと彼女は願った。


飲み会がお開きになると、栞菜と稲田敦子は
タクシーを拾って、ボクを送っていくと言う。
クルマが落合にさしかかると、稲田が言い出した。
「ちょっと見ていこうか、松原さんの部屋」――。



 連載小説/荒野のバラと谷間のユリ ――― 第12章 
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この話は連載12回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
   前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 大学を卒業して、できたばかりの出版社「済美社」に入社したボク(松原英雄)は、配属された女性雑誌『レディ友』の編集部で、同じく新卒の2人の女子編集部員、雨宮栞菜、戸村由美と出会う。感性の勝った栞菜と、理性の勝った由美は、何事につけ比較される2人だった。机を並べて仕事する由美は、気軽に昼メシを食べに行ける女だったが、栞菜は声をかけにくい相手だった。その栞菜を連れ回していたのは、年上のデスク・小野田宏だった。栞菜には、いつも行動を共にしている女がいた。右も左もわからずこの世界に飛びこんだ栞菜に、一から仕事を教え込んだ稲田敦子。そのふたりに、あるとき、「ヒマ?」と声をかけられた。ついていくと、そこは新宿の「鈴屋」。「これ、私たちから引っ越し祝い」と渡されたのは、黄色いホーローのケトルとマグカップだった。その黄色は、ボクの部屋に夢の形を作り出す。そんなある夜、小野田に飲みに誘われた栞菜が、「松原クンも行かない?」と声をかけてきた。元ヒッピーだと言うママが経営するスナックで、ボクは小野田が、かつては辺境を漂白するバガボンドだったことを知らされる。その帰り、バガボンド小野田は、「一杯飲ませろ」と、ボクの部屋にやって来た。小野田は、黄色いマグカップでバーボンを飲みながら、自分の過去を語った。漂流時代にアマゾンを探検中、後輩を水難事故で死なせてしまったというのだった。やがて、年末闘争の季節がやって来た。組合の委員長・小野田は、「スト」を主張。書記のボクと副委員長の相川は、それをセーブにかかった。しかし、会社の回答は、ボクたちの予想をはるかに下回った。その回答を拒否することが決まった翌日、栞菜は部長たちと夜の銀座へ出かけ、由美はボクを夜食に誘って、「ストはやらないんでしょ?」とささやいた。女たちは、ほんとは、「スト」なんか望んではいないのだ。そんな中で開かれた第二次団交は、何とか妥結にいたり、栞菜の発案で、彼女と由美、ボクと河合の若者4人組で、祝杯を挙げることになった。その夜、珍しく酔った栞菜の体が揺れた。揺れて落ちたのはボクの肩の上だった――




 「そろそろ、お開きにしない?」と言い出したのは、戸村由美だった。
 時計の針は、11時を回っていた。
 締切から団交→組合大会と、ハードなスケジュールをこなしてきたボクの目も、気が緩むと閉じられそうになっている。河合金治は、すでに壁にもたれて口で息をしていた。
 「ホラ、カンナ! 起きて! 帰るよ」
 稲田敦子にひざを叩かれた栞菜は、ボクの肩にもたせかけていた頭を起こし、「ゴメン。私、寝ちゃった……」と、バツのわるそうな顔をした。その頭が肩にもたれかかっている時間は、ボクにとってわるい時間ではなかったので、「お開き」の声は、少し残念でもあった。
 戸村由美は、西武線の江古田まで電車で帰ることになり、河合金治も代々木上原まで電車で帰ることになった。
 田園調布まで帰る敦子は、タクシーを拾って、栞菜を多摩川園で下ろすと言う。
 じゃ、ボクは電車で――と思っていると、敦子が言い出した。
 「落合でしょ? 回っていくわよ」
 少し方向は違うが、どうせ近場だし――と、同乗させてもらうことにした。
 黄色いタクシーを拾うと、まず栞菜が乗り込み、次に敦子が、最後にボクが乗り込んだ。
 タクシーが動き始めると、栞菜はクルマの窓ガラスに頭をつけて、再び、寝息を立て始めた。
 「いい気なもんだわ」
 その姿を見やりながら、敦子は、吐き捨てるように言った。
 吐き捨ててはいるけど、ほんとうに捨てているわけではない。ずり落ちようとするショールを肩にかけ直してやりながら、敦子は栞菜の肩を抱き寄せた。
 栞菜は、その手に導かれるまま体を預け、「ウーン……」と、その頭を敦子のももの上に沈めた。
 「まったく、野良猫なんだから……」
 言いながら、敦子は栞菜の髪を撫でる。「アツカン・コンビ」と呼ばれるふたりには、「レズのうわさ」もあったことを思い出して、ボクはちょっとドギマギした。
 「ちょっと気が許せる男がいると、こうなんだもん。松原さん、平気?」
 「エッ……!?」
 「好きなんでしょ?」
 いきなり訊かれて、返答に困った。
 しかし、否定はできない。静かに首をタテに動かした。
 「この子ね、ホレてる男がいるの」
 突然の暴露に、ボクは思わず敦子の顔を見た。
 「学生時代から、想い続けている男がいるのよ。でも、振り向いてもらえない。もう、あきらめな――って言ってるんだけど、それでもまだ、引っかかってる。松原さん、待てる?」
 「待つ……って、何を?」
 「この子が、カレをあきらめるのを」
 「カレひとりだけ?」
 ボクの質問に、今度は敦子が、「エッ……!?」という顔をした。
 「キャンセル待ち、何番目ですか――ってことだけど」
 「バカ……」
 その顔が、「あきれた」と言っているように見えた。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

