第11章-季節は移り…〈序〉 愛の名ゆえに怒れ!

後姿 父と母が愛し合った時代へ。感謝をこめて☆ 

怒るときには、憎しみで顔を曇らせてはいけない
と、母は言った。怒るなら愛ゆえに怒れ――と、
父も言った。それはふたりに共通する
心のありようだった。しかし、その母の愛は、
暴力に踏みにじられた。リンチだった――。


 愛を駆ける急行   第11章 季節は移り… 
〈序〉 愛の名ゆえに怒れ!

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この話は、「急行霧島」として執筆した作品のリメイク版、連載49回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
   前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 父・秋吉敏が、母・昌子と出会ったのは、九州への帰省の列車、急行「霧島」の車内だった。京都のミッション系の女子大に通う女子大生で、鹿児島まで帰省すると言う昌子と、横浜の大学に通い、博多まで帰省する敏。ふたりには、2つの共通点があった。ともに、大学でコーラス・サークルに所属していたこと。もうひとつは、クリスチャンである、ということだった。意気投合したふたりは、春休みにまた、「霧島」で会おうと約束を交わす。父によれば、その頃の若者は、「政治的」か「非政治的(ノンポリ)」かのどちらかだったと言う。父と母は、その中間にいて「良心的な声」を挙げようとするグループに属していた。昌子は、通っているリベラル派の教会の牧師とともに、大阪のドヤ街で奉仕活動を続けていたが、交流するK大の合唱部には、そんな活動は自己満足にすぎない――と、政治思想を吹き込む男がいた。その年の夏休み、敏のY大グリークラブは、演奏旅行の最終日、京都で、昌子が所属するK女子大フローラル・コールとジョイントすることになった。京都で現地解散となる敏に、昌子は「京都で一泊しようよ」と提案した。昌子が「きょうの民宿のおじさん」と敏に紹介したのは、K大の学生寮に住む高城という男だった。人民を解放するためには武装闘争も必要だと言う高城は、火炎瓶もその手段のひとつになると主張。敏は、手段を誤った闘争からは、真の解放は得られないと反論した。翌日、「思索の道」を散策しながら、昌子は敏に訊いた。「愛に思想は必要だと思うか?」。敏の答えは、「愛にこそ思想が必要」だった。その年の10月8日、その出来事は起こった。ヘルメットを被り、角材を手にした学生たちが機動隊の壁に突進していく映像がニュースで流れると、翌日から、キャンパスの空気が一変した。その秋に開かれた「大学キリスト者全国協議会」に関東代表として出席した敏は、そこに、思いもしない姿を発見した。関西代表として参加した昌子と、彼女が通う教会からオブザーバーとして参加した落合牧師。会議は、「共産主義の悪魔と闘うアメリカの若者のために祈ろう」という「保守派」と、「殺されていくベトナムの人々のためにも祈るべき」と主張する「リベラル派」の対決で紛糾した。最終日の夜は、焚火を囲んでの祈祷会になった。「無力な私たちに勇気と知恵を」。昌子の祈りを「美しい」と感じている敏に、落合牧師がささやいた。「彼女を守ってあげてくださいね」。その年のクリスマス、敏たち関東組は、「ベトナムに平和を」をテーマに、集会とデモを計画し、昌子たち関西組は、大阪で「24時間キャンドル・サービス for ベトナム」を企画した。行動は別々だったが、ふたりは「小さな約束」を実行した。「ベトナムに平和を」と祈りながら、その中でちょっぴり、おたがいの心の平和も祈る、という約束だった。その年の年末、昌子たちの教会で行われるチャリティのカウントダウンに参加するために、敏は教会を訪ねた。教会の屋根の十字架を磨くというワークを果たして、その夜、敏が教会の屋根裏部屋で寝ていると、昌子が布団の中に忍んできた。「愛してる」と告白し、無知な体を重ね合ったふたり。結ばれた瞬間、ふたりは耳の奥で、教会のオルガンが奏でる讃美歌を聴いたような気がした。年が明けると、東大紛争が勃発した。時代は、激しく変化していた。そんな時代が、「おまえはどうする?」と問いかけてくる。春休み前に、父も母もコーラスを辞めた。忍び寄る政治の季節が、ふたりに歌を捨てさせた。その春、東大の紛争は全学ストに拡大し、日大では「全共闘」が結成されて、全学がバリケード封鎖された。そんなとき、昌子から一通の手紙が届いた。東京で「フォーク・コンサート」を開くことになった。できれば、2、3日、「あなたの部屋に泊めてほしい」と言うのだった。「平和を叫ぶ」と銘打ったコンサートは、関西で産声を挙げた「プロテスト・ソング」の旗手、神村信平の東京デビューでもあった。成功裏のうちにコンサートを終えた昌子は、敏の下宿にやって来た。目の前の運河の臭いが立ち込める敏の四畳半。ふたりは、そんな部屋で汗に濡れた体を重ね合い、昌子は、ピアニッシモで歓喜の声を漏らした。翌日、「東大を見てみたい」と言う昌子を敏は本郷へ案内した。安田講堂がバリケード封鎖されたばかりの東大では、全共闘が結成され、それを支援する各党派の旗が林立していた。その光景に目を見張っていると、「キミらも支援に来たのか?」と声がした。K大の寮で敏に武装闘争を熱く説いた高城だった。そして、もうひとり、キリスト教系学生組織のメンバーで、原理主義一派と共に闘った野本もいた。ふたりの案内でバリケードの中を見学した敏たちに野本が言った。「じきに、キミたちのキャンパスでも、ここと同じことが起こる。キミたちはキミたちの場所で、自分たちの行動を選んでくれ」。翌日、昌子を横浜の街に連れ出した敏だったが、その財布は底をつきかけていた。ふたりは、残りの数日間を自炊で過ごすことにした。昼間は横浜の街をブラつき、電熱器で炊いたご飯で自炊。夜になれば、ひとつ布団で肌を寄せ合う。それは、束の間の幸せな日々だった。その幸せな夏の日の後にやって来たのは、「流血の秋」だった。10・21「国際反戦デー」の街頭行動では、1000人近い逮捕者が出た。敏も、昌子も、迷っていた。「敵のためにさえ祈れ」という聖書の教えは、ほんとうに正しいのだろうか? その秋、敏たちは新たな難題に立ち向かうことになった。靖国神社を国家護持しようという動きだった。これだけは阻止しなくてはならない。熱く語り合う敏たち。しかし、その席に昌子の姿はなかった。昌子たちのキャンパスでも学園紛争が勃発し、昌子は闘争委員として、学園問題にかかりきりになっている、というのだった。敏は昌子を見守るためにも、落合牧師たちが計画している年末のフォーク集会に、参加する意思を固めた。その主役は、『あなたに』が東京の深夜放送でも流されるようになった神村信平だった。「信平さん、メジャー・デビューするんよ」とうれしそうに語る昌子の横で、浮かない顔の信平。フォーク集会の翌日、敏と信平は、一緒に教会の屋根に登った。そこで敏は信平から思わぬ告白を受けた。「ホレてたんや」と、信平は敏の体を後ろから小突き、そして言うのだった。「昌ちゃんを守ったってや」と。まっすぐな昌子が、時代の風に翻弄されないように……というのだ。冬休みが明けると、東大の安田講堂が落ちた。しかし、その炎は全国のキャンパスに広がり、敏のY大でも「全共闘」が結成された。敏は青いヘルメットを被り、昌子は赤を被って、全共闘に加わり、デモに参加した。そんな中、昌子の手紙がある決断を伝えてきた。「新橋へ行きます」と言うのだった。4・28沖縄デー。その日、敏は青を、昌子は赤を被って、それぞれの隊列に加わり、東京駅に集結して、高架上を新橋へ進撃した。青の部隊は、地上に降りた途端、機動隊のガス銃に一斉水平射撃を浴びて、隊列を崩し、赤の部隊は、高架の上で機動隊の挟撃に遭い、追い詰められた学生たちが、バラバラと地上に落ちてきた。銃撃に慄いた敏の足は、新橋の路上を走った。みっともない敗走だった。なんとか横浜に帰り着くと、橋のたもとにうずくまっている人影があった。昌子だった。その体は傷だらけだった。昌子は高架上で機動隊員に引きずり倒されたところを、何とか逃げてきたという。ボロボロに裂けたTシャツは胸元まで破けていた。このままでは帰れないという昌子に、敏は自分の黄色いTシャツを貸した。それでも、全共闘運動は、全国に広がる気配を見せていた。そんな中で、新宿の西口広場で神村信平たちがフォーク集会を開くという。知らせてきたのは、落合牧師だった。昌子からは、何の報せもない、連絡も取れない。何があったのか? 新宿に出かけた敏は、信平と顔を合わせたが、その信平も、昌子の身を案じていた。その夏休み、敏は、帰省の「霧島」を京都で途中下車することにした――。




 「希里ちゃん、憎しみに心を曇らせちゃ、ダメよ」
 生前の母の口癖だった。
 私が、学校でだれかとケンカをしたり、いじめられたりして、「頭に来た」と帰って来るたびに、母はそう言って、私を諭した。

 「お母さんは、いじめられたりしたことないの?」
 一度、母に尋ねたことがある。
 母は、「そうね……」と言って、手を胸の十字のペンダントに当て、それから、目を夜空へ向けた。
 母の視線の先には、ポツンと輝いている星があった。カシオペアや北斗七星に囲まれた北の空で、ひとり、青白い光を放っている星。子どもの頃、「道に迷ったら、あの星を探すのよ」と教えられた星。北極星だった。

 母は、昔の話をするとき、それが夜だと、必ず、目を北極星に向ける。
 「あの星だけは、どんなに季節が変わっても、いつも、真北がどっちかを私たちに教えてくれる。だから、方向を間違えずにすむの」
 いつだったか、母が私に耳打ちしてくれたことがある。
 「母さんにとって、お父さんはね、あの北極星みたいな人だったのよ」
 だから、どんなときにも、自分は道を間違えずにすんだ。
 きっと、母はそう言いたかったのだろう――と、子ども心にも私は理解していた。

 「ひどいいじめを受けたことがあるわ。いまのあなたより、ずっとおとなになってからね」
 言いながら、母の手が胸のペンダントをギュッと握り締めていたのを覚えている。
 「リンチ……」
 母は、それだけ言って口をつぐんだ。

