マリアたちへ☆目次

笑顔  短編集  
マリアたちへ
このシリーズは、
筆者がこれまでに出会ってきた
思い出の女性たちに捧げる
「ありがとう」の短編集です。


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第1話 アイスが溶けてしまうまで

こちらの作品は、姉妹サイト『「おとなの恋愛小説」倶楽部』に移転しました。
お読みになりたい方は、こちらからどうぞ。

第2話 ワレメ先生、さようなら

こちらの作品は、「チャボのラブレター」とタイトルを変えて、Kindle本として刊行しました。
お読みになりたい方は、⇒チャボのラブレター (マリアたちへ) をどうぞ。

第3話 ポーラに忘れな草 改訂版

こちらの作品は、「ポーラに忘れな草」とタイトルを替えて、《改訂版》 を掲載中です。
お読みになりたい方は、下記タイトルをクリックしてください。

《第1章》 障子の向こうの彼女
《第2章》 牛乳瓶に忘れな草
《第3章》 ポール・ミーツ・ポーラ
《第4章》 デュエットを奪った男
《第5章》 忍び声の夜
《第6章》 坊ちゃん、泳ぐべからず
《第7章》 心のドアをノックして
《第8章》 早めのサンタクロース
《第9章》 彼女の制服の匂い
《第10章》 離れがたい唇
《第11章》 フォゲット・ミー・ノット

第4話 漂流するプッシー

こちらの作品は、『漂流プッシーと飛べない青い鳥』とタイトルを変えて、姉妹サイト『「おとなの恋愛小説」倶楽部』に移転しました。
お読みになりたい方は、こちらからどうぞ。

第5話 6年2組の赤いバラ

こちらの作品は、書籍化のため、当ブログから削除いたしました。

第6話 二色のパノラマ

こちらの作品は、姉妹サイト『「おとなの恋愛小説」倶楽部』に移転しました。
お読みになりたい方は、こちらからどうぞ。

第7話 午前0時の罪びと

こちらの作品は、姉妹サイト『「おとなの恋愛小説」倶楽部』に『寂しいスペードと悲しいハート』とタイトルを変え、移転しました。
お読みになりたい方は、こちらからどうぞ。

第8話 ワラの天使

こちらの作品は、姉妹サイト『「おとなの恋愛小説」倶楽部』に移転しました。
お読みになりたい方は、こちらからどうぞ。

第9話 母とのいちばん長い別れ

こちらの作品は、姉妹サイト『「おとなの恋愛小説」倶楽部』に移転しました。
お読みになりたい方は、こちらからどうぞ。


第10話 急行「霧島」

こちらの作品は、独立した作品としてリメイク。『愛を駆ける急行』として、連載開始しました。
お読みになりたい方は、こちらからどうぞ。


第11話 乳房の香り。ミス・中尾の最後の授業

こちらの作品は、姉妹サイト『「おとなの恋愛小説」倶楽部』に移転しました。
お読みになりたい方は、こちらからどうぞ。


第12話 隣のミヨちゃん

こちらの作品は、姉妹サイト『「おとなの恋愛小説」倶楽部』に移転しました。
お読みになりたい方は、こちらからどうぞ。


第13話 ピンちゃん 改訂版

こちらの作品は、『平均台のマドンナ』として掲載したものを『ピンちゃん』とタイトルを替え、《改訂版》を掲載中です。
お読みになりたい方は、下記タイトルをクリックしてください。

《第1章》 平均台を舞う鶴
《第2章》 彼女の親衛隊
《第3章》 黄色い声援の主
《第4章》 孤独なレオタード
《第5章》 美しい勇気のための弁論
《第6章》 彼女に捧げる1分間の即興
《第7章》 金賞の報酬
《第8章》 絡み合う指の束の間の乱舞
《第9章》 友情という名の「勇気」
《第10章》 奪われた手袋
《第11章》 彼女の部屋の一枚の絵
《第12章》 待ち伏せ
《第13章》 拉致されたマドンナ
《第14章》 体育倉庫の四銃士
《第15章》 ラスト・ショーの鶴
《終 章》 ボクたちのファイナル