社員に「服従」を強いる「ファミリー企業」のワンマン体質



カラス 不純愛トーク  ――愛について、哲雄とAKIが語り合うトークスタイルの記事です。
Talk 哲雄 人間関係についての著作を手がける、エッセイスト。本ブログの管理人です。
with AKI 出張エステ嬢として働きながら、作家を目指す推定年齢アラサーの美女。

 第349夜   【本日のテーマ】 社員に「服従」を強いる「ファミリー企業」のワンマン体質
「社訓」がデカデカと掲げてあるような会社は、社員を幸せにしない。前回は、そんな話をしました。そういう会社は、創業者一族が経営権を独占している「ファミリー企業」である場合が多いのですが、そういう会社の社員は、経営者一族に精神的服従を強いられる場合が多いようです。今回は、日本の社会にはびこる「ファミリー企業」の問題点を探ってみます――。

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AKI 哲ジイって、会社を「見た目」で判断するんですか?

哲雄 ハ、だれがそんなことを申しました?

AKI 「この会社で働くかどうか?」を判断するときには、その職場でみなさんが実際に働いている姿を、観察するのがいちばんだ――と。

哲雄 確かに、申し上げましたが、それって、なかなか機会がありませんよね。

AKI ふつうは、説明会とかに行くしかありませんよね。でも、説明会では、その会社のほんとうの姿はわからない――と。

哲雄 わかりませんね。でもね、明らかに、ここダメ――というポイントは、ありますよ。前回もちょっと申し上げましたよね。

AKI エーッと、創業者や社長の写真がデカデカと掲げてあるような会社とか、やたらあちこちに社訓が張り出してあるような会社だと、哲ジイはパスなんですよね。

哲雄 はい。そういう会社は、同族会社または、ファミリー企業である場合が多いのでね。

AKI 「同族会社」っていうのは?

哲雄 税法上は、「株主3人以下で全株式の50%以上を占めている会社」が「同族会社」と判定されます。わかりやすく言うと、会社の経営権を少数の株主が握っている会社と言えばいいかと思います。その「少数の株主」が「創業者一族」であれば、そういう会社は、「ファミリー企業」とも呼ばれます。

AKI それって、問題なんですか?

哲雄 日本の会社は、この「ファミリー企業」が多いというのが特徴なんだよね。実に全企業の95%にも及びます。どうなるでしょうね、AKIクン? 会社の経営がひと握りの創業者一族で占められるようになると……。

AKI ワンマン経営になる?

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テーマ : 愛し方・愛され方
ジャンル : アダルト

男はなぜ、「彼女とのエッチ」を人に自慢したがるのか?

女の子ヘッドホン  男の本心・女の本心~34改訂版 

女の口に戸は立てられない――とよく言われます。しかし、
ことエッチに関しては、男の口のほうが饒舌です。あなたは、
そこで「どんな女」として語られているか、というと……?


