ローズマリーの詩〈38〉 その愛は、桜の花の下を行く

コーヒーと女新しい門出と修復された古い愛。
ふたつの愛をほころび始めた桜の花が祝福した。


私と聡史の婚礼のパーティは、おじが歌う
七つの水仙」で幕を閉じることになった。
その歌にじっと聞き入っていた千里さん。ふたりは、
パーティが終わると、手と手を取り合って……。



 小説/ローズマリーの詩 ――― 第38章 
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この話は連載38回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
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ここまでのあらすじ 離れのおじの部屋から聞こえてくる『スカボロー・フェア』という曲。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。おじは、その歌を歌いながら、かつての恋人に想いを馳せているように見えた。私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、その結婚をドタキャンした。そんな私とおじは、母には「我が家の厄介者」だった。そのおじを古い友人が訪ねてきて、「こないだ、彼女に会ったゾ」と口にした。おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。その人・真坂千里さんの店を、私は訪ねてみた。店名は「千の丘」。『七つの水仙』という曲からとったという。その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、おじだった。そんなある日、一通のエアメールが届いた。鳴尾聡史が内乱に巻き込まれて負傷し、帰国するという。5年ぶりに会った聡史は、精悍さを失ったように見えた。銃撃にすくんだ自分は、「もう、アフリカには戻れないかもしれない」と言う。沈み込む聡史に、私は「お帰りなさい」のキスをした。おじも、千里さんと再会したいと思うだろうか? 私は、おじに食べさせたガーリック・トーストが千里さんが焼いたパンであることを告白し、千里さんがいまもひとりでいることを伝えた。千里さんにも、「私は、牧原哲司の姪なんです」と告白した。私の告白に目を丸くした千里さんだったが、おじが後悔していることを告げると、「残念ながら、彼と別れた理由は、あなたのおじさんが想像しているようなものじゃない」と言った。なぜ、ふたりは別れてしまったのか? 理由を問う私に、千里さんの重い口が開かれた。「あの人、子どもは嫌いだ――って言ったのよ」。そんな私の目に一体のオブジェが留まった。幼子イエスを抱く聖母子のオブジェ。そこに秘められた千里さんの想いを想像していると、聡史から電話が入った。通信社への就職が決まり、アフリカに派遣されることになった、というのだった。「ついて来てほしい」とは言われなかった。その代わり、「待っていてほしい」と言われた。おじによると、それは「立派にプロポーズだ」と言う。年が明けた日曜日、私はおじをちょっと遠い散歩に誘った。行先は、「千の丘」。40年ぶりに再会したふたりはワインで乾杯し、おたがいの現況を語り合った。一方、聡史のアフリカ行きが迫る中、私には気になることがあった。生理が遅れていた。病院で診てもらうと、「妊娠」だった。聡史に告げようか、それとも……。私の心の迷いを見抜いた千里さんは、私を自分の部屋に誘った。いつか見た聖母子像を私の目の前に置いて、千里さんは告白した。「この子、私とあなたのおじさんの子になるはずだったの」。それは、だれにも明かさなかった千里さんの「罪」。その罪ゆえに、千里さんは、おじの元を去ったのだった。「あなたに同じ過ちを犯してほしくない」と千里さんは言う。私は意を決して、聡史に妊娠を告げた。聡史は「いますぐ、結婚しよう」と言う。親にその話をすると、母は「そんな結婚は認めない」と、目を吊り上げた。そのときだった。「いい加減にしろ! それでも人の親か!」と、おじの大音声が響き渡った。そのおじが、家を出ると言う。てっきり、千里さんと暮らすのかと思ったら、千里さんは、私とルームメートになってもいいと言っているという。私は、聡史とおじを連れて、「千の丘」を訪ねてみることにした。おじと聡史は、たちまち意気投合し、「オイ、聡史」「オヤジ」と呼び合う関係になった。その聡史が、おじに突然、「あの歌を聞かせてくださいよ」と、『七つの水仙』をリクエストした。アカペラで歌い終えたおじが、聡史に放った「死ぬなよ」のひと言に、聡史の背筋が伸びた。千里さんは、「ここで美しい朝を見ながら、カレの帰国を待てば?」と言い、私たちを自室に案内してくれた。聡史にとっても、おじにとっても、初めて見る千里さんの部屋。しかし、そこでおじは、見つけてはならないものを見つけた。幼子を抱く聖母の像。その像の裏にプレートがはめ込まれていた。そこには、おじに隠し続けた千里さんの秘密が刻み込まれていた。その秘密を知ったおじと千里さんは、40年前の過ちを繕うことができただろうか? そんな中、聡史の出発の時が近づいた。私たちは、ごく親しい友人たちだけを招いて、結婚披露パーティを開くことになった。そこに千里さんとおじも顔を出し、千里さんは厨房でピンチョスを作り、おじは「七つの水仙」を歌うことになった――。




 おじがギターを抱えて、スツールに腰を下すと、千里さんも手を拭きながら厨房から出てきた。壁に背をもたせ、両腕を胸の前で組み合わせて、「さぁ、聞こうかしらね」という体勢をとっている。
 「きょうは……」と言って、おじは会場内を見渡し、フゥ……と息をついた。
 「鳴尾聡史クンと杉野沙世、若いふたりの門出を祝う席に、出席してくださり、ありがとうございます。わたくし、新婦のおじの牧原哲司と申します」
 そこで、ジャランと弦をかき鳴らした。
 弦の音は、店の石造りの壁に反響して、店内の空気を震わせた。その残響が残る中で、おじが静かに言葉を継いだ。
 「いまから40年近く前、その頃の若者たちは、世の中を動かしている体制に矛盾を感じて、さまざまな抗議行動を起こしていました。みなさんも、TVなどでご覧になったことがあるかもしれない、激動の時代です。しかし、若者たちの抗議行動は、次々につぶされていきました。多くの若者たちは、口をふさぎ、肩を落とし、社会に順応する羊のようなおとなとして、既成の組織の中に取り込まれていきました。若者たちの口から、社会や世界を語る言葉は、どんどん消えていき、代わりに、成功法則を語るいささか露骨な、品性に欠ける言葉が、世の中を飛び回るようになりました。世の中は、いやな方向に進んでいるなぁ――と思っていました。しかし……」
 そこで、おじは言葉を切って、会場内を見渡した。その視線が聡史と私をとらえて、ニコリと微笑んだ。
 「こんな時代になっても、世界の矛盾に、自分たちの力で立ち向かっていこうとする若者たちがいます。きょう、みなさんの前で夫婦となる誓いを立てた鳴尾聡史クンは、アフリカの大地で飢餓に苦しむ子どもたちを救おうと救援活動に従事し、銃弾を受けて負傷しましたが、それでも、今度は通信員として再びアフリカに旅立ち、アフリカの現状を世界に向けて打電する任務に就こうとしています。そして、私の姪・杉野沙世は、そんな聡史クンを支え、その子どもを育てながら、つましくも美しい家族の形を作り上げ、そうすることによって社会とコミットしていく決意を固めました。いまの若者は、自分の利益にしか興味がないのだろうか――などと考えていた自分の不明を、私はいま、心から恥じています。この若者たちになら、これからの社会をまかせていける。いや、もしかしたら、私たちにできなかったことを、この若者たちならやり遂げてくれるかもしれない。私にそう思わせてくれたのは、このふたりでした。ありがとう……」
 会場から、「よっ、ガンバれ!」と声が飛んだ。
 聡史の両親は、何度も何度もうなずいては、そっと目頭にハンカチを当てていた。
 私の両親は、そんな会場の雰囲気に身を小さくしていた。
 おじは――というと、そんな反応を確かめるように見回したあとで、ゆっくりと弦をつまびき始めた。イントロのアルペジオが、場内の空気を一瞬にして静まり返らせた。

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満月の夜の神社の「姫子」〈16〉 破られた「14の夜」

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ひとりで寝かされるようになった「姫子」は、その夜、
下半身に冷たい空気が忍び込むのを感じた。ハッ…と目覚めた
「姫子」の口を、魚臭い男の手がふさいだ。「姫子」は14歳だった。 


 妄想力ドリル〈R18版〉   第31講  満月の夜の神社の「姫子」〈16〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載16回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  満月の夜になると、神社の裏の楠の木の陰から女が男を手招きするという。町の男たちが「姫子」と呼ぶその女は、かつてこの町で生まれ、両親に捨てられた女だという。純平は、亀吉に誘われて、その「姫子」を見に行くことにした。純平たちが灌木の陰に身を潜めていると、男がひとりやって来た。漁協の古田さんだった。古田さんが、楠のところまで来ると、木の陰から二本の白い腕が差し出されて、その体を抱き寄せ、古田さんは月夜に浮かぶ尻をその陰に向かってヒョコヒョコと突き出した。古田さんが帰っていくと、「姫子」は純平たちの目の前に座り込んで、何かをほとばしらせた。鬼姫の放尿だった。食い入るように見つめていた純平たちだったが、亀吉が枯れ枝を踏みつけて、「姫子」に気づかれた。「ワッ!」と逃げ出した純平たちが、神社の社まで来ると、石段をまた、だれかが上ってくる気配がした。酒屋「サカエ」のオヤジだった。楠のほうへ歩いて行くオヤジの後を、純平と亀吉が尾けていくと、オヤジは手にしたレジ袋を木の陰に差し出した。「姫子」は、その袋の中から取り出したものを夢中で口に頬張った。それは稲荷ずしのように見えた。その稲荷をむさぼり食った「姫子」は、片足を道標に載せて、スカートの裾をめくり上げた。そのスカートの中に、オヤジの頭が潜り込んでいく。「姫子」は苦悶の表情を浮かべながら、「入れて!」と叫ぶ。立ちあがったオヤジは、ズボンのチャックを下して、アレをめくり上げたスカートの中央に押しつけた。純平は、次の夜、ひとりで、神社の裏へ上ってみた。楠のところまで来てキョロキョロしていると、「だれか探してるの?」と声をかけられた。「姫子」だった。恐怖で動けない純平の体を、「姫子」は手でまさぐり、変化を起こした純平を探り当てると、それを口に含んだ。「姫子」の舌にくすぐられて、あっという間に、純平はその口の中で果て、姫子は純平が放出したものをゴクリと呑み込んだ。そんな「姫子」を「美しい」と思いながらも、「怖い」と感じる純平。次の日、「サカエ」に買い物に行った純平は、植村のオヤジに「姫子」の話を訊いてみた。オヤジによると、「姫子」は捨て子だった。満月の夜、神社の裏の楠の根元に捨てられていたのを、この町のおとなたちが拾って育てた。「姫子」は満月の夜になると、その恩を返しに、この町にやって来るのだという。しかし、亀吉が母親から聞いた話は、ちょっと違った。「あの女は、おとなをたぶらかす魔性の女だ」と亀吉の母は言った。どっちが本当なのだ? 純平たちが頭をひねっていると、漁協の古田さんが声をかけてきて、次の満月の夜、「姫子」に会わせてやろう、おまえたちを男にしてやる、と言うのだった。その満月の夜がやって来た。古田さんが見守る前で、ふたりは、亀吉⇒純平の順で、「姫子」の体に挑むことになった。亀吉は、2こすりで果てたが、純平はなんとか我慢した。すると、一度果てた純平を「姫子」のそこが締め付けてきて、純平は再び回復した。「やるな、坊主」と、古田さんは、頭をコツンとやり、「姫子」は、「この子、将来は女を泣かせるわ」と目を細めた。そのとき、「姫子」が純平だけにささやいた言葉がある。「今度の満月の最後の夜、ひとりで会いにおいで」。なぜ、あんなことを言ったのか? 気になる純平は、亀吉と一緒にクラスの慰問活動に参加し、「姫子」が育った「養護園」を訪ねた。そこに、「姫子」の少女時代の写真があった。スナップでは、「姫子」はいつも、おとなの男たちに抱きすくめられていた。純平は、その写真に違和感を感じた。次の満月が来ると、純平たちは古田さんに連れられて、神社の裏に行った。「あの子をなぁ、おとなにしてやったのは、オレたちなんだよ」と、自慢そうに言う古田さんは、「姫子」の体を後ろから抱き締めると、手を伸ばす。その手から逃れようともがく「姫子」。純平は、その姿を見ていられなくなって、その場を逃げ出した。次の日、純平は、ひとりで神社の裏へ向かった。「姫子」との約束を果たすためだった。純平の姿を見ると、「姫子」は「おなか空いてない?」と言い、稲荷ずしを差し出した――。


