ああ、愛の「リアル」が消えていく…2013 《年の暮れ》

門松縮小 恋愛ジャーナル〈30〉 
実際に起こった出来事を長住流に解説します。

あと数時間で、2013年も終わりになります。
今年も多くの方に、当ブログをご訪問いただきました。
こんなガンコおやじの繰り言におつき合いくださり、
感謝、感謝……の一語でございます。
本年最後の繰り言、よかったらおつき合いください。


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  2009年2月に開設した当ブログ、来年2月で、満5年になるわけですが、なんと、この5年の間に、麻生鳩山野田安倍と、5人の総理大臣が、誕生しては消えていきました。あっ、安倍はまだ……消えちゃあいませんでしたね。
 ま、そんなことはともかく、今年もいろんなニュースが飛び交いました。
 いいニュースも、わるいニュースも……というか、今年は、わるいニュースばかりだったような気がします。
 「東京オリンピック開催決定!」なんていう、ビッグなニュースがあったじゃないか――という方もいらっしゃるかと思いますが、何をおっしゃいますやら……です。
 安倍政権誕生と東京オリンピック開催決定は、私にとっては、ワーストの1、2位を争う「わるいニュース」でした。
 大掃除も片づいたことですし、ちびちびと年越しの酒を飲みながら、この1年、長住が感じたことを総括してみたいと思います。

門松
国中の不幸をエサに
それでもやるか、東京五輪


 東京五輪を招致するにあたって、猪瀬都知事や安倍総理らは、こう言いました。
 「震災の痛手から立ち直るためにも、東京五輪招致を成功させよう」と。
 これほどの偽善があろうか――と、長住は、口がワナワナと震えたのを覚えています。中風じゃないですよ。怒りのあまりに……です。
 結果、起こっていることは何か?
 すでに報道されているとおり、復興にあたるべき人員、資材・重機などが、割のいい五輪向けの工事等のために振り向けられて、東北地方の復興事業に支障が出ています。
 そして、何よりも懸念されること。それは、それでなくても問題な東京への富や人材の「一極集中」が、ますます加速される――ということです。
 国中をビンボーにしてでも、東京が栄えれば、そのほうが効率がいい。
 私には、「東京五輪」招致は、そういう企図のもと行われたとしか思えません。

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キング牧師と「人種差別」について、私たちが知っておくべきこと


 不純愛トーク   第298夜  
前々回からお届けしているアメリカにおける「人種差別」の話。南北戦争後、奴隷は解放され、黒人にも公民権を与える憲法修正条項が可決されたにも関わらず、アメリカの各州は、この条項を覆す「州法」を次々に成立させていきました。レストランでも、バスでも、黒人席と白人席が区別された「人種隔離」の時代、そこへ登場したマルチン・ルーサー・キングが始めた運動は――。

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AKI 前回は、ビリー・ホリデイの『奇妙な果実』の話をしました。歌に歌われていた「奇妙な果実」は、リンチに遭ってポプラの木に吊るされた。黒人の死体だったんですよね。そういうリンチは、1964年に「公民権法」が成立するまで、延々と続けられたという話でしたよね。

哲雄 ほんとはね、1865年に南北戦争が終結した直後、奴隷制は廃止され、有色人種に公民権を与える憲法修正条項が議会で可決されてますから、この段階で「差別」はなくなっているはずだったのですが……。

AKI でも、現実にはなくならなかった。それは、各州の州法が、この修正条項を覆していったからなんですね?

哲雄 そうです。そして、1883年には、連邦最高裁が、

 「修正第14条は、私人による差別には当てはまらない」

 という判決を下して、南北戦争後に制定された公民権法のほとんどを、実質的に無効化してしまったんですね。この判決を受けて、1890年には、ルイジアナ州で、黒人と白人で鉄道車両を分離するなどの「人種差別法案」が可決されました。

AKI そういうのって、どの国でもやるんですね。日本でも、憲法を骨抜きにする法案とかが、次々に出てくるじゃありまんかッ!

哲雄 お怒りは、ごもっともですが、きょうは、公民権運動の話だから。

AKI そうでした。そういう法案は、ルイジアナ以外でも出てきたんですね?

哲雄 ジョージア、アラバマ、ミシシッピなどの南部諸州はもちろんですが、それ以外の州でも次々に。それらの人種分離法は、ひとまとめに「ジム・クロウ法」と呼ばれています。

AKI ジム・クロウ……? 何ですか、それ?

哲雄 また、話が横道に逸れちゃうなぁ……。

AKI 横道、大好き!

哲雄 ま、いいでしょう。「ジム・クロウ」というのはね、白人が顔を黒塗りにして黒人に扮する「ミンストレル・ショー」というコメディ・ショーに出てくるキャラクターなんだよね。設定では、「ジム・クロウ」は田舎のみすぼらしい黒人ってことになってて、それを戯画化して見せることで笑いを取ってたらしい。そこから、「ジム・クロウ」は、「黒人隔離」を指す言葉として使われるようになったんですね。

AKI 日本にも、そういうのを芸にしてを見せてた芸人がいましたよね?

哲雄 「シャネルズ」とかもね。ああいうの、アメリカなんかに持っていったら、大問題になると思いますよ。ちょっと無神経すぎて、私なんかは、見るたびに不快感を感じてました。で、話を戻すとね、あれ!? どこまで話したっけ……?

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離脱屋「スケルトン」繁盛記〈2〉 タレントKをいたぶる男

ヴァギナph1

離脱中に相手の魂に固着すると、元のボディに戻れなくなる。
しかし、その客は、その「禁」を犯した。憑りついたのは、
タレントのK。Kには、女をいたぶって愉しむ性癖があった―― 


 妄想力ドリル〈R18版〉   第30講  離脱屋「スケルトン」繁盛記〈2〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載2回目です。最初から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 Kというそのタレントには、実は、いたんでございますね、ハイ、いわゆる男ってやつが――。
 後に、夕刊紙にスクープされたりしておりますから、あなたさまもご存じでいらっしゃいますでしょ? IT長者などと言われて、時代の寵児としてもてはやされていたあの男・Hでございますよ。
 なんと、このH、Kと密会するためだけの部屋を、都心に持っておりましてね。それがまた、家賃150万円なんていう、とんでもない代物でございまして……。
 あ、話が横道に逸れてしまいましたですね。
 もちろん、その方の離脱した魂は、その部屋で行われることの一部始終を見守ることになったわけでございます。
 しかしですねェ、このHという男がまた、権力者にはありがちと申しますか、少し変わった性癖の持ち主でして……。ひと言で申しますと、女をいたぶっては喜ぶ――という、そういうタイプの男だったのでございますよ。
 部屋の中には、鉄の鎖のぶら下げられたカギ状のフックとか、磔用の十字架とか、バイブレーター付きの木馬とか……ま、そういうおぞましい道具が乱雑に置かれておりまして、Hは、その部屋にKを連れ込んでは、いたぶるわけですねェ。
 ええ、Kはいやがっていたようでございますよ。
 しかしですねェ、あなたもご存じでございましょう? Kが所属する事務所は、実質上、Hが陰のオーナーと言われている芸能事務所ですから、そこで「NO」と言ってしまうと、Kは、仕事を失ってしまう――というより、芸能界から干されてしまうわけでございますよ。
 Kは、泣く泣く、Hの指示に従ったようでございますよ。まるで奴隷のように――。

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「神」を「インスタント化」した「英霊」という言葉

g_scooter_20090210173409.jpg 恋愛ジャーナル〈29〉 
実際に起こった出来事を長住流に解説します。

「靖国に祀られる神(=英霊)となる」――それを信じて、かつて、
多くの前途ある若者たちが、戦場に散っていきました。
天皇のために死ぬことは美しいこと、と思い込まされて…。
「英霊」という言葉は、そのために編み出された言葉でした――。


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 みなさん、あるいはご存じだろうと思いますが、「靖国神社」に祀られているのは、戦地で亡くなった軍人だけです。
 「戦死した勲功」を「よくやった」と顕彰(世間に知らしめて表彰すること)するための施設ですから、まず、軍人以外は対象外。たとえ軍人でも、病死した者は、その対象にはなりません。
 軍需工場で働いて過労死したとしても、顕彰の対象とはなりませんし、空襲で死亡しても、原爆で命を落としても、「靖国」に祀られることはありません。
 つまり、完全に「官尊民卑」。それも、「軍人」という「官」だけが、表彰されているわけです。
 ひとつだけ、例外があります。それはA級戦犯
 「戦死」してないにもかかわらず、戦後、極東裁判で処刑された戦争指導者たちが、なぜか堂々と、「靖国神社」に合祀されているのです。これには、いろいろ議論があるのですが、1978年に合祀が行われて以降、昭和天皇はこれに不快感を示し、以後、一度も靖国参拝を行っていません。
 合祀問題については、後日、あらためて触れるとして、前夜、私は、「靖国は、わが国の宗教的伝統」を破壊した――と申し上げました。
 まずは、その話からしてみたいと思います。

神々を殺して生み出された「国家神道」

 そもそも、筆者・長住は、戦前の日本人の精神をもてあそんだ「国家神道」というものが大嫌いです。
 「国家神道」とは、天皇を「神」とし、日本国は「神」である「天皇」の統治のもと、祭政一致の国づくりを目指す――とする考え方でした。
 明治政府は、最初は、キリスト教を禁止しようとしたのですが、西欧列強の批判が強かったため、それをあきらめました。
 次に「神仏分離政策」を進めて、神仏習合が進んだ日本の神社から仏教を追い出そうとしました。これは、民間に廃仏毀釈の運動を引き起こすなどして、宗門の反発を招いたため、1872年には、その政策を改めています。
 第3に、「神の一本化」を図りました。1906年(明治39年)には、「神社合祀令」を発して、すべての神社を国家の管理下に置こうとしました。神社は、一町村一社として、その祭神はすべて歴代の天皇とせよ――という政策です。
 各地に残る氏神信仰や民間信仰を禁止し、鎮守の森を焼き払い、その結果、神社数は激減しました。合祀が著しかったのは、三重県と和歌山県ですが、三重県では6500社あった神社が7分の1以下に、和歌山県では3700社あった神社が6分の1以下に整理されてしまいました。全国で4万社に上る神社が取り壊され、わずか3年間で、神社数は19万社から12万社に激減してしまったのです。

 薩長が主流を占めた、時の明治政府は、日本人が先祖代々受け継いできた、神々への崇敬も、その心の拠り所も、焼き払い、打ち壊して、「ただ天皇のみを崇拝せよ」と求めたわけです。
 博物学者の南方熊楠は、これを「神狩り」として、強烈に批判しました。識者の中からも批判の声が高まったため、この「神社合祀令」は、のちに廃止されるのですが、「国家神道」というのが、そういう性質を持った宗教である――ということを、けっして忘れないでいただきたいのです。
 「靖国神社」は、そういう「国家神道」の頂点に位置する存在でした。

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「靖国参拝」は「宗教的無知」の産物…?

g_scooter_20090210173409.jpg 恋愛ジャーナル〈28〉 
実際に起こった出来事を長住流に解説します。

あまりに呆れて、モノが言えないのですが、このまま黙っていると、
これを「当たり前」と思う人も出てくるかもしれないので、
長住、あえて口を開きます。安倍総理の「靖国参拝」。あれは、
宗教的無知がもたらした、世界に恥ずべき「愚行」です!