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宇宙セックス203×〈6〉 その潮吹き、危険につき

ヴァギナph1

第三者の手を借りなくてはならない宇宙船内でのSEXは、
もはや「密室の秘め事」とは言えなくなった。そんな中で
起こったのが、ソフィアの潮吹き「事故」だった――


 妄想力ドリル〈R18版〉   第34講  宇宙セックス203×〈6〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載6回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  人類初の有人惑星探査を目指して、火星に向けて飛行を続ける宇宙船「インベーダー」。その船内に、アメーバのように形を変えながら漂うゲル状の物質があった。「あいつ、またやりやがったな」と、マイクはそれをティッシュで捕えて、ダスター・シュートに放り込んだ。その浮遊物は、ユウキが放出したスペルマの残骸だった。地球を離れて100日と1週間。地球がピンポン球ほどにしか見えなくなった頃から、クルーたちの行動に変化が現れた。ユウキの場合は、やたらマスをかく――だった。しかし、ユウキの浮遊物は、放置しておくと、計器類などに付着して、計器を狂わせかねない。手ではなかなか捕まえられないそれを、口でバキュームしたのは、ミーシャだった。このロシア人の女もまた、壊れ始めていた。「やってやんなよ」。アレックスの言葉に、ミーシャの体が宙を飛んだ。ユウキの股間に顔を埋めると、口にアレを含んで、頭を前後に振る。その反動で浮き上がる尻を顔で押さえたのは、マイクだった。そのミーシャは運動生理学を専門とする元・体操選手。ミーシャをけしかけたアレックスは、産婦人科医。それをあきれたという顔で見ているソフィアは、社会心理学が専門。中国人のメイファンは、鉱物資源の研究が専門の実利的な女だった。6人のクルーには、それぞれの専門とは別に、隠されたミッションが期待されていた。火星往復という長期間の宇宙旅行の間に、男女3人ずつのクルーの人間関係がどう変化するか? その中からはたして、妊娠するカップルが生まれるか? それを、実験的に確かめようというものだった。ミーシャとユウキは、もしかしたら、そのモデルになるかもしれない。ふたりは、結ばれようとした。しかし、無重力空間の中では、それはうまくいかない。ふたりが結合するためには、人の手助けを必要とする。アレックスとメイファンが、腕をつかみ合って、ミーシャとユウキの体を固定し、揺らした。繋がっているのはミーシャとユウキだったが、ふたりを動かしている意思は、アレックスとメイファンの意思だった――。


 地球上では「密室の行為」として秘匿される男と女のSEXが、「インベイダ―」の無重力空間では、最低でも2人以上の第三者の手を借りなくては行えない。
 そのことは、マイクたちクルーのSEX観を、根底から覆した。
 少なくとも、SEXは「秘め事」ではなくなった。
 どちらかと言うと、集団で行う組体操とかアイスダンスとか……に近い。ただ、おたがいの体の凸と凹とが、ジョイント金具のようにはめ込まれているだけ。
 それで気持ちがいいのかと言うと、確かに、おたがいの皮膚が摩擦し合うことから生まれる心地よさはある。しかし、もの足りなさもある。それは、おたがいの体の質量を感じることのできないもの足りなさだ。
 フワフワした浮遊感の中で、皮膚だけが感じることのできるくすぐったいような感覚。それが、宇宙セックスのすべてと言ってよかった。
 そのもの足りなさを補うためにも、サポートに回るクルーたちは、懸命にSEXするふたりの体を押した。SEXで疲れるのは、繋がり合ったふたりではなく、それをサポートするクルーのほうだった。
 すると、どうなるか?
 SEXするふたりもそうだが、サポートに回ったふたりの間にも、「このSEXは、自分たちがしている」という、おかしな錯覚が生まれる。
 ミーシャとユウキのSEXをサポートしたのはアレックスとメイファンだったが、今度は、そのアレックスとメイファンがSEXしたくなり、それをマイクとソフィアがサポートした。すると、マイクとソフィアも、したくなる。
 こうして、宇宙船内のSEXは、クルーの間を循環した。

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第10章-風に消えたキミ〈4〉 キミを尋ねて京都へ

後姿 父と母が愛し合った時代へ。感謝をこめて☆ 

自分たちが目指す「勝利」とは、どんな勝利?
その問いを発したまま、昌子は傷ついた心と体で
京都に帰り、それから連絡が取れなくなった。
夏休み。敏は、帰省の「霧島」を
京都で途中下車することにした――。


 愛を駆ける急行   第10章 風に消えたキミ 
〈4〉 キミを尋ねて京都へ

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この話は、「急行霧島」として執筆した作品のリメイク版、連載48回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
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ここまでのあらすじ 父・秋吉敏が、母・昌子と出会ったのは、九州への帰省の列車、急行「霧島」の車内だった。京都のミッション系の女子大に通う女子大生で、鹿児島まで帰省すると言う昌子と、横浜の大学に通い、博多まで帰省する敏。ふたりには、2つの共通点があった。ともに、大学でコーラス・サークルに所属していたこと。もうひとつは、クリスチャンである、ということだった。意気投合したふたりは、春休みにまた、「霧島」で会おうと約束を交わす。父によれば、その頃の若者は、「政治的」か「非政治的(ノンポリ)」かのどちらかだったと言う。父と母は、その中間にいて「良心的な声」を挙げようとするグループに属していた。昌子は、通っているリベラル派の教会の牧師とともに、大阪のドヤ街で奉仕活動を続けていたが、交流するK大の合唱部には、そんな活動は自己満足にすぎない――と、政治思想を吹き込む男がいた。その年の夏休み、敏のY大グリークラブは、演奏旅行の最終日、京都で、昌子が所属するK女子大フローラル・コールとジョイントすることになった。京都で現地解散となる敏に、昌子は「京都で一泊しようよ」と提案した。昌子が「きょうの民宿のおじさん」と敏に紹介したのは、K大の学生寮に住む高城という男だった。人民を解放するためには武装闘争も必要だと言う高城は、火炎瓶もその手段のひとつになると主張。敏は、手段を誤った闘争からは、真の解放は得られないと反論した。翌日、「思索の道」を散策しながら、昌子は敏に訊いた。「愛に思想は必要だと思うか?」。敏の答えは、「愛にこそ思想が必要」だった。その年の10月8日、その出来事は起こった。ヘルメットを被り、角材を手にした学生たちが機動隊の壁に突進していく映像がニュースで流れると、翌日から、キャンパスの空気が一変した。その秋に開かれた「大学キリスト者全国協議会」に関東代表として出席した敏は、そこに、思いもしない姿を発見した。関西代表として参加した昌子と、彼女が通う教会からオブザーバーとして参加した落合牧師。会議は、「共産主義の悪魔と闘うアメリカの若者のために祈ろう」という「保守派」と、「殺されていくベトナムの人々のためにも祈るべき」と主張する「リベラル派」の対決で紛糾した。最終日の夜は、焚火を囲んでの祈祷会になった。「無力な私たちに勇気と知恵を」。昌子の祈りを「美しい」と感じている敏に、落合牧師がささやいた。「彼女を守ってあげてくださいね」。その年のクリスマス、敏たち関東組は、「ベトナムに平和を」をテーマに、集会とデモを計画し、昌子たち関西組は、大阪で「24時間キャンドル・サービス for ベトナム」を企画した。行動は別々だったが、ふたりは「小さな約束」を実行した。「ベトナムに平和を」と祈りながら、その中でちょっぴり、おたがいの心の平和も祈る、という約束だった。その年の年末、昌子たちの教会で行われるチャリティのカウントダウンに参加するために、敏は教会を訪ねた。教会の屋根の十字架を磨くというワークを果たして、その夜、敏が教会の屋根裏部屋で寝ていると、昌子が布団の中に忍んできた。「愛してる」と告白し、無知な体を重ね合ったふたり。結ばれた瞬間、ふたりは耳の奥で、教会のオルガンが奏でる讃美歌を聴いたような気がした。年が明けると、東大紛争が勃発した。時代は、激しく変化していた。そんな時代が、「おまえはどうする?」と問いかけてくる。春休み前に、父も母もコーラスを辞めた。忍び寄る政治の季節が、ふたりに歌を捨てさせた。その春、東大の紛争は全学ストに拡大し、日大では「全共闘」が結成されて、全学がバリケード封鎖された。そんなとき、昌子から一通の手紙が届いた。東京で「フォーク・コンサート」を開くことになった。できれば、2、3日、「あなたの部屋に泊めてほしい」と言うのだった。「平和を叫ぶ」と銘打ったコンサートは、関西で産声を挙げた「プロテスト・ソング」の旗手、神村信平の東京デビューでもあった。成功裏のうちにコンサートを終えた昌子は、敏の下宿にやって来た。目の前の運河の臭いが立ち込める敏の四畳半。ふたりは、そんな部屋で汗に濡れた体を重ね合い、昌子は、ピアニッシモで歓喜の声を漏らした。翌日、「東大を見てみたい」と言う昌子を敏は本郷へ案内した。安田講堂がバリケード封鎖されたばかりの東大では、全共闘が結成され、それを支援する各党派の旗が林立していた。その光景に目を見張っていると、「キミらも支援に来たのか?」と声がした。K大の寮で敏に武装闘争を熱く説いた高城だった。そして、もうひとり、キリスト教系学生組織のメンバーで、原理主義一派と共に闘った野本もいた。ふたりの案内でバリケードの中を見学した敏たちに野本が言った。「じきに、キミたちのキャンパスでも、ここと同じことが起こる。キミたちはキミたちの場所で、自分たちの行動を選んでくれ」。翌日、昌子を横浜の街に連れ出した敏だったが、その財布は底をつきかけていた。ふたりは、残りの数日間を自炊で過ごすことにした。昼間は横浜の街をブラつき、電熱器で炊いたご飯で自炊。夜になれば、ひとつ布団で肌を寄せ合う。それは、束の間の幸せな日々だった。その幸せな夏の日の後にやって来たのは、「流血の秋」だった。10・21「国際反戦デー」の街頭行動では、1000人近い逮捕者が出た。敏も、昌子も、迷っていた。「敵のためにさえ祈れ」という聖書の教えは、ほんとうに正しいのだろうか? その秋、敏たちは新たな難題に立ち向かうことになった。靖国神社を国家護持しようという動きだった。これだけは阻止しなくてはならない。熱く語り合う敏たち。しかし、その席に昌子の姿はなかった。昌子たちのキャンパスでも学園紛争が勃発し、昌子は闘争委員として、学園問題にかかりきりになっている、というのだった。敏は昌子を見守るためにも、落合牧師たちが計画している年末のフォーク集会に、参加する意思を固めた。その主役は、『あなたに』が東京の深夜放送でも流されるようになった神村信平だった。「信平さん、メジャー・デビューするんよ」とうれしそうに語る昌子の横で、浮かない顔の信平。フォーク集会の翌日、敏と信平は、一緒に教会の屋根に登った。そこで敏は信平から思わぬ告白を受けた。「ホレてたんや」と、信平は敏の体を後ろから小突き、そして言うのだった。「昌ちゃんを守ったってや」と。まっすぐな昌子が、時代の風に翻弄されないように……というのだ。冬休みが明けると、東大の安田講堂が落ちた。しかし、その炎は全国のキャンパスに広がり、敏のY大でも「全共闘」が結成された。敏は青いヘルメットを被り、昌子は赤を被って、全共闘に加わり、デモに参加した。そんな中、昌子の手紙がある決断を伝えてきた。「新橋へ行きます」と言うのだった。4・28沖縄デー。その日、敏は青を、昌子は赤を被って、それぞれの隊列に加わり、東京駅に集結して、高架上を新橋へ進撃した。青の部隊は、地上に降りた途端、機動隊のガス銃に一斉水平射撃を浴びて、隊列を崩し、赤の部隊は、高架の上で機動隊の挟撃に遭い、追い詰められた学生たちが、バラバラと地上に落ちてきた。銃撃に慄いた敏の足は、新橋の路上を走った。みっともない敗走だった。なんとか横浜に帰り着くと、橋のたもとにうずくまっている人影があった。昌子だった。その体は傷だらけだった。昌子は高架上で機動隊員に引きずり倒されたところを、何とか逃げてきたという。ボロボロに裂けたTシャツは胸元まで破けていた。このままでは帰れないという昌子に、敏は自分の黄色いTシャツを貸した。それでも、全共闘運動は、全国に広がる気配を見せていた。そんな中で、新宿の西口広場で神村信平たちがフォーク集会を開くという。知らせてきたのは、落合牧師だった。昌子からは、何の報せもない、連絡も取れない。何があったのか? 新宿に出かけた敏は、信平と顔を合わせたが、その信平も、昌子の身を案じていた――。