 「姫子」の長い髪は、時折、吹いてくる風にあおられ、フワリ……と舞い上がって「姫子」の白い頬にかかる。
 その髪の何本かが、「姫子」の口を覆う。
 「姫子」は口にかかった髪をかき上げ、それを片手で耳の後ろに押さえたまま、純平の顔をのぞき込んだ。
 「ゆうべ、逃げたよね?」
 純平は、コクリ……とうなずいた。
 「どうして……?」
 下からのぞき込むように純平の目を見上げる「姫子」の目が、純平の心の内を見透かそうとするように、大きく見開かれている。その目に、純平は力を感じた。「さぁ、何もかも話してごらん」と、その目が純平に促していた。
 「姫子さん、中学生のときに、古田さんたちに教えられたんでしょ?」
 「教えられた? 何を?」
 「きのう……古田さんたちとしたようなこと……」
 「ああ、セックス?」
 「姫子」がサラリと口にした言葉に、純平はドキリとなった。サラリと言うことによって、「姫子」はそれを「何でもないこと」と言っているように見えた。
 しかし、ほんとうは、そうではないのかもしれない――とも思った。その言葉を口にする瞬間、「姫子」の口の端が、まずいものを口にしたときのように歪んで見えたからだ。
 「あれは……教えられたんじゃないわ。覚え込まされたのよ。犬をしつけるみたいにね」
 キッと結んだ「姫子」の口が、今度は、ハッキリと歪んだ。

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ローズマリーの詩〈37〉 小さな婚礼

コーヒーと女母には祝福されないふたりを
おじの歌と千里さんのピンチョスが祝福してくれた。


母は認めようとしなかったが、私と聡史には
時間がなかった。3月最後の日曜日、レストランを
借り切って、結婚披露パーティを開くことになり、
おじはその席で「七つの水仙」を歌うことになった…。



 小説/ローズマリーの詩 ――― 第37章 
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ここまでのあらすじ 離れのおじの部屋から聞こえてくる『スカボロー・フェア』という曲。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。おじは、その歌を歌いながら、かつての恋人に想いを馳せているように見えた。私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、その結婚をドタキャンした。そんな私とおじは、母には「我が家の厄介者」だった。そのおじを古い友人が訪ねてきて、「こないだ、彼女に会ったゾ」と口にした。おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。その人・真坂千里さんの店を、私は訪ねてみた。店名は「千の丘」。『七つの水仙』という曲からとったという。その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、おじだった。そんなある日、一通のエアメールが届いた。鳴尾聡史が内乱に巻き込まれて負傷し、帰国するという。5年ぶりに会った聡史は、精悍さを失ったように見えた。銃撃にすくんだ自分は、「もう、アフリカには戻れないかもしれない」と言う。沈み込む聡史に、私は「お帰りなさい」のキスをした。おじも、千里さんと再会したいと思うだろうか? 私は、おじに食べさせたガーリック・トーストが千里さんが焼いたパンであることを告白し、千里さんがいまもひとりでいることを伝えた。千里さんにも、「私は、牧原哲司の姪なんです」と告白した。私の告白に目を丸くした千里さんだったが、おじが後悔していることを告げると、「残念ながら、彼と別れた理由は、あなたのおじさんが想像しているようなものじゃない」と言った。なぜ、ふたりは別れてしまったのか? 理由を問う私に、千里さんの重い口が開かれた。「あの人、子どもは嫌いだ――って言ったのよ」。そんな私の目に一体のオブジェが留まった。幼子イエスを抱く聖母子のオブジェ。そこに秘められた千里さんの想いを想像していると、聡史から電話が入った。通信社への就職が決まり、アフリカに派遣されることになった、というのだった。「ついて来てほしい」とは言われなかった。その代わり、「待っていてほしい」と言われた。おじによると、それは「立派にプロポーズだ」と言う。年が明けた日曜日、私はおじをちょっと遠い散歩に誘った。行先は、「千の丘」。40年ぶりに再会したふたりはワインで乾杯し、おたがいの現況を語り合った。一方、聡史のアフリカ行きが迫る中、私には気になることがあった。生理が遅れていた。病院で診てもらうと、「妊娠」だった。聡史に告げようか、それとも……。私の心の迷いを見抜いた千里さんは、私を自分の部屋に誘った。いつか見た聖母子像を私の目の前に置いて、千里さんは告白した。「この子、私とあなたのおじさんの子になるはずだったの」。それは、だれにも明かさなかった千里さんの「罪」。その罪ゆえに、千里さんは、おじの元を去ったのだった。「あなたに同じ過ちを犯してほしくない」と千里さんは言う。私は意を決して、聡史に妊娠を告げた。聡史は「いますぐ、結婚しよう」と言う。親にその話をすると、母は「そんな結婚は認めない」と、目を吊り上げた。そのときだった。「いい加減にしろ! それでも人の親か!」と、おじの大音声が響き渡った。そのおじが、家を出ると言う。てっきり、千里さんと暮らすのかと思ったら、千里さんは、私とルームメートになってもいいと言っているという。私は、聡史とおじを連れて、「千の丘」を訪ねてみることにした。おじと聡史は、たちまち意気投合し、「オイ、聡史」「オヤジ」と呼び合う関係になった。その聡史が、おじに突然、「あの歌を聞かせてくださいよ」と、『七つの水仙』をリクエストした。アカペラで歌い終えたおじが、聡史に放った「死ぬなよ」のひと言に、聡史の背筋が伸びた。千里さんは、「ここで美しい朝を見ながら、カレの帰国を待てば?」と言い、私たちを自室に案内してくれた。聡史にとっても、おじにとっても、初めて見る千里さんの部屋。しかし、そこでおじは、見つけてはならないものを見つけた。幼子を抱く聖母の像。その像の裏にプレートがはめ込まれていた。そこには、おじに隠し続けた千里さんの秘密が刻み込まれていた――。




 私たちには、時間がなかった。
 聡史は4月に入ると、2週間の研修を受けた後、赴任地であるエジプトへ飛び立ってしまう。
 その前に結婚式を挙げよう――ということになって、3月最後の日曜日、ごく身近な友人と親族だけでささやかな宴を催すことになった。
 母は最後まで、「そんな結婚、認めない」と反対していた。「カレがあいさつに来たいと言ってるから」と言っても、「私は会わない」とはねつけた。
 私は、結婚式の前に家を出て、千里さんの2LDKに間借りすることにした。祝福されない家で新生活のスタートを切る気にはなれなかったから――。
 おじも引っ越しの準備を進めていた。
 引っ越し先を聞いて、思わず頬が緩んだ。なんと、草野駅の近く。千里さんの店へも歩いていける場所に、2DKのアパートを借りることになった、と言う。
 「ヘーッ、毎日、千里さんに会いに行きたいんだ?」
 私がからかうと、おじは「ばぁか、孫の顔を見に行けるからだよ」と言う。
 「孫じゃないじゃん。姪の子だよ」
 「それ、何て言うんだっけ?」
 「おおめいとか、てっそんって言うらしいよ」
 「フーン。ま、いいじゃないか。子どもがいないボクたちには、孫みたいなもんさ」
 あ~あ、「ボクたち」になっちゃったんだ――と、私は思った。
 私と聡史の結婚披露パーティには、もちろん、千里さんも、おじも、出席することになった。そして、おじには、聡史のたっての希望で、『七つの水仙』を歌ってもらうことになった。
 「よぉし、練習しとくか」と言うおじに、聡史が言った。
 「いや、練習なんかしないでください。こないだみたいに、自然に口ずさんだ――って感じのほうが、オレ、好きですから」
 そういうところが、おじと聡史の波長の合うところだった。
 作り込んだ曲なんて、心に響かないから――と言うのだった。

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「優柔不断」は、「思慮深い」と思えば「魅力」になる

不細工美人 不細工&不器用事典 〈6〉  「優柔不断」は、「思慮深い」と思えば「魅力」

「ウーン、どうしよう?」となかなか物事が決められない性質。
通常は、「優柔不断」として敬遠されることが多い性質ですが、
他方、この性質は「思慮深い」と評価できる性質でもあります。
思慮深いのか、決断力がないのか、その境界を探ってみます。


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 メニューを見ても、「これもいい」「こっちもいい」と、なかなか注文が決められない。
 何か大きな買い物をするときも、さんざん迷った挙句、「ウーン、また来るよ」と結論を先延ばしにして、店員やセールスマンをイラつかせてしまう。
 物事が決められないこういう性質は、「優柔不断」と呼ばれ、通常は、敬遠されることが多いようです。特に、男性がこういう性質だと、

  まったく、あの人は優柔不断で、何にも決められないんだから。

 と、恋人や妻から悪態をつかれてしまうことも多いかと思います。
 確かに、物事をスバッスバッ……と即断即決する人間のほうが、見ていて気持ちがいい――と感じられるかもしれません。
 しかし、ほんとうにそうなのでしょうか?

 「決断が速い」ということは、別の言い方をすると、「迷わない」ということです。「迷わない」ということは、あまり深く考えないということでもあります。ときには、カンに頼ったり、周囲の声を鵜呑みにしたり、それまでに蓄えた常識を頼りに「○○に決まっている」と即断してしまうこともあるかもしれません。
 結果、よく考えもせずに「高い買い物」をしてしまったり、後先考えずに転職してしまったり、簡単に結婚を決めたかと思うと簡単に離婚を決めてしまったりもするかもしれません。
 即断即決するタイプの人間には、たえず、こういうリスクがついて回ります。
 確かに機を見るに敏――ではあるのですが、よほどの判断能力が備わっていない限り、その決断には「後悔」が付き物。筆者は、あまり好きではないんですね、こういう性質が。
 では、その逆、「決断が遅い」はどうでしょうか?