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 あくまで、一般的に……という話ですが、恋人とのエッチの様子を友人などにベラベラとしゃべってしまう傾向は、男性のほうが強いようです。

あいつさ、会社じゃ、あんなにツンツンしてるけど、ベッドじゃメロメロなんだぜ。ねェ、ねェ……ってしがみついてきて、色っぽいなんてもんじゃない。女って、変わるよなぁ。

 とか、

彼女、脱ぐと、けっこうエロい体つきしてんだよな。感じてくると、肌がポーッとピンク色に染まってさ……イヒヒ……。

 なんて話を、酒の席の話題にしたりするのが、けっこう好きなんです、男ってやつは。
 女性は――というと、あんまり、こんな話はしません。
 カレとのエッチの話をすることはあっても、その話というのは、

わたし、カレとだと、なかなかイカないのよねェ。

 とか、

こないだ、後ろからされたら、なんか、ものすごく感じたんだよね。わたし、下付きなのかなぁ……。ね、あなたはどっちが感じる?

 なんていう感じで、どっちかと言うと、「エッチ相談」とか「エッチ告白」に近い感じになります。
 個人差はあると思いますが、男同士では、まず、こういう話はしません。
 同じエッチ話でも、男は、どちらかと言うと、自分の彼女の体や感じ方について話すことが多く、女は、どちらかと言うと、自分の感じ方などを話すことが多い。
 この違いは、いったい、どこから来るのでしょうか?

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荒野のバラと谷間のユリ〈11〉 揺れる体の落ちる先

バラの花束酔った体が落ちる先に、ボクがいた。
それをニラむ2つの目があった。


年末闘争が妥結した祝いに、ボクと栞菜と由美、
それに河合の若者4人組で飲みに出かけた。
珍しく酔った栞菜の体が揺れ始めた。その揺れる
体が落ちた先は、ボクの肩だった――。



 連載小説/荒野のバラと谷間のユリ ――― 第11章 
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この話は連載11回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
   前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 大学を卒業して、できたばかりの出版社「済美社」に入社したボク(松原英雄)は、配属された女性雑誌『レディ友』の編集部で、同じく新卒の2人の女子編集部員、雨宮栞菜、戸村由美と出会う。感性の勝った栞菜と、理性の勝った由美は、何事につけ比較される2人だった。机を並べて仕事する由美は、気軽に昼メシを食べに行ける女だったが、栞菜は声をかけにくい相手だった。その栞菜を連れ回していたのは、年上のデスク・小野田宏だった。栞菜には、いつも行動を共にしている女がいた。右も左もわからずこの世界に飛びこんだ栞菜に、一から仕事を教え込んだ稲田敦子。そのふたりに、あるとき、「ヒマ?」と声をかけられた。ついていくと、そこは新宿の「鈴屋」。「これ、私たちから引っ越し祝い」と渡されたのは、黄色いホーローのケトルとマグカップだった。その黄色は、ボクの部屋に夢の形を作り出す。そんなある夜、小野田に飲みに誘われた栞菜が、「松原クンも行かない?」と声をかけてきた。元ヒッピーだと言うママが経営するスナックで、ボクは小野田が、かつては辺境を漂白するバガボンドだったことを知らされる。その帰り、バガボンド小野田は、「一杯飲ませろ」と、ボクの部屋にやって来た。小野田は、黄色いマグカップでバーボンを飲みながら、自分の過去を語った。漂流時代にアマゾンを探検中、後輩を水難事故で死なせてしまったというのだった。やがて、年末闘争の季節がやって来た。組合の委員長・小野田は、「スト」を主張。書記のボクと副委員長の相川は、それをセーブにかかった。しかし、会社の回答は、ボクたちの予想をはるかに下回った。その回答を拒否することが決まった翌日、栞菜は部長たちと夜の銀座へ出かけ、由美はボクを夜食に誘って、「ストはやらないんでしょ?」とささやいた。女たちは、ほんとは、「スト」なんか望んではいないのだ。そんな中で開かれた第二次団交は、何とか妥結にいたり、女たちは安堵の表情を浮かべた。「お疲れ様。飲みに行こう」と言い出したのは、栞菜だった――