 その6月から11月までの約半年間は、全共闘運動が、数的にはもっとも盛り上がった時期だった。
 しかし、犠牲も多かった。
 キャンパスの友人たちの間からも、逮捕されたり、負傷したりして、姿を消す者が続出した。
 逮捕歴がつくということは、もうまともな企業には就職できなくなる、ということでもある。
 たとえ、どこかに就職できたとしても、その就職先にまで公安の刑事が訪ねてくる。
 「最近、○○はおとなしくしてますか?」
 こんな訪問を受けては、会社に腰を落ち着けてもいられない。
 居づらくなって、自分から辞めざるを得なくなる。
 おそらくはそれが目的で、公安はあとあとまでつきまとう。
 当時の学生たちは、権力がそれくらいのことはやる――ということを、常識としては知っていた。
 知っていながら、声を挙げ、行動した。

 《どう行動するのが、得になるか?》ではなく、《どう行動するのが、正しいか?》を行動の規範とする学生たちが、まだ、その時代には、健全な勢力として存在していた。
 敏も、昌子も、そんな学生のひとりとして、考え、悩み、そして選択した。
 人間としてどうあるべきかを『聖書』に問い、社会はどうあるべきかをマルクスの哲学に問い、敏たちは、もがきながらも、そのときそのときの生き方を選択した。

        

 「ねェ、秋吉クン。デモとかに行くと、必ず『インターナショナル』を歌うでしょ? あの歌、好き?」

 昌子が、突然、そんなことを訊いてきたのは、あの4・28の夜だった。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

シェア・ハウスの男と女。その「夢」と「現実」


 不純愛トーク   第332夜  
土地を切り売りする「分譲」という考え方は、国は滅ぼす。大事なのは、「シェアの思想」だ――と説く、管理人・哲雄が、今回は、そのスタイルのひとつとして注目する「シェア・ハウス」を取り上げて、そこで暮らす人間たちのライフ・スタイルを紹介します。男も、女も、若いも中高年も、日本人も外国人も、住まいをシェアする空間で、問題になることとは――。

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AKI 分譲住宅は国を滅ぼす。前回は、そんな話をしたんですよね。土地は「私有」ではなく、「一代限りの永代使用権」とすべきである。特に問題なのは、マンションだ――というお話でした。

哲雄 ハイ。このままだと、この狭い国土は、処分しきれない「私有権」に切り刻まれて、やがて総ゴースト・タウン化してしまう――と、そんな話をしました。

AKI そこで、思いついたのが、住宅をシェアするという考えなんですね?

哲雄 別に、思いついたわけじゃありませんよ。すでに、そういうライフ・スタイルは、一部では実現しています。

AKI ああ、あれですね? シェア・ハウスとか……?

哲雄 「シェア・ハウス」も、そのひとつの形ですね。いま、各自治体が進めている「サービス付き高齢者住宅」も、シェア・スタイルのひとつと考えていいような気がします。ただ、「サ高住(サービス付き高齢者住宅の略です)」の場合は、食事は、住宅貸主側が提供することになっていて、月に3万円ぐらい取られるようですが、これはその……ちと高いような……。

AKI 哲ジイ、いまは、そういう話をしてるんじゃないでしょう!

哲雄 あ、失礼。でもね、ここ、けっこう重要だったりするんだよね。通常の「シェア・ハウス」と「サ高住」の違いは、実は、ここにある。

AKI ていうと、食事付きかどうか――ですか?

哲雄 食事も含めた、もろもろのサービスです。しかし、そんなのを有料のサービスにしてしまったら、それは、旧来の「老人ホーム」と大して変わらない、ということになってしまうんじゃないか。

AKI でも、「サ高住」も一種のシェア・スタイルだ――とは思うわけですね?

哲雄 居間と食堂が「共有」になってますからね。

シェア・ハウスというのは、
各入居者の「占有」部分とは別に、
「共有」で使うスペースがあって、
おたがいが顔を合わせて過ごせるように作られた住居のスタイル


と言えばいいかと思います。ほんとうは、「サ高住」にも、キッチンまで「共有」というものが出てきてもいいんじゃないか――と思うのですが、いまのところ、そういうタイプは登場してきてないようですね。

AKI シェア・ハウスでは、キッチンは共有なんですか?

哲雄 私が知っている限り、ほとんどのシェア・ハウスでは、キッチンとリビング、シャワー・ルームとトイレは、「共有」になってましたね。

AKI なってました――って、哲ジイ、シェア・ハウスに住んだことがあるんですか?

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テーマ : 愛し方・愛され方
ジャンル : アダルト

宇宙セックス203×〈5〉 結ばれるにはヘルプが必要

ヴァギナph1

ついにミーシャとユウキが体を繋げ合った。しかし、その行為は、
自分たちだけではできない。ふたりの体を支えて
ドッキングさせたのは、アレックスとメイファンの意思だった――


 妄想力ドリル〈R18版〉   第34講  宇宙セックス203×〈5〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載5回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  人類初の有人惑星探査を目指して、火星に向けて飛行を続ける宇宙船「インベーダー」。その船内に、アメーバのように形を変えながら漂うゲル状の物質があった。「あいつ、またやりやがったな」と、マイクはそれをティッシュで捕えて、ダスター・シュートに放り込んだ。その浮遊物は、ユウキが放出したスペルマの残骸だった。地球を離れて100日と1週間。地球がピンポン球ほどにしか見えなくなった頃から、クルーたちの行動に変化が現れた。ユウキの場合は、やたらマスをかく――だった。しかし、ユウキの浮遊物は、放置しておくと、計器類などに付着して、計器を狂わせかねない。手ではなかなか捕まえられないそれを、口でバキュームしたのは、ミーシャだった。このロシア人の女もまた、壊れ始めていた。「やってやんなよ」。アレックスの言葉に、ミーシャの体が宙を飛んだ。ユウキの股間に顔を埋めると、口にアレを含んで、頭を前後に振る。その反動で浮き上がる尻を顔で押さえたのは、マイクだった。そのミーシャは運動生理学を専門とする元・体操選手。ミーシャをけしかけたアレックスは、産婦人科医。それをあきれたという顔で見ているソフィアは、社会心理学が専門。中国人のメイファンは、鉱物資源の研究が専門の実利的な女だった。6人のクルーには、それぞれの専門とは別に、隠されたミッションが期待されていた。火星往復という長期間の宇宙旅行の間に、男女3人ずつのクルーの人間関係がどう変化するか? その中からはたして、妊娠するカップルが生まれるか? それを、実験的に確かめようというものだった――。


 あと1カ月もすれば、火星の引力圏に到達する――という頃になって、ミーシャとユウキが一線を越えた。
 厳密に言うと、一線を越えようとした。
 ミーシャは、最初は、いつものようにユウキを口でイカせようとした。そのミーシャの尻をマイクが顔で押さえて、体が浮き上がらないようにする。それは、退屈な宇宙船「インベイダー」では、お決まりのショータイムのようなものだった。
 しかし、その日のミーシャは、いつもに増して獰猛だった。自分からもパンツを下ろして、ユウキのペニスを自分のカントに迎え入れようとした。それがどうしてもうまくいかない。
 無重力空間の中では、自分の腰を相手の腰に沈めるという行為自体がむずかしい。沈めたとしても、その腰をどちらかが動かすと、その反動で、体は相手から離れていってしまう。
 宇宙空間では、自力ではセックスができない。
 それは、クルーのだれしもわかっていることだった。それでも何とかセックスしようとするミーシャの苦闘を、最初はみんな、笑って見ていたのだが、そのうち、ミーシャが怒り出した。
 「笑って見てないで、手伝ってよ!」
 やれやれ……という顔をしたアレックスが、後ろからユウキの体を抱きかかえるように支え、メイファンがミーシャの体を後ろから支えて、アレックスとメイファンが手を繋ぎ、その手を引き寄せ合った。
 ふたりが手を引き寄せ合うことによって、ユウキとミーシャの腰は密着し、ミーシャは手で捕捉したユウキのペニスを、自分のカントに導くことができた。
 ふたりの腰は、アレックスとメイファンが繋いだ手を引き寄せ合うリズムに応じて、おたがいの性器をこすり合わせた。性器を繋ぎ合っているのは、ミーシャとユウキだったが、その体を動かしているのは、アレックスとメイファンの意思だった。
 ミーシャとユウキは、アレックスとメイファンの意思に操られて、代理セックスをしているにすぎないんじゃないか――という見方もできた。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

クリトリス迫害史〈1〉 縫い合わされた娘たちの性器

手と手 

クリトリス迫害の歴史。もっとも苛酷なのは、
アフリカで行われてきた「陰部封鎖」の風習です。


 性とエッチの《雑学》file.145   R15 
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。15歳未満の方はご退出ください。

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 人間の体の組織の中で、過去、もっとも過酷な運命にさらされてきたのは、どこだと思いますか?
 筆者は、文句なしに「クリトリス」だと思っています。
 そして、こうも言えるのだと思います。

 クリトリスの「迫害」の歴史は、
 女性差別の歴史でもある!