第14話 明かりが窓に灯るまで

こちらの作品は、姉妹サイト『「おとなの恋愛小説」倶楽部』に移設中です。
お読みになりたい方は、こちらからどうぞ。


第15話 父&娘幻想

こちらの作品は、姉妹サイト『「おとなの恋愛小説」倶楽部』に移転しました。
お読みになりたい方は、こちらからどうぞ。


第16話 ミセス・ボディショット

こちらの作品は、姉妹サイト『「おとなの恋愛小説」倶楽部』に移転しました。
お読みになりたい方は、こちらからどうぞ。


第17話 ビンタと赤いバラ

この作品は、書籍化のため、当ブログから削除いたしました。


第18話 美しすぎる従妹

つなぎ合った小さな手。そのぬくもりを私は、いまも記憶している。それから10年後、高校生になった私は、旅の途中で広島に寄り、従妹・ユリと再会する。その胸元からのぞいたかわいい乳房。美しすぎる従妹は、それから、波乱の人生を送り、そして、おとなになった私と出会う……。

《第1章》 小さな手の思い出
《第2章》 彼女の胸で芽生える蕾
《第3章》 2人の「お兄ちゃん」
《第4章》 ユリ弁
《第5章》 危険な疾走
《第6章》 いるはずのない人
《第7章》 好きな人、おると?
《第8章》 小さなウソ
《第9章》 歳月が奪っていくもの
《第10章》 傷だらけの結婚
《終章》 この手は、いまも空いている


第19話 チュンリーの恋

「後輩ですよ」と紹介されのは、春麗と名乗る中国人女性だった。国費留学生として来日し、彰男と同じ大学の同じゼミを卒業したという。マスコミで、日中の架け橋となれるような仕事がしたいという彼女を、彰男は、知り合いの出版社に紹介した。利発な頭と豊かな知性を備えた春麗の仕事は、たちまち、編集部の目に留まり、彼女は夢を実現に近づいていく。そんな春麗に、彰男は恋をする……。

《第1章》 後輩は、美人留学生
《第2章》 ラブレター
《第3章》 スケベな日本人
《第4章》 恋人、いますか?
《第5章》 近すぎる彼女
《第6章》 北京ダックをあなたに
《第7章》 監視される夜
《第8章》 彼女の水着を撮った男
《第9章》 クレイジー・スーザン
《第10章》 封印された水着写真
《第11章》 最後の晩餐
《第12章》 白い肌の傷跡
《第13章》 ウサギのように震えて…
《第14章》 脱がせ屋のワナ
《第15章》 乳房こぼれて…
《第16章》 支配の暴力
《第17章》 自由への逃走
《第18章》 搭乗ゲートへ消えたひと
《第19章》 黒い知らせ
《終章》 永遠のロザリオ


第20話 洗濯板に捧げ銃

彼女は、音楽教師としてボクたちの学校にやって来た。受験校である学校では、ほとんど顧みられない音楽の授業。しかし、彼女の授業に夢中になる生徒もいた。ボクたちは、彼女を「ミス・リリー」と呼んだ。リリーには、人に言えない秘密があった……。

《第1章》 「ミス・リリー」の誕生
《第2章》 美しき身代わり
《第3章》 彼女を殺した醜聞
《第4章》 リリー、谷間を去る
《第5章》 ボタン3つ分の別れの儀式

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ミセス・ボディショット〈1〉 男を撃つショット

smile.jpg 

彼女が思い切って踏み込んで打ち返した打球は、
鋭いライジングとなって聡史のボディに飛んできた。
よけ損ねた聡史の下腹部を、その球が直撃した――


 マリアたちへ   第16話 
ミセス・ボディショット〈1〉

 前回までのあらすじ  今回より新連載。テニス・スクールを舞台に繰り広げられる、男女7人の愛の物語です。40歳になってテニスを始めた聡史は、M(中級)クラスに上がり、そこで、有賀幸恵に出会います。ふたりが言葉を交わすきっかけになったのは、幸恵が打ち返した鋭いボディ・ショットでした――

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このシリーズは、筆者がこれまでに出会ってきた思い出の女性たちに捧げる「ありがとう」の短編集です。いま思えば、それぞれにマリアであった彼女たちに、心からの感謝を込めて――。