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 安倍総理が「靖国神社参拝」を強行して、国の内外から批判の声が巻き起こっています。
 盟友と頼むアメリカからさえ、「失望した」という異例の声明が発表されました。
 批判の声の多くは、隣国である中国・韓国との関係悪化を懸念する立場から発せられています。そういう声の背景には、両国との関係悪化が国益にかなうかどうか――という「損得」の計算も含まれているかと思います。
 筆者・長住は思うのです。
 この問題は、そういう観点から論じられるべきではない。ほんとうに「正しい」ことであれば、どんなに損をしようがやるべきだし、「正しくない」のであれば、どんなに得することであっても、やるべきではない。
 長住は、そう思っています。
 結論から言うと、「靖国参拝」は、断じて「正しくない」。正しくないどころか、「悪魔に魂を売る行為」だ――とさえ思っています。
 「靖国神社」という施設そのものを、長住は「滅ぼすべきもの」とさえ考えています。
 今回は、その理由を説明します。
 とても長くなるので、この話は、2夜にわたってお届けすることにします。
 日本国民として知っておくべき重大な問題について論じますので、申し訳ありませんが、2日間の間、恋愛話はお休みです。

「靖国神社」の前身「招魂社」のオカルト的体質

靖国神社 ご存じない方もいらっしゃるかと思うので、最初に申し上げておきますが、「靖国神社」というのは、「神社」と名前こそついてはいますが、日本の伝統的な「神道」とは、縁もゆかりもない産物です。
 「靖国神社」が創建されたのは、1879年(明治12年)のことです。「創建」というのは正しくはありません。「改称」されたのです。
 その前身は「東京招魂社」でした。「東京招魂社」というのは、戊辰戦争での官軍側の戦没者を祀るために創建された施設で、管轄していたのは、長州勢が主流を占める陸軍でした。「官軍側の……」ですから、白虎隊などの幕府軍側の戦没者も、後の西南戦争での西郷軍側の戦没者も、合祀の対象とはなりません。
 ここがすでに、日本の神道の伝統な考え方とは異なっています。伝統的な神道では、むしろ、この世に恨みを残して死んだ人間や非業の死を遂げた人間の霊を鎮めることが、重視されてきました。しかし、「東京招魂社」の目的は、勝ち組である官軍の戦没者だけを祀る――です。
 この点だけから言っても、「東京招魂社」の設立目的は、伝統的な神道とは相容れないもの、と筆者は思っています。

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ローズマリーの詩〈16〉 5年ぶりの抱擁

コーヒーと女傷だらけで帰還した青銅の騎士。
抱きすくめられた瞬間、時間が巻き戻された…。


待ち合わせの書店で新刊を眺めていると、
「それ、面白いですか?」と、肩ごしに声をかけられ、
いきなり抱きすくめられた。ひげだらけの浅黒い顔…。
5年ぶりに見る先輩、鳴尾聡史だった――。



 小説/ローズマリーの詩 ――― 第16章 
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この話は連載16回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
   前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 雨が降ると、離れのおじの部屋から聞こえてくる『スカボロー・フェア』という曲。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。その日、おじが作った夕食には、その4種のハーブが使われていた。食事が終わると、おじは私に1枚のDVDを渡した。『卒業』という名の映画のDVDだった。そこに登場するベンジャミンとエレーンを、おじはもしかして、おじとおじのかつての恋人にダブらせているのだろうか? 私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、しかし、彼が押し付けてくる「ふつうの幸せ」という形に耐えられなくなって、その結婚をドタキャンした。母に言わせれば、そんな私とおじは、「我が家の厄介者」だった。その厄介者のおじのところに、来客があった。「オウ、こないだ、彼女に会ったゾ」。その客が口にした言葉に、私は耳をそばだてた。おじたちに言わせると、私の鳴尾聡史は「青銅の騎士」なのだった。しかし、「騎士」としてその理想を追求する方法は、プロとして活動するばかりではない。プロにならなかった自分を責める必要はない、とおじたちは言った。おじの友人・尾崎さんの話だと、おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。私は、草野駅まで行ってみた。その人・真坂千里さんの店は「千の丘」といった。その店名は、『七つの水仙』という曲からとったという。そして、その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、どうやら、おじらしかった。そんなある日、一通のエアメールが届いた。アフリカからだった。鳴尾聡史が内乱に巻き込まれて負傷し、帰国するという。会うべきか、会わざるべきか? 迷っている私をおじのひと言が後押しした。「命短し、恋せよ乙女かぁ。後悔するなよ、沙世ちゃん」。千里さんは、こう言った。「会って後悔するかもしれない。会わないと、もっと後悔するかもしれない。私だったら、会って後悔するほうを選ぶ」。では、もし、千里さんの昔の恋人が「会いたい」と言ってきたら? 千里さんの返事は、「もし許しくくれるなら…」だけだった。次の日、私は聡史に、「お会いしたい」とメールを打った――。




 新宿「紀伊国屋」の1階、新刊コーナーの前。
 それが、聡史が指定してきた「5年ぶりの再会の場所」だった。
 その待ち合わせ方法は、5年前から変わらない。

 「待っている間に、新しい本とかチェックできるし、立ち読みだってできるだろ? 退屈しなくてすむじゃないか。待たせるほうも、いくぶん、胸が痛まずにすむし……」
 「それって、オレは待たせるぞ――って言ってるように見えます」
 「バレたか……?」

 そう言って、ニッ……と笑う。
 そんなときの鳴尾聡史の顔が、私は好きだった。
 待たされるんだろうなぁ――と思っていたのに、待たせたのは、たいてい、私のほうだった。
 私を待つ間、鳴尾先輩は政治経済や社会思想関係の本が並ぶ書架の前にいて、いつも、むずかしそうな新刊のページを眉をしかめてめくっていた。その姿を見つけると、私は背を屈め、彼が手にした本の下からヒョイと顔を出して、先輩を驚かせた。
 「オッ、びっくりした」と、ほんとに驚いたような顔をした後、むずかしそうな顔がいつもの人なつっこい顔に緩んでいく。その時間は、私のいちばん好きな時間のひとつだった。
 この日、待たせたのは、鳴尾聡史のほうだった。

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「破滅」するおひとり様と「孤立」するおひとり様

「おひとり様」の性&生活ノート

コーヒー横筆者の実感では、「おひとり様」に向かない人間が、2タイプ存在します。
まったく自己管理ができないタイプと、逆に管理しすぎるタイプ。
前者には破滅の危険、後者には孤立の危険が。それを避けるためには――?

 ノート〈9〉  「破滅」するおひとり様と「孤立」するおひとり様

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 事情はさまざまですが、「おひとり様」を貫いている人間のライフ・スタイルは、大きく2タイプに分かれる――と、筆者は思っています。
 簡単に言うと、「自堕落&破滅型」と「自己管理型」です。

 「自堕落&破滅型」は、自分の生活を自分で管理できないタイプです。
 ハラが減ったら、何でもいいからハラに詰め込む。自分で作ろうという気はないので、たいていは勤め帰りの駅そばで何か食べて帰るか、コンビニかスーパーか弁当屋で「買いメシ」を仕入れて帰る。「栄養のバランス」なんていうコンセプトも、ほとんど頭の中にないので、慢性的に便秘と下痢を繰り返し、肌にはしょっちゅうトラブルを抱え、進行する肥満に、腹部はなす術なく垂れ下がる。
 部屋の中を整理しようという気もないので、床にはホコリがたまり、浴室にもトイレにもカビがはびこり、分別しきれないプラスチック系ゴミや、古紙や、缶やビンが、部屋中に散乱して、しまいには、足の踏み場もなくなる。
 最後には、部屋の中はゴミ屋敷状態。
 これじゃダメだなぁ――と思ったときには、もはや手がつけられない状態になっている。

 一方の「自己管理型」は、自分の生活を完璧に管理しようとするタイプです。
 食事も、体調を考え、栄養のバランスに配慮して、何を食べるか、何を食べないかを決め、外食で摂れない栄養を補うために、自分で食事を作ったりもする。排便は規則的で、肌トラブルもほとんどなし。やむを得ない事情で、不規則な食生活が続いたりすると、それだけで、体調が狂うような気がして、サプリメントを愛用したりもする。
 基本的には、掃除や片づけが好きなので、部屋の中は、いつも、チリひとつない状態に保たれ、備品や調度などは、常時、あるべき場所に収められている。

 「おひとり様」のライフ・スタイルとして、どちらが好ましいか――と言うと、当然、後者の「自己管理型」ということになります。
 というか、後者でないと、「おひとり様」は続けられないだろうと思います。
 「自堕落&破滅型」でも、ひとり暮らし自体はできることはできるのですが、それはただの「独居」。その行き着く先は、「破滅」しかありません。
 と言って、完璧な「自己管理型」が理想的か――と言うと、これにも、実は問題あり――と、筆者は感じています。

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交換しませんか? 「悲しいXマス」を小さな「メリー・クリスマス」に

 雑感 
 小さな愛の「いい話」〈9〉 

クリスマスオブジェクト
きょうは、2013年のクリスマス・イヴ。
広がり続ける格差を反映してか、
華やかな電飾の街角にも、
恵まれた顔と恵まれない顔が、
交差しています。
もし、不幸に沈む顔と出会ったら、
ちょっとだけ「小さな「メリー・クリスマス」を交換。
みなさまのクリスマスに、ちょっとだけいい話を
お届けします。
クリスマスツリー
どうぞ、みなさま、
よいクリスマスを!




