「自虐史観」と口にする人たちの「小児病」
不純愛トーク 第321夜
権力者は、情緒に訴えて、国民の「義理」を封殺しようとする。前回は、そんな話をしました。先の戦争を批判しようとすると、「自虐史観だ!」などと叫ぶ人たちの頭の中も、きわめて幼稚。実は、そんな言葉で歴史を正当化しようとする人たちの頭の中には、「小児病」がひそんでいる。そして、その「小児病」は、男女の世界をも支配している。今回は、そんな話をしてみます――。
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AKI 権力者は「人情」で「義理」を封じ込めようとする。前回は、そんな話をしたんですよね?
哲雄 「国民は、天皇の赤子である」という人情話をぶち上げて、「天皇のために喜んで命を差し出す」という空気を醸成したりしました。そんな話をしたんでした。
AKI いま頃になって「自虐史観」なんていう言葉が使われるのも、哲ジイに言わせれば、人情話なんですか?
哲雄 「人情」とまでもいかない、単に、情緒に訴える言い方で、こういう言葉を使う人たちの頭は、きわめて幼稚だと思っています。
AKI その人たちは、何を「自虐」と言っているのですか?
哲雄 太平洋戦争に突入するにいたった経緯を、「あれは間違いだった」と認め、反省すること――じゃないですか。特に、その戦争の中で、日本が周辺国に対して行った侵略行為などを「あれは悪かった」と認めること。そういう批判的な目を持って自らの歴史を見つめることを、「自虐的」と言ってるようですね。
AKI つまり、反省するな――と言ってるわけ?
哲雄 その反省は、連合国から押し付けられたものだ――と主張しているわけです。
AKI 反省なんかする必要はない。あれは、正しい戦争だった――と?
哲雄 戦争を批判的に語ろうとすると、それは「自虐史観」だ――と言うわけですから、当然、その人たちにとっては、あの戦争は、「正しい戦争だった」ということになるわけですね。
AKI ボク、悪くないもん――と言ってるようなものなんですね?
哲雄 ま、そういうことになりますかね。ここが、ドイツと日本の大きな違い。そもそも、「自虐史観」なんてことを口にする人たちの頭の中には、「批判的に、客観的に、物事を見る」という発想そのものがないのではないか――と、私は思います。
AKI なぜ、そうなってしまうのでしょう?
哲雄 子どもだから――です。
AKI 子ども……?
哲雄 独立した「おとな」としての自我が育ってないからです。
そういう自我が育たないような国民性を、
明治以降の指導者たちが作ってしまった
と言ってもいいかと思います。
AKI どうやって?
哲雄 天皇を「現人神」として崇拝させ、おまえたち国民は、その「赤子」である――と洗脳しました。「赤子」つまり「子ども」のように従順であることが、国民としてのありようである――と教え込んだわけです。すると、どうなるか?
AKI お上がそう言うのなら、そうだろう――としか思わない国民性ができ上がる?
哲雄 つまり、正邪を自分で判断する能力を失うってことだよね。
いいことも、悪いことも、「陛下の命令だ」のひと言で、唯々諾々と従う。
そうしていれば、自分で判断を下さずにすむ。
「お上に言われたから」と言えば、自分で責任も取らずにすむ。
そのほうが、ラクと言えばラク。
「子ども」でいるということは、そういうラクさの中に浸ったままでいる、ということでもあるのです。
AKI そういう「お子ちゃま」たちが、「自虐史観」なんて言葉を使うわけですか? でも、どうして?
哲雄 自分で自分の価値を見出せないからです。与えられた「価値」の中に身を置いていることでしか、自分の価値が守れないから、その「価値」に疑問の目を向けるなんてとんでもない、ということになる。
AKI その「与えられた価値」が歴史……?
哲雄 歴史もその価値のひとつである――と考えている「国家の正統性」。「国家の価値」は、与えられるものではなくて、自分たちで創り出していくしかないのに、お子ちゃまには、それがわからないのです。
AKI だから、「過去」を「正統」と言い続けるしかないってわけ? ドイツは、違ったんですか?
哲雄 ドイツは、「ヒットラーの時代」を自分たちの手で清算しました。というか、ドイツに限らず欧州には、どんな体制下にあっても、それにアンチを唱える抵抗勢力が存在しましたから、「○○一色」というふうにはならない。「天皇」を「神」にしてしまった近代日本とは、そこが大きく違うところです。
AKI もしかして、日本って、まだ「近代以前」を引きずっているのかもしれませんね?
哲雄 おっしゃるとおりです。実は、日本ではまだ、国家から自立した「個人」という自我が、確立されていないんじゃないか――とさえ、私は思っています。一度も、自分たちの手で革命を成し遂げた経験がない国ですからね。
AKI 明治維新は「革命」ではなかったんですか?
哲雄 諸説ありますが、あれは「革命」ではなくて、「クーデター」にすぎない――という見方のほうが、主流かな。私も、そう思っています。
AKI ということは、人民の、人民による――という国には、まだなってないってことなんですね?
哲雄 敗戦によって、制度上は「民主主義の国」になったはずなのですが、精神的には、全然、なってないと思います。というより、先の戦争を国民自身の手では、いまだに総括できてない。
AKI 総括するとは、どういうことですか?
哲雄 そもそも、あの戦争を起こしたのは正しかったのか? 300万もの国民を死に追いやるに至った責任は、だれにあるのか? 1億の国民に「全員、玉砕せよ!」などと号令をかけた指導者の責任はどうなるのか? そういうことに、きっちりと国民自身の手で決着をつける――ということです。
AKI それ、やってないんですね、日本人は?
哲雄 やってないです。
連合国による極東裁判で、すべて終わったような気になってる。
しかも、その裁判は、戦勝国が敗戦国を裁く裁判で、屈辱的である――とさえ感じている。
私だったら、それじゃあ気がすまない。いまからでも遅くないから、戦争責任を問う裁判を、国民自身の手でやれ――と言いたい。
AKI 許せない人たちがいるんですね?
哲雄 国民に「死ね」と号令をかけながら、自らは延命を図ったような指導者たちすべてです。「私も必ず後から行く」と、前途ある若者たちを特攻に送り出しておきながら、自己弁明に努めた司令官も、民間人を置き去りにして逃げ出した関東軍の指揮官もすべて……です。それをきちんとやらないと、日本の戦後は終わらない。その戦争責任者を「神」として祀るなんて、とんでもない。「自虐」と言うなら、それこそ「自虐」だ――と、私は思います。
AKI 哲ジイ、怒っております。
哲雄 ハイ、怒っております。それを「戦後レジーム(体制)からの脱却」なんぞと言って、「なかったこと」にしてしまおうとしている、頬のたるんだ現在の指導者にも、怒りを覚えております。
AKI あの方も、「小児病」である――と?
哲雄 立派に「小児病」です。しかも、「東条内閣」の血を引く末裔。
AKI エッ!? そうなの?
哲雄 祖父の岸信介は、東条内閣の閣僚でした。「A級戦犯」のひとりとして拘束されたのですが、後に釈放され、自民党総裁となって、60年には、安保改定を強行した総理大臣として悪名を馳せました。
AKI そんな血筋の中で育ったお坊ちゃま。筋金入りだわ。
哲雄 しかしね、AKIクン。この「小児病」は、いささか危険です。そんな「小児病」が、男と女の世界にも蔓延しているような気がするんですよ。
AKI そ、そうなんですか?
哲雄 その話は、次回、詳しく展開してみたいと思います。


2012年11月リリース
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