 バックラインで、くねっと腰を振る姿が見えた。
 その腰をスウィングすると同時に、トスアップする左手が、頭上に伸びる。
 ラケットを握った右手が、左手の動きにシンクロして、Uの字を描くように振り上げられる。
 肩まで伸びたセミロングの髪が、揺れて頬に張り付く。
 スコーンという打球音。
 振り下ろされたラケットが彼女の左腰に巻きつき、ellesseのスカートが腰の周りで軽やかに揺れる。
 ラケットから打ち放たれた黄色い球がネットすれすれを越えて、聡史のフォア・サイドに向かってまっすぐに伸びてくる。
 フラットな打球は、素直で球筋がいい。
 サービスラインの手前でバウンドした打球は、バックライン上でラケットを構える聡史のひざの高さに伸びてきた。聡史にとっては、いちばん打ちやすい高さだ。
 体をひねって背中の後ろまで引いたラケットを、バウンドした球の落ち際に向かって水平に振り出す。
 心地いい打球音。
 スイート・スポットにヒットしたときの気持ちのいい衝撃が、手のひらに伝わってくる。
 その気持ちよさが好きで始めたテニスなので、スピンはかけない。スライスも滅多に打たない。コーチが何と言おうと、フラットにこだわる。それが自分のテニス・スタイルだ、と聡史は思っている。
 気持ちよくラケットではね返された打球が、相手のフォア・サイドに向かってまっすぐに伸びていくのを確認すると、聡史は前傾した体をそのまま前に送り出し、後ろ足で強くハード・コートのサーフェスを蹴った。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

ミセス・ボディショット〈2〉 悩殺のくねくね打法

smile.jpg 

幸恵は、クラスのマドンナ的存在だった。
サーブを打つときに、腰をくねっとひねる。
そのフォームは「くねくね打法」と呼ばれていた―― 


 マリアたちへ   第16話 
ミセス・ボディショット〈2〉

 前回までのあらすじ  40歳でテニスを始めた海野聡史は、レッスンのラリー練習で、有賀幸恵のボディショットに下腹部を直撃される。幸恵はクラスに4人だけいる女子の中でも、ちょっと目を引く美人だった――

【リンク・キーワード】 エッチ 官能小説 純愛 エロ
このシリーズは、筆者がこれまでに出会ってきた思い出の女性たちに捧げる「ありがとう」の短編集です。いま思えば、それぞれにマリアであった彼女たちに、心からの感謝を込めて――。


  この話は連載2回目目です。この小説を最初から読みたい方は、こちらからどうぞ。

 テニスを始めたのは、40歳になってからだった。
 ふつうなら、そろそろ激しいスポーツは止めようか――と思い始める歳になって、聡史は生まれて初めて、ラケットを手にした。
 住んでいるマンションからほど遠くないところに、インドアの「ASKテニス・スクール」がオープンしたのが、そのきっかけだった。
 カマボコ型の体育館のような建物の中から聞こえてくる、スコーン、スコーンという打球音が、聡史の体の奥に長い間眠っていた何かを揺り起した。
 スポーツが好き、という子どもではなかった。
 プールに行こう、スキーに行こうと誘われても、一度も心を動かされたことがなかった。そんなことに時間を割くぐらいなら、本を読んだり、映画を見たり、絵を描いたりしているほうが楽しい――と感じる子どもだった。
 しかし、ボールだけは別だった。
 動くボールを見ると、無意識のうちに体が反応しそうになる。

 「やっぱり、おまえは戌年だねェ」

 母親には、いつもそう言って笑われた。
 そうなのかもしれない、と聡史は思った。
 自分の体の中には、犬のDNAが組み込まれているのかもしれない。
 プールやスキーにはまったく動かなかった心が、「野球しよう」とか「卓球しに行こう」と誘われると、喜んで飛んでいった。
 しかし、そうしてボールと戯れる機会は、高校を卒業してからは、まったくゼロになってしまった。
 貧乏学生だった大学時代には、金のかかる運動系のサークルに所属する余裕などなかった。卒業すると、雑誌のレイアウトなどを手がけるグラフィック系のデザイン会社に就職したが、いきなり、猛烈なスケジュールで仕事にのめり込むことになり、どこかで球技を楽しむなんていう余裕はなくなった。だいいち、一緒にプレーする相手が、聡史の周囲にはいなかった。
 20年以上、封印されたままだった犬としてのDNAが、新設のテニス・スクールから聞こえてくる打球音に揺り起こされ、かき乱された。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