 それはなぜなのか?
 そのために、人類は、この美しい器官に何をしてきたのか?
 きょうは、そんな話をしてみようかと思います。

クリトリスを切除するアフリカの文化

 クリトリスがもっとも激しい弾圧(?)を受けたのは、赤道以北のアフリカだと思われます。この地域では、女児が5~12歳になると、「クリトリス切除」という儀式が行われ、いまもなお行われている地域が存在します。
 同じアフリカでも、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビアなどの欧米化の進んだ国では、現在は行われていないようですが、スーダンやソマリアなどでは、いまもなお、行われており、その方法は、かなり残虐なものです。

 もっとも軽度のクリトリス切除は、「切除」というより「割礼」と言ったほうがいいかもしれません。男子に行われる「割礼」同様、クリトリスを覆っている包皮に、小さく切り込みを入れるもので、むしろ、クリトリスが露出される分、感度がよくなったりもします。
 しかし、アフリカで行われるクリトリス切除は、たいていの場合、こんなものじゃ終わりません。
 包皮だけでなく、クリトリスの亀頭部分または全部を切除してしまい、さらには小陰唇まで切り取ってしまいます。
 ソマリアやスーダンなどで行われているのは、もっと残酷な「陰部封鎖」と呼ばれる術式(?)です。クリトリスと小陰唇を切除するだけでなく、大陰唇も縫い合わせてしまうのですが、全部縫ってしまうと、おしっこもできなくなってしまうので、肛門手前にわずかな開口部だけを残して、残りを縫い合わせます。
 こうしたクリトリス切除や陰部封鎖の儀式は、おとなの女性になる「お祝い」として、お祭り騒ぎの中で行われます。
 施術を行うのも、それを祝うのも、女性たち。しかし、こうした儀式は、かなりの痛みや出血を伴うにも関わらず、ほとんどの場合、麻酔などは使わずに行われますから、切除される女の子たちは泣き叫びます。その体を押さえつけるのも、メスを振るうのも、部族の女性たちです。
 メスと言っても、使用するのは、ガラスの破片だったり、カミソリの刃だったりします。おまけに消毒薬もなし。傷口から感染症を発症するケースも少なくなかったと言われています。

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第10章-風に消えたキミ〈3〉 彼女の「不在」の理由

後姿 父と母が愛し合った時代へ。感謝をこめて☆ 

新宿の西口広場でフォーク集会を開く。
それを知らせてきたのは、落合牧師だった。
いつもなら、そういう連絡は昌子が伝えてくる。
その昌子からは何の連絡もない。なぜだ?
不安を抱えたまま、敏は新宿に向かった――。


 愛を駆ける急行   第10章 風に消えたキミ 
〈3〉 彼女の「不在」の理由

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この話は、「急行霧島」として執筆した作品のリメイク版、連載47回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
   前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 父・秋吉敏が、母・昌子と出会ったのは、九州への帰省の列車、急行「霧島」の車内だった。京都のミッション系の女子大に通う女子大生で、鹿児島まで帰省すると言う昌子と、横浜の大学に通い、博多まで帰省する敏。ふたりには、2つの共通点があった。ともに、大学でコーラス・サークルに所属していたこと。もうひとつは、クリスチャンである、ということだった。意気投合したふたりは、春休みにまた、「霧島」で会おうと約束を交わす。父によれば、その頃の若者は、「政治的」か「非政治的(ノンポリ)」かのどちらかだったと言う。父と母は、その中間にいて「良心的な声」を挙げようとするグループに属していた。昌子は、通っているリベラル派の教会の牧師とともに、大阪のドヤ街で奉仕活動を続けていたが、交流するK大の合唱部には、そんな活動は自己満足にすぎない――と、政治思想を吹き込む男がいた。その年の夏休み、敏のY大グリークラブは、演奏旅行の最終日、京都で、昌子が所属するK女子大フローラル・コールとジョイントすることになった。京都で現地解散となる敏に、昌子は「京都で一泊しようよ」と提案した。昌子が「きょうの民宿のおじさん」と敏に紹介したのは、K大の学生寮に住む高城という男だった。人民を解放するためには武装闘争も必要だと言う高城は、火炎瓶もその手段のひとつになると主張。敏は、手段を誤った闘争からは、真の解放は得られないと反論した。翌日、「思索の道」を散策しながら、昌子は敏に訊いた。「愛に思想は必要だと思うか?」。敏の答えは、「愛にこそ思想が必要」だった。その年の10月8日、その出来事は起こった。ヘルメットを被り、角材を手にした学生たちが機動隊の壁に突進していく映像がニュースで流れると、翌日から、キャンパスの空気が一変した。その秋に開かれた「大学キリスト者全国協議会」に関東代表として出席した敏は、そこに、思いもしない姿を発見した。関西代表として参加した昌子と、彼女が通う教会からオブザーバーとして参加した落合牧師。会議は、「共産主義の悪魔と闘うアメリカの若者のために祈ろう」という「保守派」と、「殺されていくベトナムの人々のためにも祈るべき」と主張する「リベラル派」の対決で紛糾した。最終日の夜は、焚火を囲んでの祈祷会になった。「無力な私たちに勇気と知恵を」。昌子の祈りを「美しい」と感じている敏に、落合牧師がささやいた。「彼女を守ってあげてくださいね」。その年のクリスマス、敏たち関東組は、「ベトナムに平和を」をテーマに、集会とデモを計画し、昌子たち関西組は、大阪で「24時間キャンドル・サービス for ベトナム」を企画した。行動は別々だったが、ふたりは「小さな約束」を実行した。「ベトナムに平和を」と祈りながら、その中でちょっぴり、おたがいの心の平和も祈る、という約束だった。その年の年末、昌子たちの教会で行われるチャリティのカウントダウンに参加するために、敏は教会を訪ねた。教会の屋根の十字架を磨くというワークを果たして、その夜、敏が教会の屋根裏部屋で寝ていると、昌子が布団の中に忍んできた。「愛してる」と告白し、無知な体を重ね合ったふたり。結ばれた瞬間、ふたりは耳の奥で、教会のオルガンが奏でる讃美歌を聴いたような気がした。年が明けると、東大紛争が勃発した。時代は、激しく変化していた。そんな時代が、「おまえはどうする?」と問いかけてくる。春休み前に、父も母もコーラスを辞めた。忍び寄る政治の季節が、ふたりに歌を捨てさせた。その春、東大の紛争は全学ストに拡大し、日大では「全共闘」が結成されて、全学がバリケード封鎖された。そんなとき、昌子から一通の手紙が届いた。東京で「フォーク・コンサート」を開くことになった。できれば、2、3日、「あなたの部屋に泊めてほしい」と言うのだった。「平和を叫ぶ」と銘打ったコンサートは、関西で産声を挙げた「プロテスト・ソング」の旗手、神村信平の東京デビューでもあった。成功裏のうちにコンサートを終えた昌子は、敏の下宿にやって来た。目の前の運河の臭いが立ち込める敏の四畳半。ふたりは、そんな部屋で汗に濡れた体を重ね合い、昌子は、ピアニッシモで歓喜の声を漏らした。翌日、「東大を見てみたい」と言う昌子を敏は本郷へ案内した。安田講堂がバリケード封鎖されたばかりの東大では、全共闘が結成され、それを支援する各党派の旗が林立していた。その光景に目を見張っていると、「キミらも支援に来たのか?」と声がした。K大の寮で敏に武装闘争を熱く説いた高城だった。そして、もうひとり、キリスト教系学生組織のメンバーで、原理主義一派と共に闘った野本もいた。ふたりの案内でバリケードの中を見学した敏たちに野本が言った。「じきに、キミたちのキャンパスでも、ここと同じことが起こる。キミたちはキミたちの場所で、自分たちの行動を選んでくれ」。翌日、昌子を横浜の街に連れ出した敏だったが、その財布は底をつきかけていた。ふたりは、残りの数日間を自炊で過ごすことにした。昼間は横浜の街をブラつき、電熱器で炊いたご飯で自炊。夜になれば、ひとつ布団で肌を寄せ合う。それは、束の間の幸せな日々だった。その幸せな夏の日の後にやって来たのは、「流血の秋」だった。10・21「国際反戦デー」の街頭行動では、1000人近い逮捕者が出た。敏も、昌子も、迷っていた。「敵のためにさえ祈れ」という聖書の教えは、ほんとうに正しいのだろうか? その秋、敏たちは新たな難題に立ち向かうことになった。靖国神社を国家護持しようという動きだった。これだけは阻止しなくてはならない。熱く語り合う敏たち。しかし、その席に昌子の姿はなかった。昌子たちのキャンパスでも学園紛争が勃発し、昌子は闘争委員として、学園問題にかかりきりになっている、というのだった。敏は昌子を見守るためにも、落合牧師たちが計画している年末のフォーク集会に、参加する意思を固めた。その主役は、『あなたに』が東京の深夜放送でも流されるようになった神村信平だった。「信平さん、メジャー・デビューするんよ」とうれしそうに語る昌子の横で、浮かない顔の信平。フォーク集会の翌日、敏と信平は、一緒に教会の屋根に登った。そこで敏は信平から思わぬ告白を受けた。「ホレてたんや」と、信平は敏の体を後ろから小突き、そして言うのだった。「昌ちゃんを守ったってや」と。まっすぐな昌子が、時代の風に翻弄されないように……というのだ。冬休みが明けると、東大の安田講堂が落ちた。しかし、その炎は全国のキャンパスに広がり、敏のY大でも「全共闘」が結成された。敏は青いヘルメットを被り、昌子は赤を被って、全共闘に加わり、デモに参加した。そんな中、昌子の手紙がある決断を伝えてきた。「新橋へ行きます」と言うのだった。4・28沖縄デー。その日、敏は青を、昌子は赤を被って、それぞれの隊列に加わり、東京駅に集結して、高架上を新橋へ進撃した。青の部隊は、地上に降りた途端、機動隊のガス銃に一斉水平射撃を浴びて、隊列を崩し、赤の部隊は、高架の上で機動隊の挟撃に遭い、追い詰められた学生たちが、バラバラと地上に落ちてきた。銃撃に慄いた敏の足は、新橋の路上を走った。みっともない敗走だった。なんとか横浜に帰り着くと、橋のたもとにうずくまっている人影があった。昌子だった。その体は傷だらけだった。昌子は高架上で機動隊員に引きずり倒されたところを、何とか逃げてきたという。ボロボロに裂けたTシャツは胸元まで破けていた。このままでは帰れないという昌子に、敏は自分の黄色いTシャツを貸した。昌子はそのシャツを着て「霧島」に乗り、鉄路の彼方に消えた――。