 「優柔不断」とは、その決断が遅い性質または決断できない性質のことを言います。
 決断ができない――では、さすがに困りますが、少々、決断が遅い程度は、むしろ「慎重」として評価してもいいのではないか――と、私は思っています。
 問題は、その理由です。
 「慎重」になってしまうのには、いくつか、理由が考えられます。

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満月の夜の神社の「姫子」〈15〉 哺乳瓶と稲荷ずし

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古田さんにもてあそばれる「姫子」の姿を見ていたくなかった。
だからその場を逃げ出した。翌日、純平はひとりで神社に向かった。
「おなか空いてない?」。姫子が差し出したのは、稲荷ずしだった…


 妄想力ドリル〈R18版〉   第31講  満月の夜の神社の「姫子」〈15〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載15回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  満月の夜になると、神社の裏の楠の木の陰から女が男を手招きするという。町の男たちが「姫子」と呼ぶその女は、かつてこの町で生まれ、両親に捨てられた女だという。純平は、亀吉に誘われて、その「姫子」を見に行くことにした。純平たちが灌木の陰に身を潜めていると、男がひとりやって来た。漁協の古田さんだった。古田さんが、楠のところまで来ると、木の陰から二本の白い腕が差し出されて、その体を抱き寄せ、古田さんは月夜に浮かぶ尻をその陰に向かってヒョコヒョコと突き出した。古田さんが帰っていくと、「姫子」は純平たちの目の前に座り込んで、何かをほとばしらせた。鬼姫の放尿だった。食い入るように見つめていた純平たちだったが、亀吉が枯れ枝を踏みつけて、「姫子」に気づかれた。「ワッ!」と逃げ出した純平たちが、神社の社まで来ると、石段をまた、だれかが上ってくる気配がした。酒屋「サカエ」のオヤジだった。楠のほうへ歩いて行くオヤジの後を、純平と亀吉が尾けていくと、オヤジは手にしたレジ袋を木の陰に差し出した。「姫子」は、その袋の中から取り出したものを夢中で口に頬張った。それは稲荷ずしのように見えた。その稲荷をむさぼり食った「姫子」は、片足を道標に載せて、スカートの裾をめくり上げた。そのスカートの中に、オヤジの頭が潜り込んでいく。「姫子」は苦悶の表情を浮かべながら、「入れて!」と叫ぶ。立ちあがったオヤジは、ズボンのチャックを下して、アレをめくり上げたスカートの中央に押しつけた。純平は、次の夜、ひとりで、神社の裏へ上ってみた。楠のところまで来てキョロキョロしていると、「だれか探してるの?」と声をかけられた。「姫子」だった。恐怖で動けない純平の体を、「姫子」は手でまさぐり、変化を起こした純平を探り当てると、それを口に含んだ。「姫子」の舌にくすぐられて、あっという間に、純平はその口の中で果て、姫子は純平が放出したものをゴクリと呑み込んだ。そんな「姫子」を「美しい」と思いながらも、「怖い」と感じる純平。次の日、「サカエ」に買い物に行った純平は、植村のオヤジに「姫子」の話を訊いてみた。オヤジによると、「姫子」は捨て子だった。満月の夜、神社の裏の楠の根元に捨てられていたのを、この町のおとなたちが拾って育てた。「姫子」は満月の夜になると、その恩を返しに、この町にやって来るのだという。しかし、亀吉が母親から聞いた話は、ちょっと違った。「あの女は、おとなをたぶらかす魔性の女だ」と亀吉の母は言った。どっちが本当なのだ? 純平たちが頭をひねっていると、漁協の古田さんが声をかけてきて、次の満月の夜、「姫子」に会わせてやろう、おまえたちを男にしてやる、と言うのだった。その満月の夜がやって来た。古田さんが見守る前で、ふたりは、亀吉⇒純平の順で、「姫子」の体に挑むことになった。亀吉は、2こすりで果てたが、純平はなんとか我慢した。すると、一度果てた純平を「姫子」のそこが締め付けてきて、純平は再び回復した。「やるな、坊主」と、古田さんは、頭をコツンとやり、「姫子」は、「この子、将来は女を泣かせるわ」と目を細めた。そのとき、「姫子」が純平だけにささやいた言葉がある。「今度の満月の最後の夜、ひとりで会いにおいで」。なぜ、あんなことを言ったのか? 気になる純平は、亀吉と一緒にクラスの慰問活動に参加し、「姫子」が育った「養護園」を訪ねた。そこに、「姫子」の少女時代の写真があった。スナップでは、「姫子」はいつも、おとなの男たちに抱きすくめられていた。純平は、その写真に違和感を感じた。次の満月が来ると、純平たちは古田さんに連れられて、神社の裏に行った。「あの子をなぁ、おとなにしてやったのは、オレたちなんだよ」と、自慢そうに言う古田さんは、「姫子」の体を後ろから抱き締めると、手を伸ばす。その手から逃れようともがく「姫子」。純平は、その姿を見ていられなくなった――。


 古田さんに、指であそこをもみしだかれながら、太いサオをねじ込まれ、「たすけて」と身もだえする「姫子」。
 その姿を、純平は「見ていたくない」と思った。
 中2になったばかりの「姫子」を、古田さんたちは、あんなふうにもてあそんで「女」に仕立てていったんだ。そう思うと、怒りとも悲しみともつかない、わけのわからない激しい感情が、胸の内から湧き起こった。
 そんな感情を抱きながら、「姫子」が崩れ落ちていくさまを見ているなんてことは、自分にはとてもできない。
 そう思ったから、あの場を逃げ出した。
 いまごろ、亀吉は、古田さんに手ほどきされながら、「姫子」のあそこにアレを突き立てて、ヒョコヒョコと腰を動かしているだろうか?
 少し悔しい気もするが、古田さんの見ている前で、そういうことをする気には、純平はなれなかった。それをやれば、古田さんに一生、頭の上がらない関係を作られてしまうような気がした。
 そうだ、明日だ――と、純平は思った。
 明日は、満月の最後の夜。
 前の満月の夜、「姫子」は「ひとりでおいで」と純平の耳元にささやいてくれた。
 純平が、亀吉や古田さんに負けない気持ちでいられるのは、その言葉があったからでもあった。

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「カレあり女」「彼女あり男」の心に忍びこむ《略奪話法》

手と手 

恋人ありの異性の心を奪おうとするとき、あなたは、どんな話し方を
しますか? 相手のパートナーをこき下しにかかりますか? しかし、
それでは相手の心は動かない。今回は、そんな話をしてみます。


 愛の会話力レッスン   第34回(改訂版) 
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 何とか親しくなりたい――と思う彼女やカレには、すでに交際中の恋人がいる。
 珍しくないケースだと思います。というか、たいていの男や女には、いるよね――と思うのですが、ここで「そんな男(女)止めて、オレ(私)とつき合え」と露骨に迫っても、相手の心は動きません。
 動かないどころか、かえって心を閉ざされてしまうかもしれません。
 そんなとき、どんな言葉で相手の心を自分に向けさせるか?
 今回は、そんな話をしてみたいと思います。
 まずは、よくあるこんな場面を想定してみましょう。

 そこは、雰囲気のいいカフェ。あなたは、カクテルを傾けながら、以前から憎からず思っている彼女と語り合っています。彼女には交際中の男性がいますが、あなたはそれを知りながら彼女に接近。心の中では、彼女の心を奪いたいと思いながら、会話を続けている――とします。やがて、彼女の口からは、カレについてのグチらしきものが聞かれるようになり……という場面。
 こんなときのアプローチを2例、ご紹介してみます。

 会話例1  彼女のカレをこき下しにかかる男の話法

男A エーッ、そいつ、キミにそんなこと言うの? それって、ひどくね?

 ちょっと……傷つくこともあるけど……。

男A ひでェよ。オレだったら、ゼッタイ、そんな言い方しねェな。

 でもね、そんなこと言いながらも、けっこうやさしいところ、あるんだ。

男A そんなの、ただのアメとムチじゃん。止めたほうがいいよ、そんな男。

 会話例2  まずは、彼女の心に寄り添ってみる男の話法

男B フーン、カレ、そんなこと言うの?

 ね、ひどいでしょ?

男B ひどいって感じる分だけ、カレを愛してるんだね。

 エッ、そうなのかなぁ……。

男B 同じことをボクが言っても、キミは痛くもかゆくもないはずだよ。

 そ、そんなこと、ないですよォ。

男B 言わないけどね、そんなことは……。

 ですよね。○○さんは、そんなこと言う人じゃないですよね。

 2つの会話例に登場する男性2人は、それぞれ、彼女が口にしたカレに関するグチ、たぶん、「カレったら、こんなこと言うんですよ」的なことを聞いて、そこを突破口に、彼女の心を揺り動かそう――と話を進めています。
 最終的に、彼女のハートを揺り動かすのはどっちだと思います?
 わかりますよね。圧倒的に、男Bのほうです。
 なぜか?
 その理由がわかったら、あなたは「略奪愛」のスーパー達人になるはず。ご説明しましょう。

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「意外」と感じれば、「ぽっこりおなか」さえもセクシーである


 不純愛トーク   第308夜  
男はどんな女に「色気」を感じ、女はどんな男にクラッとなるか? それは、「いい女(男)かどうか?」という客観的な評価によるのではなく、ふとした瞬間に感じる「色気」だったりします。その「色気」の重要な要素になるのが、「筋肉」です。男は、ふと目にした彼女の筋肉の「無力さ」に「色気」を感じ、女は逆に、ふと目にしたカレの筋肉の「たくましさ」に「色気」を感じたりします。今回は、そんな話をご紹介――。

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AKI 世の中には、自分の「序列」を上げるために、美人をはべらせようとする男もいれば、ブスを手なずけようとする男もいる。前回は、そんな話をしたんですよね。ところで、どっちなんです、哲ジイは?

哲雄 ハ……?

AKI ですから、ビックリするほどの美人を籠絡して、周りに「どうだ、オレってすごいだろ?」と見栄を張ろうとするか、ブスとは言わないまでも「並みの女」を思いのままに操って、「鶏の王様」の座を安泰なものにしようとするか――ですが。

哲雄 どっちも志向しませんねェ、私は。

AKI 美人かブスか――なんて、どうでもいいと?

哲雄 どうでもいいとは言いませんが、あまり重要ではないですねェ。「美人かブスか?」というのは、みんなで点数をつけて決めたような客観的評価であって、自分がどう感じたかという主観的評価には、少なくとも私の場合、あまり影響しません。つまり、そこから「好き」が発生したりはしない――ということです。

AKI そ、そういうものなの?

哲雄 そういうものじゃありませんか? これは、男であろうと、女であろうと、変わりないと思うのですがね。

AKI では、お尋ねしますが、哲ジイの場合、その「好き」は、どんなところから発生するのでございますか?

哲雄 少なくとも、その人が「全体的に見て何点?」なんぞという「評価」を元に、「好き」がスタートするわけではありません。たいていは、その人が持っている何か……とか、あるいはチラと見せられた何か……だったりするわけですね。それは、ものすごく小さな、その人からすると「微細な部分」かもしれない何か――だったりするわけですよ。

AKI 後学のために、その「何か」を具体的にお教え願えないものでしょうか?

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テーマ : 愛し方・愛され方
ジャンル : アダルト

ローズマリーの詩〈36〉 母子像に刻印された秘密

コーヒーと女聖母子像に刻印された秘密。
その意味を知ったおじは、動けなくなった。


千里さんは3人を部屋に案内した。おじにとっては
初めて見る千里さんの部屋。そこにおじは、見つけた。
リビングに置かれた聖母子像。その裏のプレートには、
おじが知ってはならない秘密が刻印されていた…。