 リボンのついた小さな箱を胸に抱えて、その人は、寒風吹きすさぶ街角に立っていた。
 チラと腕にはめた時計に目を落としては、顔を上げて、通りの反対側に目をこらし、その目をゆっくり右に這わせ、左に這わせ、フッと息を吐いて、胸元の小箱に目を落とす。
 しばらく小箱を凝視していたかと思うと、再び、時計をチラと見て、またその目は通りの反対側に向けられる。
 彼女は、その動作をもう20分くらい繰り返していた。
 12月24日。午後6時20分。
 恋人たちの待ち合わせ場所として知られる、銀座のそのビルは、ブルーと白のクリスマスの電飾に彩られていた。その点滅が、待つ人たちの時を刻んでいる。
 青と白の点滅は、最初は人の心を躍らせ、時が経つとともに焦らせ、最後には、冷たくあざ笑う。
 20分という時間は、その人の心を焦らせ始めているように見えた。
 反対側からスクランブルを渡ってくる人の波が途切れるたびに、その目に浮かぶ不安の色が濃くなっていった。
 時折、紺色のワンボックスカーが、「○○人は出て行け!」と、大音量で憎悪の言葉を浴びせながら通り過ぎていく。ジュラルミンのコンテナいっぱいにPOPな絵を描き立てたトレーラーが、プロモーションの音楽を虚しくがなり立てながら、無駄な明るさを振りまいて走り去って行く。
 その後を、一段と冷たい風が追っていき、そのたびに、その小さな人待ち人は、ブルッと体を震わせた。

             クリスマスツリー

 私の手にも、ラッピングを施した小さな箱があった。
 その箱を手提げ式の紙袋に入れて、私も待ち人がスクランブルの向こうから現れるのを待っていた。
 次の信号で、私の待ち人は、通りの向こうに姿を現し、ペコリと頭を下げてスクランブルを渡って来た。
 小走りに――というのでもない。
 「15分ほど遅れます」というメールを受け取っていたが、その15分から、すでに7~8分が過ぎようとしていた。
 待ち人は、吹きつける北風から身を避けるように、コートの襟を立て、時折、足を止めて風をやり過ごし、私のところへやって来ると、「風、強くて……」と天候に不平をもらした。
 私の待ち人は、来た。22~23分遅れで。
 私と私の待ち人は、予約しておいたレストランで食事をするために、大通りを2本裏の通りへと向かった。
 もうひとりの「人待ち人」は、まだ小箱を抱えたまま、寒風に身を震わせながら、通りに目を凝らしていた。

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離脱屋「スケルトン」繁盛記〈1〉 彼女の元へ、魂飛ばします

ヴァギナph1

科学的に「臨死状態」を作り出して、魂を離脱させるという商売。
その「離脱屋」にひとりの客がやって来た。別れた彼女が幸せに
暮らしているか、離脱してそれを確かめたい、というのだ―― 


 妄想力ドリル〈R18版〉   第30講  離脱屋「スケルトン」繁盛記〈1〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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 オヤ、いらっしゃい。
 お待ち申し上げておりましたよ。
 あなたは、きっといらっしゃるだろう――と思っておりました。
 確か……そうそう、別れた彼女が、いまはどうしているか、幸せな日々を送っているかどうか、それを見きわめたい。そのために、離脱されたい――と、そういうご要望でしたよね。
 ええ、もちろん、ご覧になれますよ。
 ボディを離脱した魂は、あなたが気にする場所なら、どこへでも浮遊していくことができます。あなたが、ほんとうにその彼女の「いま」をご覧になりたいと思っていいらっしゃるのであれば、彼女の心が「いま、在るその場所」へと、飛んでいくことができます。

 ハイ……?
 幽霊になるのか?

 いえいえ、そういうオカルト的なことは、てまえどもでは取り扱っておりませんのですよ。
 というより、幽霊なんぞというものは、あれは、現実の人間の妄想が作り出す「仮想」にすぎません。てまえどもは、その存在さえも疑っておりますものですからねェ。

 最初に申し上げましたが、てまえどもが取り扱う「離脱」は、あくまで科学現象なのでございます。
 通常は、人が死の直前に体験する「幽体離脱」という現象を、科学的に作り出してさしあげましょう――というサービスなのでございます。
 そのためには、人工的に「臨死状態」を作り出す必要がございます。
 そのことについては、最初に、ご説明させていただきましたよね。
 ええ、なにしろ、人工的に――ではあれ、「臨死状態」を作り出すわけですから、それなりにリスクを伴います。
 「臨死」というのは、なにしろあなた、たいへんに微妙な医学的現象でありましてねぇ、ちょっとでもサジ加減を間違えたりしますと、そのまま、イッちゃったりするんでございますよね。
 あ、いや、もちろん、そんな事故が起こらないように、てまえどもも細心の注意を払うのですがね、万が一のことが絶対にない――とは申せません。
 なので、どちらさまにも、一応、こちらの「誓約書」に署名・捺印をお願いしておるのでございますよ。
 なに、大した内容ではございません。

 《わたくし、○○は、この「離脱体験コース」を自らの意思で受ける者であり、
 その結果生じる、精神的・身体的な障害及び、
 施術中の事故などによる死亡・後遺症などに関しては、
 その責任を当店に対して求めることも、その賠償を求めることも致しません。
 20××年×月×日
                              ○○○○》

 
 これだけです。
 よろしければ、こちらにサインをお願いいたします。

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彼女を、カレを、10キロやせさせる「魔法の言葉」

手と手

相手のモチベーションをくじいてしまう会話、というのがあります。
たとえば、近頃、太りすぎ…と感じる彼女やカレに、
あなたはこんな言葉で、その意志をくじいてはいませんか?


 愛の会話力レッスン   第27回(改訂版) 
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 たとえば、あなたの彼女や妻が、あるいはカレや夫が、最近、やけに太ってきた――と感じるとき、あなただったら、彼女または彼にどんな言葉をかけますか?
 どんな言葉で、注意を喚起しようとしますか?
 「みっともない」「ブタみたい」「抱く気にもなれない」――そんな厳しい言葉で、奮起を促そうとする人もいるかもしれませんが、これでは、事態の改善は望めません。 まずは、会話例を見てみましょう。

 会話例1  フロ上がりの夫のボディを見て、妻がため息をつきながら――

 ねェ、また太ったでしょ。ホント、みっともないわねェ、そのおなか。

 しょうがないだろ。ここんとこ、接待も続いてるし……。

 まったく、恥ずかしくて、一緒に外を歩けやしない。その、カバみたいな体で乗っかられる私の身にもなってよね。

 じゃ、もう乗っかるの止めるか。

 会話例2  ダイニングで、デザートのケーキをパクつく妻を見て、あきれた夫が――

 また、食ってるの? おまえって、ホント、人間バキュームみたいだな。よくそんなに、次から次に口に放り込めるもんだ。

 ええ、ええ。どうせ、人間バキュームですよ。とおの昔に、女は捨てました。

 まったくな。部長の奥さんのツメの垢でも飲んでほしいよ。あの奥さん、あの歳でビキニの水着、着るんだってよ。おまえにゃ……プフ……ムリだな、絶対……。

 さて、この夫、この妻は、パートナーの厳しい指摘に発奮して、ダイエットに励むことになるでしょうか?
 たぶん、あり得ない――と、筆者は思います。
 「カバみたい」「人間バキューム」……などとなじられた人間が、「よし、そんなこと言うなら」と一念発起する可能性は、きわめて低い。それどころか、「どうせ自分は……」と、ますます肥満街道を歩むキケン性のほうが高い、と筆者は思います。
 「ダメ」と言われた人間は、ますます「ダメ」になっていく――これは、肥満に限らず、あらゆることに共通する、人間心理の法則です。
 「ダメ」という言葉からは、どんなモチベーションも生まれないからです。

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ローズマリーの詩〈15〉 私を許してくれるなら…

コーヒーと女その人は、おじに何を
許してほしいのか? 彼女は口をつぐんだ…。


カレと会うべきか、否か? 悩む私に千里さんは、
「理解し合うチャンスを失うな」と言う。では千里さんは、
おじが望めば会うのか? 「許してくれるなら…」という
千里さんが口にした言葉が、胸に引っかかった…。



 小説/ローズマリーの詩 ――― 第15章 
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この話は連載15回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
   前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 雨が降ると、離れのおじの部屋からあの歌が聞こえてくる。調べてみると、それは『スカボロー・フェア』という曲だった。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。その日、おじが作った夕食は、その4種のハーブを使った「チキンの香草焼き」だった。食事が終わると、おじは私に1枚のDVDを渡した。『卒業』という名の映画のDVDだった。そこに登場するベンジャミンとエレーンを、おじはもしかして、おじとおじのかつての恋人にダブらせているのだろうか? 私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、しかし、彼が押し付けてくる「ふつうの幸せ」という形に耐えられなくなって、その結婚をドタキャンした。母に言わせれば、そんな私とおじは、「我が家の厄介者」だった。その厄介者のおじのところに、来客があった。「オウ、こないだ、彼女に会ったゾ」。その客が口にした言葉に、私は耳をそばだてた。私は、飲みに行くというおじたちについていった。おじたちに言わせると、私の鳴尾聡史は「青銅の騎士」なのだった。しかし、「騎士」としてその理想を追求する方法は、プロとして活動するばかりではない。プロにならなかった自分を責める必要はない、とおじたちは言う。おじの友人・尾崎さんの話だと、おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。私は、草野駅まで行ってみた。その人・真坂千里さんの店は「千の丘」といった。その店名は、『七つの水仙』という曲からとったという。そして、その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、どうやら、おじらしかった。そのおじに千里さんから習ったガーリックトーストを作って食べさせた。おじは、ただ「懐かしい味がする」と言っただけだった。そんなある日、一通のエアメールが届いた。アフリカからだった。鳴尾聡史が内乱に巻き込まれて負傷し、帰国する、という。会うべきか、会わざるべきか? 迷っている私をおじのひと言が後押しした。「命短し、恋せよ乙女かぁ。後悔するなよ、沙世ちゃん」。千里さんは、こう言った。「会って後悔するかもしれない。会わないと、もっと後悔するかもしれない。私だったら、会って後悔するほうを選ぶ」――。




 「会って後悔すること」は、せいぜい「失望すること」ぐらいしか考えられない。
 理想は「理想」のままで、夢は「夢」のままで残しておきたい――という気持ちも、どこかにはあるが、私もそこまで「お子ちゃま」ではない。
 それとも、昔の想いがよみがえって、だれかを傷つけることになる?
 でも、いまの私に、そんな「だれか」はいない。
 では、「会わなくて後悔すること」は――?
 おじの「エレーン」だったに違いない人は、まるで自分に言い聞かせるように口を開いた。
 「相手のほんとの心を知る機会を、永久に失ってしまう。自分のほんとの気持ちを伝えるチャンスも、永久に……。それって、とても、もったいないことだと思うわ。それにね、杉野さん……」
 そう言って、千里さんはカフェオレをひと口、飲んだ。飲んだ後のカップの中の波紋を、じっと見ている。ミルクとコーヒーの混ざり合った色に語りかけるように、その口が静かに開かれた。
 「人って、変わる……。自分でも変わるし、向き合う相手によっても変わる――と思うの。でもね、そのとき、たまたまそうであった自分の気持ちのために、その後もあるかもしれない会うチャンスを封印してしまったりすると、変わっていけるはずのチャンスも、変わっていくさまを見せるチャンスも、それを理解し合うチャンスも、全部、失ってしまうことになるのよね」
 千里さんの言葉は、自分に向かって語りかけているようにも見えた。
 もしかして、千里さんは、いまだったらベンジャミンと会う気になるかもしれない。訊くならいまだな――と思った。
 「あの……」
 改まった声を出したので、千里さんは、また女医さんの顔に戻って私を見た。
 「最初の質問に対する千里さんの答えは、どっちですか?」
 「最初の……? ああ、『七つの水仙』を歌ってくれた人の話?」
 「そうです。もし、その人が会いたいって言ってきたら、千里さんは……」
 「会うわ、許してくれるなら……」
 「許す? な、何を……?」
 「それは、言えないわ。本人にも、言ってないことだし……」
 それっきり、千里さんが口をつぐんだので、私は、おじと千里さんが会わなくなったほんとの理由を知ることができなかった。