 血の4月が終わると、学生運動の主要なステージは、学園闘争へと移っていった。
 全国の主要な大学が、次々に、バリケード・ストに突入し、「全共闘」は、その世代を表す代名詞として使われるようになった。
 封鎖に反対する学生グループと全共闘系学生との衝突も、頻発した。
 封鎖解除に動く学生のグループは、2つあった。
 ひとつは、日本共産党が主導する「民青」系のグループ。
 もうひとつは、右派グループだった。
 国公立大学では、「民青系」と「全共闘系」の衝突が、私立大学では「右派」と「全共闘系」の衝突が中心になった。

 「右派」を構成しているのは、主に体育会系の学生で、日大などでは、その右派学生を理事会が動かし、その背後には、右翼団体の影がちらついていたりもした。
 右派学生と学校当局とは、利害を共有していることが多かった。
 学校側は、優秀なスポーツ系の学生を集めることで学校の知名度を上げることができる。
 学生のほうは、学校側に忠誠を誓うことで、学費その他の経済的利益に預かることができた。
 学校によっては、右派学生が、まるで理事会の傭兵のように機能している場合もあり、そういう右派学生の行動には目に余るものもあった。
 全共闘系の学生を拉致してリンチを加える、女子学生を集団レイプする――などの事件も、日常的に発生していた。

 「全共闘」を構成するグループの中からは、学園闘争や街頭行動といった「公然活動」に見切りをつけて、「地下」に潜るグループも現れた。
 関西では、ブントの中から「赤軍派」が名乗りを挙げ、関東ではML派の中から「京浜安保共闘」が名乗りを挙げた。
 「武器=銃を調達せよ!」「資金を調達せよ!」などと叫びながら、それらのグループは、活動を非公然化し、やがて、学園から姿を消していくことになる。

 右と左の極端を生み出しながらも、全共闘運動は量的な拡大を続けた。
 しかし、量的な拡大が、質的な向上につながるわけではない。
 短期間にあまりにも多くの逮捕者を出したために、運動を指導し、闘いを指揮できる人材が、どの現場でも不足していた。
 ふくらめばふくらむほど、その足元は、不確かなものになっていく。
 自分たちの運動は、どこへ収束していこうとしているのか?
 その答えを見つけられないままに、季節は夏へ――と移りつつあった。

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テーマ : 官能小説
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「喜びすぎる人たち」の取り扱いに困ったら?

手と手 

「喜ぶ人たち」は、周りにも、一緒に喜んでくれることを求めます。
しかし、これがメイワクな場合があります。メイワクなのは、
その喜びが「過度」と思われる場合。そんなときには……。


 愛の会話力レッスン   レッスン76 
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 「うれしい!」「幸せェ~」「やったぁ!」――親しい人間がそうやって喜んでいる姿を見るのは、筆者も嫌いではありません。たいていの場合、自分までうれしくなってしまいます。
 社会的生きものである人間には、そうやって、他人の感情に同調しようという性質が、元々、備わっているんですね。

 しかし、ときには、素直に同調できない場合もあります。
 それは、喜びの性質にもよるし、喜び方の程度にもよるよ――と、筆者は思っています。

 「うれしい」という感情に満たされた人たちは、その喜びを顔いっぱいに溢れさせ、友人や仲間の肩を叩きながら、「オレはうれしいんだよ。おまえも喜んでくれよ」と、暗に同調してくれることを求めてきたりもするのですが、実は、これがメイワクでしかない――という場合が、しばしばあるのですね。

他人が見せる「喜び」が、メイワクな場合もある

 他人の「喜び」がメイワクと感じられるケース。
 ひとつは、その「喜び」の程度が、とても同調しきれないと思うほどに極端である場合です。
 俗に、ハイテンションなどと呼ばれることもありますが、とにかく、その「躁状態」が極端に高いので、一緒に調子を合わせることがむずかしい、というケースです。つき合いきれないでいると、「あいつ、ノリがわるい」と、煙たがられたりもします。
 飲み会がそういうメンバーで占められていたりすると、私などは、その場に身を置くこと自体が、苦痛に感じられたりもします。
 たぶん、こういう人たちは、脳内の「快楽ホルモン」であるドーパミンの分泌量が、通常よりも高いのだと思います。
 ムリに合わせようとすると、ストレスになってしまいますから、こういう「喜びすぎ」には、筆者は、ほどほどの距離をとってお愛想笑いを振り向ける程度にとどめておく――ようにしています。

 もうひとつは、「喜び」の内容が関係してくるケース。実は、こちらのほうが、メイワク度が深刻です。
 筆者の周りにも、そんなメイワクな喜びを振り撒きたがる人たちがいました。

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宇宙セックス203×〈4〉 6人の隠されたミッション

ヴァギナph1

火星へ向けて飛行を続ける宇宙船の6人のクルー。
6人にはそれぞれ任務があったが、それ以外にも、
ひそかに期待されているミッションがあった。それは――


 妄想力ドリル〈R18版〉   第34講  宇宙セックス203×〈4〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載4回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  人類初の有人惑星探査を目指して、火星に向けて飛行を続ける宇宙船「インベーダー」。その船内に、アメーバのように形を変えながら漂うゲル状の物質があった。「あいつ、またやりやがったな」と、マイクはそれをティッシュで捕えて、ダスター・シュートに放り込んだ。その浮遊物は、ユウキが放出したスペルマの残骸だった。地球を離れて100日と1週間。地球がピンポン球ほどにしか見えなくなった頃から、クルーたちの行動に変化が現れた。ユウキの場合は、やたらマスをかく――だった。しかし、ユウキの浮遊物は、放置しておくと、計器類などに付着して、計器を狂わせかねない。手ではなかなか捕まえられないそれを、口でバキュームしたのは、ミーシャだった。このロシア人の女もまた、壊れ始めていた。「やってやんなよ」。アレックスの言葉に、ミーシャの体が宙を飛んだ。ユウキの股間に顔を埋めると、口にアレを含んで、頭を前後に振る。その反動で浮き上がる尻を顔で押さえたのは、マイクだった――。


 自分たちがやっている行為は、地球の基準から言うと、「不道徳」と謗られることなのかもしれない。
 しかし、マイクには、その感覚はなかった。たぶん、ミーシャにも、ユウキにも、アレックスにも、その感覚はない。
 終始、眉をしかめて、ミーシャやマイクの行為を見ていたソフィアも、メイファンも、その口元には「しょうがないわね」というような笑みを浮かべていた。
 豆粒ほどにしか見えない地球の規範など、もはや、この船内では、意味を持たなくなっているのではないか。
 それを、だれもが薄々、感じ始めていた。

 世間には公表されていないが、今回の有人火星探査には、ひとつの隠されたミッションがあった。
 人類は、はたして、重力が地球の40%しかない惑星の上で、地球上と同じような生活を送ることができるか?
 それを、実験的に検証せよ――というミッションだった。
 そのために、火星での滞在期間が「1年」と長めに設定してある。
 「地球上と同じ生活」ということの中には、「地球上と同じように、男女が愛し合えるか?」も含まれていた。そこには、「火星上で妊娠は可能か?」という、究極のテーマも隠されているに違いない――と、クルーたちは想像していた。
 クルーが男女3名ずつという構成になっているのには、そんな理由があったに違いない。そして、その6人の中に、産婦人科医であるアレックスが含まれていたのも、万一の「妊娠」に備えた選考であろうと思われた。
 6人のクルーには、ひとつの共通項があった。それは、妻帯者ではなく、婚約者も、決まった恋人もいない、ということ。そして、どちらかと言うと、SEXや恋愛に関してリベラルな感覚の持ち主である、ということだった。

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第10章-風に消えたキミ〈2〉 黄色いシャツをあなたに

後姿 父と母が愛し合った時代へ。感謝をこめて☆ 

昌子のTシャツは機動隊員に引き裂かれて、
胸元がのぞきそうになっていた。
このままでは帰れないという昌子に、敏は、
自分の黄色いTシャツを貸した。「このシャツ、
気に入った」と手を振る昌子。その姿は――。