 小説/ローズマリーの詩 ――― 第36章 
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この話は連載36回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
   前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 離れのおじの部屋から聞こえてくる『スカボロー・フェア』という曲。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。おじは、その歌を歌いながら、かつての恋人に想いを馳せているように見えた。私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、その結婚をドタキャンした。そんな私とおじは、母には「我が家の厄介者」だった。そのおじを古い友人が訪ねてきて、「こないだ、彼女に会ったゾ」と口にした。おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。その人・真坂千里さんの店を、私は訪ねてみた。店名は「千の丘」。『七つの水仙』という曲からとったという。その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、おじだった。そんなある日、一通のエアメールが届いた。鳴尾聡史が内乱に巻き込まれて負傷し、帰国するという。5年ぶりに会った聡史は、精悍さを失ったように見えた。銃撃にすくんだ自分は、「もう、アフリカには戻れないかもしれない」と言う。沈み込む聡史に、私は「お帰りなさい」のキスをした。おじも、千里さんと再会したいと思うだろうか? 私は、おじに食べさせたガーリック・トーストが千里さんが焼いたパンであることを告白し、千里さんがいまもひとりでいることを伝えた。千里さんにも、「私は、牧原哲司の姪なんです」と告白した。私の告白に目を丸くした千里さんだったが、おじが後悔していることを告げると、「残念ながら、彼と別れた理由は、あなたのおじさんが想像しているようなものじゃない」と言った。なぜ、ふたりは別れてしまったのか? 理由を問う私に、千里さんの重い口が開かれた。「あの人、子どもは嫌いだ――って言ったのよ」。そんな私の目に一体のオブジェが留まった。幼子イエスを抱く聖母子のオブジェ。そこに秘められた千里さんの想いを想像していると、聡史から電話が入った。通信社への就職が決まり、アフリカに派遣されることになった、というのだった。「ついて来てほしい」とは言われなかった。その代わり、「待っていてほしい」と言われた。おじによると、それは「立派にプロポーズだ」と言う。年が明けた日曜日、私はおじをちょっと遠い散歩に誘った。行先は、「千の丘」。40年ぶりに再会したふたりはワインで乾杯し、おたがいの現況を語り合った。一方、聡史のアフリカ行きが迫る中、私には気になることがあった。生理が遅れていた。病院で診てもらうと、「妊娠」だった。聡史に告げようか、それとも……。私の心の迷いを見抜いた千里さんは、私を自分の部屋に誘った。いつか見た聖母子像を私の目の前に置いて、千里さんは告白した。「この子、私とあなたのおじさんの子になるはずだったの」。それは、だれにも明かさなかった千里さんの「罪」。その罪ゆえに、千里さんは、おじの元を去ったのだった。「あなたに同じ過ちを犯してほしくない」と千里さんは言う。私は意を決して、聡史に妊娠を告げた。聡史は「いますぐ、結婚しよう」と言う。親にその話をすると、母は「そんな結婚は認めない」と、目を吊り上げた。そのときだった。「いい加減にしろ! それでも人の親か!」と、おじの大音声が響き渡った。そのおじが、家を出ると言う。てっきり、千里さんと暮らすのかと思ったら、千里さんは、私とルームメートになってもいいと言っているという。私は、聡史とおじを連れて、「千の丘」を訪ねてみることにした。おじと聡史は、たちまち意気投合し、「オイ、聡史」「オヤジ」と呼び合う関係になった。その聡史が、おじに突然、「あの歌を聞かせてくださいよ」と、『七つの水仙』をリクエストした。アカペラで歌い終えたおじが、聡史に放った「死ぬなよ」のひと言に、聡史の背中が伸びた。千里さんは、もう、おじから「七つの水仙」をもらったのだろうか? 千里さんの返事は、「もらったわ、何度も」だった――。




 草野駅は、丘陵地帯の盆地を縫うように走る私鉄の駅だ。
 その丘陵の斜面を、夕陽が赤く染めかかっていた。
 朝日にも染まるんだろうか――と思いながら、窓の外を眺めていると、千里さんが反対側のカーテンを開けながら言った。
 「夕陽もきれいだけど、朝陽もきれいなのよ。あの西側の斜面が、見る間に金色に染まっていくの」
 「ヘーッ、見てみたい……」
 「じゃ、見ればいいわ」
 「エッ……?」
 「あなたのおじさんにも言ったんだけど……」
 ああ、あの話か――と思った。
 私が家を出て子どもを生むんだったら、千里さんが、自分の部屋を提供してもいいと言っている、という話だった。
 「ハイ。おじから聞きました」
 「もしその気になったら、いつでも言って。聡史さんが日本に帰って来るまでの間、毎朝、美しい朝を見て過ごせばいいわ」
 「ほんとにいいんですか? でも、おじは……」
 「あなたのおじさん……? さぁ、どうしようかしらねェ」
 言いながら、千里さんはクスリ……と笑った。
 横で、頭を撫で回していたおじが、「ゴホン」と咳をした。
 「ボクのことはいいからさ。キミたちにとって、もっとも賢明と思える選択をするんだね。よければ、聡史クンも一緒に内見させてもらったら? そうすれば、聡史クンも安心だろ?」
 「そうね。そろそろお店、閉めちゃうし。あなたも一緒に内見する?」
 エッ――と思った。
 「おじさん、まだ内見したことないの?」
 「まだ、ボクは千里さんに受け入れてもらってないんだよ、沙世ちゃん」
 「あなたが望まなかったからよ」
 おじと千里さんのやりとりは、どこまでが本気で、どこからがジョーダンなのかわからない。
 結局、千里さんが店を閉めると、私と聡史、そして初めての「うち来る?」になったおじの3人で、千里さんの2LDKを見に行くことになった。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

満月の夜の神社の「姫子」〈14〉 彼女を「魔女」に仕立てた男たち

ヴァギナph1

純平と亀吉が見ている前で、古田さんは「姫子」を抱きしめ、
その下半身に手を伸ばした。その動きに「た・す・け・て…」と
救いを求める「姫子」。純平は、見ていられなくなって――


 妄想力ドリル〈R18版〉   第31講  満月の夜の神社の「姫子」〈14〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載14回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  満月の夜になると、神社の裏の楠の木の陰から女が男を手招きするという。町の男たちが「姫子」と呼ぶその女は、かつてこの町で生まれ、両親に捨てられた女だという。純平は、亀吉に誘われて、その「姫子」を見に行くことにした。純平たちが灌木の陰に身を潜めていると、男がひとりやって来た。漁協の古田さんだった。古田さんが、楠のところまで来ると、木の陰から二本の白い腕が差し出されて、その体を抱き寄せ、古田さんは月夜に浮かぶ尻をその陰に向かってヒョコヒョコと突き出した。古田さんが帰っていくと、「姫子」は純平たちの目の前に座り込んで、何かをほとばしらせた。鬼姫の放尿だった。食い入るように見つめていた純平たちだったが、亀吉が枯れ枝を踏みつけて、「姫子」に気づかれた。「ワッ!」と逃げ出した純平たちが、神社の社まで来ると、石段をまた、だれかが上ってくる気配がした。酒屋「サカエ」のオヤジだった。楠のほうへ歩いて行くオヤジの後を、純平と亀吉が尾けていくと、オヤジは手にしたレジ袋を木の陰に差し出した。「姫子」は、その袋の中から取り出したものを夢中で口に頬張った。それは稲荷ずしのように見えた。その稲荷をむさぼり食った「姫子」は、片足を道標に載せて、スカートの裾をめくり上げた。そのスカートの中に、オヤジの頭が潜り込んでいく。「姫子」は苦悶の表情を浮かべながら、「入れて!」と叫ぶ。立ちあがったオヤジは、ズボンのチャックを下して、アレをめくり上げたスカートの中央に押しつけた。純平は、次の夜、ひとりで、神社の裏へ上ってみた。楠のところまで来てキョロキョロしていると、「だれか探してるの?」と声をかけられた。「姫子」だった。恐怖で動けない純平の体を、「姫子」は手でまさぐり、変化を起こした純平を探り当てると、それを口に含んだ。「姫子」の舌にくすぐられて、あっという間に、純平はその口の中で果て、姫子は純平が放出したものをゴクリと呑み込んだ。そんな「姫子」を「美しい」と思いながらも、「怖い」と感じる純平。次の日、「サカエ」に買い物に行った純平は、植村のオヤジに「姫子」の話を訊いてみた。オヤジによると、「姫子」は捨て子だった。満月の夜、神社の裏の楠の根元に捨てられていたのを、この町のおとなたちが拾って育てた。「姫子」は満月の夜になると、その恩を返しに、この町にやって来るのだという。しかし、亀吉が母親から聞いた話は、ちょっと違った。「あの女は、おとなをたぶらかす魔性の女だ」と亀吉の母は言った。どっちが本当なのだ? 純平たちが頭をひねっていると、漁協の古田さんが声をかけてきて、次の満月の夜、「姫子」に会わせてやろう、おまえたちを男にしてやる、と言うのだった。その満月の夜がやって来た。古田さんが見守る前で、ふたりは、亀吉⇒純平の順で、「姫子」の体に挑むことになった。亀吉は、2こすりで果てたが、純平はなんとか我慢した。すると、一度果てた純平を「姫子」のそこが締め付けてきて、純平は再び回復した。「やるな、坊主」と、古田さんは、頭をコツンとやり、「姫子」は、「この子、将来は女を泣かせるわ」と目を細めた。そのとき、「姫子」が純平だけにささやいた言葉がある。「今度の満月の最後の夜、ひとりで会いにおいで」。なぜ、あんなことを言ったのか? 気になる純平は、亀吉と一緒にクラスの慰問活動に参加し、「姫子」が育った「養護園」を訪ねた。そこに、「姫子」の少女時代の写真があった。スナップでは、「姫子」はいつも、おとなの男たちに抱きすくめられていた。純平は、その写真に違和感を感じた――。


 満月が近づくと、純平は、ゆううつな気分になった。
 前の満月の夜、古田さんと約束した。
 「おまえら、次の満月が来たら、また来いや。今度はよ、もっと女を喜ばす方法を教えてやらぁ」
 亀吉は、「ほんとすか?」と目を輝かせたが、純平は気乗りがしなかった。
 「姫子」からは、「満月の最後の夜にひとりでおいで」とささやかれていた。「ひとりで」と言われているのに、古田さんたちと一緒に行ったのでは、「姫子」を裏切ってしまうことになるのではないか。
 行きたくないなぁ――と思ったが、ウキウキとしている亀吉の様子を見ると、「オレ、行かない」とは言えなかった。

 その夜の満月は、一段と大きく見えた。
 月がいちばん地球に接近するからだ――と、テレビのお天気キャスターが言っていた。
 煌々と輝く月の光が、LEDライトのように神社への石段をライトアップしている。
 その石段を、古田さんは不自由な足で上機嫌に上っていく。その後を、亀吉がくっつくように歩いて行く。
 「姫子はなぁ、おまえらの歳には、もう立派に、女になってやがったんだぜ」
 「女になるって?」
 亀吉が訊くと、古田さんは得意げに鼻の穴をふくらませて言った。
 「女になるってのは、あれよ。もう、男のナニを咥え込んで、ヒィヒィ言ってた――ってことよ」
 「ほ、ほんと……?」
 「ああ、オレたちが教えてやったのよ」
 「オレたち……?」
 「オレとかよ、植村のオヤジとかよ、それに……あの園長とかな。あの園長も、好きだかんなぁ……」
 「エッ!? ウ、ウソォ……」と、亀吉が声を挙げた。
 「ウソなもんか。あの子、まだ中2だったかなぁ。セーラー服の似合うかわいい女の子でなぁ……」
 そう言って、「グヒヒ……」と笑う古田さんに、純平は、手がワナワナと震え出すのを感じた。
 「いいか、坊主たちよ、女ってのは変わるんだゾ」
 古田さんは、亀吉の肩を抱き寄せるようにして、声のトーンを下げた。
 「最初は、『イヤだ、イヤだぁ……』って泣きわめいてた姫子がよ、そのうち、『ああ、ああ~ん』なんて、いい声で鳴くようになってよ。最後は、自分からオレたちにすり寄ってくるようになりやがった」
 養護園のアルバムで見た、「姫子」の写真。おとなの男たちに抱きすくめられて、嫣然と微笑む姿を見て純平が感じた疑問は、ほんとうだったのだ――と純平は思った。「姫子」をそんなふうに仕立てたのは、古田さんであり、「サカエ」のオヤジであり、そして、あの園の園長までもが……。
 「あの子の中に潜む魔性は、オレたちが開発してやったのよ」と、自慢げに語る古田さんたちへの怒りが、純平の胸の内に湧き上った。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

一度会っただけの「友だちの名前」を覚えている男(女)の本心

女の子ヘッドホン  男の本心・女の本心~19 

そんなに「頭がいい」というわけでもないのに、チラと見ただけ、
聞いただけのあなたの「友だちの名前」を、覚えている男(女)がいます。
もしかしたら、それは危険かもしれない、という話をご紹介――。


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 いつものカフェで、いつものようにふたりでお酒を飲みながら、よもやま話。あなたは、あなたの友だちの近況などを、カレ(彼女)に話して聞かせている――とします。

そう言えば、私の友だちで、海外留学したいって言ってる子がいるんだけどね……。
ああ、ナルミさん?
エ、どうして知ってるの?
一度、紹介してくれたじゃない。ホラ、だれかの結婚式のとき……。
ああ、あのとき、紹介したんだっけ? でも、よく覚えてるねェ。

 だれの結婚式だったかさえ忘れてしまっているようなカレが、そのとき、一度だけ紹介された「あなたの友だちの名前」を覚えている。
 これって、おかしい――と思いません?
 男と女の立場を逆にしても、同じことが起こり得ます。

 念のために言っておきますが、私がここで申し上げたいことは、カレとあなたの友だち、または彼女とあなたの友だちの間に、何かあるゾ――というようなことでは、全然ありません。
 といって、
 そりゃすごい。あなたのカレ(彼女)のIQは、大したもんだ――なんてことを言いたいわけでもありません。
 もし、あなたがどうしても、それをパートナーのIQの高さを示す証拠――と信じたいのであれば、ちょっとだけ思い出してください。

うちの姪っ子がね、今度、幼稚園に入るの。
姪っ子? お姉さんのとこの……?
ホラ、前にも話したでしょ?
エーッと、なんつったっけ、名前?