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テーマ : 官能小説
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アメリカ南部に揺れる「奇妙な果実」の話


 不純愛トーク   第297夜  
人は、何かにつけて人を「差別」しようとします。その最大のものが「肌の色」による差別。前回からお届けしている「白人」による「有色人種」の差別です。今回は、アメリカの南部で特に激しかった「黒人差別」について、ビリー・ホリデイの代表曲 『奇妙な果実』 を取り上げながら、その実態について、お話してみます――。

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AKI さて、本日は、哲ジイがその青春時代を過ごした1960年代の話をするんですよね。

哲雄 2010年代も「青春」でありますが……。

AKI それは、「回春」でしょ? あ、もしかして「回青春」か……。

哲雄 フン、勝手にぬかしてろ。ところで、AKIクンは、『奇妙な果実』をご存じでしょうか?

AKI それって、フルーツ?

哲雄 英語で言うと、「Strange Fruit」ですが、残念ながら千疋屋で売っているわけではありません。売っているとしたら、CDショップですね。

AKI ということは、楽曲……?

哲雄 ハイ。ジャズ・ボーカル界の大御所、ビリー・ホリデイが歌って、全米にセンセーションを巻き起こした大ヒット曲です。

AKI 私、聞いたことないです。

哲雄 と思ったので、《You Tube》で探しておきました。それが、こちら。

ビリーホリデイ「奇妙な果実」――You Tubeより


AKI ものすごく、暗い曲ですね。

哲雄 暗いを通り越して、陰惨で、ショッキングな曲です。というのも、ここで歌われている「奇妙な果実」というのは、「人間の死体」ですから。

AKI エッ、死体……? 人間の……?

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テーマ : 愛し方・愛され方
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ローズマリーの詩〈14〉 会って後悔? 会わずに後悔?

コーヒーと女会って後悔するかもしれない。でも、
会わないともっと後悔するかもしれない…。


カレが銃弾を受けて、アフリカから帰国する。
会うべきか、会わざるべきか? 迷っている私に
おじは訊いた。マインドが折れてしまったかもしれない
カレを、丸ごと受け入れる覚悟はあるか――と。



 小説/ローズマリーの詩 ――― 第14章 
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この話は連載14回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
   前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 雨が降ると、離れのおじの部屋からあの歌が聞こえてくる。調べてみると、それは『スカボロー・フェア』という曲だった。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。その日、おじが作った夕食は、その4種のハーブを使った「チキンの香草焼き」だった。食事が終わると、おじは私に1枚のDVDを渡した。『卒業』という名の映画のDVDだった。そこに登場するベンジャミンとエレーンを、おじはもしかして、おじとおじのかつての恋人にダブらせているのだろうか? 私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、しかし、彼が押し付けてくる「ふつうの幸せ」という形に耐えられなくなって、その結婚をドタキャンした。母に言わせれば、そんな私とおじは、「我が家の厄介者」だった。その厄介者のおじのところに、来客があった。「オウ、こないだ、彼女に会ったゾ」。その客が口にした言葉に、私は耳をそばだてた。私は、飲みに行くというおじたちについていった。おじたちに言わせると、私の鳴尾聡史は「青銅の騎士」なのだった。しかし、「騎士」としてその理想を追求する方法は、プロとして活動するばかりではない。プロにならなかった自分を責める必要はない、とおじたちは言う。おじの友人・尾崎さんの話だと、おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。私は、草野駅まで行ってみた。その人・真坂千里さんの店は「千の丘」といった。その店名は、『七つの水仙』という曲からとったという。そして、その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、どうやら、おじらしかった。そのおじに千里さんから習ったガーリックトーストを作って食べさせた。おじは、ただ「懐かしい味がする」と言っただけだった。そんなある日、一通のエアメールが届いた。アフリカからだった。鳴尾聡史が内乱に巻き込まれて負傷し、帰国する、という。会うべきか、会わざるべきか? 迷っている私をおじのひと言が後押しした。「命短し、恋せよ乙女かぁ。後悔するなよ、沙世ちゃん」――。




 「あのね、おじさん……」
 私の声がいつになく神妙に聞こえたのだろう。おじは、「ウン……」とだけ答えて、私が話し始めるのを待ってくれた。
 「ちょうど、5年なの……」
 「もしかして、青銅の騎士クンの話かい?」
 言い当てられてしまった。
 仕方ないから、全部、話した。
 「彼が帰国するんだ」と言うと、おじは「ウ~ン……」とわざとらしくうなってから言った。
 「少なくとも、威風堂々の凱旋ってわけじゃなさそうだね」
 「茶化さないでよ、おじさん」
 怒ってはみたものの、鳴尾聡史の手紙の文面は、おじが言うとおり、「凱旋」というのにはほど遠いと感じられた。
 「負傷したのはどこだって?」
 「脚。左脚を弾が貫通したって」
 「歩けるの?」
 「いまは、松葉杖が必要だけど、リハビリすれば、歩けるようになるだろうって」
 「ま、外傷は、大したことない――と。問題は……」
 おじはそこで口をつぐんだが、言おうとしたことは薄々ながらわかった。
 それは、鳴尾聡史の手紙を目にしたとき、行間から、何となく匂っていたことでもあった。
 「迷ってるんだね?」
 「エッ……?」
 「かつて、彼の誘いを断ってしまった自分が、いまさら、どの面下げて会うのか――と、沙世ちゃんは自分に問いかけている。違うかい?」
 「ウン。まぁ……」
 見抜かれてしまった――と、ちょっとくやしかった。
 しかし、おじは、むしろ、その先のことを心配しているのだった。
 「沙世ちゃん、覚悟はある?」
 「エッ、覚悟?」
 「ウン、覚悟。もしかしたら、彼は、かつてのような青銅の騎士じゃなくなってるかもしれない。受けた体の傷は大してシリアスな状態じゃないにしても、騎士としてのマインドは、折れてるかもしれないでしょ。その傷ついた戦士を、沙世ちゃん、まるごと受け止めてあげる覚悟はできてる?」
 ちょっと意外な質問だった。
 覚悟――と言われて、少しひるんでいると、おじは、声のトーンを落として続けた。
 「な~んてね。エラそうに言っちゃったけど、沙世ちゃんには、ボクがいまだに抱き続けているような後悔をしてほしくはないんだ。ホンネを言うと、行けェ~、ベンジャミン! かな」
 あの……おじさん。私、女の子よ。
 ベンジャミンじゃなくて、エレーンなんですけど――と思ったけど、細かいことは気にしないことにした。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

「アナル」は、ただの「膣の代用品」ではないらしい

手と手 

世の中には、性交に、好んでアナルを使いたがる
人たちがいます。その理由は? 危険性は…?


 性とエッチの《雑学》file.123   R15 
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。15歳未満の方はご退出ください。

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 「肛門」には、「快感」を感じる神経的仕組みがある――という話を、前回はさせていただきました。
 それゆえ、「中絶」が禁止されていたキリスト教の世界では、「膣の代用品」として使われることがあり、また、「ヴァギナ」を持たない男性同士の性愛でも、「代理膣」として使われてきた――という話をしました。

 まだ、お読みでない方は、こちらをご参照ください。
 【参考記事】 性とエッチの雑学File-122『人類は、なぜ、「肛門性交」を好むようになったのか?』

アナルセックス異性間 さて、今回は、この「アナル・セックス」が、通常の男女のプレーとしても楽しまれる場合がある――という話をしようかと思うのですが、中には、「どうして?」と思う人もいるかもしれません。

 「穴」に入れたいのなら、「ヴァギナ」があるじゃないか。
 なんで、わざわざ、バッチイ肛門を使いたがるんだ?


 しごく当然の疑問だと思います。
 しかし、これには、聞けばナットク――の理由もあるんですね。

なぜ、「ヴァギナ」を使わず、「肛門」を使うのか?

 男性たちが挙げる理由は、主に、以下の3つに集約できます。

 [1]「アヌス」なら、妊娠の心配がない。
 これについては、前回もお話しました。特に、「中絶」を禁止していた西洋のカトリックの世界では、「アヌス=肛門」は、妊娠を心配しなくていい「膣代用品」として盛んに使われた(いまも使われている?)――と言われています。
 ま、これは「必要は発明の母」ということで、わからないわけじゃありません。

 [2]「タブー」を犯すことで「征服感」が得られる。
 西欧でも、イスラムの世界でも、「肛門性交」は「ソドミー」として禁止されていました(アメリカ合衆国でも2003年までは、多くの州が法律で禁止していました)。
 その禁を破る――ということに、ある種の性的興奮を覚えるということもあるかもしれませんが、それよりも大きいのは、「征服感」だろうと思います。
 肛門に挿入される――ということには抵抗を感じる人(男女ともです)も多いだろうと思うのですが、そこに自分のペニスを突き立てることで、その相手を「征服」したような気分になれる。その征服感が大きい、と語る人もいました。

 [3]「肛門」のほうが「ヴァギナ」よりも「締まり」がいい。
 これは、生理学的にも事実だろうと思います。「肛門」と「膣」では、括約筋のパワーが違います。なにしろ、「肛門括約筋」は、硬いウンコもぶっちぎらなくちゃならないし、いまにももれそうなやつを必死で食い止めたりしなくちゃならないわけですから、その力ときたら、ハンパない。
 特に、彼女の「ヴァギナ」が何らかの理由で「締めつけ力」を失った――などという場合には、より強い「締めつけ」の快感を求めて、「アヌス」を求める男がいることも、理解できないわけではありません。

 [4]腸壁を通して、未知の快感が得られる。
 [1]~[3]は、主に、「肛門」そのものを使用する理由でしたが、もっと深い理由を挙げる人もいました。そして、こちらは、「挿入する側」よりも「挿入される側」が挙げる理由。ペニスを深く挿入されることによって、腸壁が刺激され、その腸壁を隔てて、ある快感スポットが刺激を受ける。それがいい――というのです。
 これについては、少し、説明が必要かもしれません。