 愛を駆ける急行   第10章 風に消えたキミ 
〈2〉 黄色いシャツをあなたに

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この話は、「急行霧島」として執筆した作品のリメイク版、連載46回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
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ここまでのあらすじ 父・秋吉敏が、母・昌子と出会ったのは、九州への帰省の列車、急行「霧島」の車内だった。京都のミッション系の女子大に通う女子大生で、鹿児島まで帰省すると言う昌子と、横浜の大学に通い、博多まで帰省する敏。ふたりには、2つの共通点があった。ともに、大学でコーラス・サークルに所属していたこと。もうひとつは、クリスチャンである、ということだった。意気投合したふたりは、春休みにまた、「霧島」で会おうと約束を交わす。父によれば、その頃の若者は、「政治的」か「非政治的(ノンポリ)」かのどちらかだったと言う。父と母は、その中間にいて「良心的な声」を挙げようとするグループに属していた。昌子は、通っているリベラル派の教会の牧師とともに、大阪のドヤ街で奉仕活動を続けていたが、交流するK大の合唱部には、そんな活動は自己満足にすぎない――と、政治思想を吹き込む男がいた。その年の夏休み、敏のY大グリークラブは、演奏旅行の最終日、京都で、昌子が所属するK女子大フローラル・コールとジョイントすることになった。京都で現地解散となる敏に、昌子は「京都で一泊しようよ」と提案した。昌子が「きょうの民宿のおじさん」と敏に紹介したのは、K大の学生寮に住む高城という男だった。人民を解放するためには武装闘争も必要だと言う高城は、火炎瓶もその手段のひとつになると主張。敏は、手段を誤った闘争からは、真の解放は得られないと反論した。翌日、「思索の道」を散策しながら、昌子は敏に訊いた。「愛に思想は必要だと思うか?」。敏の答えは、「愛にこそ思想が必要」だった。その年の10月8日、その出来事は起こった。ヘルメットを被り、角材を手にした学生たちが機動隊の壁に突進していく映像がニュースで流れると、翌日から、キャンパスの空気が一変した。その秋に開かれた「大学キリスト者全国協議会」に関東代表として出席した敏は、そこに、思いもしない姿を発見した。関西代表として参加した昌子と、彼女が通う教会からオブザーバーとして参加した落合牧師。会議は、「共産主義の悪魔と闘うアメリカの若者のために祈ろう」という「保守派」と、「殺されていくベトナムの人々のためにも祈るべき」と主張する「リベラル派」の対決で紛糾した。最終日の夜は、焚火を囲んでの祈祷会になった。「無力な私たちに勇気と知恵を」。昌子の祈りを「美しい」と感じている敏に、落合牧師がささやいた。「彼女を守ってあげてくださいね」。その年のクリスマス、敏たち関東組は、「ベトナムに平和を」をテーマに、集会とデモを計画し、昌子たち関西組は、大阪で「24時間キャンドル・サービス for ベトナム」を企画した。行動は別々だったが、ふたりは「小さな約束」を実行した。「ベトナムに平和を」と祈りながら、その中でちょっぴり、おたがいの心の平和も祈る、という約束だった。その年の年末、昌子たちの教会で行われるチャリティのカウントダウンに参加するために、敏は教会を訪ねた。教会の屋根の十字架を磨くというワークを果たして、その夜、敏が教会の屋根裏部屋で寝ていると、昌子が布団の中に忍んできた。「愛してる」と告白し、無知な体を重ね合ったふたり。結ばれた瞬間、ふたりは耳の奥で、教会のオルガンが奏でる讃美歌を聴いたような気がした。年が明けると、東大紛争が勃発した。時代は、激しく変化していた。そんな時代が、「おまえはどうする?」と問いかけてくる。春休み前に、父も母もコーラスを辞めた。忍び寄る政治の季節が、ふたりに歌を捨てさせた。その春、東大の紛争は全学ストに拡大し、日大では「全共闘」が結成されて、全学がバリケード封鎖された。そんなとき、昌子から一通の手紙が届いた。東京で「フォーク・コンサート」を開くことになった。できれば、2、3日、「あなたの部屋に泊めてほしい」と言うのだった。「平和を叫ぶ」と銘打ったコンサートは、関西で産声を挙げた「プロテスト・ソング」の旗手、神村信平の東京デビューでもあった。成功裏のうちにコンサートを終えた昌子は、敏の下宿にやって来た。目の前の運河の臭いが立ち込める敏の四畳半。ふたりは、そんな部屋で汗に濡れた体を重ね合い、昌子は、ピアニッシモで歓喜の声を漏らした。翌日、「東大を見てみたい」と言う昌子を敏は本郷へ案内した。安田講堂がバリケード封鎖されたばかりの東大では、全共闘が結成され、それを支援する各党派の旗が林立していた。その光景に目を見張っていると、「キミらも支援に来たのか?」と声がした。K大の寮で敏に武装闘争を熱く説いた高城だった。そして、もうひとり、キリスト教系学生組織のメンバーで、原理主義一派と共に闘った野本もいた。ふたりの案内でバリケードの中を見学した敏たちに野本が言った。「じきに、キミたちのキャンパスでも、ここと同じことが起こる。キミたちはキミたちの場所で、自分たちの行動を選んでくれ」。翌日、昌子を横浜の街に連れ出した敏だったが、その財布は底をつきかけていた。ふたりは、残りの数日間を自炊で過ごすことにした。昼間は横浜の街をブラつき、電熱器で炊いたご飯で自炊。夜になれば、ひとつ布団で肌を寄せ合う。それは、束の間の幸せな日々だった。その幸せな夏の日の後にやって来たのは、「流血の秋」だった。10・21「国際反戦デー」の街頭行動では、1000人近い逮捕者が出た。敏も、昌子も、迷っていた。「敵のためにさえ祈れ」という聖書の教えは、ほんとうに正しいのだろうか? その秋、敏たちは新たな難題に立ち向かうことになった。靖国神社を国家護持しようという動きだった。これだけは阻止しなくてはならない。熱く語り合う敏たち。しかし、その席に昌子の姿はなかった。昌子たちのキャンパスでも学園紛争が勃発し、昌子は闘争委員として、学園問題にかかりきりになっている、というのだった。敏は昌子を見守るためにも、落合牧師たちが計画している年末のフォーク集会に、参加する意思を固めた。その主役は、『あなたに』が東京の深夜放送でも流されるようになった神村信平だった。「信平さん、メジャー・デビューするんよ」とうれしそうに語る昌子の横で、浮かない顔の信平。フォーク集会の翌日、敏と信平は、一緒に教会の屋根に登った。そこで敏は信平から思わぬ告白を受けた。「ホレてたんや」と、信平は敏の体を後ろから小突き、そして言うのだった。「昌ちゃんを守ったってや」と。まっすぐな昌子が、時代の風に翻弄されないように……というのだ。冬休みが明けると、東大の安田講堂が落ちた。しかし、その炎は全国のキャンパスに広がり、敏のY大でも「全共闘」が結成された。敏は青いヘルメットを被り、昌子は赤を被って、全共闘に加わり、デモに参加した。そんな中、昌子の手紙がある決断を伝えてきた。「新橋へ行きます」と言うのだった。4・28沖縄デー。その日、敏は青を、昌子は赤を被って、それぞれの隊列に加わり、東京駅に集結して、高架上を新橋へ進撃した。青の部隊は、地上に降りた途端、機動隊のガス銃に一斉水平射撃を浴びて、隊列を崩し、赤の部隊は、高架の上で機動隊の挟撃に遭い、追い詰められた学生たちが、バラバラと地上に落ちてきた。銃撃に慄いた敏の足は、新橋の路上を走った。みっともない敗走だった。なんとか横浜に帰り着くと、橋のたもとにうずくまっている人影があった。昌子だった。その体は傷だらけだった。敏は昌子を抱きながら、その傷をなめた――。




 「そう……。あのとき、高架の上にいたの。もう少しで新橋っていうところで、後ろから来た機動隊と前から来た機動隊に、挟み撃ちにされて……」

 高架上にいた学生部隊は、その挟撃に遭って追い詰められ、打ち倒され、次々に検挙されていった。
 昌子も、ももや脛を警棒で殴打されて、線路上にうずくまった。
 昌子を殴打した機動隊員は、昌子のTシャツの襟首をつかんで体を引き起こそうとし、昌子はレールをつかんで、線路上を這うように逃げようとした。
 手で引っ張られて、昌子のTシャツは襟首から裂け、胸元までが露わになった。機動隊員の手は、後ろからその胸をわしづかみにして、引き起こしにかかった。
 手袋ごしに、隊員の手が胸の感触を楽しんでいるように、昌子には感じられた。
 クソーッ、こいつ、どさくさに紛れて――昌子がその手から逃れようともがいていると、そこへ指揮官らしい男がやってきて、声をかけた。

 「おい、女はほっとけ!」

 機動隊員の手が緩んだスキに、昌子はその手から逃れ、高架のフェンスを乗り越えて、地上に降りた。
 飛び降りるときに足をくじいたが、なんとか数寄屋橋方面まで逃げると、そこに、座り込みに入っていたベ平連のデモ隊がいた。
 足を引きずっている昌子を見て、座り込み隊のメンバーが「中に入れ」と声をかけてくれた。
 昌子は、ベ平連の座り込みの中に紛れ込み、なんとか、体を休めることができた。
 ほかにも何人か、ヘルメットの学生たちが座り込みに合流していたが、ヘルメットの色はバラバラだった。
 交差点方面の路上では、交番付近に集結した機動隊に、なおも投石を続ける学生や反戦青年委員会の部隊がいたが、昌子はもう、その隊列に加わる気にはなれなかった。
 時間ぎりぎりまで、座り込みを続けたが、機動隊の排除が始まると、「ヘルメットの人たちは、逃げたほうがいいよ」と言われて、その場を離れた。
 どこかで夜明かししようか、とも思ったが、もう、仲間がどこにいるかもわからない。
 不安になった昌子は、横浜に行ってみよう――と、電車に乗った。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

「汚い言葉」であなたを責める人の本心

女の子ヘッドホン  男の本心・女の本心~55 

人を「汚い言葉」で攻撃しようとする人たちがいます。
その「攻撃性」を生み出しているのは、「劣等感」。
人を自分より下位に置きたいという意識が、言葉を汚くしているのです。


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 最近、世の中を飛び交う言葉が汚くなったなぁ――と、長住は感じています。
 その代表が、「在日外国人」の排撃を訴える「在特会」などの街頭行動のメッセージ。
 何かと言えば、「土下座しろ!」などと迫る、モンスターのような客の存在も、各地で目立っています。
 国会や地方議会での議員のヤジも、ヒドいものです。
 「少子化」を問題視し、「保育所の充実を」と訴える女性議員に、「早く結婚しろよ!」とヤジを飛ばした与党議員。
 代表質問に立った共産党議員に、「テロ政党!」とヤジを飛ばした自民党議員。
 そして、なんと、質問中の民主党・前原議員に、「日教組、日教組!」とヤジを飛ばした安倍総理。
 こんな人が総理を務めているということに、長住は恥ずかしささえ感じてしまいます。