 別に、姪っ子でなくてもいいんですよ。あなたがカレ・彼女に話して聞かせたあなたの親類縁者などの名前を、そのスーパーIQ男なり女なりは、一発で覚えてくれたかどうか?
 たぶん、ノーだと思います。
 つまり、こういうことです。

 「記憶」はウソをつかない。

 そして、

 人間は、都合のわるいことは忘れ、
 都合のよいことは、必要がなくても記憶する。


 もし、あなたのパートナーが、一度、会っただけのあなたの友だちの名前を、とてもよく記憶していたとしたら、記憶したいだけの「理由」があった、ということなのです。

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ローズマリーの詩〈35〉 キミよ、死ぬな!

コーヒーと女おじが聡史に発した「死ぬなよ」の言葉。
それは、青銅の価値を知る男と男の誓いだった。


聡史のリクエストに応えて、おじはあの曲を歌った。
「七つの水仙」。歌い終えたおじが、静かに言った。
「聡史クン、死ぬなよ」。その言葉を、聡史は、
背中を伸ばしてゴクンと呑み込んだ……。



 小説/ローズマリーの詩 ――― 第35章 
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この話は連載35回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
   前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 離れのおじの部屋から聞こえてくる『スカボロー・フェア』という曲。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。おじは、その歌を歌いながら、かつての恋人に想いを馳せているように見えた。私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、その結婚をドタキャンした。そんな私とおじは、母には「我が家の厄介者」だった。そのおじを古い友人が訪ねてきて、「こないだ、彼女に会ったゾ」と口にした。おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。その人・真坂千里さんの店を、私は訪ねてみた。店名は「千の丘」。『七つの水仙』という曲からとったという。その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、おじだった。そんなある日、一通のエアメールが届いた。鳴尾聡史が内乱に巻き込まれて負傷し、帰国するという。5年ぶりに会った聡史は、精悍さを失ったように見えた。銃撃にすくんだ自分は、「もう、アフリカには戻れないかもしれない」と言う。沈み込む聡史に、私は「お帰りなさい」のキスをした。おじも、千里さんと再会したいと思うだろうか? 私は、おじに食べさせたガーリック・トーストが千里さんが焼いたパンであることを告白し、千里さんがいまもひとりでいることを伝えた。千里さんにも、「私は、牧原哲司の姪なんです」と告白した。私の告白に目を丸くした千里さんだったが、おじが後悔していることを告げると、「残念ながら、彼と別れた理由は、あなたのおじさんが想像しているようなものじゃない」と言った。なぜ、ふたりは別れてしまったのか? 理由を問う私に、千里さんの重い口が開かれた。「あの人、子どもは嫌いだ――って言ったのよ」。そんな私の目に一体のオブジェが留まった。幼子イエスを抱く聖母子のオブジェ。そこに秘められた千里さんの想いを想像していると、聡史から電話が入った。通信社への就職が決まり、アフリカに派遣されることになった、というのだった。「ついて来てほしい」とは言われなかった。その代わり、「待っていてほしい」と言われた。おじによると、それは「立派にプロポーズだ」と言う。年が明けた日曜日、私はおじをちょっと遠い散歩に誘った。行先は、「千の丘」。40年ぶりに再会したふたりはワインで乾杯し、おたがいの現況を語り合った。一方、聡史のアフリカ行きが迫る中、私には気になることがあった。生理が遅れていた。病院で診てもらうと、「妊娠」だった。聡史に告げようか、それとも……。私の心の迷いを見抜いた千里さんは、私を自分の部屋に誘った。いつか見た聖母子像を私の目の前に置いて、千里さんは告白した。「この子、私とあなたのおじさんの子になるはずだったの」。それは、だれにも明かさなかった千里さんの「罪」。その罪ゆえに、千里さんは、おじの元を去ったのだった。「あなたに同じ過ちを犯してほしくない」と千里さんは言う。私は意を決して、聡史に妊娠を告げた。聡史は「いますぐ、結婚しよう」と言う。親にその話をすると、母は「そんな結婚は認めない」と、目を吊り上げた。そのときだった。「いい加減にしろ! それでも人の親か!」と、おじの大音声が響き渡った。そのおじが、家を出ると言う。てっきり、千里さんと暮らすのかと思ったら、千里さんは、私とルームメートになってもいいと言っているという。私は、聡史とおじを連れて、「千の丘」を訪ねてみることにした。おじと聡史は、たちまち意気投合し、「オイ、聡史」「オヤジ」と呼び合う関係になった。その聡史が、おじに突然、言い出した。「あの歌を聞かせてくださいよ」。リクエストは『七つの水仙』だった――。




 千里さんの「千の丘」には、ギターなんてものはない。
 どうするんだろう――と見ると、おじは、手にしたワイングラスの赤い液体をゆらゆらと揺らして、その色を確かめているように見えた。
 歌う気ないんだ……。
 私も、たぶん千里さんも、そう思っていた。
 でも、違った。
 おじがワイングラスを揺らしていたのは、ワインの色を確かめるためではなかった。赤い液体を揺らしながら、おじはそれをメトロノーム代わりにテンポをとっているのだった。その揺れに、おじの声がシンクロした。
 「アイ・ハヴント・エニィ・マンション(ボクには豪華な家屋敷もない)……」
 土曜日の午後、他に客もいない「千の丘」のカフェに、おじの静かな詠唱が響き渡った。
 歌……というより、詩を吟じているようなアカペラ。
 聡史は、テーブルの上に両肘をつき、組み合わせた手の上にあごを載せて、その詩に耳を傾けた。
 「アイ・ハヴント・エニィ・ランド(ボクには土地もない)……」
 私は、両手を頬に当てて、聡史が向かう広大なアフリカの大地を思った。
 「ノット・イーブン・ア・ペイパー・ダラー・トゥ・クリンクル・イン・マイ・ハンド(手に握り締めてシワシワにする1ドル札さえない)……」
 千里さんは、胸の下で両腕を組み合わせて、静かに目を閉じていた。
 「バット・アイ・キャン・ショウ・ユー・モーニング・オン・ア・サウザンド・ヒルズ(でも、ボクはキミに見せてあげることができる。千の丘にやってくる朝を)……」
 みんなの目が、そこに「千の丘の朝」を探すような、遙かな視線になった。
 「アイ・キス・ユー、アンド・ギブ・ユー・セブン・ダファディル(キミにキスをして、そして七つの水仙をあげよう)……」
 千里さんは、おじのキスと七つの水仙を受け取っただろうか――と思った。
 その目が、わずかに潤んでいるように見えた。
 そのとき、客が店に入って来て、千里さんは、少しあわてて目頭を指先で拭い、席を離れた。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

その「神経質」は、「繊細」という美質でもある

不細工美人 不細工&不器用事典 〈5〉  その「神経質」は、「繊細」という美質でもある

「あの人、いちいち細かいことを言うから」と、敬遠される性質。
こういう性質は、「神経質」と呼ばれて、通常は敬遠されます。
しかし、ほんとうでしょうか? 「細かいところに気がつく」は、
「繊細」という美質なのではないか。そんな話を――。


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  あの人さぁ、けっこう細かいこと言うんだよね。

  神経質だからなぁ。

 この「神経質」という言葉も、たいていは、「困った性質」として語られることが多いようです。
 特に、男性の場合は、「男のくせに」と余計な修飾句まで付けられて、どちらかと言うと、「敬遠したい」というニュアンスで語られます。
 しかし、「神経質」というのは、ほんとに困った性質なのでしょうか?

 「神経質」は、それが極端に現れれば、「神経症」の一種として扱われることもあるようですが、ここでは、「神経症状」として現れるような「神経質」にまでは、触れないことにします。

 細かいことが気になる性質

 ここでは、「神経質」をその程度の性質と定義して、話を進めることにしましょう。
 問題は、この「細かいことが気になる」は、そんなに「困った性質」なのだろうか――ということです。
 この種の問題を考えるときに、ヒントになるのは、「では、その反対は何だろう?」と考えてみることです。
 「細かいことが気になる」の反対は、「細かいことが気にならない(あるいは気にしない)」ですよね。これって、「大雑把」とか「ずぼら」と呼ばれる性質です。
 どっちがいいでしょう?
 どっちもイヤ――という人もいるかもしれません。
 確かに、どちらも、それが極端になれば、ちょっと「困った性質」だ――と感じる人もいるかもしれません。
 つまり、これは、程度問題なのですね。
 部屋を片づける――を例にとって、考えてみることにしましょう。

「部屋を片づける」に表れる「神経質」と「大雑把」

 「神経質」と言われる人は、部屋の中をゴミひとつない整頓された状態に保とうとします。だれかが、部屋にあったものを勝手に動かしたりしただけでも、それが気になって、元あった場所に戻そうとします。
 そういう行動癖を「うざい」と感じる人もいるかもしれません。しかし、そのクセのお陰で、部屋はいつもきちんと整理されていることになります。
 これって、どうなのでしょう? そんなにイヤなことでしょうか?

 一方の「大雑把」な人はというと、部屋を片づけようという気が端からありません。脱いだら脱ぎっぱなし、引っ張り出したものはそのまま……という状態ですから、だれも世話を焼く人がいなければ、居室はたちまち「ゴミ屋敷」と化してしまいます。
 こっちはどうです? 整頓好きの「神経質」タイプよりまし――と思えるでしょうか?