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囚われのジャンヌ〈6〉 死を覚悟の「男装」

ヴァギナph1

「夜ごとイギリス兵たちにこの体を辱められ……」と、
ジャンヌは「男装」の理由を弁明したが、聞き入れられなかった。
禁を犯したジャンヌには、「死」の裁定が下された――


 妄想力ドリル〈R18版〉   第29講  囚われのジャンヌ〈終章〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載6回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

はじめに
日本の鎌倉時代から応仁の乱前夜の室町時代にあたる14~15世紀、イギリスとフランスは、「百年戦争」と呼ばれる長い戦乱状態にありました。たがいの国内の王位継承などをめぐる勢力争いも絡んで、延々と続く闘いの日々。そんな中で、オルレアン候・シャルル7世を助けて、フランス王位につけ、国土を統一しようと立ち上がったのが、ジャンヌ・ダルクでした。ジャンヌの精力的な働きで、オルレアン軍はイギリス軍とその同盟関係にあるブルゴーニュ軍を次々と撃破していきます。しかし、2年後、ジャンヌは囚われの身に。イギリス軍の城に幽閉されたジャンヌは、異端審問にかけられ、「男装の異端者」として処刑されます。本作品は、その史実をヒントに書かれたフィクションです。

 やがて、2回目の審問が開かれた。
 審問官たちの尋問の矛先は、ジャンヌが法廷で誓いを立てたにもかかわらず、再び「男装」に戻ったことに向けられた。
 異端審問では、被告が異端を認め、心からの改悛の意を示せば、死罪を免れる。
 すでにジャンヌは、1回目の審問で、その改悛の意思を示して、「二度と男装はしない」ことを誓っていた。その「禁」を破った。
 コーションたちは、そこを鋭く追及した。
 追及されたジャンヌは、涙ながらに訴えた――という。

 「もし、私の身を修道院内にとどめ置いてくだされたならば、このようなことにはいたらなかったでありましょうに」
 「この期に及んで、申し開きをいたすのか?」
 「しかし、判事さま。私の身は、度重なる辱めを受けたのでございます。イギリス兵たちによって、来る夜も、来る夜も、繰り返し、繰り返し……」
 「それは、そなたが望んだのではないのか? 看守たちを誘惑して、身の自由を得ようとしたのではないのか?」
 「そのようなことは、考えも及びませんでした。あの者たちは、暴力をもって私の衣服を剥ぎ、私の貞操を踏みにじったのでございます。無理やりに、口汚くののしりながら、何人も、何人も……」
 「看守どもが申すには、そなたも、肉の喜びに震えておった――と聞くが……」
 「とんでもないことでございます。私は、苦痛と屈辱に震えていたのでございます。あのような辱めに耐えることは、とても……。それで、罪を重ねることとは知りながら、修道士さまに、男装に戻させてください――とお願い申し上げました。もう、私は、あのような屈辱には、もう、わたくしは……」

 言いながら、あの女は、被告人席に泣き崩れ、その声が廷内に響き渡ったのだそうだ。

 「その結果、どのような審判が下るかは、存じておったのだな?」
 「はい、存じて……おりました。覚悟は、できております。あのような屈辱に耐えよ、と仰せられるのであれば、むしろ、死を与えていただきたい……と」

 それが、あの女の最後の弁明だった。
 やがて判決が下り、「オルレアンの聖少女」は火刑に処せられることとなった。「火刑」にするということは、遺体を灰にしてしまうということだ。
 灰にしてしまうのは、その亡骸が二度と復活できないようにするということだ。
 オレたちキリスト教徒にとって、それは、もっとも過酷な処罰ということになる。
 それくらい、おエラ方は、あの女の復活を恐れていた――ってわけだ。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

「寝た女の数」を自慢する男、隠す男。その本心

女の子ヘッドホン  男の本心・女の本心~13〈改訂版〉 


「寝た女の数」を「千人斬り」などと自慢したがる男がいます。
一方では、それを必死で隠そうとする男もいます。今回は、
そんな男の態度の裏に隠されたメタ・メッセージを探ってみます。


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 世の中には、2種類の男がいます。
 ひとつは、

 寝た女の数を自慢したがる男。

 もうひとつは、

 寝た女の数を隠したがる男。

 ほぼ半世紀にわたる観察の結果、不肖・長住、気づきました。

  「自慢したがる男」が挙げる「寝た女の数」は、最低でも2倍、ひどいやつになると10倍ぐらいには偽装されている。

 そして、

  「隠したがる男」は、実は、ひそかに驚くほど多くの女をものにしている。

 こいつら、絶対、何か隠してる。
 いったい、何を?
 今回は、その話です。

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ローズマリーの詩〈13〉 飛んでいきたい。でも、その羽が重い

コーヒーと女5年という歳月は、愛を育てるのか?
迷う私に、おじはひと言、「後悔するなよ」と言った。


負傷して帰国するという、かつて私が愛した男。
会うべきか、会わざるべきか、迷っていると、
ブリ大根を作っていたおじが、ボソリと言った。
「命短し、恋せよ乙女かぁ。後悔するなよ」――。



 小説/ローズマリーの詩 ――― 第13章 
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この話は連載13回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
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ここまでのあらすじ 雨が降ると、離れのおじの部屋からあの歌が聞こえてくる。調べてみると、それは『スカボロー・フェア』という曲だった。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。その日、おじが作った夕食は、その4種のハーブを使った「チキンの香草焼き」だった。食事が終わると、おじは私に1枚のDVDを渡した。『卒業』という名の映画のDVDだった。そこに登場するベンジャミンとエレーンを、おじはもしかして、おじとおじのかつての恋人にダブらせているのだろうか? 私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、しかし、彼が押し付けてくる「ふつうの幸せ」という形に耐えられなくなって、その結婚をドタキャンした。母に言わせれば、そんな私とおじは、「我が家の厄介者」だった。その厄介者のおじのところに、来客があった。「オウ、こないだ、彼女に会ったゾ」。その客が口にした言葉に、私は耳をそばだてた。私は、飲みに行くというおじたちについていった。おじたちに言わせると、私の鳴尾聡史は「青銅の騎士」なのだった。しかし、「騎士」としてその理想を追求する方法は、プロとして活動するばかりではない。プロにならなかった自分を責める必要はない、とおじたちは言う。おじの友人・尾崎さんの話だと、おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。私は、草野駅まで行ってみた。その人・真坂千里さんの店は「千の丘」といった。その店名は、『七つの水仙』という曲からとったという。そして、その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、どうやら、おじらしかった。そのおじに千里さんから習ったガーリックトーストを作って食べさせながら、おじに訊いてみた。「昔、『七つの水仙』という曲、歌ってた?」。おじは、「そんなこともあったかねェ」ととぼけながら、その視線ははるかな時空をさまよった。次の週、再び、「千の丘」を訪ねた私に、千里さんは、ブルスケッタを作ってくれた。そのブルスケッタを日曜日、おじに食べさせた。おじは、ただ「懐かしい味がする」と言っただけだった。その午後、一通のエアメールが届いた。アフリカからだった。鳴尾聡史が内乱に巻き込まれて負傷し、帰国する、というのだった――。




 会うべきか?
 それとも、いまさら会うべきではないのか?
 そもそも、自分に、いまさら彼と会う資格があるのか?
 5年前、「卒業したら、ボクと一緒にアフリカに行かないか?」と言ってくれた鳴尾聡史の誘いを、自分は断った。
 勇気がなかったから……?
 目の前のありふれた平和にしがみついていたかったから……?
 たぶん、どっちもあった。
 おじと尾崎さんが、「思想のプロ」と言ったその「プロ」になる覚悟が、私にはなかったのだ。
 しかし、おじたちが「青銅の騎士」と言ってくれたその男は、体に傷を負って、日本に帰って来る。
 飛んででも会いに行きたい、という気持ちはあった。
 でも、その羽が、ちょっと重たい――。

        

 「どうした、浮かない顔をしてるね?」
 私は、もしかして、ロダンの「考える人」みたいになっていたのだろうか?
 夕食にブリ大根を作っていたおじが、キッチンに下りてきた私を見て、声をかけた。
 「ウン、ちょっと……」
 おじの鍋から、しょうゆのいい香りが立ち上っていた。
 鍋の中では、大根がアメ色に輝いている。
 「ウワッ、大根、いい色になってる。おいしそう!」
 「だろ? こいつは、味が滲みてうまいぞォ」
 「あれ? おじさん、これ、きのうから煮てなかった?」
 「そうだよ、沙世ちゃん。こういう煮物はさぁ、煮てすぐ食べても、あんまりうまくないんだ」
 「エッ、そうなの?」
 「一度、味をつけて煮たやつを、ひと晩、冷ましてやる。冷ますと、それまで温められて広がっていた材料の繊維、特に大根だな。こいつが、ウッ、冷えてきた……と思って、身を縮めるんだけどね、そのときに、糖分とか塩分とかの味の分子をその繊維組織の中に取り込んでしまうんだね。これが、味が滲みるということの科学的意味であ~る、なんちって……」
 ブリ大根が、思った味に仕上がっているせいだろうか、おじはちょっと饒舌だった。
 「そうして味が滲みたところへ、もう一度、火を通してやる。そうするとね、再び、繊維が広がって、そこへまた、新たに味が入り込んでいく。ほんとはさぁ、これを2、3回繰り返すといいんだよなぁ。しかし、腹を空かせた客は、それが待てない……と来たもんだ」
 おじは、ブリ大根の話をしながら、何か別のことを言おうとしている――と思った。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

「肌の色」が「差別」の理由になった時代


 不純愛トーク   第296夜  
人が人を差別するのには、さまざまな理由があります。前回は、「なぜ、ユダヤ人は差別されたのか?」という話をしましたが、今回は、「肌の色による差別」の話。アメリカ合衆国で、黒人を中心とする「有色人種」が差別されてきた理由と、その歴史について、語り合ってみます――。

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AKI 前回は、なぜ、ユダヤ人が差別されたのか――という話をお聞きしました。その差別の根っこには、ユダヤ人がその宗教とともに頑なに守り続けてきた「選民思想」がある――という話でしたよね。

哲雄 と同時に、国を失ったユダヤ人たちが、「金貸し」をナリワイとするようになり、銀行業を興して世界の金融を牛耳るようになっていった。そのことへの怨嗟もあるのではないか――という話をしました。実際、21世紀のいまでも、IMF(世界通貨基金)を動かしているのは、ユダヤ資本だと言われてますからね。

AKI その「ユダヤ差別」と「黒人差別」とは、質の異なる差別である――という話でしたよね?

哲雄 どちらも「人種差別」であることには変わりないのですが、「ユダヤ差別」のほうが「文化的・宗教的差別」とするなら、「黒人差別」のほうは、「皮膚的差別」と言っていいかと思います。

AKI 皮膚的差別――ですか?

