「貧乏人は子だくさん」の世界的理由
不純愛トーク 第206夜
貧富の格差が広がる日本の社会では、貧困ゆえに結婚できない若者たちも増えている、という話をしてきました。しかし、世界的に見ると、人口が爆発しているのは、むしろ、貧困な地域。その理由を探りながら、日本の「少子化」問題につけるクスリを考えてみます――。
【今回のキーワード】 出生率 人口爆発
【SEOリンク・キーワード】 エッチ 官能小説 結婚 エロ 不倫
AKI 前回は、ずいぶん、大胆なプランをお示しいただきまして……。
哲雄 キミが「大胆な」と言ってるのは、「男ふたりで妻ひとり」という《妻共有制度》のこととかを言ってるんだと思うけど……。
AKI ビンボー人は、そうでないと「家族」が作れないんじゃないか――という話でしたよ。
哲雄 あくまで《核家族》を基本とする考え方では、もう、この社会を再生産するのはムリではないか――という話の一環として申し上げたわけですよ。単純に考えてみましょうか? AKIクンは、いま、日本の合計特殊出生率がどれくらいか、ご存じですか?
AKI エッ……と、その「合計特殊出生率」というのは?
哲雄 ひとりの女性が、一生の間に生む子どもの数、という意味です。女性は全人口の約半分ですから、この数字が2・0以上ないと、現在の人口は維持できないということになります。
AKI 確か、かなり低いんですよね? 1・5人とか?
哲雄 とんでもない。もっと低いです。2005年には、なんとそれが1・2ぐらいになって、こりゃ大変だ――と騒がれたんですが、いまは若干持ち直して、2010年には1・39にまで回復しました。それでも低いです。ちなみに、世界でいちばん高いのはニジェールで、7・1。いちばん低いのはお隣の韓国で、なんと、1・2。
AKI エーッ!? 1・2! それ、大変じゃないですか。
哲雄 仮に、日本の合計特殊出生率が、このまま1・3で推移したとしましょうか? 単純化するために日本の人口も1億人とし、約80年で世代がそっくり入れ替わるとして計算すると、80年後の日本の人口は、6500万人になります。さらにその80年後には、4225万人、その80年後には2750万人、その80年後には1785万人、その80年後には1160万人。なんと400年後には、いまの東京都の人口よりも少なくなってしまいます。
AKI もはや、国家とは言えない状態になってしまいますわね。
哲雄 一方、この地球上では、人口が爆発し続けている地域もあって、全体としては、地球の人口は増え続けています。人口が爆発している地域と減り続けている地域、それを分けているのは、貧困度と婚姻制度です。
AKI 貧しい地域のほうが、出生率が高い――ってこと?
哲雄 出生率が高い順位に並べてみると、出生率5以上で軒並み上位にランクされているのは、アフリカ諸国なんだよね。それも、貧しい国々。
AKI 昔から「貧乏人の子だくさん」とか言いますけど、それって国レベルでも言えるのかしら?
哲雄 それには、いろいろ理由があると思うんだけど、ひとつは、そういう貧しい地域では、子どもは働き手であり、働き手は多いほうが一家の収入が上がるということ。もうひとつは、それらの地域では、元々、乳幼児の死亡率が高く、そのリスクを考えて子どもはたくさん作っておいたほうがいい、という考えが、伝統的に受け継がれてきたこと。そしてもうひとつは、避妊をするための経済的余裕がない。それらの要素が絡み合って、人口爆発を生み出していると考えられるわけです。
AKI 婚姻制度も関係してるんですか?
哲雄 一夫一妻制度のように、「夫おひとりさまに妻ひとり」を制度として定着させている社会を「単婚社会」、一夫多妻とか一妻多夫が認められている社会を「複婚社会」としましょうか。
人口爆発が起きているのは、「複婚社会」のほうだ、
という見方もできるわけです。
AKI 妻が複数いる社会とか、夫が複数いる社会のほうが、子どもがたくさんできるってこと? それって、不思議。競争し合うからかしら?
哲雄 それはどうだろ。むしろ、協力し合えるからじゃないか――と、私は思うんだけどね。「複婚」といってもね、何人かいる妻を、第1夫人はマンションA、第2夫人はコーポBというふうに、別宅に住まわせてるわけじゃない。みんなで一緒に暮らす大家族を形成してるわけでしょ。これは私の想像なんだけど、そんな中では、競争意識とか憎悪とかいう感情よりも、助け合おうという気持ちのほうが強くなるんじゃないかと思うのです。女同士が家事を協力し合ったり、育児を助け合ったり……っていうふうにね。
AKI いいですねェ、それ。子どもだって、兄弟姉妹がたくさんいたほうが、楽しいだろうし、刺激し合うことだってできるだろうし、保育所だって必要なくなりますよね。
哲雄 つーか、保育所なんて、最初からないんじゃないの、そういう社会では。そもそも、保育施設ってのはさ、家族が《核家族》になって、しかも、夫婦ふたりで働かないと食えないような社会になっちゃったから、必要になった――とも言えるわけですよ。
AKI もちろん、生活のためじゃなくて、自分の生きがいのために働きたい――という女性もいるんでしょうけどね。
哲雄 それは、かなり恵まれた人たちの話だよね。そもそも、仕事の中で生きがいを感じられるような仕事なんてものが、この世にどれくらいあるかというと、私は、はなはだ疑問だと思ってますから。あ、失礼。私としたことが、またも話が逸れてしまいました。
AKI もう一度、整理すると、貧困な社会で、しかも「複婚」制の社会のほうが、出生率は高くなる――ってことですよね。でもね、そうすると哲ジイ、前回の話と矛盾してきませんか? いまの日本では、貧困が未婚率を高め、出生にもブレーキをかけている。そうおっしゃったのではありませんでしたっけ?