 個人的な好みもあるでしょうが、私は、部屋を「ゴミ屋敷」化する大雑把人間よりも、多少、うざくはあっても、きれいに片づけてくれる「神経質」人間のほうが、いくぶんましな気がします。

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テーマ : 愛し方・愛され方
ジャンル : アダルト

満月の夜の神社の「姫子」〈13〉 おとなたちと美少女

ヴァギナph1

「姫子」に男にしてもらった純平と亀吉は、ある日、
「姫子」が育った「養護園」を慰問に訪れた。そこで見た
少女時代の写真には、彼女の秘密の匂いが隠されていた―― 


 妄想力ドリル〈R18版〉   第31講  満月の夜の神社の「姫子」〈13〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載13回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  満月の夜になると、神社の裏の楠の木の陰から女が男を手招きするという。町の男たちが「姫子」と呼ぶその女は、かつてこの町で生まれ、両親に捨てられた女だという。純平は、亀吉に誘われて、その「姫子」を見に行くことにした。純平たちが灌木の陰に身を潜めていると、男がひとりやって来た。漁協の古田さんだった。古田さんが、楠のところまで来ると、木の陰から二本の白い腕が差し出されて、その体を抱き寄せ、古田さんは月夜に浮かぶ尻をその陰に向かってヒョコヒョコと突き出した。古田さんが帰っていくと、「姫子」は純平たちの目の前に座り込んで、何かをほとばしらせた。鬼姫の放尿だった。食い入るように見つめていた純平たちだったが、亀吉が枯れ枝を踏みつけて、「姫子」に気づかれた。「ワッ!」と逃げ出した純平たちが、神社の社まで来ると、石段をまた、だれかが上ってくる気配がした。酒屋「サカエ」のオヤジだった。楠のほうへ歩いて行くオヤジの後を、純平と亀吉が尾けていくと、オヤジは手にしたレジ袋を木の陰に差し出した。「姫子」は、その袋の中から取り出したものを夢中で口に頬張った。それは稲荷ずしのように見えた。その稲荷をむさぼり食った「姫子」は、片足を道標に載せて、スカートの裾をめくり上げた。そのスカートの中に、オヤジの頭が潜り込んでいく。「姫子」は苦悶の表情を浮かべながら、「入れて!」と叫ぶ。立ちあがったオヤジは、ズボンのチャックを下して、アレをめくり上げたスカートの中央に押しつけた。純平は、次の夜、ひとりで、神社の裏へ上ってみた。楠のところまで来てキョロキョロしていると、「だれか探してるの?」と声をかけられた。「姫子」だった。恐怖で動けない純平の体を、「姫子」は手でまさぐり、変化を起こした純平を探り当てると、それを口に含んだ。「姫子」の舌にくすぐられて、あっという間に、純平はその口の中で果て、姫子は純平が放出したものをゴクリと呑み込んだ。そんな「姫子」を「美しい」と思いながらも、「怖い」と感じる純平。次の日、「サカエ」に買い物に行った純平は、植村のオヤジに「姫子」の話を訊いてみた。オヤジによると、「姫子」は捨て子だった。満月の夜、神社の裏の楠の根元に捨てられていたのを、この町のおとなたちが拾って育てた。「姫子」は満月の夜になると、その恩を返しに、この町にやって来るのだという。しかし、亀吉が母親から聞いた話は、ちょっと違った。「あの女は、おとなをたぶらかす魔性の女だ」と亀吉の母は言った。どっちが本当なのだ? 純平たちが頭をひねっていると、漁協の古田さんが声をかけてきて、次の満月の夜、「姫子」に会わせてやろう、おまえたちを男にしてやる、と言うのだった。その満月の夜がやって来た。古田さんが見守る前で、ふたりは、亀吉⇒純平の順で、「姫子」の体に挑むことになった。亀吉は、2こすりで果てたが、純平はなんとか我慢した。すると、一度果てた純平を「姫子」のそこが締め付けてきて、純平は再び回復した。「やるな、坊主」と、古田さんは、頭をコツンとやり、「姫子」は、「この子、将来は女を泣かせるわ」と目を細めた――。


 純平は、少しおとなになったような気がした。
 周りで無邪気にはしゃぐ級友たちが、急に、子どもっぽく感じられようになった。
 「姫子」と体と体でつながったことで、全身から皮が一枚、剥がれ落ちたような気がしている。
 亀吉も、たぶん、同じ気分に違いない。
 クラスの中では、どちらかと言うとおどけ者で、女の子たちからもいじられることの多いキャラだったが、あの満月の夜以来、近づいてくる女の子たちを鼻であしらうような態度を見せるようになった。
 もう、おまえたちと一緒のレベルでバカやってられないよ。
 亀吉の態度は、そう言っているようにも見えた。

 「気持ちよかったなぁ、姫子のあそこ」
 純平とふたりになると、亀吉はそう言って目をトロンとさせた。
 「しかし、オレ、入れただけで漏らしてしまったからなぁ……」
 純平の見ている前で早撃ちしてしまったことが、亀吉は悔しくてたまらないようだった。
 「おまえ、抜かないまま、2回も発射したんだって? 古田さんが言ってたぞ。ガキのくせに、ヌカ2もやっちまいやがった。末恐ろしいガキだ――って」
 「あんなの、慣れだよ。自分の手で何回もやってると、刺激に慣れてくるんだよ」
 「おまえ、そんなことやってんの? 自分の手で?」
 「みんな、やってんじゃないの? エロい写真とか見ながらさ」
 「オレ、やったことないぞ、そんなの」
 「別にムリにやらなくてもいいけどよ」
 「いや、やる!」
 亀吉は、ちょっとムキになっているようだった。
 「な、また、姫子、来るよな?」
 「来るんじゃないか、満月になったら」
 「よし、それまでに鍛えるゾ。今度は、おまえなんかに負けねェからよ」
 亀吉は、案外、単純なやつだ――と純平は思った。
 純平には、まだ亀吉に話してない秘密があった。
 古田さんたちに見られながら「姫子」の中に迎え入れられたあのとき、一度、果てた純平をあそこの肉で締めつけながら、「姫子」が純平の耳にささやきかけた言葉がある。
 「今度の満月の最後の夜、ひとりでここへおいで」
 それは、古田さんにも、もちろん亀吉にも話してない、純平だけの秘密だった。
 その秘密のぶんだけ、純平は亀吉に対しても、余裕を持っていることができた。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

ローズマリーの詩〈34〉 「七つの水仙」をもう一度

コーヒーと女「あの歌を聞かせてほしい」
カレがおじにリクエストしたのは、『七つの水仙』だった。


私はおじと聡史を会わせ、「千の丘」に向かった。
意気投合したふたりは、「聡史」「オヤジ」と
呼び合う仲になり、聡史が突然、言い出した。
「あの歌、ボクにも聞かせてくださいよ」――。 


 小説/ローズマリーの詩 ――― 第34章 
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この話は連載34回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
   前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 離れのおじの部屋から聞こえてくる『スカボロー・フェア』という曲。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。おじは、その歌を歌いながら、かつての恋人に想いを馳せているように見えた。私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、その結婚をドタキャンした。そんな私とおじは、母には「我が家の厄介者」だった。そのおじを古い友人が訪ねてきて、「こないだ、彼女に会ったゾ」と口にした。おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。その人・真坂千里さんの店を、私はのぞきに行った。店名は「千の丘」。『七つの水仙』という曲からとったという。その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、おじだった。そんなある日、一通のエアメールが届いた。鳴尾聡史が内乱に巻き込まれて負傷し、帰国するという。5年ぶりに会った聡史は、精悍さを失ったように見えた。銃撃にすくんだ自分は、「もう、アフリカには戻れないかもしれない」と言う。沈み込む聡史に、私は「お帰りなさい」のキスをした。おじも、千里さんと再会したいと思うだろうか? 私は、おじに食べさせたパンが千里さんが焼いたパンであることを告白し、千里さんがいまもひとりでいることを伝えた。千里さんにも、「私は、牧原哲司の姪なんです」と告白した。私の告白に目を丸くした千里さんだったが、おじが後悔していることを告げると、「残念ながら、彼と別れた理由は、あなたのおじさんが想像しているようなものじゃない」と言った。そんなある日、私は千里さんから「家に来ない?」とお誘いを受けた。なぜ、ふたりは別れてしまったのか? 理由を問う私に、千里さんの重い口が開かれた。「あの人、子どもは嫌いだ――って言ったのよ」。そんな私の目に一体のオブジェが留まった。幼子イエスを抱く聖母子のオブジェ。そこに秘められた千里さんの想いを想像していると、聡史から電話が入った。通信社への就職が決まり、アフリカに派遣されることになった、というのだった。「ついて来てほしい」とは言われなかった。その代わり、「待っていてほしい」と言われた。おじによると、それは「立派にプロポーズだ」と言う。年が明けた日曜日、私はおじをちょっと遠い散歩に誘った。行先が千里さんの「千の丘」と知って、おじの足は止まったが、私はその背中を押した。40年ぶりに再会したふたりはワインで乾杯し、おたがいの現況を語り合った。温かい空気が、ふたりの間に生まれたような気がした。そんな中で迫る聡史のアフリカ行き。しかし、私には気になることがあった。生理が遅れていた。病院で診てもらうと、「妊娠」だった。聡史に告げようか、それとも……。私の心の迷いを見抜いた千里さんは、私を自分の部屋に誘った。いつか見た聖母子像を私の目の前に置いて、千里さんは言った。「この子、私とあなたのおじさんの子になるはずだったの」。それは、だれにも明かさなかった千里さんの「罪」。その罪ゆえに、千里さんは、おじの元を去ったのだった。「あなたに同じ過ちを犯してほしくない」と千里さんは言う。私は意を決して、聡史に妊娠を告白した。聡史は「いますぐ、結婚しよう」と言う。親にその話をすると、母は「そんな結婚は認めない」と、目を吊り上げた。そのときだった。「いい加減にしろ! それでも人の親か!」と、おじの大音声が響き渡った。そのおじが、家を出ると言う。てっきり、千里さんと暮らすのかと思ったら、千里さんは、私とルームメートになってもいいと言っているという。私は、聡史とおじを連れて、「千の丘」を訪ねてみることにした――。




 母は、なかなか聡史と会おうとしない。
 仕方ない――と、私は思った。
 あの人には、自分が「これが正しい」と思ったレールの上を歩く人生しか、想像ができないのに違いない。そのレールを踏み外そうとしている私も、踏み外してきたおじも、自分の予定を狂わせてしまう厄介な存在でしかないのだろう。
 しかし、どんなに厄介だと思われても、もう、私の決心は変わらない。
 そうだ、先に「千の丘」に行こう。おじも連れて――。

 「ねェ、おじさん」と、次の週、おじに声をかけた。
 3月に入ったばかりの、よく晴れた土曜日だった。
 「わたしたち、きょう、『千の丘』に行ってみようかと思ってるんだけど……」
 おじは、キョトンとしていた。「わたしたち……?」と、顔に書いてあった。
 それって、オレとキミかい――と、自分の顔と私の顔を指で指すので、私は笑いながら、「ウウン」と首を振った。
 「エッ!?」という顔をしたおじに、「わたしと聡史」と言うと、おじは、「オーッ!」という形に口を開けた。
 「それでね……できれば、おじさんにも一緒に来てもらおうかと思って……」
 おじは、「伏せ」を解かれた犬のように尻尾を振りながら、「いいね。行く、行く」と顔をほころばせた。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

あえて「ブス」に手を出す男の心理


 不純愛トーク   第307夜  
前回は、周りに「いい女」をはべらせては、自分の序列を上げようとする男がいる、という話をしました。しかし、その逆もいます。つまり、「不細工な女」を傘下に収めて、自分の株を上げようとする男です。その背後では、どんな心理が働いているのか? 今回は、あえて、「ブス殺し」に走る男たちの心理をのぞいてみました――。

【今回のキーワード】 ブス殺し 博愛主義者
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AKI 前回は、自分の「序列」を上げるために、「いい女」をはべらせようとする男がいる――という話をしたんですよね。しかし、その逆もいる。つまり、あえて「不細工な女」を彼女にしたがる男もいる……?

哲雄 ハイ、これにも、いくつかタイプがいる、と申し上げました。

AKI 哲ジイの場合は、どうなんですか?

哲雄 バードン……?

AKI ですから、哲ジイが、あえて「あまり美人ではない女性」に手を出そうとなさるのは、どういう理由かなぁ――と思って……。

哲雄 キミは、私を「ブス殺し」だとでもおっしゃりたいんですか?

AKI 違うんですか?

哲雄 身に覚えがありません。というか、私の場合、「美しいか、美しくないか?」は、女性を選ぶ場合の基準として、あまり重要な項目ではありませんのでね。

AKI あら、そうでしたの? フーン……。

哲雄 何ですか、その疑惑の眼差しは?