 「花の宿」には、入り口にメッセージボードが掲げてある。
 《消えた花なら、ここにある。
 平和を祈って、ここに咲く》
 反戦フォークとしてヒットした『花はどこへ行った』への返歌とも思えるメッセージだ。週末になると、シャンソンのライブをやったり、詩の朗読会をやったりするその店は、リベラルな若者たちが集まる店としても知られていた。
 雨宮栞菜がやって来るまでの間、ボクと戸村由美と河合金治は、栞菜がキープしてあるというカティサークを水割りにして、「とりあえず、お疲れ様でした」と乾杯した。
 「松原クンがうまくまとめてくれたんだって?」と由美が訊くので、ボクは頭を掻いた。
 「小野田さんには、ワル知恵って言われちゃったけどね」
 「ワル知恵……?」
 「せこい知恵を出した――ってことだよ」
 そんな話をしていると、河合が、床に足を投げ出し、大きく伸びをしながら「あ~あ」と声を挙げた。
 「スト、やりたかったけどねェ……」
 その顔をチラと見やって、由美が言った。
 「私は、やらないですむならやらないでほしい、と思ってたわ」
 「やらないでほしい? ストって、だれかにやってもらうものじゃないからね」
 やれやれ……と、ボクは思った。運動の自発性や自主性を重視するアナルコ・サンディカリズムあたりの考え方を主張したいのだろう。しかし、それを由美たちに求めてもムリだよ、と思った。
 「そんなアナーキーなことを言っても、現実社会じゃ通用しないよ」
 「ボクは、大衆の自発性を……」
 言いかけて、河合は口をつぐんだ。
 ボクは、ちょっとだけ、河合金治の将来が心配になった。学生時代そのままの、まるで青銅のような理想論を、何の加工も加えずに振りかざしていたのでは、この現実世界と折り合いをつけることができないのではないか。現実的になれよ、河合!――と思ったが、それを説くのは、ボクの任務ではなかった。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

自分の「長所」は、むしろ「弱点」として語れ!

手と手

自分の「いいところ」を相手にアピールしたい。だれでも、
そう思うだろうと思います。しかし、それを自分で口にすると、
あまり評判がよくありません。どうしたら伝わるのでしょう?


 愛の会話力レッスン   レッスン59(改訂版) 
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 目当てのカレや彼女に向かって、自分はこんな人間――とアピールするときに、もっとも重要なファクターになるのが、「性格」や「気質」だと思います。
 訴えたいのは、「自分はこんなにいい人」だと思うのですが、それを自分で口にする人というのは、恋愛の世界では、あまり評判がよくありません。
 というのも、「いい人かどうか」を判断するのは、相手であって、「自分」ではないからです。
 その「いい人」の成分となるのが、「長所」です。
 「やさしい」「几帳面だ」「よく気が利く」「粘り強い」「包容力がある」……などなど、目の前のカレや彼女にアピールしたい長所はいろいろあると思いますが、それを、「私ほどやさしい人間はいないと思う」などとぶつけても、あまり快くは受け入れてもらえないだろうと思います。
 たとえば、こんな具合――。

 会話例1  自分で自分の「いいところ」をアピールするイヤなタイプ

あなた 私って、よく言われるんだよ。
カレ 何て……?
あなた おまえ、ほんとに気が利く子だなぁ――って。
カレ ヘェ。それ、だれが言ってるの?
あなた 親とかにも言われるし、会社の上司にも言われるし、友だちにも。ホントだよ。自分でも、こんな気が利く女はいないって思ってる。
カレ フーン。自信あんだね。

 「自信あんだね」は、「うぬぼれ屋なんだね」とほとんど同義。人は、自分の長所を自ら言い立てるこんな言い方を、あまり好みません。
 だからと言って、せっかくの「長所」(と自分では思っている部分)を、何のアピールもせずに眠らせてしまうのも、もったいない話ですよね。
 そこで必要になるのが、会話力です。

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ビンタの教室から消えた美少女。40年後に知った真実は…

メール読むビンタで教室を支配する熱血教室。その教室で、
先生のビンタにも気高く頬を差し出す気高い美少女。
ひそかに想いを寄せるその美少女が、突然、
教室から姿を消します。それから40年経ったクラス会で、
ボクは彼女の身に起こったことを知ります――。


 From「虹BOOKS」~file.3 
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 人生を振り返ったとき、だれにでも、