 私たちが暮らしているこの社会には、いろいろな考え方の人たちが住んでいます。
 自分と相容れない考え方があれば、それに批判を加えることもあるでしょう。民主主義の社会であり、言論の自由が保障されている社会であれば、それは当然のことだ――と、筆者も思います。

 しかし、その批判が、どうも感情的すぎる。

 そう感じるシーンを目にすることが、最近、目に見えて多くなったような気がするのです。
 どうも、世の中全体に、「汚い言葉」の量が増えているのではないか?
 私にはそう感じられて仕方ないのです。

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宇宙セックス203×〈3〉 ミーシャの遊泳フェラ

ヴァギナph1

体を押さえつけられたユウキの股間目がけて、
ミーシャの体が宙を飛んだ。ユウキのそれを
口に含むと、宙に浮いたまま、頭を動かして……


 妄想力ドリル〈R18版〉   第34講  宇宙セックス203×〈3〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

 リンク・キーワード   恋愛小説 エッチ 官能小説 不倫 おひとり様 エロ


この話は、連載3回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  人類初の有人惑星探査を目指して、火星に向けて飛行を続ける宇宙船「インベーダー」。その船内に、アメーバのように形を変えながら漂うゲル状の物質があった。「あいつ、またやりやがったな」。ユウキが放出したスペルマの残骸だった。地球を離れて100日と1週間。地球がピンポン球ほどにしか見えなくなった頃から、クルーたちの行動に変化が現れた。ユウキの場合は、やたらマスをかく――だった。しかし、ユウキの浮遊物は、放置しておくと、計器類などに付着して、計器を狂わせかねない。手ではなかなか捕まえられないそれを、口でバキュームしたのは、ミーシャだった。このロシア人の女もまた、壊れ始めていた――。


 「やってやんなよ、ミーシャ」
 後ろから声をかけたのは、オーストラリア人のクルー、アレックスだった。
 こいつも狂ってやがる――と、マイクは思った。
 さすがにイヤがるだろうと思ったのに、ミーシャは、「そうね……」と、目を獰猛な色に輝かせた。
 「マスかかれて、そこらじゅうに精液飛ばされるより、そのほうがいいかもね」
 言いながら、トンと壁を蹴った。
 ミーシャの体は、船内を、まるでイルカが泳ぐように、ユウキに向かって飛んでくる。その姿を見て、ユウキはちょっとひるんだように見えた。
 体をひねって、ミーシャの突進を避けようとする。
 その体をアレックスが後ろから抱きかかえるようにして、シートに押さえつけた。
 「よせよ、アレックス。ちょっと待てって」
 ユウキは、マジにあせっていた。
 「船内でこっそりマスかいてやがるヤツが、何あせってんだよ。それとも何かい? ユーの国じゃ、こっそりかくマスは美徳だけど、女にフェラされるのは罪だとでも教えてるのかい?」
 「そうじゃなくて、アレックス、みんなの見てる前で……ってのは、あ……よ、よせってミーシャ」
 「みんな――って、ユウキ、見てるのは、ここにいる5人だけだよ。地球なんて、もう、どこにあるのかわからないくらい、遠くになっちゃったんだからさ」
 ミーシャは、言いながら、ユウキのボトムに手を伸ばした。
 ゴム入りのウエストで腰に留まっただけのユウキのボトムは、ミーシャが手をかけると、簡単に腰からはぎ下ろされて、脚から抜き取られ、船室の中をフワフワと漂い始めた。
 上半身はアレックスにホールドされてシートに押さえ付けられているが、むき出しにされた下半身は、情けなく、空中に浮き上がっている。
 浮いてはいるが、アレはしっかり、そそり立っている。
 そこへ、空中を泳いできたミーシャの口がかぶりついた。
 その瞬間、ユウキは、「ワオッ……」と声を挙げた。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

分譲住宅は、国を滅ぼす、社会を殺す!


 不純愛トーク   第331夜  
限られた大地を「私有権」で切り刻んで、自分の「所有欲」を満たそうとする人間たち。これほど、罪深いことはない――というのが、哲雄の考え方。このまま、「分譲」を進めていけば、この社会は、「処分しきれない私有権」にがんじがらめになって、やがて、ゴースト化してしまいます。そんな中で見直したいのが、「シェアの思想」。今回は、「土地」をテーマに、それをシェアするとはどういうことかを考えてみます――。

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AKI 前回は、「シェアの思想」という話が出ました。哲ジイが言っている「シェア」というのは、「奥さん」をシェアしましょうという話なんですか?

哲雄 いいえ、すべてです。

AKI すべて……?

哲雄 人間の欲によって「所有」されているもののすべては、究極には、神様にお返しして「共有(シェア)」すべきである――と、私は思うんですよ。キリスト教も、仏教も、たぶんイスラムも、そういう世界になることを理想としているのですが、ま、人間に「私欲」がある限り、それはムリでしょうね。

AKI なんだ、ムリなんだ。

哲雄 ムリではあるけれど、その理想に近づくために、工夫できるところは工夫しましょうよ――というのが、「シェアの思想」です。

AKI とりあえず、どこらへんから手をつけましょうか、教授?

哲雄 まずは、「土地」です。

AKI エッ!? 土地? 土地を私有してはいけないとおっしゃるんですか?

哲雄 私は、こういうふうに考えるべきだと思います。そもそも、この「大地」というものは、神が……ここでは「神」としておきますが、「仏」でもいいし、あるいは「共通の善」という言い方でもいい。とりあえず、ここでは「神」としておきますね。その神が、すべての生きもののために与えた「贈り物」です。人は、というか、すべての生きものは、そこで生を営むことを、仮に許されているにすぎない。

AKI オーッ、それはまた、超深い考え方ですこと。「仮に」ということは、「生きている間は」というふうに考えてもよろしいのでしょうか?

哲雄 おお、察しがいいこと。そうです、

 「生きている間」だけ、
 「おまえは、そこを生の営みのために使っていいぞ」
 と許されている場所。
 それが「土地」というものだと考えればいいのだと思います。


 なのに、欲の深い人間たちは、そこを「ここは、子々孫々、オレたちのもの」として「私有」しようとする。私に言わせれば、これほど強欲なことはない。

AKI そんなこと言ったら、「国境」もなくなるじゃありませんか?

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テーマ : 愛し方・愛され方
ジャンル : アダルト

画像は語る! 男はやっぱり、「女のなり損ない」

手と手 

母の胎内では、すべての男は、「女の子」だった。
医学的には、男は「女のなり損ない」らしいのです。


 性とエッチの《雑学》file.144   R15 
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。15歳未満の方はご退出ください。

【今回のキーワード】 テストステロン 裏スジ  345
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 『聖書』の「創世記」には、女は男のあばら骨から造られた――と書かれています。
 ギリシャ神話には、美の女神・アフロディテが、息子によって切り落とされた天空の神・ウラノスのおチンチンが、海の泡に包まれて誕生する――という神話が記されています。
 世界じゅうに、この種の話があふれています。

 女は、男から作られたのだ。

 男たちはそう言っては、女たちを自分たちの「亜種」と思い込みたがっていたフシが見られます。少なくとも、世界のほとんどの地域を支配する「父系制社会」では、そう言っては、「だから、男のほうがエラい」を信じ込ませようとしてきました。
 その「男根神話」の世界では、女性の性器・クリトリスは、「ペニスが退化したもの」である――と、語られ続けてきたのですが、生物学的・医学的には、はたしてどうなのでしょう?
 事実は、逆なのではないか?――と、筆者は思っています。

 女が「男のなり損ない」なのではなくて、
 ほんとうは、男が「女のなり損ない」なのかもしれない。


 少なくとも、母の胎内で「男の子」と「女の子」が分化していく過程を見ると、そんな気がしてきます。
 本シリーズの 《File-1☆すべての「男」は、その昔、「女」だった!?》 でも、そんな話をしましたが、今回は、その証拠を、画像とともにご紹介したいと思います。

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第10章-風に消えたキミ〈1〉 傷だらけの女戦士

後姿 父と母が愛し合った時代へ。感謝をこめて☆ 

新橋から銀座に至る街では、あちこちで、
学生と機動隊の小競り合いが続いていた。
しかし、この闘いは敗北だ。その街を抜け出して、
横浜の下宿まで帰り着くと、橋のたもとに
うずくまっている人影があった。昌子だった――。