哲雄 ハイ、文字通り、皮膚の色による差別です。差別されていたのは「黒」だけではありませんよ。「黄」も、差別の対象となりました。「黒」ほどではありませんけどね。

AKI 「黄」っていうのは、中国人とか、日本人とか……?

哲雄 要するに、「黄色人種」ですね。日本人などは、「イエロー・モンキー」とか、最近では「イエロー・キャブ」などと言われて、差別されてきました。

AKI 「モンキー」とか「キャブ」ですか?

哲雄 「モンキー」のほうは、「何でもマネしたがる黄色いやつら」みたいな意味だし、「キャブ」のほうは、「だれでも乗せちまう黄色い尻軽女たち」という意味で使われました。

AKI 「白」は、「黒」も「黄」も差別するんですね?

哲雄 「肌の色」ってのは、生理的な問題でもあるからね。ま、「黒いのは苦手」とか、「黄色いのは苦手」という感覚があるのは、仕方のないことだと思います。日本人だって、西洋人は「赤鬼」とか「毛唐」と言って嫌ったわけですから。でもね、ただ「苦手」というのと、「差別する」というのは、根本的に別の問題です。

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テーマ : 愛し方・愛され方
ジャンル : アダルト

囚われのジャンヌ〈5〉 夜ごとの辱めの果てに

ヴァギナph1

あの夜以来、イギリス兵たちは、夜ごと、ジャンヌの体に
群がった。その姿は、オレでさえ憐みを感じるほどだった。
そんなある夜、ジャンヌはついに、修道士に懇願した――


 妄想力ドリル〈R18版〉   第29講  囚われのジャンヌ〈5〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載5回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

はじめに
 日本の鎌倉時代から応仁の乱前夜の室町時代にあたる14~15世紀、イギリスとフランスは、「百年戦争」と呼ばれる長い戦乱状態にありました。たがいの国内の王位継承などをめぐる勢力争いも絡んで、延々と続く闘いの日々。そんな中で、オルレアン候・シャルル7世を助けて、フランス王位につけ、国土を統一しようと立ち上がったのが、ジャンヌ・ダルクでした。ジャンヌの精力的な働きで、オルレアン軍はイギリス軍とその同盟関係にあるブルゴーニュ軍を次々と撃破していきます。しかし、2年後、ジャンヌは囚われの身に。イギリス軍の城に幽閉されたジャンヌは、異端審問にかけられ、「男装の異端者」として処刑されます。本作品は、その史実をヒントに書かれたフィクションです。

 腹の底から湧き上ってきたものを、最後のひとしずくまで女の体の中にブチ込むと、オレは、ゆっくり体を離した。
 女は、吊るされた両手の鎖を握り締めたまま、ヒクッ、ヒクッ……と断続的に襲ってくる痙攣に、体を震わせている。
 その口をワナワナと震わせながら、女は、口の中で何かを唱えていた。

 「お許しを、お許しを……」

 オレの耳には、そう聞こえた。
 その口をヴィンセントが塞いだ。ヒゲで覆われた口で女の口を塞ぐと、ヴィンセントは女の頭を鷲づかみにして、もぐもぐと口を動かした。
 ヴィンセントの大きな口で唇を塞がれ、舌を絡め取られ、息ができないのか、女は両足をバタバタとさせて、苦しそうにもがいている。
 その左足を、ヴィンセントはクイと持ち上げ、肩にかついで、ホーズをひざまで下した。「馬並み」と評されるイチモツが、拘束を解かれて、ビンと反り返った。
 オレとジャックは、それを見て目を丸くした。
 「あんなものを、突き立てられちゃ、あいつ、ぶっ壊れちまうぜ」と、ジャックが心配そうな、しかし、半分はそれが見ものだぜ――という顔をして見せた。
 女のカントからは、男2人の放った精液が溢れ出し、ミルク色に滴っていた。それに、出血した血の色が、つぶしたイチゴのように混じって見えた。
 そこへ、ヴィンセントはグイッ……と、腰を割り入れた。

 「ンギャ――ッ!」

 女が挙げた声は、断末魔の叫びのようだった。
 その叫び声を愉しむように、ヴィンセントのやつは、これでもか――とばかり、尻を動かした。

 「ウエッ、ウエッ。ウギャ――ッ! ノォッ、ノ――ッ!」

 オレとジャックは、ヴィンセントが女を責め殺してしまうんじゃないか――と心配した。
 そんなことになったら、オレたちはたぶん、ただじゃすまない。
 しかし、オレたちは止めなかった。
 どこかに、この憎たらしいフランス女を、とことん責め抜いてやりたい――という気持ちもあった。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

ローズマリーの詩〈12〉 愛の戦士。傷だらけの帰還

コーヒーと女おじが『七つの水仙』を奏でた午後、
かつて愛した男から、帰国の知らせが届いた。


おじの部屋から聞こえてくる歌が、『七つの水仙』に
変わった。そのおじに、私は千里さんから教わった
ブルスケッタを作って食べさせた。その午後、一通の
封書が届いた。アフリカの鳴尾聡史からだった…。



 小説/ローズマリーの詩 ――― 第11章 
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この話は連載12回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
   前回から読みたい方は、⇒こちらからどうぞ。

ここまでのあらすじ 雨が降ると、離れのおじの部屋からあの歌が聞こえてくる。調べてみると、それは『スカボロー・フェア』という曲だった。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。その日、おじが作った夕食は、その4種のハーブを使った「チキンの香草焼き」だった。食事が終わると、おじは私に1枚のDVDを渡した。『卒業』という名の映画のDVDだった。そこに登場するベンジャミンとエレーンを、おじはもしかして、おじとおじのかつての恋人にダブらせているのだろうか? 私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、しかし、彼が押し付けてくる「ふつうの幸せ」という形に、私は耐えられなくなって、その結婚をドタキャンした。母に言わせれば、そんな私とおじは、「我が家の厄介者」だった。その厄介者のおじのところに、来客があった。「オウ、こないだ、彼女に会ったゾ」。その客が口にした言葉に、私は耳をそばだてた。私は、飲みに行くというおじたちについていった。おじたちに言わせると、私の鳴尾聡史は「青銅の騎士」なのだった。しかし、「騎士」としてその理想を追求する方法は、プロとして活動するばかりではない。プロにならなかった自分を責める必要はない、とおじたちは言う。おじの友人・尾崎さんの話だと、おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。私は、草野駅まで行ってみた。その人・真坂千里さんの店は「千の丘」といった。その店名は、『七つの水仙』という曲からとったという。そして、その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、どうやら、おじらしかった。そのおじに千里さんから習ったガーリックトーストを作って食べさせながら、おじに訊いてみた。「昔、『七つの水仙』という曲、歌ってた?」。おじは、「そんなこともあったかねェ」ととぼけながら、その視線ははるかな時空をさまよった。次の週、再び、「千の丘」を訪ねた私に、千里さんは、ブルスケッタを作ってくれた。おじが『七つの水仙』は反戦歌だと言っていた、という話をすると、千里さんは「そんなことを言う人たちもいたわねェ」と答えるだけだった――。




 あ、歌が変わった――。
 離れから聞こえてくるおじの歌が、いつもの『スカボロー・フェア』じゃなかった。

 〈アイ・ハヴント・エニィ・マンション……〉

 『七つの水仙』だった。
 もしかして、こないだ、私がチラ……と口にしたから、おじさん、「青銅時代」を思い出しちゃった?
 そして、千里さんのことも?
 もし、自分がその頃の千里さんだったら、どんな気分でおじが歌うこの曲を聞いていただろう?
 とつとつと歌うその歌い方は、けっして嫌いじゃない――かな?
 それとも、まぁ、素敵ないい歌だわぁ――だろうか?
 こないだ訊いたときには、「忘れた」なんて言ってたくせに、しっかり覚えてるじゃない。
 やっぱり、歌ってあげてたんだ、あの人に――。

 そう思って耳を傾けていると、突然、おじは弦をジャン……とかき鳴らして、「あ~あ」とため息をつき、歌うのを止めてしまった。
 それから、ブッと大きな音でおならをして、庭に下りてきた。
 私と目が合うと、「何だ、聞いてたのか?」という顔をして、ほとんど髪のない頭をクルッと撫でた。
 「聞いちゃった……」
 「まいったな。きのう、フライド・ポテト食いすぎちゃってさ」
 「そっちじゃなくて……」
 「エッ……?」
 「やっぱり歌ってたんじゃない、あの曲。忘れた――なんて言ってたくせに……」
 「ああ、あれかぁ」
 「どうして途中で止めちゃったの? 私、聴いてたのに……」
 「おとなの事情」
 それだけ言うと、おじはまた、部屋に引っ込もうとする。
 「ね、おじさん」と、私は丸まった背中に声をかけた。
 「昔、だれかに歌ってあげたりしたの、その歌?」
 丸まっていた背中がビクッ……となった。
 「そんなこともあったかもしれないねェ……」
 「もしかして、おじさんが好きだった人とか?」
 一瞬、おじの足が止まったが、おじはそのまま、何も答えずに部屋に入ってしまった。
 クソーッ、いつか、吐かせてやる。
 その背中を見ながら、私は口の中でつぶやいた。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

カレの話に出て来る「お母さん」とは、闘ってはいけない

手と手

カレとの会話の中には、しばしば「カレのお母さん」が登場します。
実は、この「お母さん」の取り扱いが、とてもむずかしいんですね。
ヘタな触れ方をすると、カレをムッとさせて……。


 愛の会話力レッスン   第26回(改訂版) 
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 男と女の間で何かとぶつかる会話。
 そのひとつに「カレのお母さん」をめぐる会話があります。と言っても、カレのお母さんが「好き」とか「嫌い」といった話ではありません。
 ぶつかり合うのは、「私のやり方」と「カレのお母さんのやり方」です。
 まずは、よくある会話例を2つほど、挙げてみましょう。

 会話例1  ある日のダイニング。冷蔵庫の中を整理していた妻が夫に

 ねェ、こないだ、お義母さんが持ってきてくれたニンニクのしょうゆ漬けなんだけどさぁ、これ、捨てちゃっていいかなぁ。

 捨てる……って、おまえ、それ、うまいんだゾ。うちじゃ、万能調味料だって言って、オフクロは、炒め物にも煮物にも使ってたんだ。おまえもやってみろよ。

 いやだよ。私、ニンニクのニオイって、好きじゃないもん。もぉ、こんなに持ってきちゃって、冷蔵庫のジャマになるだけだし……。

 ジャマ……って、おまえ……。


 会話例2  ファミレスで目玉焼きの食べ方をめぐって

E美 (ウエートレスに)すみません。マヨネーズ、もらっていいですか?