AKI いえ、別に……。それで、そのタイプなんですが……。

哲雄 そうでしたね。AKIクンは、「鶏頭となるも牛尾となるなかれ」という言葉をご存じでしょうか?

AKI エッ、「鶏の頭」と「牛の尻尾」ですか? どっちもおいしい――なんて話じゃありませんよね?

哲雄 確かに、牛のテールはスープにすると最高――なんて話じゃなくて、実はこの言葉、

 大きな牛の尻尾になるよりも、
 小さな鶏の頭になりなさい


 ――ということを言ってるんですね。

AKI わかった! 大きなグループに属してビリっけつになるよりも、小さなグループのトップになりなさい――と、そういうことですね?

哲雄 おお、正解! で、これを男女の関係に置き換えると、どうなるか?

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テーマ : 愛し方・愛され方
ジャンル : アダルト

満月の夜の神社の「姫子」〈12〉 筆くらべの夜

ヴァギナph1

古田さんにジャンケンをさせられ、亀吉⇒純平の順番で
「姫子」の「穴」に挑むことになった。それが初めての経験。
亀吉は一往復しただけで果て、そして、純平の番になった――


 妄想力ドリル〈R18版〉   第31講  満月の夜の神社の「姫子」〈12〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載12回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  満月の夜になると、神社の裏の楠の木の陰から女が男を手招きするという。町の男たちが「姫子」と呼ぶその女は、かつてこの町で生まれ、両親に捨てられた女だという。純平は、亀吉に誘われて、その「姫子」を見に行くことにした。純平たちが灌木の陰に身を潜めていると、男がひとりやって来た。漁協の古田さんだった。古田さんが、楠のところまで来ると、木の陰から二本の白い腕が差し出されて、その体を抱き寄せ、古田さんは月夜に浮かぶ尻をその陰に向かってヒョコヒョコと突き出した。古田さんが帰っていくと、「姫子」は純平たちの目の前に座り込んで、何かをほとばしらせた。鬼姫の放尿だった。食い入るように見つめていた純平たちだったが、亀吉が枯れ枝を踏みつけて、「姫子」に気づかれた。「ワッ!」と逃げ出した純平たちが、神社の社まで来ると、石段をまた、だれかが上ってくる気配がした。酒屋「サカエ」のオヤジだった。楠のほうへ歩いて行くオヤジの後を、純平と亀吉が尾けていくと、オヤジは手にしたレジ袋を木の陰に差し出した。「姫子」は、その袋の中から取り出したものを夢中で口に頬張った。それは稲荷ずしのように見えた。その稲荷をむさぼり食った「姫子」は、片足を道標に載せて、スカートの裾をめくり上げた。そのスカートの中に、オヤジの頭が潜り込んでいく。「姫子」は苦悶の表情を浮かべながら、「入れて!」と叫ぶ。立ちあがったオヤジは、ズボンのチャックを下して、アレをめくり上げたスカートの中央に押しつけた。純平は、次の夜、ひとりで、神社の裏へ上ってみた。楠のところまで来てキョロキョロしていると、「だれか探してるの?」と声をかけられた。「姫子」だった。恐怖で動けない純平の体を、「姫子」は手でまさぐり、変化を起こした純平を探り当てると、それを口に含んだ。「姫子」の舌にくすぐられて、あっという間に、純平はその口の中で果て、姫子は純平が放出したものをゴクリと呑み込んだ。そんな「姫子」を「美しい」と思いながらも、「怖い」と感じる純平。次の日、「サカエ」に買い物に行った純平は、植村のオヤジに「姫子」の話を訊いてみた。オヤジによると、「姫子」は捨て子だった。満月の夜、神社の裏の楠の根元に捨てられていたのを、この町のおとなたちが拾って育てた。「姫子」は満月の夜になると、その恩を返しに、この町にやって来るのだという。しかし、亀吉が母親から聞いた話は、ちょっと違った。「あの女は、おとなをたぶらかす魔性の女だ」と亀吉の母は言った。どっちが本当なのだ? 純平たちが頭をひねっていると、漁協の古田さんが声をかけてきて、次の満月の夜、「姫子」に会わせてやろう、おまえたちを男にしてやる、と言うのだった。その満月の夜がやって来た。亀吉は目を輝かせて古田さんのあとに従ったが、純平は気が重かった。「姫子」は楠の陰にいた。「あら、こないだ、私のおしっこをのぞいてた子たちね」と「姫子」が言う。それを聞いて古田さんが言った。「女には、まだおまえたちが知らない穴があるんだぞ」。古田さんはその穴を「見せてやれ」と言う。「姫子」が開いて見せた穴に、古田さんは、指を差し込んだ――。


 「オゥ、元気だな、坊主ども」
 ふたりの股間をつかんだ古田さんは、そう言うと、純平と亀吉にジャンケンをさせた。
 純平はパー、亀吉はチョキ。勝った亀吉は、古田さんに腕を引っ張られて、「姫子」の前に立たされた。
 「よし、カメ公、おまえからだ。パンツ、下ろせ」
 亀吉は、「エーッ! ここで?」とモジモジしている。
 「何を恥ずかしがってんだよ。姫子に男にしてもらうんだろ?」
 言うなり、古田さんは亀吉のベルトの留め具を外し、ズボンをパンツごと引き下ろす。
 亀吉は、下半身だけまる裸……という恥ずかしい格好にさせられたが、それでも、アレだけはピョンと立っている。それが、純平には、少しおかしかった。
 腹を引っ込めて隠そうとする亀吉の棹を、「姫子」は「逃げないで」というふうに、白い手でつかまえると、それを、さっき純平たちが目にしたばかりの、赤い入口にいざなった。
 「あ……」と声を挙げた亀吉のポコチンは、その穴の中に吸い込まれるようにもぐり込んでいった。
 「姫子」は亀吉の尻の肉をつかむと、腰ごと亀吉の体を自分のそこに引き寄せた。
 「あ……ダメだ。あ、何か出る……」
 「あら……」と姫子が、驚いたような声を出した。
 「この子、もういっちゃったわ」
 「姫子」がゆっくり体を離すと、亀吉のアレは、先っぽから粘っこい汁をしたたらせながら、ゆっくり萎んでいった。
 「なんだよ、カメ。もう撃っちゃったのかよ」
 古田さんがあきれたように言うと、亀吉は背中を丸めて、すごすごとパンツとズボンを引き上げた。
 「次、純平!」
 古田さんは、まるで体育のコーチになったような気分でいるらしかった。
 「おまえは、もうちょっとガンバれよ」
 励ますつもりで言っているらしい古田さんの声だが、純平にはそれが、からかいの声のように聞こえた。「どうせ、おまえらは、姫子を満足させることなんてできないだろう」と言っているようにも聞こえた。
 それが、純平には、悔しかった。

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テーマ : 官能小説
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「神様」を探そうとする人間の「愚かさ」について

抱き枕 心の抱き枕 〈18〉 

「神」を探そう――とする人たちがいます。
しかし、考えてみれば、これはおかしな話です。
人間によって発見される「神」なんて、人間以下。
そんな「神」が人間を救えるはずがないからです。


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 「神様っていると思う? どこにいると思う?」
 よく、そんなことを尋ねる人がいます。
 最近は、「パワースポット」なんてものが流行って、そういう場所に出かけては、「神様」を感じて来ようとする人もいます。
 しかし、私は、「神様を探す」という人も、「神を感じる場所を探そう」とする行為も、あまり好きではありません。
 「神」は、人が見つけるものではない――と思っているからです。

 考えてみてください。
 もし、「神」が「人」によって発見されるのであれば、言い方を変えれば、「人」が見つけなければならないような「神」であれば、そんな「神様」は、「人以下」ということになってしまいます。
 そんな「神様」は、ありがたくもなんともない――と、私は思うのです。
 私は、こう思っています。

 「神」というのは、この世界に満ち満ちているもの。
 人がどこにいようと、何をしていようと、
 絶えず私を見守り、導こうとしてくれる、
 そういう存在である。


 「神」と「人間」の関係で言うと、

 人が神を見つけるのではなく、
 神が一方的に人間を見つける。


 そういう関係だと思うのです。
 「神様を探す」というのは、「神様」の立場から言えば、たいへん、失礼な話なわけです。

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テーマ : 愛し方・愛され方
ジャンル : アダルト

ローズマリーの詩〈33〉 彼女のルームメート…?

コーヒーと女子どもを育てながら聡史の帰国を待つ――と
決めた私に、千里さんは部屋を貸してもいいと言う。


おじが「家出」する先は、もしかしたら千里さんの家?
しかし、千里さんは、私に部屋を貸してもいい――と
言っているという。私は聡史とおじを連れて、
「千の丘」を訪ねてみることにした…。



 小説/ローズマリーの詩 ――― 第33章 
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この話は連載33回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
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ここまでのあらすじ 離れのおじの部屋から聞こえてくる『スカボロー・フェア』という曲。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。おじは、その歌を歌いながら、かつての恋人に想いを馳せているように見えた。私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、その結婚をドタキャンした。そんな私とおじは、母には「我が家の厄介者」だった。そのおじを古い友人が訪ねてきて、「こないだ、彼女に会ったゾ」と口にした。おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。その人・真坂千里さんの店を、私はのぞきに行った。店名は「千の丘」。『七つの水仙』という曲からとったという。その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、おじだった。そんなある日、一通のエアメールが届いた。鳴尾聡史が内乱に巻き込まれて負傷し、帰国するという。5年ぶりに会った聡史は、精悍さを失ったように見えた。銃撃にすくんだ自分は、「もう、アフリカには戻れないかもしれない」と言う。沈み込む聡史に、私は「お帰りなさい」のキスをした。おじも、千里さんと再会したいと思うだろうか? 私は、おじに食べさせたパンが千里さんが焼いたパンであることを告白し、千里さんがいまもひとりでいることを伝えた。千里さんにも、「私は、牧原哲司の姪なんです」と告白した。私の告白に目を丸くした千里さんだったが、おじが後悔していることを告げると、「残念ながら、彼と別れた理由は、あなたのおじさんが想像しているようなものじゃない」と言った。そんなある日、私は千里さんから「家に来ない?」とお誘いを受けた。なぜ、ふたりは別れてしまったのか? 理由を問う私に、千里さんの重い口が開かれた。「あの人、子どもは嫌いだ――って言ったのよ」。そんな私の目に一体のオブジェが留まった。幼子イエスを抱く聖母子のオブジェ。そこに秘められた千里さんの想いを想像していると、聡史から電話が入った。通信社への就職が決まり、アフリカに派遣されることになった、というのだった。「ついて来てほしい」とは言われなかった。その代わり、「待っていてほしい」と言われた。おじによると、それは「立派にプロポーズだ」と言う。年が明けた日曜日、私はおじをちょっと遠い散歩に誘った。行先が千里さんの「千の丘」と知って、おじの足は止まったが、私はその背中を押した。40年ぶりに再会したふたりはワインで乾杯し、おたがいの現況を語り合った。温かい空気が、ふたりの間に生まれたような気がした。そんな中で迫る聡史のアフリカ行き。しかし、私には気になることがあった。生理が遅れていた。病院で診てもらうと、「妊娠」だった。聡史に告げようか、それとも……。私の心の迷いを見抜いた千里さんは、私を自分の部屋に誘った。いつか見た聖母子像を私の目の前に置いて、千里さんは言った。「この子、私とあなたのおじさんの子になるはずだったの」。それは、だれにも明かさなかった千里さんの「罪」。その罪ゆえに、千里さんは、おじの元を去ったのだった。「あなたに同じ過ちを犯してほしくない」と千里さんは言う。私は意を決して、聡史に妊娠を告白した。聡史は「いますぐ、結婚しよう」と言う。親にその話をすると、母は「そんな結婚は認めない」と、目を吊り上げた。そのときだった。「いい加減にしろ! それでも人の親か!」と、おじの大音声が響き渡った――。