  あのとき、あの頃の、あの人は、いま……

 と思い起こす人がいるだろうと思います。
 男性であれば、思い起こすその人は、女性であることが多いだろうと思います。
 女性であれば、その対象は、おそらく男性……。
 私の場合、そうして思い起こす女性は、淡く想いを募らせた初恋の相手だったり、私に「愛とはどういうものか?」を教えてくれた慈母のような人であったり、苦い後悔とともに思い起こす失恋の相手だったり、その逆に愛し抜くことができず、いつか「詫びたい」と思い続けている人……だったりします。
 そういう女性たちのすべてが、私にとっては、それぞれにマリアであった――と、私は思います。現在、電子本化をすすめているシリーズ作品集 『マリアたちへ』 は、そうしたマリアたちへ捧げる私の追慕録でもあります。
 その2冊目を、アマゾンの「Kindle(キンドル)」から発売しました。
 タイトルは、

 「聖少女」6年2組の神隠し

 今回のマリアは、小学校時代にクラスメイトだった、ある美少女です。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

荒野のバラと谷間のユリ〈10〉 若者組の誕生

バラの花束闘いすんで、ホッとして、
そこに愛があればいい…。


組合初の一時金闘争は、なんとかギリギリの線で
妥結。「お疲れ様」と役員の労をねぎらった栞菜が、
「飲みに行かない?」と、ボクと由美と河合を誘った。
全員新卒。「若者組」の誕生だった――。



 連載小説/荒野のバラと谷間のユリ ――― 第10章 
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ここまでのあらすじ 大学を卒業して、できたばかりの出版社「済美社」に入社したボク(松原英雄)は、配属された女性雑誌『レディ友』の編集部で、同じく新卒の2人の女子編集部員、雨宮栞菜、戸村由美と出会う。感性の勝った栞菜と、理性の勝った由美は、何事につけ比較される2人だった。机を並べて仕事する由美は、気軽に昼メシを食べに行ける女だったが、栞菜は声をかけにくい相手だった。その栞菜を連れ回していたのは、年上のデスク・小野田宏だった。栞菜には、いつも行動を共にしている女がいた。右も左もわからずこの世界に飛びこんだ栞菜に、一から仕事を教え込んだ稲田敦子。そのふたりに、あるとき、「ヒマ?」と声をかけられた。ついていくと、そこは新宿の「鈴屋」。「これ、私たちから引っ越し祝い」と渡されたのは、黄色いホーローのケトルとマグカップだった。その黄色は、ボクの部屋に夢の形を作り出す。そんなある夜、小野田に飲みに誘われた栞菜が、「松原クンも行かない?」と声をかけてきた。元ヒッピーだと言うママが経営するスナックで、ボクは小野田が、かつては辺境を漂白するバガボンドだったことを知らされる。その帰り、バガボンド小野田は、「一杯飲ませろ」と、ボクの部屋にやって来た。小野田は、黄色いマグカップでバーボンを飲みながら、自分の過去を語った。漂流時代にアマゾンを探検中、後輩を水難事故で死なせてしまったというのだった。やがて、年末闘争の季節がやって来た。組合の委員長・小野田は、「スト」を主張。書記のボクと副委員長の相川は、それをセーブにかかった。しかし、会社の回答は、ボクたちの予想をはるかに下回った。その回答を拒否することが決まった翌日、栞菜は部長たちと夜の銀座へ出かけ、由美はボクを夜食に誘って、「ストはやらないんでしょ?」とささやいた――




 ランチに、夜食に――と、何かと連れ立って出かけるボクと由美を、一部には、「キミら、デキてんじゃないの?」と冷やかす声もあった。
 言われると、由美も、そしてボクも、「あり得ない」というふうに笑い飛ばした。
 笑い飛ばしながら、ボクは思った。
 なぜ、あり得ないんだろう……?
 由美は、ボクにとって、何も気を遣わずにすむ存在だった。気を遣わないので、食事にも気楽に誘える。何を食べようかと、メニューに迷うこともない。そして、その食事が「うまい」と感じられる。金がないときには、「ちょっと貸して」とも言える。
 一緒にいて、これほど気持ちがラクな相手はいない。
 だからなのだ――と、ボクは思った。
 ボクと由美は、あまりにふつうに一緒にいられる。余計なことを考えないから、ふつうでいられるのかもしれない。ふつうでいられるから、余計なことを考えないのかもしれない。
 どっちなのだか、ボクにはわからなかった。
 由美という花は、ただ、当たり前のように、ボクのすぐそばに咲いていた。
 あまりに当たり前に咲いているので、摘んでみようという気になれなかった。ただ、それだけの話かもしれなかった。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

「ビンボーだった」も「金持ちだった」も、ハンデになる?