ミセス・ボディショット〈3〉 至福のラリー

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ラリー練習で聡史は幸恵とペアを組むことになった。
幸恵の頭の上を、深いロブが越えていく。
「海野さん、お願~い」。幸恵の声に聡史の足が燃えた…。

 マリアたちへ   第16話 
ミセス・ボディショット〈3〉

 前回までのあらすじ  40歳でテニスを始めた海野聡史は、レッスンのラリー練習で、有賀幸恵のボディショットに下腹部を直撃される。幸恵はクラスに4人だけいる女子の中でも、ちょっと目を引く美人だった。クラスの早川亮の話だと、幸恵には夫がいて、テニスもふたりで始めたのだが、その夫は体を壊して、いまは休んでいるという。ある日のレッスン前、ロビーでコーヒーを飲んでいると、「早いですね」と幸恵が声をかけてきた。聡史が独身だと知ると、幸恵は、「独身だって」と、横にいる児玉慶子の腕をつついた。慶子は、どうやら独身らしい。しかし、その紹介は、聡史にとって、少し迷惑でもあった――

【リンク・キーワード】 エッチ 官能小説 純愛 エロ
このシリーズは、筆者がこれまでに出会ってきた思い出の女性たちに捧げる「ありがとう」の短編集です。いま思えば、それぞれにマリアであった彼女たちに、心からの感謝を込めて――。


  この話は連載3回目目です。この小説を最初から読みたい方は、こちらから、
    前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。


 その日のラリー練習は、3ポイント先取の勝ち抜き戦になった。
 ペアはジャンケンで決められる。
 クラス全体を6人ずつの2グループに分け、その中でジャンケンをして1~6番の順番を決める。両組の1番同士、2番同士……というふうにペアが決められていくのだが、聡史のパートナーは、有賀幸恵になった。
 ペアが決まると、幸恵が「よろしく」と握手を求めてきた。
 細くてしなやかな指が、力なく聡史の4本の指を握ってきた。
 この細い指であんなライジングを打つのか――幸恵の指の微力さが、聡史には少し意外だった。

 最初の対戦相手は、コーチから「ショーちゃん」と呼ばれている現役高校生と児玉慶子のペアだった。どちらも、スピン系の球を打つペアだが、ショーちゃんが豪打するのに対して、児玉慶子はやわらかいくせ球を打つ。
 やりにくいペアだ。
 ゲームは、「ショーちゃんペア」がサーバーということで始まった。

 「フォアお願いしていいですか?」
 「いいんですか?」
 「わたし、バック・サイドのほうが得意だから」

 フーン、そうなんだ――と思ったが、もしかしたら幸恵は、聡史にフォア・サイドを譲ってくれたのかもしれなかった。
 ストロークを気持ちよく打ち込みたいタイプなら、だれでも、フォア・サイドに回りたいと思うはずだ。幸恵はそれを自分に譲ってくれたのかもしれない――と思うと、聡史は少しプレッシャーを感じた。

 「あの子のサーブ、強烈だから、負けないでね」

 それぞれのポジションに分かれるとき、幸恵が聡史に耳打ちした。
 その言葉が、聡史には、「あなた、生きて帰ってきてね」と恋人を戦場に送り出す情婦の言葉のように聞こえた。
 よし、負けられないゾ。
 腹の底に力がみなぎってくるのを感じて、聡史は身震いした。

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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

ミセス・ボディショット〈4〉 恥辱のWフォールト

smile.jpg 

見事なフォーメーション・プレーで1組目を退けた
海野・有賀ペアだったが、2組目との対戦では、聡史が
2連続Wフォールト。幸恵は少し怒ったように見えた――


 マリアたちへ   第16話 
ミセス・ボディショット〈4〉

 前回までのあらすじ  40歳でテニスを始めた海野聡史は、レッスンのラリー練習で、有賀幸恵のボディショットに下腹部を直撃される。幸恵はクラスに4人だけいる女子の中でも、ちょっと目を引く美人だった。クラスの早川亮の話だと、幸恵には夫がいて、テニスもふたりで始めたのだが、その夫は体を壊して、いまは休んでいるという。ある日のレッスン前、ロビーでコーヒーを飲んでいると、「早いですね」と幸恵が声をかけてきた。聡史が独身だと知ると、幸恵は、「独身だって」と、横にいる児玉慶子の腕をつついた。慶子は、どうやら独身らしい。しかし、その紹介は、聡史にとって、少し迷惑でもあった。その日のラリー練習で、聡史は幸恵とペアを組んだ。その幸恵の頭の上を深いロブが越えていく。「海野さ~ん、お願~い!」。幸恵の声に聡史の足が燃えた。懸命にキャッチしたボールをクロスにロブで返し、相手がやっと拾って返した緩い球を幸恵がボレーで相手コートに叩きこんだ。至福の瞬間だった――