 おじの家出話は、大家さんには、ちょっとショッキングだったらしい。
 母は、明らかに、「それ、困る」という顔をした。
 「うちにも都合があるから……」とかなんとか、口の中でぶつぶつ言っていたが、それは、大きな声で主張できることではなかった。
 そりゃそうよね――と、私は思った。それまで「居候」だの、「厄介者」だのって、悪態をつきまくってたんだから、いまさら文句を言える筋合いじゃないはず。
 「みんな、もう、勝手なことばかり言って……」と、母は席を立ってしまった。
 そうじゃないでしょ、お母さん。あなたの言っている「勝ってなこと」は、「自分の都合に合わないこと」って意味よね――と思ったが、それは口にしないでおいた。
 「ま、一度、家に連れてきなさい。お母さんはああ言ってるけど、自分の娘の結婚がうれしくないわけはないんだから」
 父はそう言って、母の後を追った。
 おじの「家出宣言」で、私の結婚話は、すっかりかすんでしまった。
 でも、それはそれでいい。もしかして、これもおじの計画?
 それとも、おじの心境に、何か変化があった。
 「ね、おじさん」と、私は、おじの顔をのぞき込んだ。
 「さっきの話、本気……?」
 おじは、「いいから、いいから」と手を振って、鼻歌を口ずさみ始めた。『七つの水仙』だった。
 そうか――と、私は思った。
 おじと千里さんの愛が復活した?
 もしかして、ふたりで一緒に暮らす――とか?
 私がそんなことを考えていると、おじは「おっ、そうだ」というふうに振り返った。
 「もし、沙世が家を出て、聡史クンを待つっていうのなら、いつでもどうぞだってさ」
 「エッ……?」
 「千里さんがそう言ってた」
 「おじさんは?」
 「ボクかい?」
 「だって、おじさん、この家を出るんでしょ?」
 「ああ、その話ね……」
 「この家を出て、千里さんと一緒に暮らす――っていうつもりじゃないの?」
 「いや……そんな話はしてないけど……」
 「じゃ、してみれば?」
 「おとなの恋は、そう簡単にはいかないんだよ、沙世クン」
 そう言って、おじは、離れに引き上げていった。
 その姿を見送りながら、「そうだ」と私は思った。
 今度、聡史を連れて「千の丘」に行こう。できれば、おじさんも誘って……。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

彼女をホテルへ誘う、成功率75%の話法

手と手

あなたは女性をホテルに誘うとき、どんな誘い方をしますか?
ズバリ、「ホテルへ」と言えないあなたのために、
彼女の「ウン」を引き出す話法を工夫してみました――。


 愛の会話力レッスン   レッスン33(改訂版) 
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 みなさんは、彼女をホテルへ誘うとき、どんな誘い方をしますか?
 これが、実は苦手だったんですね、若かりし頃の筆者は。
 ヘタな誘い方すると、以後、二度と彼女にお目にかかることができなくなるような気がして、なかなか、ズバッとは口にできない。
 そんなウブい時代があったんですね、この私にも。
 今回は、その「ホテルへのお誘い」会話。なかなか「ホテルへ」と言い出せない貴兄のために、スマートな誘い方を工夫してみました。
 ふたりは、これが初のデートまたは2度目か3度目のデート。あなたは、なんとか彼女をホテルに誘いたい――と、そのチャンスをうかがっいているとします。
 まずは、よくありがちなパターンから――。

 会話例1  もはや古典的な「オヤジ的」誘い方

 ちょっと休んで行こうか? な、ちょっと、行こうよ。
 ……ダ……メ。

 会話例2  若者らしく、ストレートではありますが……

 エッチしようか?
 そんな……いきなり言われても……。

 会話例3  ホントのネライは隠したまま…なダミー作戦

 この夜景が、いちばんきれいに見える場所があるんだ。
 どこ……?
 この上(ふたりは、いま、ホテルのレストランにいる)。

 会話例4  あなたの「〇〇〇」が見たい――という間接話法

 いま、何がいちばん見たい?
 海……かな。あなたは?
 キミがそのブーツを脱ぐところ。

 会話例5  「1年経ったら…」と夢を見させる時間差話法

 1年たっても、ボクたちがこうして会っていられたら、キミをあのホテルに誘う。
 エーッ!? 1年なの?
 10分でもいいけど……(とじっと目を見る)

 今回は、いっぱい、サンプルを挙げてみましたが、中には、「あ、こういう言い方、したこと(されたこと)ある」と思うものもあったのではないでしょうか?
 さて、これらの言い方のうち、もっとも効果があるのはどれか?
 机上であれこれ言っても仕方がないので、わたくし長住、フィールドワークしてきました。周囲の女性たちにこれらの会話例を見せ、それぞれの誘い方でホテルについていく気になれるかどうか――を、「YES」「NO」で答えてもらったのです。
 もちろん、相手は「憎からず思っている男」であることが前提。
 まずは、その結果のご報告――。

どの誘い方なら「YES」と言いたくなる?
   ――女性20人に訊いた結果

 会話例      「YES」回答数       成功率

会話例1…………2………………17%
会話例2…………4………………33%
会話例3…………8………………67%
会話例4…………7………………57%
会話例5…………9………………75%

 最初の2例、【会話例1】【会話例2】は、けっこうストレートな誘い方で、中には、こういうふうにズバッといわれるほうがいいという声もありましたが、「YES」率は3分の1以下。特に【会話例1】は、「オヤジくさい」と不評でした。
 さて、いずれも「YES」率50%を超えた【会話例3】【会話例4】【会話例5】の誘い方には、それぞれ、彼女が「YES」と言いたくなる仕掛けが仕込まれています。

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満月の夜の神社の「姫子」〈11〉 小さくて…大きな「穴」

ヴァギナph1

「おまえたちも、ここから生まれてきたんだゾ」
そう言って、古田さんは、「姫子」のそこに入れた指を
動かして見せた。「ウソーッ!」と亀吉と純平は顔を見合わせた――


 妄想力ドリル〈R18版〉   第31講  満月の夜の神社の「姫子」〈11〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

 リンク・キーワード   恋愛小説 エッチ 官能小説 不倫 おひとり様 エロ


この話は、連載11回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 ここまでのあらすじ  満月の夜になると、神社の裏の楠の木の陰から女が男を手招きするという。町の男たちが「姫子」と呼ぶその女は、かつてこの町で生まれ、両親に捨てられた女だという。純平は、亀吉に誘われて、その「姫子」を見に行くことにした。純平たちが灌木の陰に身を潜めていると、男がひとりやって来た。漁協の古田さんだった。古田さんが、楠のところまで来ると、木の陰から二本の白い腕が差し出されて、その体を抱き寄せ、古田さんは月夜に浮かぶ尻をその陰に向かってヒョコヒョコと突き出した。古田さんが帰っていくと、「姫子」は純平たちの目の前に座り込んで、何かをほとばしらせた。鬼姫の放尿だった。食い入るように見つめていた純平たちだったが、亀吉が枯れ枝を踏みつけて、「姫子」に気づかれた。「ワッ!」と逃げ出した純平たちが、神社の社まで来ると、石段をまた、だれかが上ってくる気配がした。酒屋「サカエ」のオヤジだった。楠のほうへ歩いて行くオヤジの後を、純平と亀吉が尾けていくと、オヤジは手にしたレジ袋を木の陰に差し出した。「姫子」は、その袋の中から取り出したものを夢中で口に頬張った。それは稲荷ずしのように見えた。その稲荷をむさぼり食った「姫子」は、片足を道標に載せて、スカートの裾をめくり上げた。そのスカートの中に、オヤジの頭が潜り込んでいく。「姫子」は苦悶の表情を浮かべながら、「入れて!」と叫ぶ。立ちあがったオヤジは、ズボンのチャックを下して、アレをめくり上げたスカートの中央に押しつけた。純平は、次の夜、ひとりで、神社の裏へ上ってみた。楠のところまで来てキョロキョロしていると、「だれか探してるの?」と声をかけられた。「姫子」だった。恐怖で動けない純平の体を、「姫子」は手でまさぐり、変化を起こした純平を探り当てると、それを口に含んだ。「姫子」の舌にくすぐられて、あっという間に、純平はその口の中で果て、姫子は純平が放出したものをゴクリと呑み込んだ。そんな「姫子」を「美しい」と思いながらも、「怖い」と感じる純平。次の日、「サカエ」に買い物に行った純平は、植村のオヤジに「姫子」の話を訊いてみた。オヤジによると、「姫子」は捨て子だった。満月の夜、神社の裏の楠の根元に捨てられていたのを、この町のおとなたちが拾って育てた。「姫子」は満月の夜になると、その恩を返しに、この町にやって来るのだという。しかし、亀吉が母親から聞いた話は、ちょっと違った。「あの女は、おとなをたぶらかす魔性の女だ」と亀吉の母は言った。どっちが本当なのだ? 純平たちが頭をひねっていると、漁協の古田さんが声をかけてきて、次の満月の夜、「姫子」に会わせてやろう、おまえたちを男にしてやる、と言うのだった。その満月の夜がやって来た。亀吉は目を輝かせて古田さんのあとに従ったが、純平は気が重かった――。


 神社の裏の楠は、月明かりの中に巨大な姿を浮かび上がらせていた。
 張り出した枝が、翼を広げた黒鳥のように見える。
 その姿が、純平をおののかせた。
 「オイ、純平。おまえ、ビビってんのか?」
 古田さんが後ろを振り返って、からかうように言う。
 しかし、古田さんにも、そして亀吉にも、そんな気配を見せるわけにはいかない。純平は、首を振って、ふたりの後ろにピタリと着いた。
 「オ~イ、姫子ォ~」
 大きな幹の前まで来ると、古田さんは、まるで犬を呼ぶように「姫子」の名を呼んだ。
 すると、幹の陰からニュッと白い手が差し出された。
 純平たちが最初に「姫子」を目撃したときと同じだ。
 差し出された白い手が「おいで、おいで」というふうに手招きする。古田さんは、純平と亀吉に「おまえたち、ここで待ってろ」というふうに、手で指示して、ひとり、幹の裏手へ回っていった。
 「姫子、きょうは、お客さんを連れてきたゾ」
 「姫子」は何かボソボソと言っている様子だが、何と言っているのかは聞こえない。
 古田さんはその耳に口を当てて何かを吹き込むと、「オイ、おまえたち」と、純平と亀吉を手招きした。
 ふたりが近づくと、幹の陰から「姫子」が顔を出した。この前の満月の夜、ひとりで会いに行った純平のアレを口にくわえ、純平がその先端から迸らせたものをゴクリと呑み込んでみせた「姫子」。もしかしたら、「姫子」はそのことをみんなにバラしてはまうのではないか――と、純平は、気が気でならなかった。
 しかし、「姫子」はそのことには触れずに、「あら、この間の……」と言っただけだった。
 「オウ、そうよ。こないだオレたちをのぞき見してたガキどもよ」
 「覚えてる。あのときの高校生よね?」
 言いながら、亀吉の顔をのぞき込み、純平の顔をのぞき込んだ。純平の顔をのぞき込んだときだけ、「姫子」は、ペロッと舌を出して唇をなめ回して見せた。純平にはそれが、「あなたとは、こういうこともしたわよね」という合図に見えた。
 「それで? ボクたちは、何をしたいの? 私を見たいの?」
 そう言うと、「姫子」は、白いワンピースの裾をゆっくりめくり上げて見せた。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

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