不細工美人 不細工&不器用事典 〈28〉  「ビンボー」も「金持ち」もハンデになる

人が他人に対して隠したくなる「秘密」に、
「お金にまつわる秘密」があります。
「ビンボーだった」も「金持ちだった」も、特定の集団の中では、
「ハンデ」として意識されることがあるのです。


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 人が人に対して隠したくなる「秘密」のひとつに、「お金にまつわる秘密」があります。「隠したくなる」度合いは、かなり上位にランクされます。なぜなら、「お金」は、最高級の「個人情報」だからです。
 いちばん隠したいのは、「預金がいくらあるか?」とか、「借金がどれくらいあるか?」とか、「ほんとうは給料をいくらもらっているか?」とか、「マンションをいくらで買ったか?」などという、《現在のお金》に関する秘密です。
 しかし、《過去のお金》に関する秘密も、隠したいもののひとつになります。
 《過去のお金に関する秘密》というのは、自分がどういう経済環境で育ったか、という秘密です。「昔は貧乏だった」というのも、そのひとつ。反対に、「家はお金持ちだった」が、隠したい秘密になる場合もあります。
 《過去のお金に関する秘密》は、それを「秘密」にしたいと感じた段階で、「ハンデ」として作用するようになるんですね。「お金がなかった」=ビンボーも、「お金がたっぷりあった」=金持ちも、同じように……です。
 まずは、「ビンボー」のほうからいきましょうか。

場違いな世界では、「ビンボー」は見せられない

 みなさんは、友だちや近所の住人、あるいは会社などの仲間との、こんな会話の輪に加わったことはありませんか?

  昔、どんな文房具を使っていたか?
  昔、どんなおやつを食べていたか?
  昔、どんなオモチャで遊んだか?
  昔、どんな装身具を身に着け、どんな服を着ていたか?
  昔、父親や母親とどんなところへ遊びに行ったか?

 こんな話題で盛り上がっているときに、その話に加われず、そっとその輪から抜け出したくなる。そんな気分を味わったことがある人も、もしかしたらいるかもしれません。
 特に、周りが比較的裕福な子ども時代を過ごした人たちばかりで、自分には、堂々と披露できるような話が何もない。「ビンボー」が「ハンデ」と感じられるのは、こんなときだろうと思われます。
 私も、何度か、そんな気分になった経験があります。たいていは、場違いなところに顔を出してしまった――なんていうときです。そういうときには、「ああ、いやな場所に来てしまったなぁ」と反省して終わり――なのですが、そうはいかない場合もあるだろうと想像できます。
 たとえば、子どもをムリして私立の有名幼稚園に入れたけれど、周りはセレブなお母さんたちばかり、というようなケース。ちょっと背伸びして、若手実業家の異業種交流会のメンバーになったりしたけれど、自分は来月の支払いにも困るような町工場をいやいや継がされた二代目、なんていうケース。
 こういう場所では、「いや、私は、ビンボーだったから」なんて話は、オクビにも出せないだろうと思います。
 それは、出せないあなたがわるいのか、それとも、出させない雰囲気を醸し出す周りがわるいのか?
 私は思うのです。
 それは、どちらでもない。そういう話がフランクにできないような環境に身を置いた、その選択が間違っているのだ――と思うのですね。
 そんな環境下で、どんなにムリして自分の「ビンボー時代」を隠し続けても、あなたはそこでは、決して心の平安を得ることはできないだろうと、私は思うのです。
 子どもの幼稚園や学校だとそうはいかないかもしれませんが、できることなら、そんな虚飾にまみれた世界からは、とっととエスケープしたほうがいい。私は、そう思います。
 しかし、その世界が、そんな世界でなかったら――?

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テーマ : 愛し方・愛され方
ジャンル : アダルト

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