T男 エッ、おまえ、目玉焼きにマヨネーズかけるの?

E美 そうだよ。これが、けっこう、うまいんだから……。

T男 ゲッ! 信じらんね。オフクロは、目玉焼きにはゼッタイ、しょうゆだって言ってたゾ。

E美 古いのよ、あんたのお母さん。そういう頭の固い人は、私、ちょっと苦手。

T男 おまえなぁ……(ムスッ)。

 ある、ある……というパターンの会話ですよね。
 嫁・姑バトルは、この種のちょっとした行き違いから始まったりしますから、初期に修正しておかないと、後々、大変な問題にも発展しかねません。
 さて、この2つの会話例で問題になっているのは何でしょう?
 一見、問題は、《彼女のやり方》カレのお母さんのやり方》のズレ――というふうに見えるのですが、問題の本質は、そこにはありません。
 対決しているのは、《嫁(彼女)vs姑(カレのお母さん)》ではなく、《彼女vs母をリスペクトするカレ》なのです。ここを見誤ると、この種のスレ違いは、永久に解決することができません。

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囚われのジャンヌ〈4〉 屈辱に濡らされた花弁

ヴァギナph1

鎖に繋がれ、自由を奪われたジャンヌの体を、公爵は弄んだ。
血に濡れていくフランスの可憐な花弁。勝ち誇った公爵は、
オレたちに言った。「オイ、もうたっぷり濡らしてあるゾ」――


 妄想力ドリル〈R18版〉   第29講  囚われのジャンヌ〈4〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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この話は、連載4回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

はじめに
 日本の鎌倉時代から応仁の乱前夜の室町時代にあたる14~15世紀、イギリスとフランスは、「百年戦争」と呼ばれる長い戦乱状態にありました。たがいの国内の王位継承などをめぐる勢力争いも絡んで、延々と続く闘いの日々。そんな中で、オルレアン候・シャルル7世を助けて、フランス王位につけ、国土を統一しようと立ち上がったのが、ジャンヌ・ダルクでした。ジャンヌの精力的な働きで、オルレアン軍はイギリス軍とその同盟関係にあるブルゴーニュ軍を次々と撃破していきます。しかし、2年後、ジャンヌは囚われの身に。イギリス軍の城に幽閉されたジャンヌは、異端審問にかけられ、「男装の異端者」として処刑されます。本作品は、その史実をヒントに書かれたフィクションです。

 鎖に拘束されて身動きのとれないジャンヌを、公爵は、執拗に責めた。
 ヒョコヒョコと動く公の白いケツの下から、脚を抱え上げられた女の陰部が見えた。
 イチモツをねじ込まれて無残に割られたジャンヌのカントが、血の色に染まっていくのが見えた。

 「カモーン、カモーン!」 

 雄叫びを挙げながら、動きを速める白い尻。
 女は、公の筒先から放射されるものを避けようと、必死で腰を捩るが、その抵抗には意味がなかった。

 「ノン、ノン。ノォ――ッ!」

戴冠式のジャンヌ 女の挙げる声が、呼吸の速度に合わせて速くなり、鋭くなった。
 公の尻の動きも、速く、大きく、鋭くなった。

 「ウオーッ! ウオーッ!」

 公は、最後には、獅子のような吠え声を挙げて、尻を震わせた。
 その尻がゆっくり脱力していく。
 公は、しばらく女の体に覆いかぶさっていたが、やがて体を起こすと、短く刈られた女の髪をむんずとつかんで、その耳に勝ち誇ったような声を浴びせた。

 「もう、だれも、そなたを『聖処女』などとは呼べぬであろう。思い知ったか、田舎娘めが」

 公爵は、ゆっくり尻を女の腰から離し、精液のしたたるイチモツをホーズの中にしまい込んで、パンパンと手を払った。
 まるで、汚いものに触れてしまった――というようなしぐさだった。
 ぐったりとなった女の尻の下の白いコルセには、血が滲んでいた。それは、「オルレアンの乙女」が、公爵の手によって破瓜された――ということの証だった。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

人類は、なぜ、「肛門性交」を好むようになったのか?

手と手 

エッチに肛門を使う文化。実はこれ、ギリシャ以来の
伝統らしいのです。その理由を探ってみました。


 性とエッチの《雑学》file.122   R15 
このシリーズは真面目に「性」を取り上げるシリーズです。15歳未満の方はご退出ください。

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 快楽のために、肛門を使って性行為を楽しもうとする人たちがいます。
 決して「少数派」ではないだろうと思います。
 指でくすぐったり、その指をちょっとだけ肛門の入り口に潜り込ませる――程度であれば、だれでも、多かれ少なかれ、したりされたりしたことがあるのではないでしょうか?
 しかし、中には、そこに性器を挿入しようとしたり、指をその根元近くまで挿入しようとしたり、ディルド(男性器の形をした性具)を挿入しようとしたりする人たちもいます。
 何のために……?
 もちろん、気持ちがいいから――です。
 しかし、ほんとに、そこは気持ちがいいのでしょうか?
 まずは、そのあたりから「真相」を究明してみようと思います。

「肛門」は、ほんとうに気持ちがいいのか?

 ご存じのとおり、「肛門」は「排便」のための器官です。
 エッチのために作られた器官ではありませんから、そこに快感のための仕組みが備わっているとは思えないのですが、ただ、そこは、神経が集中している場所でもあります。
 便がちゃんと排泄されているか? それは、硬いか、軟らかいか? どれくらいの量が出たか?――などを感知するためのセンサーが、密に配置されています。
 あ、いま、便の中にスイカの種が混じってた――なんてことも、ちゃんと感知できるわけですね。優秀っちゃあ、優秀。敏感っちゃあ、敏感なヤツです。
 敏感なので、そこを指先などサワッ……と撫でられたりすると、筆者などは背中がゾクッ……となります。
 オイルを塗られて、ツツーッとなぞられたりした日には、つい、腰が浮いてしまったりなんかします。
 性感マッサージとかメンズ・エステとかのサービスでは、必ずコースの中に取り入れられているサービス……らしいですよ、私は知りませんけどね(  )。
 この気持ちよさは、人によるかもしれませんが、肛門の外側だけでなく、肛門入口近くの内壁あたりでも感じるようです。

 それにしても……です。みなさん、不思議ではありませんか?
 性器でもない肛門周囲が、なぜ、そんなに気持ちいいのか?
 以下は、私の推理なのですが、「排便」を「苦痛」だ――などと感じさせてしまっては、みんな便をガマンして「便秘」になってしまいますよね。
 なので、「排便」を「快感」であると感じさせるように、神経の配線も工夫されているのではないか。私は、そう思うのです。
 たとえば、肛門に配置された「触覚」が感知した情報は、大脳の「快楽中枢」に入力するような配線が出来上がっているのではないか――などと想像するのですが、これについては、残念ながら、それを裏付けるような文献は発見できませんでした。

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ローズマリーの詩〈11〉 愛の「ガーリック・トースト」

コーヒーと女「七つの水仙」で結ばれた
おじとその人の「愛の時代」。


かつておじも、この人が作ったガーリック・トーストを
「おいしい」と食べたのだろうか? 残念ながら、
それを千里さんに確かめるわけにはいかない。
しかし、千里さんはうれしいプレゼントをくれた…。



 小説/ローズマリーの詩 ――― 第11章 
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この話は連載11回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
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ここまでのあらすじ 雨が降ると、離れのおじの部屋からあの歌が聞こえてくる。調べてみると、それは『スカボロー・フェア』という曲だった。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。その日、おじが作った夕食は、その4種のハーブを使った「チキンの香草焼き」だった。食事が終わると、おじは私に1枚のDVDを渡した。『卒業』という名の映画のDVDだった。そこに登場するベンジャミンとエレーンを、おじはもしかして、おじとおじのかつての恋人にダブらせているのだろうか? 私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、しかし、彼が押し付けてくる「ふつうの幸せ」という形に、私は耐えられなくなって、その結婚をドタキャンした。母に言わせれば、そんな私とおじは、「我が家の厄介者」だった。その厄介者のおじのところに、来客があった。「オウ、こないだ、彼女に会ったゾ」。その客が口にした言葉に、私は耳をそばだてた。私は、飲みに行くというおじたちについていった。おじたちに言わせると、私の鳴尾聡史は「青銅の騎士」なのだった。しかし、「騎士」としてその理想を追求する方法は、プロとして活動するばかりではない。プロにならなかった自分を責める必要はない、とおじたちは言う。おじの友人・尾崎さんの話だと、おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。私は、草野駅まで行ってみた。その人・真坂千里さんの店は「千の丘」といった。その店名は、『七つの水仙』という曲からとったという。そして、その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、どうやら、おじらしかった。そのおじに千里さんから習ったガーリックトーストを作って食べさせながら、おじに訊いてみた。「昔、『七つの水仙』という曲、歌ってた?」。おじは、「そんなこともあったかねェ」ととぼけながら、その視線ははるかな時空をさまよった――。




 次の週、私の足は、また草野駅に向かっていた。
 向かいながら、ちょっとだけ思った。

 私って、いったい、何やってるんだろう?
 おじの昔の恋人に、野次馬的に興味があるから?
 それも、ないとは言えない。
 その人から、知恵を聞きたい?
 それも、ちょっとはある。
 何の知恵……?
 そこよね、問題は。

 私の顔を見ると、おじのかつての恋人に違いない人は、「あら…!?」という顔をした。
 「こないだのパン、おいしかったので、また来ちゃいました」
 「ほんと? そう言ってもらえると、うれしいッ」
 千里さんは、ほんとにうれしそうに笑った。笑うと、目尻にシワが寄るが、それでも、笑った顔は、まるで少女のように輝いて見えた。
 私は、「おいしかったから」と、今度はバゲットを2本買い、そして、ガーリック・トーストを注文してカフェに席をとった。
 「ハイ、お待ちどおさま」
 出てきたガーリック・トーストを見て、私は目を丸くした。トーストの上に粗みじんに切ったトマトが載り、みじん切りのバジルが振りかけてある。
 「あの、これ……?」
 驚く私に、千里さんがいたずらっぽい笑みを向けた。
 「おいしいってほめてくれたから、ブルスケッタにしてみたの。サービスよ」
 ひと口頬張ると、口の中にオリーブ・オイルとガーリックの香りが広がった。ヘーッ、バターじゃないんだ――と思っていると、千里さんは「あ、そうだ」という顔をして席を立った。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

「コンプレックス」は、告白したほうがラクに生きられる

抱き枕 心の抱き枕 〈17〉 

だれでも、何らかの「コンプレックス」を抱えています。
この「心の爆弾」は、隠そうとすればするほど、
生き方を窮屈にしてしまいます。では、どうすれば?
コンプレックスとの上手なつき合い方を考えてみました。


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 みなさんは、何か「コンプレックス」をお持ちですか?
 たいていの人は、1つや2つは抱えているだろうと思います。
 自慢じゃありませんが、筆者・長住などは、コンプレックスのショッピング・モールみたいなものです。

 足は短い、手はモミジ、頭はでかくて目は細い、鼻は低いし、髪薄い。
 高い所には登れないし、深いところにはもぐれない。
 それに、なにしろ……あれときた日にゃお子ちゃまサイズだし、しかも、チョー早い!