哲雄 いいところに目をつけましたね、AKIクン。では、参考までに、もうひとつデータを。軒並み少子化という問題に直面している先進諸国ですが、かろうじて出生率2・0を保っている国があります。どこだと思います?
AKI 中国……とか?
哲雄 確かに中国は、最近、先進諸国の仲間入りを果たしたような顔をしていますが、ご存じのように、この国は、長い間、ひとりっ子政策を続けてきました。その成果かどうかはわかりませんが、中国の出生率は、現在のところ、1・8程度です。
AKI イタリアとか?
哲雄 いいえ。イタリアは、先進諸国の中では、どちらかと言うと、低いほうに位置しています。では、正解! 意外な国ですよ、アメリカです。
AKI エーッ!? アメリカ?
哲雄 確かに、貧困な国のほうが出生率が高い。これは、全世界的に見たときの大きな傾向なのですが、ただし、先進諸国の中だけで見ると、微差ではありますが、まったく逆の傾向が見られるんですよ。
AKI 逆……? てことは、豊かな国のほうが出生率が高い、ということですか?
哲雄 豊か……というより、個人所得の高い国ほど、というべきでしょうね。これ、不思議でしょ?
AKI 不思議。でも、なんとなく、想像はつきます。
哲雄 どんな想像ですか? ぜひ、お聞きしたいものです。
AKI エーッ……と、育児・教育にお金がかかるから――とか?
哲雄 オーッ! さすが、胸は小さいけど、頭はデカい頭脳派エステ嬢。AKIクン、正解です。《核家族化》が進んだ先進諸国では、子育ては、夫婦ふたりの仕事になります。そして、それらの国々では、子どもに高度な教育を受けさせようと思ったら、かなりの教育資金を用意しなくてはなりません。となると、それほど豊かでない家庭では、子どもの数を制限して、ひとりもしくはふたりの子どもに、いい教育を施そうとする。しかし、余裕のある家庭だと?
AKI そうか。2人でも3人でも、高等教育を受けさせることができる。なるほど、それで豊かな国のほうが、子どもの数が増える――ってわけですか?
哲雄 だからと言って、アフリカのように、5人も7人も……というわけにはいかない。せいぜい、1人が2人に、2人が3人に増える程度。なので、豊かなアメリカでは出生率2・0をキープできているけれど、しかし、どんなにGDPが伸びても、国民ひとり当たりの所得水準の低い日本では、とてもそんな余裕はない。出生率1・3は、先進諸国の中では最低ラインに近い。韓国は、ライフ・スタイルこそ先進諸国並みになってきているけど、所得水準は日本よりもさらに低い。出生率も、世界最低レベルの1・2。これより低いところは、国家ではなくて、香港とマカオしかない。
AKI フーン。まとめると、こういうことですか?
出生率は、貧困な社会ほど高くなるけれど、
《核家族化》が進んだ先進諸国の中だけで比べると、
豊かな国ほど、若干、子どもの数は多くなる。
こういうところでよろしいでしょうか?
哲雄 けっこうです。さて、そこで本日の本題です。
AKI エーッ、ここから本題? もう、お時間ですけど……。
哲雄 じゃ、さわりだけ。その出生率をどうやったら上げることができるか?
AKI そりゃ、収入を増やすしかないでしょ?
哲雄 それは、私も切に願うところではありますが、しかし、日本の置かれている状況を考えると、あまり大きな期待は持てません。でも、AKIクン、先ほど、私は、出生率と社会のあり方について、もうひとつ、指摘したことがありましたよね?
AKI もしかして、婚姻制度……?
哲雄 そうです。先ほど、私は、「複婚」社会のほうが出生率が高い――ということを指摘しましたよね?
AKI ま、まさか……。
哲雄 その「まさか……」の話をしようと思うのですが、残念ながら、時間となりました。話の続きは、次回にしようと思います。

管理人は常に、下記3つの要素を満たせるように、脳みそに汗をかきながら、記事をしたためています。
あなたの押してくださったポイントを見ては、喜んだり、反省したりの日々です。
どうぞ、正直な、しかしちょっぴり愛情のこもった感想ポチをお送りください。よろしくお願いいたします。



→このテーマの記事一覧に戻る →トップメニューに戻る
- 関連記事
-
- 少子化、格差社会につける妙薬かも?=「複婚社会」の可能性 (2011/11/10)
- 「貧乏人は子だくさん」の世界的理由 (2011/11/04)
- 「妻」は、おふたり様にひとりずつ…!? (2011/10/27)