【リンク・キーワード】 エッチ 官能小説 純愛 エロ
このシリーズは、筆者がこれまでに出会ってきた思い出の女性たちに捧げる「ありがとう」の短編集です。いま思えば、それぞれにマリアであった彼女たちに、心からの感謝を込めて――。


  この話は連載4回目目です。この小説を最初から読みたい方は、こちらから、
    前回分から読みたい方は、こちらからどうぞ。


 結局、「ショーちゃんペア」との対戦は、聡史たちの勝利になった。
 2ポイント目は、ショーちゃんのダブル・フォールト
 ショーちゃんのサーブは強烈だが、正確さに欠ける。3ポイント目も、ファーストがフォールトとなり、緩くなったセカンドを聡史がパッシングで返したところを、拾ったショーちゃんの球がミス・ショットとなって、あっけなく3ポイント連取で決着がついた。
 そこまではよかった。
 サーブ権は、勝ったチームに移る。
 聡史がもっとも苦手としているのは、サーブだった。聡史は、サーブを幸恵に譲って自分は前衛に回ろうとしたが、幸恵は、首を振った。
 「私、くねくね打法とか言われて恥ずかしいから」というのが、理由だった。
 仕方がない。ここは、男気を見せるしかない――と、聡史は肚をくくった。
 対戦相手は、早川亮と松下健一のペアだった。早川は、素直なストロークを打ってくるが、松下はスライス系のくせ球を打ってくる。まるで卓球のように手首を使って、ラケットをこねくり回してくる。気をつけるとしたら、その足元に緩い球を返してしまったときだ。
 1ポイント目は、珍しく聡史のファーストが決まって、サービス・エースを取った。
 2ポイント目は、ファーストが大きくオーバーしてしまい、かろうじて入れたセカンドを早川に強打された。
 早川のリターンは、幸恵のサイドを抜いてパッシングになりそうだった。聡史は、そのカバーに走った。しかし、幸恵は、そのリターンを拾った。
 しまった!
 カバーに走った聡史のサイドはガラ空きになっている。
 幸恵の返した球は松下の足元へと飛んでいき、松下はその球をドロップ・ショットでサイドラインぎりぎりに落とした。
 聡史も、幸恵も、一歩も動けなかった。
 「うまい!」とコーチの声が飛ぶ。
 「ごめん」と謝る聡史に、幸恵が「ドンマイ」と微笑みかけた。
 次のポイントは、何としても取らなくてはならない。サーブに向かう聡史の体に力が入った。それがいけなかった。
 ファーストは、大きくサービスラインをオーバーして、バックライン近くまで飛んでいった。
 いけない。弱くてもいいから、確実に相手のコートに入れなくては……。
 軽打しようと思ったのだが、ラケットに当てるだけになったボールは、力なく、ネットにかかって落下した。
 痛恨のダブル・フォールト
 ポイント1-2。
 次のファーストも、フォールト。
 「あれれ……?」とコーチの声が飛んだ。
 もう、永久にサーブなんて決まらないんじゃないか……という思いが、聡史の体を支配した。
 トスアップする腕が縮こまり、トスの高さが足りない。よほど、やり直そうかと思ったが、3連続フォールトの後では、これ以上ぶざまな姿は見せられない。強引にラケットを振り下ろしたが、打点が低くなった。ボールは、勢いよくネットに突き刺さった。

 「あ~あ」

 コート・サイドから何人かが声を上げるのが聞こえた。

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シランケン・重松シュタイン…独自の人間関係論を元に、長住哲雄のペンネームで数々の著書を刊行してきたエッセイスト&編集者。この度、思うところあって、ペンネームを変えました

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