 フム……これだけそろってりゃ、ふつうは、世の中から身を隠してるよなぁ――と思うところですが、どっこい、そうはならない。
 こんなコンプレックスを抱えながら、しぶとく生きておりますです、ハイ。
 というより、そのコンプレックスを武器にして――と言ったほうが正しいかもしれません。
 今回は、そのコンプレックスの話をしてみようと思います。

温水洋一は、なぜ、ウケるのか?

 なぜか、役者の温水洋一さんが、若い女の子にも「かわいい」とウケているのだそうです。
 風貌はご覧のとおり(写真は、日本タレント名鑑より)。温水陽一
 二枚目でないことは、だれの目にも明らか。むしろ、「キモい!」とか言われてしまいそうなのですが、ところが、温水さんは、この風貌でバラエティなどにも出ていじられまくり、それがまた、人気になっているわけです。
 いじられるのは、独特の薄毛のせい――でもあろうかと思われるのですが、温水さんは、それをいやがる素振りも見せず(ほんとはイヤなのかもしれませんが)、むしろ、自ら自虐ネタにして、笑いをとったりしています。
 もし、この温水さんが、そのコンプレックスを隠そうとして、ヅラを着用したりしていたら、いまのような人気を得られていたでしょうか?
 私は、「NO」だろうと思います。
 だれもが隠したくなる「コンプレックス」(本人が、それを「コンプレックス」として意識しているかどうかはわかりませんが)を、隠蔽しようとしたりせず、笑いのネタにして見せているから、「いじられキャラ」として人気が出たのではないか――と、私は思うのです。
 ここに、コンプレックスとのつき合い方に関するヒントが秘められています。

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テーマ : 愛し方・愛され方
ジャンル : アダルト

囚われのジャンヌ〈3〉 公爵の処女検査

ヴァギナph1

女装のまま、オレたちイギリス軍の牢獄に鎖で繋がれた女を、
あのお方が訪ねてきた。奥方たちの「処女検査」が信用ならない
と言うのだ。公爵は、剣の鞘で女のコルセをめくりあげた―― 


 妄想力ドリル〈R18版〉   第29講  囚われのジャンヌ〈3〉

 R18  このシリーズは、性的表現が中心の官能読み物です。18歳未満の方は、ご退出ください。

 本シリーズは、筆者が「妄想力」を駆使して書き起こすフィクションです。登場する人物・団体などは、すべて架空のもの。実在する人物・団体・地名などとは、いっさい関係がありません。

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はじめに
日本の鎌倉時代から応仁の乱前夜の室町時代にあたる14~15世紀、イギリスとフランスは、「百年戦争」と呼ばれる長い戦乱状態にありました。たがいの国内の王位継承などをめぐる勢力争いも絡んで、延々と続く闘いの日々。そんな中で、オルレアン候・シャルル7世を助けて、フランス王位につけ、国土を統一しようと立ち上がったのが、ジャンヌ・ダルクでした。ジャンヌの精力的な働きで、オルレアン軍はイギリス軍とその同盟関係にあるブルゴーニュ軍を次々と撃破していきます。しかし、2年後、ジャンヌは囚われの身に。イギリス軍の城に幽閉されたジャンヌは、異端審問にかけられ、「男装の異端者」として処刑されます。本作品は、その史実をヒントに書かれたフィクションです。

この話は、連載3回目です。最初から読みたい方は、こちらから、前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 あの女は、戦場で見たのとはまったく違う姿で、オレたちの牢に連れられてきた。
 男まさりの甲冑姿ではなく、白っぽいリンネルのコルセ(・チュニック状のくるぶしあたりまでを覆うワンピース)に、上半身はボタン留めのボディス(・現在のコルセットの原型と思われる上衣)といういでたちだった。
ジャンヌ異端審問 オレたちは言われるままに、女の両足首にそれぞれ鉄の輪をはめ、その鎖をベッドの脚に括りつけて、固定した。
 両手にも手錠をかけて、その端を壁のフックに結びつけた。
 開かされたまま鎖につながれた女の脚は、太ももの形を浮き上がらせている。その奥で、女の下腹がこんもりとした盛り上がりを見せている。
 両手を吊るされた女の胸は、ボディスの上から、豊満なふくらみの存在を窺わせている。
 その姿は、どう見ても、色気づいた田舎娘だ。
 こんな小娘に、オレたちはやり込められてたのか――と思うと、ちょっと腹立たしい。
 しかし、この体つき、ちょっぴりそそられるぜ。そう思って眺めていると、口からよだれが垂れそうになる。あれも、むずむずしてきやがる。
 一緒に見張りに立っているジャックのやつも、ヴィンセントのやつも、しきりに下唇をなめている。あいつらも、やりたがっているんだ。
 しかし、オレたちは、あいつをここへ連れてきたコーションの使いの修道士から、「手出しはならぬ」とクギを刺されていた。
 ウズウズしながら、ホーズ(・ズボンの原型。ストッキングから発達したボトムを覆う衣服で、いまで言うとレギンスのようなもの)の中でいきり立つあれを、手で鎮めていた。
 そんなところへ、あのお方がやって来た。
 オレたちイギリス軍を統括するあの方。あの小娘の「処女検査」をやったのは、そのお妃と侍女だったが、そのときも、あのお方は、舌なめずりしながらその様子を見守っていたという。
 なに、お偉いさんたちは、みんなお好きなのさ、あっちのほうも。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

ローズマリーの詩〈10〉 「愛」と「反戦」の時代

コーヒーと女おじが「七つの水仙」を、愛する人に歌って
聞かせた時代。それは、「反戦」の時代だった


「七つの水仙」を千里さんに歌って聞かせた、
かつての恋人。その男は、おじに違いない。
千里さんから習ったガーリックトーストを食べさせると、
おじは「懐かしい味がする」と、目を細めた――。



 小説/ローズマリーの詩 ――― 第10章 
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この話は連載10回目です。最初から読みたい方は⇒こちらから、
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ここまでのあらすじ 雨が降ると、離れのおじの部屋からあの歌が聞こえてくる。調べてみると、それは『スカボロー・フェア』という曲だった。その歌には、パセリとセージとローズマリーとタイム、4種のハーブが登場する。その日、おじが作った夕食は、その4種のハーブを使った「チキンの香草焼き」だった。食事が終わると、おじは私に1枚のDVDを渡した。『卒業』という名の映画のDVDだった。そこに登場するベンジャミンとエレーンを、おじはもしかして、おじとおじのかつての恋人にダブらせているのだろうか? 私にもかつて、尊敬し、愛した男がいた。鳴尾聡史。アフリカで、飢えた子どもたちを救うボランティア活動に従事する男。しかし、私は、「一緒にアフリカに行かないか?」という彼の誘いに首を振った。勇気がなかったからだ。私は就職して、そこで巡り合った男がささやく「ふつうの幸せ」という言葉に揺らいだ。結婚の約束までしたが、しかし、彼が押し付けてくる「ふつうの幸せ」という形に、私は耐えられなくなって、その結婚をドタキャンした。母に言わせれば、そんな私とおじは、「我が家の厄介者」だった。その厄介者のおじのところに、来客があった。「オウ、こないだ、彼女に会ったゾ」。その客が口にした言葉に、私は耳をそばだてた。私は、飲みに行くというおじたちについていった。おじたちに言わせると、私の鳴尾聡史は「青銅の騎士」なのだった。しかし、「騎士」としてその理想を追求する方法は、プロとして活動するばかりではない。プロにならなかった自分を責める必要はない、とおじたちは言う。おじの友人・尾崎さんの話だと、おじのかつての彼女は、草野駅の前でハーブ・パンを焼いて売っているという。私は、草野駅まで行ってみた。その人・真坂千里さんの店は「千の丘」といった。その店名は、『七つの水仙』という曲からとったという。そして、その歌をかつて彼女に歌って聞かせたのは、どうやら、おじらしかった――。




 お土産に買って帰ったハーブ・パンは、その夜、おじにもおすそ分けした。
 どこで買ったかは、言わなかった。
 おじは、ひと口頬張るなり、「オッ、うまい!」と声を挙げた。
 あんまりうまそうなので、つい、「だれが焼いたパンだかわかる?」と言いそうになったが、それを言う代わりに、残りのバゲットをガーリック・トーストにしてあげた。
 「こういうのを食べると、ワインが欲しくなる」と言うので、自分の部屋で飲むつもりだった赤ワインの封を開けた。
 「なんだか、懐かしい味がする」と、おじが言う。
 昔、パンをそんな風に食べた記憶がある――というのだ。
 たぶん、千里さんが食べさせてくれたんじゃないか――と想像したが、それも言わないでおいた。
 その代わり、ヒントをあげた。
 「おじさん、『七つの水仙』って曲、知ってる?」
 おじは、「エッ……!?」と、少し驚いた顔をした。もしかして、ヒント出しすぎか――と思ったけど、おじの驚きは、真坂千里にまでは行き当たらなかったようだった。
 「だれが歌ってたの?」
 「ヒットさせたのは、『ザ・ブラザーズ・フォー』っていうグループだけど、作ったのは、モダン・フォークの元祖とか言われてた『ウィーバーズ』のリー・ヘイズとフラン・モズリー。後になって、『PPM』がカバーしたりしたけど、やっぱり、この曲を聴くなら、『ザ・ブラザーズ・フォー』かなぁ」
 「それ、全部、知らない……」
 「だろうね。もう、50年近く前の話だもんなぁ。みんな、その頃のフォークソング・ブームを生み出し、支えた開拓者たちだよ」
 「ヘェ、フォークソングがブームだったんだ?」
 「その頃のフォークソングは、反体制派の若者たちに支持されてて、この曲を作ったリー・ヘイズなんかは、アメリカ当局のブラック・リストにも載ってたみたいだよ」
 「反戦フォークとかなら、聞いたことあるけど……」
 「反戦っていうのは、反体制であることのひとつのメッセージとして目立ったというか、突出してたってことだね。当時の体制は、冷戦体制維持、軍拡競争推進、軍需産業中心に強い国家を目指す――っていう勢力で牛耳られてたから、反戦を唱えれば、反体制になっちゃうんだよね」
 こういう話を始めると、おじは、ちょっとだけ饒舌になる。
 そんなおじが、嫌いじゃなかった。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

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