 愛を駆ける急行   第10章 風に消えたキミ 
〈1〉 傷だらけの女戦士

【リンク・キーワード】 恋愛小説 結婚 一夫一妻 純愛 エロ 官能小説


この話は、「急行霧島」として執筆した作品のリメイク版、連載45回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
   前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 父・秋吉敏が、母・昌子と出会ったのは、九州への帰省の列車、急行「霧島」の車内だった。京都のミッション系の女子大に通う女子大生で、鹿児島まで帰省すると言う昌子と、横浜の大学に通い、博多まで帰省する敏。ふたりには、2つの共通点があった。ともに、大学でコーラス・サークルに所属していたこと。もうひとつは、クリスチャンである、ということだった。意気投合したふたりは、春休みにまた、「霧島」で会おうと約束を交わす。父によれば、その頃の若者は、「政治的」か「非政治的(ノンポリ)」かのどちらかだったと言う。父と母は、その中間にいて「良心的な声」を挙げようとするグループに属していた。昌子は、通っているリベラル派の教会の牧師とともに、大阪のドヤ街で奉仕活動を続けていたが、交流するK大の合唱部には、そんな活動は自己満足にすぎない――と、政治思想を吹き込む男がいた。その年の夏休み、敏のY大グリークラブは、演奏旅行の最終日、京都で、昌子が所属するK女子大フローラル・コールとジョイントすることになった。京都で現地解散となる敏に、昌子は「京都で一泊しようよ」と提案した。昌子が「きょうの民宿のおじさん」と敏に紹介したのは、K大の学生寮に住む高城という男だった。人民を解放するためには武装闘争も必要だと言う高城は、火炎瓶もその手段のひとつになると主張。敏は、手段を誤った闘争からは、真の解放は得られないと反論した。翌日、「思索の道」を散策しながら、昌子は敏に訊いた。「愛に思想は必要だと思うか?」。敏の答えは、「愛にこそ思想が必要」だった。その年の10月8日、その出来事は起こった。ヘルメットを被り、角材を手にした学生たちが機動隊の壁に突進していく映像がニュースで流れると、翌日から、キャンパスの空気が一変した。その秋に開かれた「大学キリスト者全国協議会」に関東代表として出席した敏は、そこに、思いもしない姿を発見した。関西代表として参加した昌子と、彼女が通う教会からオブザーバーとして参加した落合牧師。会議は、「共産主義の悪魔と闘うアメリカの若者のために祈ろう」という「保守派」と、「殺されていくベトナムの人々のためにも祈るべき」と主張する「リベラル派」の対決で紛糾した。最終日の夜は、焚火を囲んでの祈祷会になった。「無力な私たちに勇気と知恵を」。昌子の祈りを「美しい」と感じている敏に、落合牧師がささやいた。「彼女を守ってあげてくださいね」。その年のクリスマス、敏たち関東組は、「ベトナムに平和を」をテーマに、集会とデモを計画し、昌子たち関西組は、大阪で「24時間キャンドル・サービス for ベトナム」を企画した。行動は別々だったが、ふたりは「小さな約束」を実行した。「ベトナムに平和を」と祈りながら、その中でちょっぴり、おたがいの心の平和も祈る、という約束だった。その年の年末、昌子たちの教会で行われるチャリティのカウントダウンに参加するために、敏は教会を訪ねた。教会の屋根の十字架を磨くというワークを果たして、その夜、敏が教会の屋根裏部屋で寝ていると、昌子が布団の中に忍んできた。「愛してる」と告白し、無知な体を重ね合ったふたり。結ばれた瞬間、ふたりは耳の奥で、教会のオルガンが奏でる讃美歌を聴いたような気がした。年が明けると、東大紛争が勃発した。時代は、激しく変化していた。そんな時代が、「おまえはどうする?」と問いかけてくる。春休み前に、父も母もコーラスを辞めた。忍び寄る政治の季節が、ふたりに歌を捨てさせた。その春、東大の紛争は全学ストに拡大し、日大では「全共闘」が結成されて、全学がバリケード封鎖された。そんなとき、昌子から一通の手紙が届いた。東京で「フォーク・コンサート」を開くことになった。できれば、2、3日、「あなたの部屋に泊めてほしい」と言うのだった。「平和を叫ぶ」と銘打ったコンサートは、関西で産声を挙げた「プロテスト・ソング」の旗手、神村信平の東京デビューでもあった。成功裏のうちにコンサートを終えた昌子は、敏の下宿にやって来た。目の前の運河の臭いが立ち込める敏の四畳半。ふたりは、そんな部屋で汗に濡れた体を重ね合い、昌子は、ピアニッシモで歓喜の声を漏らした。翌日、「東大を見てみたい」と言う昌子を敏は本郷へ案内した。安田講堂がバリケード封鎖されたばかりの東大では、全共闘が結成され、それを支援する各党派の旗が林立していた。その光景に目を見張っていると、「キミらも支援に来たのか?」と声がした。K大の寮で敏に武装闘争を熱く説いた高城だった。そして、もうひとり、キリスト教系学生組織のメンバーで、原理主義一派と共に闘った野本もいた。ふたりの案内でバリケードの中を見学した敏たちに野本が言った。「じきに、キミたちのキャンパスでも、ここと同じことが起こる。キミたちはキミたちの場所で、自分たちの行動を選んでくれ」。翌日、昌子を横浜の街に連れ出した敏だったが、その財布は底をつきかけていた。ふたりは、残りの数日間を自炊で過ごすことにした。昼間は横浜の街をブラつき、電熱器で炊いたご飯で自炊。夜になれば、ひとつ布団で肌を寄せ合う。それは、束の間の幸せな日々だった。その幸せな夏の日の後にやって来たのは、「流血の秋」だった。10・21「国際反戦デー」の街頭行動では、1000人近い逮捕者が出た。敏も、昌子も、迷っていた。「敵のためにさえ祈れ」という聖書の教えは、ほんとうに正しいのだろうか? その秋、敏たちは新たな難題に立ち向かうことになった。靖国神社を国家護持しようという動きだった。これだけは阻止しなくてはならない。熱く語り合う敏たち。しかし、その席に昌子の姿はなかった。昌子たちのキャンパスでも学園紛争が勃発し、昌子は闘争委員として、学園問題にかかりきりになっている、というのだった。敏は昌子を見守るためにも、落合牧師たちが計画している年末のフォーク集会に、参加する意思を固めた。その主役は、『あなたに』が東京の深夜放送でも流されるようになった神村信平だった。「信平さん、メジャー・デビューするんよ」とうれしそうに語る昌子の横で、浮かない顔の信平。フォーク集会の翌日、敏と信平は、一緒に教会の屋根に登った。そこで敏は信平から思わぬ告白を受けた。「ホレてたんや」と、信平は敏の体を後ろから小突き、そして言うのだった。「昌ちゃんを守ったってや」と。まっすぐな昌子が、時代の風に翻弄されないように……というのだ。冬休みが明けると、東大の安田講堂が落ちた。しかし、その炎は全国のキャンパスに広がり、敏のY大でも「全共闘」が結成された。敏は青いヘルメットを被り、昌子は赤を被って、全共闘に加わり、デモに参加した。そんな中、昌子の手紙がある決断を伝えてきた。「新橋へ行きます」と言うのだった。4・28沖縄デー。その日、敏は青を、昌子は赤を被って、それぞれの隊列に加わり、東京駅に集結して、高架上を新橋へ進撃した。青の部隊は、地上に降りた途端、機動隊のガス銃に一斉水平射撃を浴びて、隊列を崩し、赤の部隊は、高架の上で機動隊の挟撃に遭い、追い詰められた学生たちが、バラバラと地上に落ちてきた。銃撃に慄いた敏の足は、新橋の路上を走った。みっともない敗走だった――。




 そこらじゅうに転がる砕かれた石。
 脱ぎ捨てられたヘルメット。
 折れた角材。
 目と鼻をつく催涙ガスの臭い。
 おびただしい数の灰色の装甲車と、その屋根で回る赤色灯。
 敷石に滲み込んだだれかが流した血の跡。
 そして……逮捕者976名。

 1969年4月28日の「沖縄デー」の夜は、そうして更けていった。
 まとまった隊列を組むことができなくなったデモ隊は、小グループを編成しては、まるでゲリラのように各所に出撃して、機動隊と投石とガス銃の小競り合いを繰り広げた。
 数寄屋橋から鍛冶屋橋にかけての路上では、ベ平連が座り込みを続けていた。
 武器を持たない学生や労働者ができる街頭闘争としては、それがMAXだろう。
 しかし、そのどこにも、自分のいるべき場所を見つけることはできなかった。

 軍事的には敗北だ。
 たぶん、運動としても、これを成功とは言えないだろう。
 何より、いちばん敗北しているのは、自分自身だ――。
 最初の衝突で恐怖に駆られてしまった自分の足が敗北したのであり、それでも踏みとどまることのできなかった精神の弱さが敗北したのだ。

 電車が動いているうちに、横浜に帰ろう。
 まるで前線から逃げ出す脱走兵のように、グルグル回る赤色灯から身を避け、まだ走っている都営地下鉄に飛び乗った。
 順調に走ってくれれば、京急で何とか横浜までたどり着くことぐらいできるだろう。
 車両の中には、やはり、横浜方面に帰るのか、ヘルメットをひざに抱えた学生が何人か、敗残兵のように身をうずめていた。
 つい、周囲を見回してしまう。
 もしかして、昌子も乗っているのではなかろうか……。
 しかし、そんなことはあるはずもなかった。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

宇宙セックス203×〈2〉 精液をバキュームする女

ヴァギナph1

火星へ向けて飛行する宇宙船。その船内に漂うスペルマ。
その浮遊物に、口を近づけてバキュームした女がいる。
ロシアからクルーに選ばれたミーシャだった――


 妄想力ドリル〈R18版〉   第34講  宇宙セックス203×〈2〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載2回目です。最初から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  人類初の有人惑星探査を目指して、火星に向けて飛行を続ける宇宙船「インベーダー」。その船内に、アメーバのように形を変えながら漂うゲル状の物質があった。「あいつ、またやりやがったな」。ユウキが放出したスペルマの残骸だった。地球を離れて100日と1週間。地球がピンポン球ほどにしか見えなくなった頃から、クルーたちの行動に変化が現れた。ユウキの場合は、やたらマスをかく――だった。マイクは、ティッシュでその物質を捕えると、それを、ダスターシュートに放り込んだ――。


 宇宙では、マスをかくのも容易ではない。
 無重力空間で手を激しく動かせば、その反動で、体はあらぬ方向に飛んでいく。背中を船室の壁に打ちつけ、頭を天井にぶつけ、それが計器類にも影響する。
 仕方ないので、ユウキはチェアに座ったまま、体をシートベルトで固定して、片手を動かした。本人は、クルーの目を盗んでこっそりやっているつもりだったのだろうが、シートの背が微妙に揺れているので、「ハハ~ン、あいつ、やってるな」と、マイクは気づいた。
 もうひとつ、問題があった。
 マスをかけば、必ず放出されるアレの処理だ。というか、マスの目的はアレ、つまりスペルマの放出なのだから、それをどう処理するかは、あらかじめ頭に入れておかなくてはならない課題だったはずだ。
 マイクにも、その行為に耽ることはある。しかし、それを行うときには、排便用のブースに入って、だれにも見られないように行う。射精のときには、放尿用の吸引器を亀頭に当てて、噴出したスペルマを吸引器に吸わせる。ついでに小用も足す。
 吸引器が吸い取った小便も、精液も、シャワーの排水などとともに濾過装置に回されて、再び「真水」として、飲料用やシャワー用に使われる。
 マイクのやり方であれば、ムダ撃ちした精液も、立派に資源としてリサイクルされる。ま、大した量ではないけど、ユウキよりはましだろう。
 ユウキは、どうもそれではうまくいかないらしい。
 つまり、気分が乗らない――ってやつだ。
 それで、チェアに座ってシコシコとやるようになった。例の放出物はどうするかというと、いよいよ射精という瞬間にティッシュを筒先に当てて、飛び出てくるやつをキャッチするという、超アナログな手法に頼った。しかし、ユウキのやつは、どうも運動神経が鈍いらしく、そのタイミングがビミョーにずれたりする。
 キャッチし損ねた精液は、空飛ぶスペルマとなって、船内を漂うことになる。
 それで、ユウキの「アース・ロス症候群」は、クルーたちに知られることになった。

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テーマ : 官能小説
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